塗装係数を抑えれば屋根塗装面積がわかる!屋根形状別の塗装係数一覧と塗装面積の計算方法を解説

  • 【更新日】2025-07-17
塗装係数を抑えれば屋根塗装面積がわかる!屋根形状別の塗装係数一覧と塗装面積の計算方法を解説

屋根塗装を検討した際、業者からの見積もりが正しいかどうかを判断するために「塗装係数」を知っておくと非常に便利です。

たとえば複数の業者から見積もりを取った際、A社の塗装面積とB社の塗装面積が異なり、費用にも差が出てくることがあります。その場合、どちらの塗装面積が正しいのかを判断することで、手抜き工事やぼったくりなどを避けることが可能です。

本記事では屋根塗装を検討した際に知っておくと便利な「塗装係数」についての概要から、屋根材別の塗装係数一覧表、手元の見積書が正しいか判断するための見分け方までを解説していきます。

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そもそも塗装係数とは?

そもそも塗装係数とはについて

塗装係数とは、塗装面積を算出する際に屋根の形状や利用する素材の特性を考慮して用いられる係数のことです。

たとえば建物の図面を見ると、屋根や外壁は断面図で描かれています。

塗装係数についての断面図

しかし、実際の屋根には凹凸や曲線があるため、単純な平面計算をしてしまうと実際の塗装面積と乖離が発生してしまいます

  • Bの線を一直線にすると、Aの線よりも長くなるため、屋根投影平面積も広くなります

◆屋根投影平面積とは◆

建物を上から見たときの屋根の平面積

こうした乖離を調整するのが「塗装係数」です。塗装係数を活用することで、正確な塗装面積の算出や適切な見積もり金額を把握できます

また、塗装係数を考慮せずに塗装面積を算出してしまうと、塗装に必要な塗料の量が不足してしまったり、必要以上の塗装面積が算出され余分な工事費用を支払う可能性があります。

つまり屋根塗装を行う際、実際に塗装を行う面積は「屋根投影平面積×塗装係数」で算出できます。

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【屋根材別】塗装係数比較表

【屋根材別】塗装係数比較表について

屋根材別の塗装係数は異なります。以下の表は屋根材別の塗装係数を比較表としてまとめましたので、ご自宅の屋根に利用している屋根材の塗装係数はいくつになるのかを確認してみてください。

  • 考え方として、完全に平らな屋根の係数を「1.00」と考え、形状が複雑になっていくと係数も大きくなっていきます
屋根材 塗装係数
瓦屋根 和瓦 1.08
波型洋瓦 1.16
スレート コロニアル 1.2
大波(波型1号) 1.15
小波(波型2号) 1.2
金属屋根 折板 1.4~1.7 ※折板の形状による
瓦棒葺きトタン 1.2~1.25
波型トタン 1.4

和瓦の塗装係数

日本瓦と呼ばれる「和瓦」は、J形の緩やかな波型の形状をしているのが特徴です。

直線的ではなく緩やかな曲線となっているため、塗装係数は1.08となっています。

波型洋瓦の塗装係数

波型洋瓦はS字型の凹凸が特長の瓦で、その名の通り洋風建築に用いられる屋根材です。

和瓦と比較すると曲線部分が多く、塗装面積も広がるため、塗装係数は1.16となっています。

コロニアル

スレート屋根

コロニアルとは、ケイミュー株式会社が販売している屋根材のひとつである「スレート屋根の商品名」のことです。

セメントや繊維質を混ぜ和せて薄い板状になっているのが特徴になります。実際のコロニアルは平たんではなく、段差や凹凸があるため、平らな状態の面積よりも塗装面積が大きくなることで、塗装係数は1.2となっています。

大波(波型1号)

大波(波型1号)とは、波の高さが18mm、波の大きさが76.2mmの大きな波型が特長のトタン板のことです。

小波のトタンもあるため区別するために「大波(波型1号)」と呼ばれています。波型の形状となっているため、塗装係数は1.15となっています。

小波(波型2号)

小波(波型2号)について

小波(波型2号)とは、波の高さが9㎜、波の大きさが31.8mmと小さな波型が特長のトタン板のことです。

波が細かく多数あることが特徴で、強度も高いのが特徴です。小波(波型2号)の塗装係数は、大波(波型1号)よりも大きくなっており、1.2となっています。

折板

折板屋根について

折板とは、金属板を折り曲げて波型にした屋根材のことで、工場や倉庫などに広く用いられています。

折板の塗装係数は1.4~1.7と幅があります。なぜなら屋根の形状や山高によって異なる塗装係数を用いるからです。

  • 山高が高いほど、塗装係数も大きくなります。

瓦棒葺きトタン

瓦棒葺きトタンについて
画像出展:昭和ルーフリモ株式会社

瓦棒葺きトタンとは、金属屋根の一種で屋根の傾斜に沿って縦方向にトタン板を葺き、等間隔に配置した木製の芯木(瓦棒)で固定したものです。

縦歩行に並んだ瓦棒が凸状の突起に見えるのが特徴で、塗装係数は1.4となっています。

波型トタン

波型トタンは、亜鉛メッキ鋼板を主な材料とした金属製の屋根材・外壁材のことです。

波型とすることで薄い鉄板でも強度を高め、耐久性を高める特徴があります。細かい波の大きさとなっており、塗装係数は1.4となっています。

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塗装面積が正しい見積もりかどうかの見分け方

塗装面積が正しい見積もりかどうかの見分け方について

  • 手元にある見積書の内容が正しいものかどうかを本章の内容に沿って見極めてみてください。

屋根塗装を依頼する場合、複数の業者から見積もりを取得することがおすすめです。なぜなら複数の業者から見積もりを取得することで、内容の比較ができ、費用は問題ないか、きちんとした工程になっているのかの確認ができるからです。

そして複数の業者から見積もりを取得すると、塗装面積が異なる場合があります。その場合、どの業者に依頼するのが正しいのかを判断することが必要です。

塗装面積が問題ないかを確認するのに利用するのが「塗装係数」です。

本章では、以下の想定でどの業者に依頼するとよいのかを一緒に見ていきましょう。

塗装係数を確認して塗装面積が正しいのかを判断する例題

◆例題の条件◆

屋根面積:70㎡
屋根材:スレート屋根
塗装係数:1.2
塗装面積:84㎡
塗料:各社同じ塗料を選定

上記の条件に沿って、A社・B社・C社から見積もりを取得しました。すると、各社の塗装面積には、以下のような違いがありました。

◆各社の塗装面積◆ A社:塗装面積70㎡
B社:塗装面積84㎡
C社:塗装面積100㎡

各社を比較すると、A社の塗装面積が最も小さく、C社の塗装面積が最も大きいことがわかります。なお、塗装にかかる費用については、各社同じ塗料を選定しているため、A社<B社<C社の順で高くなります

それでは、どの塗装業者の塗装面積が正しく、適正な費用として提出された見積書でしょうか?

  • 結論から言えば「B社」の塗装面積が正しいことになり、A社とC社は間違っています。それぞれの見積内容について確認してみましょう。

A社の見積もりに記載の塗装面積は「70㎡」です。この面積は屋根面積であり、塗装面積とは異なっています

本来であれば、84㎡の塗装が必要にもかかわらず、70㎡分しか塗料を用意していないためです。追加注文の要請がなければ、A社は70㎡分の塗料で84㎡の塗装を行う必要があります。

その場合、適切な塗装が施されず、手抜き工事につながる恐れがあります。

  • A社の見積もりは屋根面積を基準としており、塗装係数である1.2をかけていないため、塗装面積が異なっていると判断できるでしょう。

C社の見積もりに記載の塗装面積は「100㎡」です。

屋根面積に塗装係数をかけた塗装面積よりも大きな面積となっています。そのためC社は、屋根面積を確認していなければ、塗装係数をかけてもいないため、担当者がざっくりと見積もりをしていると判断できるでしょう

塗装面積が大きければ支払う費用も増えてしまうため、余分な費用を支払うことになってしまいます。

  • 塗装係数を知っておくことで、こうしたぼったくりの業者を避けることにもつながります。

正解であるB社は塗装面積が「84㎡」です。

屋根面積70㎡×塗装係数1.2=塗装面積84㎡であるため、適切な見積もりだと判断ができます。なお、適切な見積もりを提示したB社は、事前に「正確な塗装面積を出すために建築図面を見せてください。」などのお願いがあったはずです。

こうしたお願いがきちんとあるかも、正しい見積もりが提示されているかの判断基準になります。

◆例題のポイント◆ 塗装係数を知っておくことで、適切な塗装面積がわかる
適切な塗装面積を知ることで、手抜き工事やぼったくりの見積もりを避けられる
事前に建築図面を提示をしお願いしてきているか

塗装業者によって塗装係数は変わる

塗装係数は塗装業者によって変わるケースがあります。

たとえば折板屋根の塗装係数は形状によって変わるため、業者によってどの塗装係数で計算するかが異なることがあります。

そのため業者に見積もりを依頼する際には、使用する塗装係数について確認しておくことが大切です。

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屋根塗装面積の計算方法

屋根塗装面積の計算方法について

屋根の塗装面積は建築図面があれば計算を行うことが可能です。なぜなら、住宅は精密な図面に基づいて作られているためです。

屋根塗装面積を具体的に計算する方法として、以下の2つが挙げられます。

◆屋根塗装面積の計算方法◆ 図面を使って計算する方法
実測して計算する方法

図面を使って計算する方法

図面を使って計算する際には、以下の計算式を利用します。

◆図面を使って計算する際の計算式◆ 屋根投影平面積×勾配伸び率

屋根塗装面積とは、建物を上から見たときの屋根の平面積のことで、勾配伸び率とは、勾配に対する伸び率を数値化したものになります。

上記の画像のAとBを比較すると、Bの屋根がより急勾配であることが判断できるでしょう。AとBの住宅の床面積と屋根塗装面積が同じ場合でも、この勾配伸び率が異なれば屋根の面積は異なります

  • たとえば雪国の住宅は雪が落ちるように急勾配で作られていることが多いです。

住宅の建築図面には「1.0/10」「6.5/10」などの勾配が記載されているため、図面を確認することで家の勾配伸び率を把握できます。

勾配 勾配伸び率
尺貫法勾配 分数勾配 水平長さに対して
5分 0.5 / 10 1.001
1寸 1.0 / 10 1.005
1寸5分 1.5 / 10 1.011
2寸 2.0 / 10 1.02
2寸5分 2.5 / 10 1.031
3寸 3.0 / 10 1.044
3寸5分 3.5 / 10 1.05
4寸 4.0 / 10 1.077
4寸5分 4.5 / 10 1.097
5寸 5.0 / 10 1.118
5寸5分 5.5 / 10 1.141
6寸 6.0 / 10 1.166
6寸5分 6.5 / 10 1.193
7寸 7.0 / 10 1.221
7寸5分 7.5 / 10 1.25
8寸 8.0 / 10 1.281
8寸5分 8.5 / 10 1.312
9寸 9.0 / 10 1.345
9寸5分 9.5 / 10 1.379
矩勾配 10.0 / 10 1.414
9寸返し 11.0 / 10 1.487
8寸返し 12.0 / 10 1.562

例として屋根投影平面積が70㎡、勾配が5寸、勾配伸び率が1.118だった場合の屋根面積は以下の通りです。

70㎡(屋根投影平面積)×1.118(勾配伸び率)=78.26㎡(屋根面積)

実測して計算する方法

実測とは文字通り、実際にメジャーなどを用いて屋根投影平面積を計測し、勾配伸び率をかけて計算する方法です。

デジタル購買計測器などを活用すれば、簡単に勾配を把握できます。

なお、1階の床面積がわかれば屋根面積をざっくりと知ることも可能です。具体的には以下の通りです。

◆1階の床面積から屋根面積がわかる計算式◆ 屋根の勾配が緩やかorふつうの場合:1階の床面積×1.1
屋根の勾配が急な場合:1階の床面積×1.2

自宅の屋根の勾配が緩やかなのか、急なのかは「周りの家よりも勾配がキツそうだな」といった程度で問題ありません。

なぜなら正確に把握するのではなく、概算としておおまかな屋根面積がわかればよいからです。

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まとめ

まとめについて

塗装係数を把握しておくことで、屋根塗装を行う際の見積書の内容が問題ないかを確認できます

塗装係数を軽視してしまうと、施工不良や水増し請求などのトラブルにつながってしまう恐れもあります。

必ず複数の業者に依頼し、適切な数値で計算された見積書となっているかを確認してみてください

また、建築図面がある場合は本記事を参考に、ご自身でも計算してみるとより安心した施工につながります。

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