ケレンとは?作業目的から種類までを徹底解説

  • 【更新日】2025-01-16
ケレンとは?作業目的から種類までを徹底解説

ケレンとは、塗装、セメント、コンクリート、モルタルなどの汚れや錆びを落とし、塗料の付着性を高める下地処理作業のことです。

外壁塗装では大切な作業のひとつとなっており、業者に依頼した際の見積書には「高圧洗浄・ケレン」「下地処理・ケレン作業」と記載されていることが多くあります。

本記事では外壁塗装に欠かせないケレンについての概要から作業目的、種類までを徹底解説していきます。

ケレンとは?

塗装前のケレン作業

ケレンとは塗料の付着性を高める下地処理のことで、セメントやコンクリートなどの古い塗膜やサビを除去する作業を指します。

外壁の劣化症状に対応し、より良いするために塗装を実現するために、塗装前に下地処理をしておく作業がケレンであり、欠かせない工程となっています。

ケレンを行う目的

ケレンは、塗料の密着性を高め、塗装の効果を最大限に引き出す目的で行われます

ケレンが十分に行われていないと塗料が満足に塗られず、塗装がすぐに剝がれてしまったり、耐久性が低くなったりしまうなど、すぐに劣化症状が起きてしまいます。

こうしたトラブルを防止し、耐用年数を長持ちさせるためにもケレンは必要不可欠です。

ケレンの種類と単価・費用相場

ケレンには1種~4種までの種類があります。

費用相場は1平方メートルあたり約200円~2,000円となっており、現在の劣化症状とケレン作業の種類によって金額が変わってきます。

ケレンの種類と費用相場は、以下の表の通りです。

<ケレンの種類と費用相場>

種類 内容 作業で使用する道具 費用相場・単価(/㎡)
1種ケレン ブラスト工法や酸洗浄を用いて黒皮や赤さび、旧塗膜を除去する作業 高圧力の研磨剤、剥離剤 など 3000~4000円
2種ケレン 電動工具(電動ブラシ、ディスクサンダーなど)を用いて、金属に付着した赤さびや古い塗膜を完全に除去する作業 ディスクサンダー、電動ブラシ、ワイヤーホール、パワーブラシ など 1500~2000円
3種ケレン 電動工具(ディスクサンダーなど)や手動工具(ハンマー、スクレーパー、ワイヤーブラシなど)を用いて、赤さびや劣化塗膜を除去する作業 やすり、ディスクサンダー、ワイヤーブラシ、ワイヤカップ、ケレン棒、スクレーパー など 600~1000円
4種ケレン 手動工具(皮スキ、スクレイパー、ワイヤーブラシ、研磨パット、サンドペーパーなど)を用いて、チョーキング(白亜化)で発生した粉化物や汚れを除去する作業 皮スキ、スクレイパー、ワイヤーブラシ、研磨パット、サンドペーパー など 200~400円

※上記の表では第1種ケレンの費用相場が3,000~4,000円/㎡となっていますが、一般的な住宅ではまず使われることが無いです

住宅の塗装時によく行われるケレン作業は第2種ケレン・第3種ケレンです。軽微な錆が付いている程度であれば第4種ケレンで対応する場合もあります。

用意する道具として、ヤスリやワイヤーブラシ、ワイヤーカップ(カップブラシ)、ディスクサンダー、スクレーパー、ケレン棒を押さえておくとよいでしょう。

費用例として30坪のお家の場合、(坪数×3.3)×1.2=塗装面積が目安となります。第3種ケレン作業で対応する場合は、71,280円~118,800円前後かかると想定しておきましょう。

1種ケレン

1種ケレンはブラスト法という特殊な工法を使ったり、剥離剤という特殊な薬品を用いたりする作業なので、一般住宅で使用されることはまずありません。

4種類のうちもっとも強力な作業となっており、橋梁の紡食などの大規模な塗装に対応する際に活用されます。

2種ケレン

第2種ケレン作業をディスクサンダーで行う

2種ケレンは、ディスクサンダーやパワーブラシなどの電動工具を使い、金属の錆びや古い塗膜などを完全に除去する作業です。

2種ケレンを行う基準は、錆びの範囲が塗装面の30%を超えている場合です。

また、古い塗膜とは別の種類の塗料を使う場合には、現在塗られている古い塗膜をすべて除去する必要があります。こうしたケースでも第2種ケレンが該当し、古い塗膜を完全に除去します。

3種ケレン

ワイヤーブラシで第3種ケレン作業を行う3種ケレンは一般住宅でもっとも活用されている方法です。

ディスクサンダーやスクレーバーなどを用いて、赤さびなどを除去します。

2種ケレンと異なる点は、古い塗膜を残すという点です。古い塗膜の中できちんと密着しているものは「活膜」と呼ばれ、続けて活用する狙いがあります。

3種ケレンにはA~Cのランクに分けられますが、塗膜の異常面積などでランクが変わるのみで、作業内容に大きな変更はありません。

4種ケレン

4種ケレンは皮スキやサンドペーパーなどの手動工具を用いて粉化物や汚れを除去する作業です。

3種ケレンと同様に活膜を残しながら、錆びの除去やひび割れしている旧膜を除去していきます。

4種ケレンは全体的に軽微なダメージで済んでいる場合に適用され、汚れを落とし、塗料が付着しやすいように表面に凹凸をつけることが目的です。

表面に凹凸をつけることを「目粗し」と呼び、大切な作業のひとつになります。

一般住宅では場所に応じてケレンを使い分ける

一般住宅では、場所に応じてケレンを使い分ける場合もあります。

たとえば、大窓や勝手口の上にある小庇は激しく錆びが発生していることも少なくありません。小庇が錆びによって劣化が激しい場合には、3種ケレンを適用させ、徹底的に削ります。

一方で日当たりが良い屋根板金だと、塗装の表面にわずかな錆びが浮く程度で済んでいる場合もあります。こうした場合は4種ケレンを適用させ、紙ヤスリでこする程度でも十分です。

建材の材質や日当たり、塗料の種類やランクなどによって劣化症状には差が生じるため、複数のケレンを組み合わせて適した処置を施してきます。

ケレン作業を行わず、塗装剥離剤をつかった化学的な下地処理について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
>>【参考記事】「外壁塗装で剥離剤が使われるのはどんな場合?リスクや費用も解説」

「ケレンの種類」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「ケレンの4つの種類とは?価格相場と依頼の際の注意点についても紹介」

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ケレンの必要性

塗装においてケレンを省くことはできません。

ケレンの必要性について、以下の4つの視点から解説していきます。

塗料の密着性・付着性を向上させる

塗装では塗料の密着性や付着性の質によって耐用年数に違いが出てきます。

ケレンを省いてしまうと、塗料の密着性・付着性が損なわれてしまい効果的な塗装にはなり得ません。

たとえば錆びや古い塗膜が残った状態で、上から新たに塗装をしても塗料が密着せず、塗装の性能を最大限に引き出せないでしょう。

さらに塗装がすぐに剥がれてしまうなどのトラブルも発生しやすくなります。

こうしたトラブル防止し、塗装の性能を活かすために塗料を密着しやすくするケレンが大切になります。

塗料の効果を長持ちさせる

塗料の効果を長持ちさせることもケレンの大事な役割です。

塗料をきちんと塗ることで、効果は長持ちし、建物を浸水などから保護することにつながります。

きちんと塗料を塗るためには、ケレンによって汚れや錆びを除去することが大切です。除去しなければ劣化症状を解消したわけではないため、塗装して数ヶ月で塗装がはがれてしまう恐れもあります。

再度の塗り直しになると余計な費用が嵩んでしまうため、きちんとケレンを行うことが、長期的なコストパフォーマンスにも優れています。

施工後の仕上がりをよくする

施工後の仕上がりをきれいにするためにもケレンは欠かせません。

塗料の厚みは、標準的な塗装工事ではにも満たないほどです。そのため下地に異物が付着している上から塗装すると、その箇所だけ塗膜に厚みができてしまいます

塗膜に厚みが出てしまうとムラができてしまうため、きれいな仕上がりになりません。

施工後の見栄えをよくるすることは、塗料の効果を長持ちさせることと同義のため、非常に大切になります。

ケレン作業がもたらす効果

ケレン作業は、塗料の寿命をより長持ちさせることが証明されています。

関西鋼構造物塗装研究会によると、ケレン作業等の素地調整は塗料の性能を高める最も大きな要因であると示しています。

要因 塗料の寿命に与える影響(%)
ケレン作業(素地調整) 49.5%
塗り回数(1回塗り、2回塗りなど) 19.1%
塗料の種類 4.9%
その他(塗装技術や気候など) 26.5%
出典:素地調整が異なる塗装鋼板の腐食劣化に関する基礎的研究

 

塗料の寿命に及ぼす影響のうち約50%をケレン作業が占めているとされており、塗り回数や種類よりも大事だとしています。

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優良業者を選ぶ際は相見積もりが必須

塗装作業を行う優良業者を選ぶためには相見積もりを取ることが大切です。

業者がきちんとケレンを行ってくれるかを確認するとともに、適切な費用相場で施工をしてくれるかの確認にもつながります。

きちんとした比較を行うためにも、最低3社からの見積もりを取ることがオススメです。

ケレンをサービスするという業者は要注意

業者によっては「ケレンをサービスします」と見積もりに含めないケースもあります。こうした業者には注意が必要です。

ケレンを行わないことで、人件費や材料費を削り、利益を上げている可能性があるからです。

また、ケレンを行わないと塗装がすぐに剥がれる恐れがあるなど、依頼者側にとってのメリットはありません。

ケレンを適切な価格できちんと見積もりに明記し、作業内容を説明してくれる業者かどうかを確認しましょう。

ケレンと同じ意味の専門用語

見積もりにケレンの記載がない場合、ほかの用語で記載されている可能性があります。

以下の用語はケレンと同じ意味の専門用語になるため、見積書に記載はないか確認してみてください。

  • ・ケレン作業
  • ・さび落とし
  • ・下地処理(下地調整)
  • ・素地調整
  • ・素地ごしらえ
  • ・目粗し(目荒らし)
  • ・研磨紙刷り

 

上記のいずれも記載がない場合は、「ケレンは行わないのですか?」と必ず確認してください。

塗装を長持ちさせたいならケレンは欠かせない!

塗装の性能を最大限発揮し、長期間利用するためにもケレンは欠かせません。

自宅の外壁・屋根の塗り替えを行う際は、見積書に「ケレン」が記載されているかをきちんと確認しておきましょう。

きちんとしたケレンを行うことで、安心して家に住むことが可能です。

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