外壁の凍害はなぜ起こる?補修やメンテナンス費用、火災保険は下りるか

  • 【更新日】2022-02-28
外壁の凍害はなぜ起こる?補修やメンテナンス費用、火災保険は下りるか

北海道や東北地方など、寒冷地で起こりやすい外壁凍害は建物に大きな影響を与えます。また外壁凍害で補修のためにかかる費用は決して安くはありません。

本記事では外壁凍害についての原因や補修、メンテナンスにかかる費用、そして火災保険の適用に有無について解説します。

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外壁凍害とは?種類やメカニズムについて

外壁凍害についてどのような原因があり、建物に影響を及ぼすのかを把握しておきましょう。以下からは「外壁凍害が起こるメカニズム」「凍害被害の多い地域」「凍害の種類」「凍害の発生しやすい箇所」について解説します。

外壁凍害が起こるメカニズム

凍害とは、外壁材が吸収した水分が凍結と融解を繰り返すことによって外壁自体が劣化していく現象のことです。寒冷地ではよく起きる外壁凍害ですが、寒冷地以外では外壁凍害のリスクが全くないというわけではありません

どの地域においても外壁凍害への対策への意識は必要になります。以下では順を追って外壁凍害が起こるメカニズムについてまとめました。

  1. 外壁表面が経年劣化し、保護機能を失う
  2. 劣化により隙間から外壁内部に水分が侵入する
  3. 侵入した水分が気温の低下により凍結・融解を繰り返す
  4. 気温低下により凍結すると体積が膨張し、外壁面にひび割れが発生する
  5. ひび割れた外壁は状態が悪化しているので、さらに水分が侵入しやすくなりひび割れが広がる

凍害が起こるメカニズムからもわかるように、凍害の被害が新築の建物にあまり見られないのは、外壁表面の劣化が大きな要因になるからです。

また、外壁内部へ侵入する水分には雨水や湿気も含まれます。そのため、寒冷地に限らず凍害は広い地域で対策が必要になります。

凍害被害の多い地域

凍害は北海道や東北地方、寒冷地で発生することが多いです。凍害はコンクリートへの水分の侵入、そして温度が下がることで現れやすい現象となっており、温度の低い地域ではとくに凍害対策は重要になります。

しかし寒冷地に限らず、暖かい地域でも凍害の被害は出ています。凍害は真冬「氷点下2℃以下」になると発生しやすいと言われます。寒冷地ではない関東や関西でも、近年は真冬になると氷点下まで気温は下がることがあります。寒冷地ではないからといって、凍害対策が起こらないわけではないということをあらかじめ認識しておきましょう。

凍害の種類

外壁凍害の代表的な症状はひび割れですが、凍害によりひび割れ以外の「スケーリング」や「ポップアウト現象」なども発生します。

一言に凍害と言っても、発生の原因や現れる症状は異なりますので、対策すべきポイントも踏まえて確認しておきましょう。

凍害の種類 症状 原因
ひび割れ コンクリート内に侵入した水分が凍結・膨張を繰り返しひび割れする現象 最低気温が氷点下2℃以下になると発生しやすい
スケーリング コンクリート表面のセメントペーストが剥離する現象 コンクリート表面が濡れている場合に起こりやすい
最低気温が氷点下2℃以下になると発生しやすい
ポップアウト現象 外壁表面のコンクリートが薄い皿状に剥がれ落ちる現象 コンクリート表面が濡れている場合に起こりやすい
最低気温が氷点下2℃以下になると発生しやすい

凍害の発生しやすい箇所

凍害がとくに発生しやすい箇所は屋根、サイディング外壁の目地、水廻りになります。凍害の発生しやすい箇所の現象や特徴は以下の通りです。

凍害の発生しやすい箇所 現象 特徴
屋根 瓦屋根の漆喰が割れる
瓦が欠ける
水分を多く含む材質部分
サイディング外壁の目地 目地の部分が剥がれる
外壁の表面が剥がれる
表面が崩れる
継ぎ目を埋めるためのシーリング材は、切れやひび割れなど劣化しやすい
水廻り・換気口 換気口付近の壁の剥がれ
水廻りの外壁の剥がれ
湿気が多く壁内部に結露が発生しやすい

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凍害による補修・メンテナンスの工程と費用

この先、凍害の被害により業者に修繕やメンテナンスをおこなうことがあるかもしれません。外壁凍害により劣化した箇所の補修・メンテナンスは決して安いものではありません。そのため「どのような修繕が必要になるのか」「費用の目安はどの程度なのか」をあらかじめ理解しておくことも大切です。

外壁凍害による塗装剥がれ

凍害についての修繕工程を例を挙げて見ていきましょう。

以下は凍害によって塗膜が剥がれ、サイディングボードの一部が欠損した被害を想定した上での補修工程となります。

手順 作業内容
①下処理 高圧洗浄機で埃やコケを除去する。高圧洗浄機で落ちない汚れは除藻剤を使用する
②ケレン 塗装の塗り替えのためにケレン作業をおこなう
③欠損部パテ補修 サイディングボードの欠損している部分をパテで補修する
④劣化シーリング除去 サイディングボードのつぎ目の劣化したシーリング材を除去する
⑤シーリング打ち替え シーリングを新しいものへ交換
⑥下塗り 塗装と外壁の接着剤の役目になる下塗り材(シーラー等)を塗布する
⑦塗装 下塗りの乾燥後、色つきの塗料で2回塗りする
⑧完成 塗装が乾く前にマスキングテープを外して完成

凍害により外壁が剥がれると、修繕には多くの工程が必要になります。工程が増えることで必要になる工具や道具も増えるので、数百万ほどの費用がかかる場合もあります。

補修内容と費用

凍害はその影響の大きさによって補修やメンテナンスの費用は変わります。凍害で主に補修内容として挙げられるケースやそれぞれの目安の費用を以下にまとめていますのでご確認ください。

補修方法 補修内容 費用
外壁の張り替え
  • 今ある外壁を剥がし、新しい外壁を張り直す
  • 壁体内の下地や断熱材を確認できるメリットがある
  • 工期も費用がかかる
約200万円
外壁カバー工法
(重ね張り)
  • 今ある外壁の上から新しい外壁を重ね張りをおこなう
  • 廃棄や解体がないので工期・費用が抑えられる
  • 下地が傷んでいる場合などは施工不可
約150万円
外壁の部分張替え+塗装
  • 被害のひどい部分のみを先に補修、張り替えした上で、全体を新たに塗装しなおす
  • 痛みが激しい場合は施工不可の場合もある
約100万円
外壁の部分補修
  • 傷んでいる箇所のみを修理・手直しする
  • 補修費用を抑えることができる
約5万円

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外壁凍害の予防対策

上述した通り、凍害により、ひび割れた箇所の補修には膨大な費用がかかります。凍害の原因は気温によるものが大きく、日々取り入れて改善できるような対策はありませんが、凍害への意識を持つことで建物の凍害による被害は抑えることができます。

専門家によるメンテナンス

凍害かと不審に思った場合は早めに外壁業者などの専門家に相談しましょう

初期のひび割れであれば修繕に大きな費用をかける必要もなくなります

凍害の被害を受けていなくても定期的な外壁のメンテナンスは建物の維持につながりますので、窯業系サイディングを使用している場合は新築から約7~8年、それ以外の場合は約10年でメンテナンスしてもらうことをおすすめします。

外壁塗装

上述した通り、外壁は10年を目安に、塗り替えを行わなければいけません

これは外壁に使用している塗料の効果などが年々失われていくためです。現状、大きな被害がなくとも、外壁の劣化により凍害が起こりやすくなります。

外壁塗装を実施するだけでも、防水はもちろん、建物全体の耐久性を高めてくれます。メンテナンス時期には外壁塗装の必要性も相談してみてください。

外壁通気工法

凍害対策として外壁通気工法もおすすめです。 外壁通気工法をおこなうことで、建物の躯体と外壁材の間に空気の層を作り、壁を水分や湿度が溜まることを防いでくれます。

リフォームを実施する際にも、施工内容に加えてもらえるため、長い目でみると凍害の被害を防止してくれます。

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外壁凍害補修にかかる費用は火災保険に適応される?

外壁凍害の被害は広い地域で起こります。火災保険が適応できるのであれば火災保険の選び方も重視する必要があります。以下では万が一の事態もカバーしてくれる火災保険について解説します。

火災保険の補償内容

火災保険は基本的に火災だけでなく、落雷や風災、水災などの自然災害にまで対応しています。補償内容によっては外壁凍害の修繕にも保険が適応されます

もちろんすべての火災保険が適応しているわけではなく、火災保険の補償内容によって補償範囲は変わってきます

まずは現在加入中の火災保険の補償内容を確認しましょう。

火災保険の種類

火災保険にも様々な種類がありますが、火災保険のなかでも一般的な住宅に適用される住宅保険と住宅総合保険はどちらも掛け金や補償金が異なります。

補償範囲 住宅火災保険 住宅総合保険
火災
落雷
爆発・破裂
風災・ひょう災・雪災
洪水・床上浸水 ×
水漏れ ×
物体落下・飛来・衝突 ×

補償内容を充実させるのであれば住宅総合保険がおすすめです。保険料を抑えたい場合は住宅火災保険に加入しておくといいでしょう。

火災保険申請手順

火災保険は日常的に利用するものではないため、申請の手順が複雑に感じる方も多いかもしれません。しかし火災保険の申請は複雑ではなく、以下のように、比較的短い期間で行うことができます。

  1. 火災保険の種類を確認(被害の補償対象内容かチェックする)
  2. 外壁塗装の業者に連絡(損害状況の調査、見積もりを依頼する)
  3. 必要書類作成(保険会社に保険金の請求書・事故の報告書・修理した箇所の工事見積書をもらう)
  4. 保険会社に必要書類を提出する(保険会社の精査と調査)
  5. 保険金が支払われる

凍害だけでなく、日本は塩害被害も多い国です。過失でなくても建物への影響は受けるため、火災保険の補償内容も重視しておくといいでしょう。

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外壁凍害による補修には費用がかかる!定期的なメンテナンスで防ごう

外壁凍害による被害は建物に大きな影響を与えます。また、そのために必要な補修には数百万円単位での費用がかかります。

現在お住まいの家で外壁凍害は起きないのか、外壁について改めてチェックしておくことが必要です。なお、業者選びの際はリフォームや修繕に丁寧な作業を行う業者を選ぶようにしましょう。

ヌリカエは制約実数約23.000件(2021.12現在)お客さま一人ひとりに納得のいく優良業者を紹介します。外壁トラブルにお困りの方はぜひ一度ご相談をお寄せください。

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