屋根は、紫外線や雨風から私たちの住まいを常に守ってくれる重要な部分です。
しかし、屋根塗装には残念ながら「高額な費用を請求された」「すぐに塗装が剥がれてきた」といったトラブルが後を絶ちません。
大切な住まいを守るための工事で後悔しないためには、どのようなトラブルが起こりうるのか、そしてどうすればそれを防げるのかを事前に知っておくことが不可欠です。
そこで本記事では、屋根塗装でよくあるトラブルのランキングやトラブル対策、信頼できる業者の選び方まで詳しく解説していきます。
相談件数の多い屋根塗装のトラブルランキング
まずは、実際にどのようなトラブルが多いのかを知っておきましょう。
国民生活センターへの相談事例などをもとに、屋根塗装で相談件数の多いトラブルをランキング形式でご紹介します。
順位 | 屋根材 | 概要 |
---|---|---|
1位 | ![]() 追加請求が発生した |
工事途中の追加費用 |
2位 | ![]() 施行不良・手抜き工事 |
施工後の雨漏り、塗装の剥がれなど |
3位 | ![]() 近隣トラブル |
足場設置や塗料の臭いなど |
4位 | ![]() 工事内容と契約内容が違う |
仕様、材質が違うなど |
5位 | ![]() アフターフォローの対応がない |
業者との連絡不通、対応漏れ |
データ出典:国民生活センターなどを基に作成
1位:追加請求が発生した
屋根塗装のトラブルで多いのが、契約後の追加請求に関するトラブルです。
「見積もりにない下地補修が必要だった」などと、工事開始後や完了後に高額な追加費用を請求されるケースがあります。特に、見積書の内訳が「一式」となっている場合に発生しやすく、「どこまでが契約範囲か」という認識のズレが原因となります。
以下は、屋根リフォームで追加請求が発生した方の事例です。
引用元:全国かわら相談室
このように、契約当初で説明のなかった工事が後になって請求されるケースは実際にあります。
悪質な業者は、最初に安い金額を提示して契約させ後から高額な請求をする手口を使うため注意が必要です。
2位:施工不良・手抜き工事
塗装後1年~3年といった短期間で塗膜が剥がれたり、膨れたりする施工不良もよくあるトラブルです。
施工不良は、本来3回塗るべきところを2回で済ませる、塗料を規定以上に薄める、下地処理を怠るといった手抜き工事が主な原因です。屋根は施主から見えにくい場所のため、手抜きが行われやすい傾向にあります。
以下は、屋根塗装で下地処理が不十分だったために塗装が剥がれてしまった方の事例です。
ところが、2〜3ヶ月で塗装が剥がれてきてしまいました。リフォーム業者に連絡したところ、直すための塗料を用意するように言われました。
塗料メーカーに問い合わせたところ、下地処理が必要であるが、施工されていない可能性があることがわかりました。(一部抜粋)
引用元:全国かわら相談室
下地処理は塗料の密着性を左右するため、これが不十分であると耐久性が落ち塗装の剥がれや浮きなどにつながってしまいます。
施工状況は常に報告してもうことや、施工前後と施工中の写真を記録してもらうと安心です。
3位:近隣トラブル
工事中の配慮不足による近隣トラブルも少なくありません。
高圧洗浄の水や塗料が隣家の車や外壁に飛散する、業者の車両が通行の妨げになる、職人のマナーが悪いといったことが理由になります。
以下は、外壁塗装で近隣からのネガティブな声を聴いてしまった方の事例です。
外壁塗装の工事を行うにあたり、近隣対策として業者の人が近隣の方に挨拶にまわってくれるということでしたので、お任せしました。
しかし、外壁塗装の工事が始まってしばらく経った頃に近所の方々から「塗料の匂いがきついから洗濯物が干せない」「うるさくて赤ちゃんが起きてしまう」
(中略)
と陰口を言われていることを知ってしまいました。
(一部抜粋)
引用元:全国かわら相談室
屋根塗装でも作業自体は外壁塗装と大きくは変わりません。そのため、近隣の方からあまりよく思われない可能性もあります。
近隣トラブルは、施工後の隣家との関係性にも響くため、施工管理や人柄なども含め業者を選ぶと安心でしょう。
また、施工前は近隣に挨拶をしてもらえるかどうかを確認しておくこをとおすすめします。
4位:工事内容が契約内容と違う
当初契約した内容とは違う仕様で施工されることもあります。契約時に約束した塗料とは違う、グレードの低い安価な塗料を使われるといったトラブルです。
リフォームにおいて契約と違う工事をされた方の事例をご紹介します。
(中略)
床・壁に断熱材が入っていないことが、大工の話から明らかになりました。システムキッチンが打合せした予定のものよりも、10万円程度安いものが入っています。(一部抜粋)
引用元:住まいるダイヤル
屋根塗装を含めたリフォームでは、このように業者側の責によって元々取り決めていた内容で施工されないこともあります。
また、施主は専門知識がないだろうと見越して、意図的に利益を上げようとする悪質な手口もありますので注意が必要です。塗料のグレードを下げられると、期待した耐用年数よりも早く劣化が始まってしまいます。
契約時には、どのメーカーのどの塗料を塗るかまで確認し、価格と耐用年数なども把握しておくと安心です。
5位:アフターフォローの対応がない
多くの業者には自社の保証制度があります。しかし「不具合が見つかってもなかなか対応してもらえない」といったトラブルも聞かれます。
以下は、補修依頼をしたにもかかわらず業者とつながらない事例をご紹介します。
引用元:住まいるダイヤル
このように、残念ながら施工後に業者に連絡をするもつながらず対応してもらえないといった事例もあります。
「最長〇年保証」と謳っていても、保証内容が具体的に書面で定められていないと、いざという時に対応してもらえない可能性もあるでしょう。
そのため、保証制度がある業者でも、口頭ではなく書面で保証書をもらうといった対策が必要です。
屋根塗装のトラブルを防ぐ方法
屋根塗装のトラブルは、いくつかのポイントを押さえることで未然に防ぐことができます。
本章では、以下3つの方法について詳しく解説します。
トラブルを防ぐ方法
- ① 信頼できる業者を選ぶ
- ② 施工内容をしっかりと確認する
- ③ 施工状況を写真で記録してもらう
信頼できる業者を選ぶ
トラブルを防ぐ最も重要な方法は、誠実で技術力の高い業者を選ぶことです。
価格の安さだけで判断せず、建設業許可や塗装技能士などの資格在籍者がいるか、地域での施工実績が豊富かなどを確認しましょう。
インターネットでホームページや口コミなどを調べ、実際に施工を依頼した方の評価を見てみるのもおすすめです。
契約内容をしっかりと確認する
契約書と見積書は、後々のトラブルを防ぐための最も重要な書類です。
「工事一式」ではなく、「どの部分を」「どの塗料(メーカー名・製品名)で」「どのような工程で」塗装するのかが詳細に記載されているか、隅々まで確認しましょう。
追加工事が発生する場合の流れも契約前に確認しておくことが大切です。口約束は絶対に避け、すべての取り決めを書面に残すことをおすすめします。
施工状況を写真で記録してもらう
手抜き工事を防ぐために非常に有効なのが、施工状況を写真で記録・報告してもらうことです。
「高圧洗浄後」「下地処理後」「下塗り後」「中塗り後」「上塗り後」といった各工程完了時に写真を提出してもらえば、万が一の際にもこれが証拠となります。
最初から写真付きで日々の作業内容を報告してくれる業者もいるため、契約前に工事進捗の連絡について質問しておくと良いでしょう。
屋根塗装でおすすめの塗料を比較
屋根塗装のトラブルを防ぐには、業者選びや契約内容の確認だけでなく、使用する「塗料」にこだわることも重要です。
屋根は家の中で最も紫外線や雨風にさらされる過酷な環境にあるため、耐久性の低い塗料を選ぶと、わずか数年で色あせや剥がれといった不具合(トラブル)が発生する可能性があります。
長期的に美観と保護性能を維持するためにも、建物の状況や予算に合わせて、なるべく耐久性の高い塗料を選ぶことがおすすめです。
以下は、屋根塗装に使われる塗料の耐用年数と価格をまとめた図になります。
現在、屋根に使われる塗料は耐久性の観点から「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」の3つです。
シリコン塗料
シリコン塗料は、現在の屋根・外壁塗装で最も広く使用されている、コストパフォーマンスに優れた塗料です。
耐用年数は8年~15年程度と十分な耐久性を持ちながら、価格も比較的安価なため、費用と機能のバランスを重視する方におすすめです。
塗料の種類も豊富で、遮熱や防カビなどの付加機能を持つ製品も多くあります。
「シリコン塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「シリコン塗料とは?鉄板の人気商品と水性・油性、スプレー・木材用の商品ランキングを紹介!」
フッ素塗料
フッ素塗料は、高い耐久性と耐候性を誇る高性能塗料です。
耐用年数は15年~20年程度と長く、紫外線や酸性雨に強いため長期間にわたって屋根の美観と保護性能を維持できます。
初期費用はシリコン塗料より高くなりますが、塗り替え回数を減らせるため長期的に見ればメンテナンスコストを抑えることができることもメリットです。
「フッ素塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「フッ素塗料の特徴は? おすすめの商品ランキングも紹介!」
無機塗料
無機塗料は、塗料の主成分にガラスやセラミックなどの無機物を配合した、最高クラスの耐久性を持つ塗料です。
耐用年数は20年~25年以上と極めて長く、紫外線による劣化もほとんどありません。また、汚れが付着しにくい「低汚染性」を持つため、長期間美しい外観を保ちます。
初期費用は最も高価ですが、「長期間メンテナンスフリーにしたい」「最高の耐久性を求めたい」という方におすすめです。
「無機塗料」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「無機塗料って何?メリット、デメリットからフッ素塗料の違いやおすすめの商品までを徹底比較」
屋根塗装のトラブルを防ぐための業者の選び方
トラブルに遭わないためには、業者選びが最も重要です。
以下のポイントをしっかり押さえて、信頼できる業者を見極めましょう。
- 複数業者の見積もりを比較する
- 業者の実績や口コミを確認する
それぞれ詳しく解説します。
複数業者の見積もりを比較する
屋根塗装を検討する際は、必ず3社以上の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。
相見積もりによって、ご自宅の屋根塗装の適正な価格相場を把握でき、極端に高い/安すぎる業者を避けられます。重要なのは、単に総額を比較するのではなく、見積書の内訳も確認することです。
使用する塗料のメーカー名・製品名、塗装面積(㎡)、工程ごとの単価などが明確に記載されているかを確認し、不明瞭な点があれば遠慮なく質問しましょう。
業者の実績や口コミを確認する
業者の信頼性を判断するために、客観的な情報を集めることが不可欠です。
まずは業者のホームページで、過去の施工事例を確認しましょう。ご自宅と似たような条件の建物の実績が多くあれば安心です。また、Googleマップのレビューや塗装専門の口コミサイトなど、第三者からの評価も重要な判断材料になります。
良い口コミだけでなく、悪い口コミにどう対応しているかもチェックするとその業者の誠実さがわかります。
屋根塗装でトラブルに遭ったときの相談先
万が一、屋根塗装でトラブルに遭ってしまった場合は、一人で抱え込まずに専門の窓口へ相談することが大切です。
以下に、屋根塗装でトラブルにあってしまった場合の相談先をまとめました。
業者
屋根塗装でトラブルにあった場合、まずは工事を施工した業者に連絡を取りましょう。
契約書や保証書の内容を用意し、不具合の状況や工事内容について確認します。誠実な業者であれば、保証内容に基づいて修理などの対応をしてくれるでしょう。
業者に連絡する際も、念のためメモや録音で残しておくと安心です。
住まいるダイヤル
業者との話し合いで解決しない場合や業者が対応してくれない場合は、「住まいるダイヤル」に相談しましょう。
住まいるダイヤルは、国土交通大臣から指定を受けた公的な相談窓口で、一級建築士の資格を持つ相談員による無料相談ができます。
必要に応じて、紛争処理(あっせん、調停、仲裁)の制度の案内も利用可能です。
国民生活センター
契約そのものに問題がある場合や、訪問販売などでの強引な勧誘、クーリング・オフに関するトラブルなどは、国民生活センター(または最寄りの消費生活センター)に相談しましょう。
国民生活センターでは、消費者契約法などの法律に基づいて、業者との交渉に関する助言や情報提供を行ってくれます。
局番なしの「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの窓口を案内してもらえますので、住まいるダイヤルの利用と合わせて相談しておくのもよいでしょう。
まとめ
屋根塗装は決して安くはない費用がかかる重要なメンテナンスです。そして、施工や契約に関するトラブルも多くあります。
本記事で解説した通り、トラブルの多くは事前の準備で防ぐことができます。また、万が一トラブルとなってしまった場合は、まずは業者に相談し、必要に応じて住まいるダイヤルや国民生活センターなどの公的機関に相談することをおすすめします。
大切な住まいを守るために、悔いのない屋根塗装をしましょう。