ウレタン防水は「一般社団法人防水材協会」が公表している防水施工実績データにおいて、34.9%を占めている主流な工法です。
液体状のウレタン樹脂を表面に塗り重ねることで、耐久性のある防水層を形成します。
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ベランダや屋上などの場所を問わないことに加え、複雑な形状をした場所にも対応できるのが強みの工法です。
本記事ではそんなウレタン防水工事の価格から、実際にウレタン防水工事を依頼する業者の正しい選び方までを解説しています。
【単価表】ウレタン防水工事に必要な作業と価格・単価相場
ひとくちにウレタン防水工事といっても施工内容は細かく分かれています。ウレタン防水工事に必要な作業と、それぞれの価格・単価相場は以下の表の通りです。
作業内容 | 単価相場 |
---|---|
高圧洗浄 | 約200円〜300円/㎡ |
下地処理 | 約200円/㎡ |
下地補修 ※必要な場合のみ | 約200円〜300円/㎡ |
改修用ドレンの設置 | 約15,000円/箇所 |
脱気筒の設置 ※通気緩衝工法の場合 | 約10,000円〜12,000円/箇所 |
発生材処分費 | 約10,000円〜30,000円 |
管理費 | 約10,000円〜30,000円 |
諸経費 | 約10,000円〜30,000円 |
足場設置・撤去 | 約700円〜900円/㎡ |
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具体的な作業内容は業者によって異なるため、事前に相談しながら施工内容を確認することが大切です。
ウレタン防水の工法別価格・単価を比較
ウレタン防水の工法には、以下の3つが挙げられます。それぞれの施工の特長や価格は以下の表の通りです。
項目 | 通気緩衝工法 | 密着工法 | メッシュ工法 |
---|---|---|---|
特長 | 下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む工法 | 床面に直接ウレタン樹脂を塗る工法 | 床面にメッシュシートを貼り付けてからウレタン樹脂を塗る工法 |
工事費用 | 約5,500円〜6,500円/㎡ | 約4,000円〜5,500円/㎡ | 約4,500円〜6,000円/㎡ |
工期 | 4~10日 | 3~7日 | 3~9日 |
おすすめの人 | 自宅に雨漏りが発生している人 | 工事費用を抑えたい人 | 地震や衝撃によるヒビ割れが心配な人 |
通気緩衝工法
通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟む工法で内部の水分や湿気を逃がし、膨れの発生を防げる工法です。
ほかの工法とは異なり、床面に直接ウレタン樹脂を塗ることはなく、下地の上に敷いた通気緩衝シートの上から塗り固めていくのが特長です。
通気緩衝工法で施工することで、工事後のメンテナンスが楽だったり、密着工法よりも長持ちしたりするメリットがあります。
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通気緩衝工法は専門性が高い工法となっているため、防水工事を専門に扱っている業者でなければ施工が難しい工法になっています。
密着工法
密着工法は、下地に直接ウレタン樹脂を塗っていき防水性を高める工法のことです。
密着工法は工程が少ないため、工期を短くできたり、費用を抑えられるのがメリットです。
一方で下地の状態に左右される工法のため、下地が腐食している場合には施工できない可能性があります。
下地の状態が問題ない新築や、ベランダなどではよく用いられる工法です。
メッシュ工法
メッシュ工法とは、下地にメッシュシートを貼り付けてからウレタン樹脂を塗り、防水層と挟み込む工法のことです。
下地と防水層の間にメッシュシートを貼差うことで防水性がアップし、密着工法よりもひび割れがしにくい防水層が完成します。強度の高い防水層となるためには、密着工法よりも施工時間が少し時間が必要なことには注意が必要です。
ウレタン防水の場所別価格・単価を比較
ウレタン防水はベランダと屋上の防水工事で多く採用されています。それぞれの施工価格の相場は、以下の表の通りです。
項目 | 単価目安 | 備考 |
---|---|---|
ベランダ | 約4,000円〜7,000円/㎡ | 施工面積が小さく、1㎡あたりの単価が割高になるケースもある |
屋上 | 約6,000円〜8,500円/㎡ | 足場代が別途必要 |
ベランダ
ベランダでの施工単価の目安は約4,000円~7,000円が相場になります。ベランダの広さが15㎡ほどであれば、約6万円~10万5千円ほどを見込むとよいでしょう。
ベランダでウレタン防水工事を行う場合は、以下の内容で施工されることが多いです。
作業内容 | 価格 |
---|---|
高圧洗浄/10㎡ | 約2,000円 |
下地処理/ケレン/10㎡ | 約2,000円 |
改修用ドレンの設置/式 | 約15,000円 |
発生材処分費/式 | 約10,000円 |
ウレタン防水/10㎡ | 約4,000円~7,000円/㎡ |
ベランダのウレタン防水工事では下地の劣化が激しい場合は、上記に加えて既存の防水層を撤去する撤去費が追加される場合があります。
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施工価格は下地の状態や利用する防水材のグレードによって変わるため、上記の目安価格よりも高くなる可能性もあるため、必ず業者に確認をしてください。
屋上
屋上でウレタン防水工事の単価の目安は約6,000円〜8,500円/㎡が相場です。ベランダと同様に、屋上の広さによって料金は変動することを押さえておきましょう。
以下の表は、屋上で通気緩衝工法でのウレタン防水工事を行う場合の想定価格です。
作業内容 | 価格 |
---|---|
高圧洗浄/80㎡ | 約16,000円 |
下地処理/ケレン/80㎡ | 約16,000円 |
改修用ドレンの設置/式 | 約12,000円 |
伸縮目地撤去/式 | 約1,200円 |
入隅部シール打ち/式 | 約500円 |
脱気筒設置/3個 | 約45,000円 |
発生材処分費/式 | 約15,000円 |
ウレタン防水/80㎡ | 約4,000円~7,000円/㎡ |
上記はあくまでも想定であり、工法や屋上の状況によっても費用は変化しますので、見積書の内容をきちんと確認しておくことが大切です。
ウレタン防水の見積書が正しいかの確認ポイント
ウレタン防水工事を行う際は、複数の業者から見積もりを取得することが大切です。
取得した見積書には、以下の内容が記載されているかを確認し、正しい見積書かどうかを確認しましょう。
確認ポイント | 概要 |
---|---|
数量や単価が適切に記載されているか | 「一式」ではなく、工事項目ごとに「数量(㎡)」や「単価(円)」が記載されているか |
下地処理やプライマーの記載があるか | 前提となる工程の記載がなければ、施工不良の恐れがある |
工法や塗り回数の記載があるか | 「どの工法か」「何回塗るか」の記載のある見積書が一般的 |
定期点検の年数が記載されているか | 定期点検によって長持ちができるため、サービスがある場合は「○○年」と記載があるか |
諸経費や管理費が適切な価格か | 諸経費は総額5~15%ほどが多く、稀に法外な諸経費を記載する業者があるので注意 |
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上記のポイントが確認できない見積書を提出してきた業者は、避けた方が無難でしょう。
ウレタン防水工事の業者の選び方
ウレタン防水工事をどの業者に依頼するかは、以下の3つの視点から選んでいきます。
国家資格を保有しているスタッフが在籍しているか
施工内容を写真などで丁寧に説明してくれるか
防水工事専門業者で豊富な実績があるか
ウレタン防水工事は専門性が高い工事となっており、「何mmで重ね塗りを行う」など細かい技術が必要です。
そのためウレタン防水工事は工務店などではなく、防水工事専門業者に依頼するとよいでしょう。また、依頼を行う際は豊富な施工実績があるかどうかを確認しましょう。
過去に「屋根でのウレタン防水工事の施工実績が豊富」「通気緩衝工法での施工実績が豊富」などです。
口コミや評判などもあわせて確認し、豊富な実績をもつ防水工事専門業者を探してみてください。
国家資格を保有しているスタッフが在籍しているか
業者に国家資格を保有しているスタッフが在籍しているかも良い業者を見分けるポイントです。具体的には、以下の国家資格を保有しているスタッフが在籍しているかを確認してみましょう。
防水施工技能士(ウレタン防水)
建築士
国家資格を保有していることで、より精度の高い施工を行ってもらえる確率は高まります。
また、専門的な視点からアドバイスをもらえることもあるため、HP等で所持しているスタッフがいないかを確認したり、実際に業者へ問い合わせたりするとよいでしょう。
施工内容を写真などで丁寧に説明してくれるか
防水工事中の進捗を写真や図などで丁寧に説明してくれるかも大切なポイントです。依頼者にわかりやすく説明を行ってくれる業者は信頼性が高いと考えて問題ありません。実際に依頼をする前に、業者に以下のようなことが可能かを確認し、問題がなければ前向きに依頼を検討をしてよいでしょう。
使用する材料や工事の工程についてきちんと説明をしてもらえるか
保証の内容や点検の内容について事前に説明をしてもらえるか
まとめ
ウレタン防水工事の価格は工法によって変わりますが、通気緩衝工法で約5,500円〜6,500円/㎡、密着工法で約4,000円〜5,500円/㎡、メッシュ工法で約4,500円〜6,000円/㎡が目安になります。
施工する場所や下地の状況などによっても価格は変わるため、きちんと業者をコミュニケーションをとることが大切です。
業者を選定する際は、複数の業者から見積もりを取得し、内容に問題がないかを必ず確認してください。また、ウレタン防水工事は専門性が高い工事になるため、防水工事専門業者を前提に選定していくことがおすすめです。
ぜひ、本記事を参考にウレタン防水工事を進めてみてください。