基礎のひび割れ補修費用を方法別に解説!業者とDIYの比較や火災保険の適用可否も紹介

  • 【更新日】2025-06-26
基礎のひび割れ補修費用を方法別に解説!業者とDIYの比較や火災保険の適用可否も紹介

住宅の構造において、その中でも建物を支える最も重要な部分が「基礎」です。多くの住宅では、コンクリートによって基礎が固められています

しかし、基礎も他の箇所同様に徐々に劣化していくため、ひび割れなどが発生します。そのため、ひび割れを見つけた方のなかには「このまま放置しても大丈夫?」、「補修費用はいくらかかるのだろう?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、基礎のひび割れ補修にかかる費用や補修方法、補修作業における業者とDIYの比較などについて詳しく解説していきます。

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基礎のひび割れを補修するタイミング

建物の基礎は、常に紫外線や雨風にさらされているため、経年によって劣化が進行します。特にコンクリートは、乾燥収縮や地震の揺れなどによってひび割れが発生しやすい部分です。

では、実際にひび割れを見つけた場合、どのタイミングで補修を検討すべきなのでしょうか。

まず、建物の基礎に使われるコンクリートの耐用年数は、一般的に30年~50年ほどと言われています。しかし、これはあくまで目安です。実際の耐用年数は、立地環境や施工品質によって大きく左右されます

基礎のひび割れ補修のタイミングを見分けるポイントは、ひび割れの「幅」と「深さ」です。

以下は、ひび割れの状態と放置する危険度、対処法についてまとめた表になります。

デザイン 写真 状態と危険度 対処法
幅:0.3mm未満
深さ:5mm未満
(ヘアークラック)
ヘアークラック 差し迫った構造上の問題は出ていないケースが多いが、必要に応じて補修が必要 補修の緊急性は低いが点検を依頼すると安心
幅:0.3mm以上
深さ:5mm以上
(構造クラック)
構造クラック 建物の耐久性に影響が出ている可能性があり、放置すると倒壊の原因になる 専門業者による早急な補修が必要

幅0.3mm未満、細いひび割れ(ヘアークラック)であれば、すぐに大きな問題に発展する可能性は低いですが、構造クラックとなっているひび割れを発見した場合は、専門家に点検してもらうことをおすすめします。

【進行度合い別】ひび割れの補修方法を比較

家の基礎にできてしまったひび割れは、なるべく早い段階で補修する必要があります。

しかし、補修した方がいいのか判断に迷うケースもあるでしょう。そこで、以下にひび割れの幅と深さ別に最適な補修方法の目安をまとめました

深さ\幅 0.3mm未満 0.3mm以上
5mm未満 シール工法
DIY補修(応急処置)
エポキシ樹脂注入工法
Uカットシール工法
5mm以上 要専門家診断
(幅が狭くても深い場合は注意が必要)
エポキシ樹脂注入工法
アラミド繊維シート補修

それぞれの補修方法については、費用とともに次章で詳しくご紹介します。

なお、上記のひび割れの状態と補修方法はあくまでも目安としてご覧ください。最終的な補修方法については、専門の業者に点検を依頼して決めるようにしましょう。

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【方法別】基礎のひび割れの補修費用

基礎のひび割れ補修費用は、ひび割れの大きさや深さ、そして選択する工法によって大きく変動します。

以下に、代表的な4つの補修工法とその費用相場をまとめました。

デザイン 写真 費用相場 概要
シール工法 シール工法 5,000円~10,000円 ひび割れ表面をシーリング材で覆う。
Uカットシール工法 Uカットシール工法 7,000円~15,000円 ひび割れ部分をU字にカットしシーリング材を充填する。
エポキシ樹脂注入工法
(ビックス工法)
エポキシ樹脂注入工法 10,000円~30,000円 ひび割れ内部にエポキシ樹脂を注入する
アラミド繊維シート補修 アラミド繊維シート補修 20,000円~40,000円/㎡ 基礎全体をシートで補強

データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年6月のデスクリサーチより

上記の費用はあくまで目安であり、現場の状況や業者によって異なります。正確な費用を知るためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

以下で、それぞれの工法について詳しく解説します。

シール工法

シール工法

シール工法は、主に幅0.3mm未満のヘアークラックなどの軽微なひび割れに対して行われる、最も簡易的な補修方法です。

ひび割れの上から変成シリコンなどのシーリング材を塗布し、雨水の浸入を防ぎます。作業が比較的簡単なため、費用を安く抑えられるのが特徴です。

費用相場は1mあたり900円~1,200円程度となります。他の補修方法に比べて安価になりますが、基礎の表面を保護するだけなので、基礎自体の強度回復はできません。

Uカットシール工法

Uカットシール工法

Uカットシール工法は、幅0.3mm以上の比較的大きなひび割れに用いられる方法です。

まず、ひび割れに沿って電動工具でU字型(またはV字型)の溝を掘り、清掃した後にプライマーを塗布し、その上からシーリング材を充填します。溝を作ることでシーリング材の密着性を高め、耐久性を向上させることができます。

費用相場は1mあたり 2,000円程度です、シール工法よりも高くなりますが、再発防止効果が高いのがメリットです。

エポキシ樹脂注入工法(ビックス工法)

エポキシ樹脂注入工法

エポキシ樹脂注入工法は、建物の強度に影響を及ぼす構造クラックに用いられることが多い補修方法です。ビックス工法とも呼ばれます。

ひび割れに沿って専用の注入器具を設置し、低圧・低速でエポキシ樹脂をひび割れの奥深くまで注入します。硬化したエポキシ樹脂はコンクリートと一体化することで、強度を回復させることが可能です。

費用相場は1mあたり10,000円~30,000円程度と高額になりますが、基礎の耐久性を大きく回復できる補修方法です。

アラミド繊維シート補修

アラミド繊維シート補修
画像出典:コンステック

アラミド繊維シート補修は、個別のひび割れを補修するのではなく、基礎の強度そのものが不足している場合や、地震対策として耐震性を向上させたい場合に採用される工法です。

アラミド繊維は、鋼材の約7倍の引張強度を誇る非常に強靭な素材です。このアラミド繊維を編み込んだシートを基礎の表面にエポキシ樹脂で貼り付けることで、基礎全体の強度と靭性を大幅に向上させます。

費用相場は1㎡あたり20,000円~40,000円程度と最も高額ですが、耐震補強としても効果的な方法です。

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基礎のひび割れ補修を業者とDIYの比較

軽微なヘアークラック程度であれば、DIYでの補修も不可能ではありません。しかし、本当にDIYで大丈夫なのでしょうか。

ここでは、業者に依頼する場合とDIYで行う場合を、メリット・デメリット・費用の観点から比較してみましょう。

ベランダの防水塗装をどちらの方法で行うか決めるときの参考になれば幸いです。

業者 DIY
業者によるシーリング DIYでの基礎ひび割れ修理
メリット ・原因を正確に診断できる
・仕上がりが綺麗で耐久性が高い
・保証が付く
・費用を大幅に節約できる
・道具があればすぐ作業できる
デメリット ・費用が高くなる
・業者選びの手間がかかる
・原因の特定が難しい
・再発するリスクがある
・綺麗に仕上げるのは難しい
費用相場 10,000円~ 数千円~1万円程度

データ出典:費用は「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより

続いて、それぞれのメリットとデメリット、費用について詳しく解説します。

前提として、基礎は住宅の安全性に関わる重要な部分のため、原則として業者に補修を依頼するようにしましょう。

業者に依頼するメリット・デメリット、費用

業者によるシーリング

基礎のひび割れを業者に依頼する最大のメリットは、プロの目でひび割れの原因を正確に診断し、最適な工法で確実に補修してもらえる点です。特に、構造上の問題が疑われるひび割れの場合、専門的な知識と技術がなければ適切な対処はできません。

仕上がりの美しさや耐久性の高さはもちろん、業者によっては工事後の保証が付くため、万が一の際にも安心です。

デメリットは、DIYに比べて費用が高くなる点となります。費用は工法やひび割れの状況によって大きく異なりますが、基礎全体を補修する場合は10万円前後の費用かかる可能性があります

DIYで補修するメリット・デメリット、費用

DIYでの基礎ひび割れ修理

DIYで補修する最大のメリットは、費用を安く抑えられることです。ホームセンターなどで販売されている補修キットを使えば、数千円から1万円程度で材料を揃えることができます

しかし、DIYには大きなリスクも伴います。ひび割れの表面を塞ぐことはできても、基礎自体の耐久性を回復させることはできません。また、補修が不十分だと劣化を早めてしまう可能性もあります。

基礎のひび割れ補修は業者への依頼を前提とし、DIYはあくまでも応急処置にとどめておくようにしましょう。

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基礎のひび割れ補修費用を抑えるおすすめの方法

基礎のひび割れ補修は、住宅全体で10万円前後の費用がかかる可能性があります。そのため「少しでも費用を抑えた補修したい」とお考えの方も多いでしょう。

そこで本章では、基礎にできたひび割れの補修費用を安く抑えるため方法をご紹介します。ご紹介する方法は下記の3つです。

レンガ調外壁の種類
  1. 火災保険を使う
  2. 自治体の助成金・補助金制度を使う
  3. 複数業者の見積もりを比較する

火災保険を使う

ひび割れができた原因によっては火災保険を適用できる可能性があります。

「台風による飛来物の衝突」「豪雪による圧力」「隣家の火災による延焼」などが原因で基礎にひび割れが生じた場合、補償の対象となるかもしれません。補償範囲や条件は加入している火災保険によって異なるため、まずはご加入中の保険内容を確認しておきましょう。

ただし、経年劣化によるひび割れは対象外です。ご自身が加入している火災保険の契約内容を確認し、保険会社や代理店に問い合わせてみましょう。

自治体の助成金・補助金制度を使う

お住まいの自治体によっては、住宅リフォームに関する助成金や補助金制度を設けている場合があります。

特に、耐震性の向上を目的としたリフォームは助成制度の対象としている自治体が多いです。そのため、基礎のひび割れを補修であれば、アラミド繊維シート補修などは、補助金の対象となる可能性があるでしょう。

ただし、すべての自治体で助成金・補助金制度があるわけではありません。また、条件や申請方法は自治体によって異なるため、まずは市区町村の役所のホームページや担当窓口での確認をおすすめします。

複数業者の見積もりを比較する

複数業者の見積もりを比較検討する「相見積もり」でも、費用を抑えることができます。

同じ工事内容でも、業者によって見積もり金額は大きく異なるケースが多いです。金額を見比べやすいよう、見積もりをとるときは、同じ補修方法や材料での金額を出してもらうと比較しやすくなります。

ただし、極端に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。手抜き工事や、後から追加費用を請求されるといったトラブルに繋がる可能性もあります。

見積もりを比較するときには、金額はもちろん、施工実績や保証の充実さなども含めて信頼できる業者を選ぶことが重要です。

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まとめ

建物の土台である基礎は、住まいの安全性を支える上で最も重要な部分です。基礎にひび割れを見つけると不安になるかと思いますが、慌てずにまずはひび割れの幅を確認しましょう。

幅0.3mm未満、深さ5mm未満のヘアークラックであれば緊急性は低いです。しかし、幅0.3mm以上、深さ5mm以上の構造クラックとなっているひび割れは、放置せずなるべく早いタイミングでの補修が必要となります。

大切なマイホームを長持ちさせるためには、信頼できる専門業者に診断を依頼し、適切な方法で補修することをおすすめします。

本記事でご紹介した費用相場や工法の知識を参考に、まずは専門家への相談から始めてみてはいかがでしょうか。