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外壁工事には「塗装工事」「重ね張り工事」「張り替え工事」「補修工事」の4つの種類があります。
外壁は雨風や日光の影響を常に受けるため、塗装が剥がれてしてまったり、ひび割れなどの劣化症状が発生します。外壁工事はこうした劣化症状を修復する工事のことです。
しかし、どの外壁工事が自宅に適しているのか判断が付かない人は少なくありません。
本記事では外壁工事の種類を4つの観点から徹底比較を行い、自宅にあった外壁工事を選択できるようになっています。ぜひ、参考にしてみてください。


あなたのお家
外壁塗装するといくら?








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監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁工事ってどんな工事?
外壁工事とは、建物の外壁部分が風雨や日光によって劣化し、色褪せや剥がれなどの症状を補修するための工事のことです。
常に外部環境を受けている外壁は定期的なメンテナンスを行うことで、快適な住環境を保つことにつながります。そんな外壁工事は、以下の4つの種類にわけられます。
・重ね張り工事:古い外壁の上から、新たな外壁を張る工事
・張り替え工事:古い外壁を撤去し、上から新たな外壁を張る工事
・補修工事 :コーキング補修など、部分的な劣化を補修する工事
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外壁工事を行わず、劣化症状を放置してしまうと、雨漏りやカビの発生などにより大規模な修繕工事が必要なほど悪化が進行してしまうため、状況に合わせた工事を行い、定期的なメンテナンスが大切です。
外壁工事の費用相場を工法別に比較
外壁工事の費用相場は、工法によって変わってくるため、事前に相場を押さえておくことでぼったくりなどの悪質なトラブルを避けることにつながります。
各工法の費用相場は、以下の表の通りです。
塗装工事 | 重ね張り工事 | 張り替え工事 | 補修工事 | |
---|---|---|---|---|
費用相場 | 約80~120万円 | 約120~180万円 | 約150~200万円 | コーキング打ち替え:約500~1,000円/㎡ ひび割れ補修:約2,000円/㎡ 塗膜剥がれ補修:約2,000~5,000円/㎡ |
施工期間の目安 | 約1~2週間 | 約1~2週間 | 約2~3週間 | 約1日~1週間 |
工事依頼の目安 | 築10年程度 | 築20~25年 | 築30年程度 | 都度 |
塗装工事の費用相場
塗装工事は、既存の建物の屋根や外壁を塗り替える工事です。ただ単に塗料を塗るだけではなく、高圧洗浄や下地の補修など、様々な工程を含みます。築年数10年以上の場合は、そろそろ塗装工事の時期にきていると言えるでしょう。
塗装工事の費用相場は約80~120万円程で、施工期間は約1~2週間の見込みになります。
塗装工事は、ほかの外壁工事と比較すると費用は安く抑えられることがほとんどですが、塗料の種類によって費用は異なってくるため、事前に確認しておくことが大切です。
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外壁の劣化症状が軽く、費用を抑えたい場合は塗装工事を検討するとよいでしょう。
塗装工事については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
重ね張り工事の費用相場
重ね張り工事は、既存の古い外壁材の上から、新たな外壁材を張る工事です(重ね張りはカバー工法とも呼ばれます)。下地部分・基礎部分はそのままに、建物の見た目を新しくできるのが特徴です。
色褪せやひび割れが出てきたら重ね張りの時期がきていると言えるでしょう。
重ね張り工事の費用相場は約120~180万円程で、施工期間は約1~2週間のケースが多くなります。
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内部劣化がほとんどなく、費用を抑えた工事をしたい人におすすめになります。
張り替え工事
張り替え工事は、既存の外壁材を解体撤去し、その上から新たに外壁材を張る工事です。下地部分から外壁を入れ替えるため、費用・期間とも最もかかる工事方法になります。
ひび割れや、外壁材の剥がれが出てきたら、張り替えの時期がきていると言えるでしょう。
張り替え工事の費用相場は約150~200万円程で、施工期間は約2~3週間必要になる大規模な工事です。
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自宅内部の劣化症状を改善できるため、現在の住宅に長く住む予定のある人はおすすめです。
張り替え工事については、以下の記事もあわせて参考にしてください。
補修工事
補修工事は、部分的な劣化を補修する工事の総称のことです。コーキング/シーリングの打ち替え、ひび割れや塗膜の剥がれの補修などが代表例として挙げられます。
工事内容によって費用相場は変わってくるため、一概にいくらとは言えません。コーキングのひび割れ、痩せなどが出てきたら、検討するものになります。
以下が、補修工事の種類と費用相場の目安になります。
工事内容 | 費用目安 | |
---|---|---|
コーキング打ち替え | 既存のシーリング材を取り除き、新しいシーリング材を補充する工事 | 約500~1,000円/㎡ |
ひび割れ補修 | ひび割れの幅によって、下地調整材の刷り込みや充填工法を行う工事 | 約2,000円/㎡ |
塗膜剝がれ補修 | 既存の塗膜を剥がし、下地処理、下塗り、中・上塗りを行う工事 | 約2,000~5,000円/㎡ |
外壁工事の違いを比較
4つの外壁工事について、「耐用年数」「工期の目安」「時期」の3ポイントで比較します。各外壁工事の比較については、以下の表の通りです。
外壁工事の種類 | 耐用年数 | 工期の目安 | 時期 |
---|---|---|---|
塗装工事 | 約10~15年 | 約1~2週間 | 約10年 |
重ね張り工事 | 約20~25年 | 約1~2週間 | 約20年 |
張り替え工事 | 約20~25年 | 約2~3週間 | 約20年 |
補修工事 | 約5~10年 | 約1日~1週間 | 劣化症状が見られた場合、適宜 |
耐用年数で比較
工事を行った後の耐用年数で比較することも大切です。各工事後の耐用年数は、以下の表の通りです。
外壁工事の種類 | 耐用年数 |
---|---|
塗装工事 | 約10~15年 |
重ね張り工事 | 約20~25年 |
張り替え工事 | 約20~25年 |
補修工事 | 約5~10年 |
重ね張り工事や張り替え工事を行えば、耐用年数が長くなるため、安心して暮らす期間も長くなります。
また、耐用年数が長いことで新たな施工までの期間も空くため、長期的にみるとコストパフォーマンスにも優れていることが少なくありません。
なお、耐用年数は利用する外壁材によっても変わってきます。
主に利用されている外壁材を以下にまとめたので、外壁工事を行う際の参考にしてみてください。
モルタル | 窯業系サイディング | 金属サイディング | 樹脂系サイディング | 木質系サイディング | タイル | ALC | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
外壁 | ![]() |
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特徴 | 耐火性に優れる | 最も普及している | 軽量で断熱性に優れる | メンテナンスほぼ不要 | 木の温かみがある | メンテナンスほぼ不要 | 軽量で耐久性に優れる |
耐用年数 | 30年 | 25年 | 30年 | 30年 | 10年 | 40年 | 60年 |
メンテナンス頻度 | 5年~10年 | 7年~8年 | 10年~15年 | 10年~20年 | 7年~10年 | 10年~15年 | 10年~15年 |
張り替え単価(1㎡) | 1,500円~4,000円 | 3,500円~5,000円 | 4,000円~6,000円 | 7,000円~9,000円 | 6,000円~8,000円 | 7,000円~9,000円 | 7,000円~15,000円 |
工期の目安で比較
外壁工事は種類によって工期が変わってきます。それぞれの工期の目安は以下の表の通りです。
外壁工事の種類 | 工期の目安 |
---|---|
塗装工事 | 約1~2週間 |
重ね張り工事 | 約1~2週間 |
張り替え工事 | 約2~3週間 |
補修工事 | 約1日~1週間 |
張り替え工事は外壁材を取り除く作業が発生するため、今の外壁材をそのまま利用するほかの工法よりも工期は長くなってしまうためです。
また、外壁工事は自宅だけではなく、近隣の方への配慮も必要です。
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きちんとしたスケジュールを組むためにも工期の目安を把握しておきましょう。
時期で比較
検討する外壁工事の種類は行う時期によっても変わってきます。時期は自宅の築年数から考えるとよいでしょう。
各工事方法の検討時期は以下の表の通りです。
外壁工事の種類 | 検討時期(築年数) |
---|---|
塗装工事 | 約10年 |
重ね張り工事 | 約20年 |
張り替え工事 | 約20年 |
補修工事 | 劣化症状が見られた場合、適宜 |
築年数が10年を超えてくると、外壁の劣化症状が発生してくる可能性が高まります。軽度の場合は塗装工事を検討してみてください。
また、築年数が20年を超えてくると建物内部の劣化が進行していきます。
抜本的な工事が必要になる可能性が高いため、重ね張り工事や張り替え工事を検討してみてください。
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外壁の劣化症状別に必要な工事も変わってくるため、以下の表から確認してみてください。
必要工事 | 劣化症状 | 特徴 |
---|---|---|
張り替え | 壁材の剥がれ
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深刻度:★MAX
外壁が剥がれ落ちている状態。 既に内部腐食の可能性も高い。 緊急で張り替えが必要。 |
張り替え | ヒビ割れ・反り
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深刻度:★★★★★
外壁の防水性能はもはや皆無。 放置すると、湿気により建物内部の部材が腐食する。 緊急で補修が必要。 |
部分補修 | 物理的な破損
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深刻度:★★★★
部分的に外壁が破損している状態。 放置すると、浸水する可能性がある。 |
塗り替え | 塗膜の剥がれ
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深刻度:★★★★
塗膜の防水機能が低下した状態。 放置すると、ひび割れ(クラック)が起こる。 早急に塗り替えが必要。 |
塗り替え | チョーキング
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深刻度:★★★
塗料が乾燥し、白い粉状になる。 放置すると、塗膜の剥がれや膨れが発生する。 塗り替えに最適な時期。 |
塗り替え | 退色・色あせ
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深刻度:★★
特に紫外線量の多い部分で発生する。 放置すると、防水性能が低下し歪みが生じる。 塗り替えに最適な時期。 |
高圧洗浄 | 藻・カビ
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深刻度:★
塗膜の防水機能の低下により発生する。 特に日当たりの悪い箇所に生じ、放置すると広がる。 高圧洗浄などが必要。 |
外壁工事が必要な3つ理由
外壁工事は、以下の3つの理由から必ず行うべきものとされています。
工事の目的を把握しておくことで、前向きに工事の検討を行えます。
防水性能を向上させるため
断熱・遮熱性能を維持させるため
理由①:美観を保つため
外壁のデザインは想像以上にお家全体の印象を大きく変えます。
およそ築年数10年以上経過すると、外壁に色あせやコケが発生し始め、お家の見た目が一気に古めかしくなってしまいます。そのため、実は一番大切なのは「事後対策」ではなく「事前予防」としての外壁工事なのです。
理由②:防水性能を向上させるため
お家を雨風や日光などの外部刺激から守るために外壁を防水加工する必要があります。防水加工をせずに放置させておくと、外壁のコーキングやひび割れから水分が入り込み、外壁内部の腐食が進行してしまいます。
防水性能は、例えば全てが外壁塗装で解決するわけではなく、コーキング部分の補修や、外壁の部分張り替えなど、お家に合った最適な方法で補修する必要があるため、まずは、お家の状態を正しく把握することが大切です。
理由③:断熱・遮熱性能を維持させるため
外壁の内部には断熱材が必ず設置されています。断熱材は熱を吸収し、室内に熱を伝わるのを遅らせる役割をもちます。
断熱材が機能することで、冷暖房率を向上させたり、光熱費の節約につながったりするため、非常に重要な素材です。
外壁工事において、断熱効果のある外壁材や塗料を利用することで、お家の断熱や遮熱性能を維持させることにつながります。
【状況別比較】自宅に適した外壁工事の選び方
自宅の状況はどの外壁工事が適しているかは、以下の「状況別比較表」を参考にしてみてください。
築年数と外壁の状況別に、最も適切と考えられる外壁工事を示しています。
<築年数・劣化症状別比較表>
築年数 | 外壁の劣化症状 | 推奨される外壁工事 | 理由 |
---|---|---|---|
築10年 | 塗料の艶がない 軽い色褪せ 幅0.3mm以下のひび割れ 等 |
補修工事 | 下地までの劣化は進んでおらず、 補修工事によって防水性や美観の回復が可能 |
幅0.3mm以上のひび割れ チョーキング現象 等 |
補修工事+塗装工事 | 下地の劣化の補修と塗装によって、 機能性を回復させる |
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築15年 | サイディングにすき間 幅0.3mm以上のひび割れ チョーキング現象 等 |
塗装工事 | 耐用年数が長い塗料を使用し、 次の工事サイクルまでを延ばす |
サイディングの反り・浮き クラックの発生 |
重ね張り工事 | 下地部分を確認したうえで劣化が軽ければ、 既存の外壁を覆うことで機能を回復させる |
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築20年以上 | 外壁材の剥がれ・腐食 雨漏り 等 |
張り替え工事 | 下地の損傷が激しく、 抜本的な外壁材の交換が必要 |
築年数10年を目途に外壁塗装の検討をはじめるのがおすすめです。
築年数が浅い段階では、劣化症状も軽微であることも多いため、早めにメンテナンスすることで費用を抑えて工事を行えます。
一方で15年、20年と経過すると外壁や内部の損傷が進行していきます。部分的な補修では対応できないことが少なくないため、張り替え工事などの大規模なリフォームが必要です。
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上記の表はあくまでも目安になるため、最終的な判断は業者と相談してから、決定するのがおすすめです。
外壁工事を失敗しない業者の選び方は?
業者選びは、外壁工事の一番大事なポイントと言っても過言ではありません。
- 「でも、外壁工事なんて初めてだし、よくわからないから、なんとなく大手ハウスメーカーが良さそう...」
- 「飛び込みの訪問営業の人が今ならキャンペーンで安くなると言っていたから、そこで決めてしまおう。」
もしかして、こんな風に思っていませんか?
実は、外壁工事を大手ハウスメーカーや飛び込み営業の訪問販売会社に依頼すると、最終的な仕上がりは同じでも、100~200万円も費用が高くなってしまった、という恐ろしいこともあるのです。一概に「大手=良い」とは限らない点、訪問販売の言うことを鵜呑みにしてはいけない点に注意しましょう。このような事態に陥り、後悔するようなことのないよう、この章では大事なポイントを3つに絞ってご紹介します。
ポイント①:業者探しは、必ず複数一括見積もりサービスを使う
複数一括見積もりサービス とは、インターネット上で地域の外壁塗装業者から一度に複数の見積もりを無料で取得できるサービスのことです。なぜ複数一括見積もりサービスをオススメするのかというと、
- ● 加盟基準が設けられており、悪徳業者が少ない。
- ● 無料で現地調査を受けられ、自宅の状態がわかる。
- ● 最大4社で比較検討でき、費用相場がわかる。
このようなメリットがあるからです。
一括見積もりサービスは、自分の身を自分で守るための最大の武器なのです。
ポイント②:業者ごとの違いを知る
外壁工事の業者は、大きく次の3種類に分類されます。

「どの業者が良いか?」は「あなた自身がどの点にこだわりたいか?」で異なります。
例えば、ハウスメーカーは保証期間が長いため「安心感」を求める方におすすめですが、下請け会社に支払う中間手数料(中間マージン)が工事金額の20~30%ほど含まれており、直接地元の業者に依頼する場合と比べて50万円以上高くなる、というデメリットもあります。
逆に、費用を安く抑えたい方や、外壁に何らかのトラブルがあったときにすぐに見てほしいという方は、地域密着型の塗装業者に依頼するのがおすすめです。
ポイント②:これだけは絶対に避けて!
外壁工事の業界は、残念ながら未だに悪徳業者が残る業界です。
ここまで読んでいただいたあなたには、絶対に悪徳業者に騙され、外壁工事を失敗してほしくありません。
そこで、これだけ押さえれば悪徳業者に遭う可能性をぐっと減らせる3つのポイントを最後にご紹介します。
・不安を煽って来る業者は避ける!
・見積もり書が曖昧な業者は避ける!
業者を選ぶ際は、最低限この3つに気をつけましょう。
特に、「キャンペーン」や「モニター価格」という言葉を使ってくる業者や、「1週間以内に決めてください」とせかしてくる業者、見積もり書の項目が「工事一式」となっている業者などは、悪徳業者の可能性が極めて高いため、くれぐれも注意してください。
塗装業者の選び方についてもっと知りたい人はこちらをご覧ください。


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最後に:外壁工事が初めての方へ
外壁工事を初めて行う場合、知らないことばかりで不安が多いのではないでしょうか?
今回ご紹介した外壁工事、いずれも決して安い工事ではないため、まず慎重に情報収集していくことが一番大事です。筆者である私自身、これまで数千のお客様と話をしてきましたが、「こんなはずじゃなかった…」と後悔されるお客様が実際少なくありません。とはいえ、先延ばしにしていつまでも外壁工事をしないと、劣化が進行してしまい、かえって大きなお金を支払うことになるという難しさ。
「一人で決めるのは、本当に難しい」そう強く感じます。そんな時は私たち「ヌリカエ」をぜひ頼ってください。
ささやかではありますが、全国の業者の中から厳選した2000社のうち、お近くの優良業者を最大4社無料でご紹介差し上げる、というサポートができます。もちろん、ご紹介後のしつこい営業電話はなく、ご希望があれば知識豊富な専門アドバイザーが無料相談に乗ります。
初めての外壁工事をともに伴走させていただけたら、これ以上の喜びはありません。本記事が、外壁工事をご検討中の方々のお役に立てば幸いです。
初めて外壁塗装をお考えの方、外壁塗装に絶対に失敗したくない方は、こちらの記事も合わせて御覧ください。