本記事は、塗装後の外壁等に小さな穴あきを見つけた方に向けて
- ピンホールには悪い影響があるか?
- ピンホールの原因と対策
- ピンホールが出た外壁はやり直しできるか?
などを解説します。
先に結論から言ってしまうと、ピンホールの発生は塗装作業に施工不良があった証拠です。
施工保証があれば使用して、早めに再塗装をしましょう。
以下で判断の流れや業者への伝え方などを、くわしく解説していきます。
- 悪影響の有無は、穴の大きさや発生している数による
- ピンホールの原因は「清掃不足」か「塗料や環境の管理不足」か「技術不足」
- ピンホールがあった場合施工保証で塗装のやり直しを要求
ピンホールとは?

ピンホールとは、針(pin)の先ほどの小さな穴(hole)という意味のことばです。
塗装直後の外壁にも、上の写真のようにピンホールができることがあり、これは多かれ少なかれ施工に不備があったことのサインです。
よくあるピンホールの原因ランキング
ピンホールとは、塗装面などに針で刺したような小さな穴が発生する劣化症状です。このような微細な穴は、見た目を損なうだけでなく外壁の機能低下や劣化などを引き起こす可能性があります。
しかし、ピンホールの発生には様々な原因があるため、その特定は難しいです。
そこで本章では、外壁塗装におけるピンホールについて、よくある原因をランキング形式で詳しく解説します。
まずは以下のランキング表をご覧ください。
順位 | 原因 | 理由 |
---|---|---|
1位 | 乾燥不足で重ね塗りをした | 乾燥不足のまま重ね塗りすることによる密着性悪化や空気混入 |
2位 | 塗料を薄めすぎた | 多量の希釈による塗料の粘度不足や気泡発生 |
3位 | 塗膜が厚すぎた | 塗料の乾燥不足による密着不良 |
4位 | 道具の選択や塗装の腕が悪かった | 不適切な道具や技術不足による塗装面の気泡 |
5位 | 塗装面に汚れが残っていた | 下地の油分やゴミによる塗料の密着性の妨げ |
6位 | 乾燥中の気温が低すぎる | 気温の低下による乾燥の遅れがひきおこす空気が入り込み |
7位 | 塗装前から穴があった | 下地の穴からの空気抜けによるピンホールの発生 |
8位 | 塗装前後の地震・大雨 | 乾燥中の地震の揺れや大雨に塗膜への影響 |
各原因について詳しく解説します。
1位:乾燥不足で重ね塗りをした
乾燥不足のままの重ね塗りは、特に多くみられるピンホールの原因です。特に、工期が迫っている現場で起こりがちいえるでしょう。
下塗りや中塗りの塗料がまだ完全に乾燥していない状態で次の塗料を重ねると、逃げ場を失った溶剤が新しい塗膜を押し上げてブツブツとなり、最終的に小さな穴(ピンホール)をあけてしまいます。
2位:塗料を薄めすぎた
塗料は製品ごとに適切な希釈率(薄める割合)が定められていますが、夏場の暑い時期などで塗料の伸びを良くしようとして、規定以上に薄めてしまうケースがよくあります。
塗料を薄めすぎると、塗料自体の性能が落ち本来の膜厚を形成できなくなります。結果として、塗膜が痩せて下地の影響を受けやすくなるなどしてピンホールが発生してしまうのです。
これは職人の経験や知識に依存する部分が大きく、非常に起こりやすい人為的ミスとなります。
3位:塗膜が厚すぎた
早くきれいに仕上げようとするあまり、一度にベッタリと塗料を厚塗りしてしまうのも、典型的な原因の一つです。塗膜が厚すぎると、塗料の表面だけが先に乾燥してしまい中の溶剤が閉じ込められてしまいます。これも1位の「乾燥不足による重ね塗り」のケースと同様、閉じ込められた溶剤が乾燥した表面を破って出ていく際にピンホールを発生させます。
特に、サイディングやモルタルなど、凹凸のある外壁材でよく見られる原因です。
4位:道具の選択や塗装の腕が悪かった
これは上記1~3位の原因を引き起こす根本的な要因とも言えます。
例えば、毛足の長すぎるローラーを使うと空気を巻き込みやすくなる、スプレーガンの設定が不適切だと塗料がダマになるといったように、塗料を均一に塗れなくなることが原因です。
根本的な塗装技術が未熟な場合に起こりやすくなります。
5位:塗装面に汚れが残っていた
塗装の基本は「丁寧な下地処理」です。高圧洗浄で落としきれなかった油分やホコリ、旧塗膜のなどが残っていると、塗料がしっかりと密着せず、その部分がピンホールの起点になることがあります。
プロであれば下地処理の重要性は理解していますが、見えにくい場所や洗浄しにくい箇所ではピンホールが発生する可能性があるでしょう。
6位:乾燥中の気温が低すぎる
ほとんどの塗料メーカーは、塗装時の気温を「5℃以上」と定めています。気温が低すぎると、塗料の化学反応が正常に進まず乾燥が極端に遅くなるからです。
その結果、塗膜が形成される過程で気泡が残りやすくなります。プロは天気予報を確認し、低温時の施工は避けるのが基本ですが、秋口や春先の急な冷え込みなど、予測が難しい状況で作業した場合に原因となることがあります。
7位:塗装前から穴があった
これは塗装対象である外壁材自体に、もともと細かい穴や巣穴があったケースです。
通常、下塗り材(シーラーやフィラー)でこれらの穴を埋めてから塗装しますが、下地調整が不十分だと、その穴に残っていた空気が塗装後に膨張し、塗膜を押し上げてピンホールになることがあります。
下地処理を正しく行えば防げる問題であり、頻度としては高くありません。8位:塗装前後の地震・大雨
これは完全に外的要因であり、予測もコントロールもできません。
塗装直後の塗膜が硬化していない状態で、大雨が降ればクレーターのような跡ができてしまいます。また、大きな地震の振動が影響しないとは言い切れません。
しかし、他の原因に比べて発生頻度は圧倒的に低いため直接的なピンホールの原因となることは珍しいでしょう。
ピンホールに悪影響はある?
ピンホールの数が1つや2つで、大きさもじっくり見ないと分からない程度であれば問題はありません。
ですが、穴の大きさが数mm以上あったり、数十個以上できている場合は建物に悪影響が出ます。

悪影響とは、塗膜が剥がれやすくなることです。
ピンホールをとおして雨水が塗膜の裏に入った場合、水分が寒い時期に凍って膨張し、そこから塗膜が剥がれる場合があります。
せっかくお金をかけて塗装をしたのに、本来の寿命よりも早く次のメンテナンスが必要になってしまうのです。
また、仮に問題がない程度のピンホールでも、外壁の見た目が悪くなることがあります。
ピンホールを発見したらどうすればいい?
悪影響が出そうなピンホールが見つかった場合には、施工保証がついていれば無償でやり直しを要求できます。
施工不良かどうかの判断は?
施工不良が原因のピンホールは、塗装終了後1週間~10日以内を目安に発生します。
この時点で明らかに目立つピンホールがある場合は、施工不良が濃厚といえるでしょう。
保証によるやり直しを希望する場合の伝え方
相手に非があったことを伝えるのは、なかなか難しいものです。
以下のように、丁寧かつ毅然と要望を伝えてみるとよいでしょう。
施工保証の有無を確認
保証がついていない業者に依頼した場合は、そもそもやり直しを要望する権利がありません。
業者と交わした見積書や契約書に「塗膜保証」が明記されているか、あらかじめ確認しましょう。
もちろん、保証年数を過ぎていないかも重要です。
意見や立場をやんわり伝える
施工保証を適用してほしい理由として、下記の意見・スタンスを、落ち着いた態度で伝えましょう。
業者がやり直しに応じてくれる可能性は高まるはずです。
- 塗装して日が浅く、外的要因は考えにくいこと
- ピンホールは塗装の寿命を縮めると教えてもらい心配なこと
- 塗装後すぐに見た目が悪くなり、残念な気持ちであること
- 注意をしてもできる場合はある。そちらを責めたいのではないこと
相手を責めない
業者にも、おそらく悪意はないはずです。
強気な姿勢で交渉するのはやめたほうがよいでしょう。
やり直しはどのような作業か?
ピンホールの修復の場合、建物全体をやり直すことは考えにくく、問題のある部分のみのレタッチ(修正)での対応となるでしょう。
レタッチでも、裏に水が回ってしまうことは防げますし、見た目も美しく回復するでしょう。


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まとめ:最初から優良業者に依頼するのが最善
ここまででご説明したように、ピンホールの原因は「塗料や環境管理のミス」「清掃不足」「技術不足」など、塗装作業者の不備によるものです。
そのためピンホールの防止方法は、知識や誠意のない業者を避け、しっかりとした業者に塗装を依頼することに尽きます。
優良塗装業者に出会える確率を上げるには、以下のような方法が有効です。
- 知人から紹介してもらう
- 地元で長く営業している業者から選ぶ
- 相見積もりをとり、担当者を比べる
塗装にあたって地元業者や相見積もり業者に心あたりがない方のために、当社では業者探しや費用の無料相談窓口 を用意していますので、よろしければこの機会にご利用ください。
最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。
塗装のピンホールとは何?
建物の塗装の表面に空いた、直径1~3mm程度の小さな穴のことです。詳しく知りたい方はピンホールとは?をご覧ください。
塗装にピンホールが起こるとなにがマズいの?
見た目が悪くなる、塗膜剥がれの原因にもなる、などのデメリットがあります。しかし、ピンホールが全体に数箇所あるだけならば、心配はありません。詳しくはピンホールができる8つの原因をご覧ください。
もし、外壁にピンホールを発見してしまったらどうすればいい?
塗装業者に手直し、ないしやり直しをしてもらいましょう。施工不良があった場合、ピンホールの発生は作業後1週間~10日以内が多いです。詳しくはピンホールを発見したらどうすればいい?をご覧ください。
塗装にピンホールができるのを防ぐには?
塗装前の洗浄、下地処理(平滑化)、各工程での十分な乾燥などが重要ですが、何よりもきちんと施工する業者を選ぶことに尽きます。詳しくはピンホールを防ぐ方法は?をご覧下さい。
塗装工事のトラブルを避けるためには、良い業者との出会いが不可欠です。
ひとりで悩む前に、複数の業者から話を聞いて、信頼できる業者を探すことが外壁・屋根の塗装工事を成功させる一番の秘訣です。