さび取りなどの除去作業で必要になるケレン工具は、様々な商品が販売されています。そのため、ケレン工具が欲しいけど自分にとってベストな商品は何かと迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ケレン工具における3つのタイプごとに、それぞれおすすめの商品をランキング形式でご紹介しています。ケレン作業に必要になる道具についても網羅的にご紹介していますので、作業に必要な道具をそろえる際の参考になれば幸いです。
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ケレン工具における「電動」「エアー」「スクレイパー」の各タイプごとで人気な商品を、ランキング形式で比較しています。特徴や気になる価格もまとめていますので、商品選びの参考になれば幸いです。
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監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
電動のケレン工具人気ランキング
さび取りの道具であるケレンは、電動のものもあります。電動ケレンは手の力がそれほど必要ないため作業しやすく、効率よく錆びを落とせることから人気が高いです。
電動ケレンは各メーカーから様々な商品が出ていますが、それぞれ特徴や価格、重さなどが全く異なります。そのため、選ぶとなってもどれが良いか迷ってしまうのではないでしょうか。
そこで本章では、電動のケレン工具において特に人気のある3商品をランキングでご紹介します。
なお、ランキングは大手ECサイトにおける売れ筋商品のデータをもとに作成したものです。
順位 | 商品 | メーカー | 特徴 | 参考価格 | 重さ |
---|---|---|---|---|---|
1位 | ![]() 充電式ケレン |
マキタ |
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64,200円~(バッテリ別売) | 3.4kg |
2位 | ![]() 電動ケレン |
マキタ |
|
63,000円~ | 3.3kg |
3位 | ![]() チーゼルワイス |
LINAX |
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65,978円~ | 2.2kg |
データ出典:2025年5月時点における各メーカーのホームページ・ECサイトより
ご紹介した電動ケレン工具について、それぞれ詳しく解説します。
1位:マキタ「充電式ケレン」
充電式ケレンは、コードレスながらAC機と同等の高出力を実現したモデルです。充電式はマキタが初めて業界内で開発・販売したものになります。
ブラシレスモータと防振二重構造により、パワフルで低振動な作業が可能です。変速ダイヤルやトリガロック機能で打撃力を自在に調整でき、使い勝手にも優れています。12段階のチゼル角度調整、LEDライト、ワンタッチチャックなど機能も充実しています。
18Vバッテリはマキタが販売する350機種以上の商品と互換性があり、汎用性も高いです。
2位:マキタ「電動ケレン」
タイルやモルタルの剥がし作業に最適な電動ケレンです。防振グリップにより従来機と比べて約25%振動を低減し、長時間の作業でも手や腕への負担を軽くしてくれます。
打撃力はダイヤルとトリガの組み合わせで細かく調整でき、用途に応じた作業が可能です。ビットはワンタッチで簡単に交換でき、チゼル角度も12段階で調整できます。シンプルながら使いやすさに優れた一台です。
3位:LINAX「チーゼルワイス」
塗装膜や床材を高速かつ強力に剥がすことができる、プロ向けの電動剥離機です。
毎分12,000回の超振動と1〜1.5mmの微少なストロークにより、素材を傷つけず美しく仕上げることができます。軽量かつ人間工学に基づいた設計で、天井面や垂直面でも扱いやすいのが特長です。刃を押し当てないと作動しない安全機構を備え、粉じんの飛散も少なく清潔です。メンテナンスも簡単で、必要工具も付属しています。
エアーのケレン工具人気ランキング
ケレン工具では、空気圧の力を使いさびを除去するエアーケレンもあります。電動ケレン工具よりも小型軽量で、動作中の熱を発生させないため長時間作業に最適です。
そのため、プロ仕様のものが多く広範囲のサビ取りや強力な汚れの除去で使われることが多くあります。
そこで本章では、エアーケレン工具において特に人気のある3商品をランキングでご紹介します。
なお、ランキングは大手ECサイトにおける売れ筋商品のデータをもとに作成したものです。
順位 | 商品 | メーカー | 特徴 | 参考価格 | 重さ |
---|---|---|---|---|---|
1位 | ![]() スーパーケレン |
日東工器 |
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87,978円~ | 4.7kg~ |
2位 | ![]() ニューケレン |
日本ニューマチック工業 |
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71,478円~ | 3.4kg~ |
3位 | ![]() ケレンハンマ |
東空販売 |
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72,578円~ | 3.5kg~ |
データ出典:2025年5月時点における各メーカーのホームページ・ECサイトより
ご紹介したエアーケレン工具について、それぞれ詳しく解説します。
1位:日東工器「スーパーケレン」
スーパーケレンは、頑固なサビやコンクリートのはくり作業に威力を発揮するエアーケレンです。
毎分2,500回の高速打撃に加え、空打ちを防ぐ安全機構を搭載しており、工具の故障リスクや無駄なエア消費を抑えます。バーの長さが3種類から選べるため、作業姿勢や対象物に応じた柔軟な使い分けが可能です。2位:日本ニューマチック工業「ニューケレン」
ニューケレンは、建設機械や船舶、床面のハツリ作業など、幅広い用途に対応する高性能なエアーケレンです。
全5機種から選べ、ピストン径やストロークの設計により高い耐久性と効率性を実現しています。標準でフラットチゼルやホースニップルなどの付属品がついており、導入後すぐに使用できる点も魅力です。
3位:東空販売「ケレンハンマ」
ケレンハンマは、コンクリートやサビ、タイル、アスファルトなど多様な固着物の除去作業に対応したロングリーチスケーラーです。
耐久性に優れたスロットル設計で、長時間作業でも安定したパフォーマンスを維持します。建設や自動車整備、船舶清掃など、あらゆる現場で活躍する頼れる一台です。
スクレーパーのケレン工具人気ランキング
スクレイパータイプは最も一般的なケレン工具です。さび取りのほか、シールや接着剤などあらゆる密着物を剥がすために使われます。さび取りといえばこのタイプを思い浮かべる方も多いでしょう。
日常のちょっとした剥がし作業ではスクレイパータイプで十分であることが多いです。しかし、作りがしっかりしていない商品だと、作業中に刃が外れるなど思わぬケガや事故につながる恐れがあります。
そのため、使用頻度が少ないとしても頑丈で信頼できる商品を購入した方が良いでしょう。
そこで本章では、スクレイパータイプのケレン工具において特に人気のある3商品をランキングでご紹介します。ご紹介する工具のメーカーは、どれも建材を開発・販売しているため信頼性は高いです。
なお、ランキングは大手ECサイトにおける売れ筋商品のデータをもとに作成しています。
順位 | 商品 | メーカー | 特徴 | 参考価格 | 重さ |
---|---|---|---|---|---|
1位 | ![]() スクレイパーL |
神沢鉄工 |
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1,758円~ | 160g |
2位 | ![]() ケレン棒 |
トンボ工業 |
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2,198円~ | 1kg |
3位 | ![]() ミニケレン |
Mokuba(小山刃物製作所) |
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1,208円~ | 250g |
データ出典:2025年5月時点における各メーカーのホームページ・ECサイトより
ご紹介したスクレイパーのケレン工具について、それぞれ詳しく解説します。
1位: 神沢鉄工「スクレイパーL」
スクレイパーLは、軽量かつ頑丈な亜鉛ダイキャスト製の本体を採用しており、長時間の作業でも扱いやすい工具です。
3点ネジ留めにより刃をしっかり固定でき、安全性と安定性を確保しています。薄刃と厚刃の付け替えができるため、使用用途に応じたカスタマイズが可能です。刃渡り100mmまでのカッター刃にも対応しており、汎用性に優れています。
2位:トンボ工業「ケレン棒」
トンボ工業のケレン棒は、焼き入れ処理を施したスチール製の刃先が特徴で、サビや塗膜の除去作業に最適です。
全長960mmの長柄設計により、かがまずに作業できるため、腰への負担を軽減します。シンプルで頑丈な構造に加え、木製の柄が手になじみやすく、屋外作業や現場作業にも安心して使用できる一品です。
3位:Mokuba(小山刃物製作所)「ミニケレン」
ミニケレンは、鋭利な片刃を採用したスクレーパー工具です。対象物にしっかりと食い込み、根こそぎはがす作業効率の高さが魅力な商品となります。
高硬度の完全熱処理により、耐久性にも優れています。ソフトグリップ付きで手にやさしく、グリップエンドはハンマーでの打撃にも対応。床材のはがしや接着剤除去など、多目的に使える工具です。
電動工具を使ったケレン作業におすすめのケレン工具10個
電動工具は、2種〜4種ケレンに使用します。
錆面積30%以上の2種ケレンでは、電動工具と手工具を使って錆・旧塗膜の除去、鋼材面の露出を行います。1種と違って完全には除去しない状態です。
3種ケレンでは、旧塗膜の内、劣化塗膜は除去して活膜は残しておきます。劣化具合が小さい4種ケレンは、軽く作業する程度になります。
ここでは、電動工具を使ったケレン作業におすすめのケレン工具を10個ご紹介します。
1:ディスクグラインダー
ディスクグラインダーは、ディスク状の先端パーツを付け替えることで金属やコンクリートの切断・研削が可能な電動工具です。
先端パーツには、金属を切断する「切断砥石」、コンクリートや石材を切断する「ダイヤモンドカッター」、面取りや研削用の「ダイヤモンドカップ」、塗装剥がしや錆取りに使う「研磨ディスク」などがあります。
アスベストの除去には集塵装置付きディスクグラインダーが使われています。
2:サンダー
サンダーは、金属や木材の研磨、錆落とし、塗装剥がしに使われる電動工具です。
広い範囲を研磨できるため、平面を均一に研磨するのに適しています。様々な種類があり、代表的なものとして「オービタルサンダー」と「ランダムサンダー」があります。
オービタルサンダーは研削力低めですが、安定した平面研磨と仕上げ研磨が可能であり、主に木材に使われています。ランダムサンダーは平面・曲面の研磨や錆落としなどに有効です。
3:ブリストルブラスター
ブリストルブラスターは、縦回転するブラシで表面を研磨するハンディタイプの電動工具です。
ケレン1種でのブラスト法と同程度の施工が可能です。研削材が不要なため、ブラスト法と比較して粉塵の飛散が少ない、産業廃棄物や騒音も少ないというメリットがあります。
大掛かりな工事となるブラスト法で掛かっていた工事・メンテナンス・産業廃棄物処理のコストを大幅に削減することができます。
4:パワーブラシ
パワーブラシは研磨や仕上げ磨きを行うブラシであり、ディスクグラインダーや電気ドリルに取り付けて使います。
汚れだけを落とし、表面をあまり傷付けずに滑らかに仕上げます。円形や棒状など様々な形状があり、用途によって使い分けます。
ブラシの毛材は、スチール・ステンレス・真鍮などの金属、植物繊維、羊毛・豚毛・馬毛の動物繊維、ナイロンなど種類が豊富です。研磨砥粒(グリッド)を混ぜて研磨性を高めたものもあります。
5:ワイヤーホイールブラシ
ワイヤーホイールブラシはパワーブラシの1つであり、円形のブラシです。
主に研磨の用途で使われるほか、バリ取りやスケール除去なども可能です。ブラシの接地面が小さいため、狭い場所や凹凸面の作業に適しています。
ディスクグラインダー用の軸なしタイプ、電気ドリルに取り付ける軸付タイプがあります。毛材に加え、外径や穴径、厚みやフランジ径にいたるまで様々な種類やサイズがあります。
6:カップワイヤーブラシ
カップワイヤーブラシはパワーブラシの1つで、カップ型の台座が付いたブラシです。
電動工具に取り付けて、研磨や錆落とし、剥離、バリ取りの用途で使われます。ブラシを真下に押し付けるような形で使用するため、広範囲の平面での作業に向いています。
カップブラシと似ているベベルブラシというものがあります。ベベルブラシは毛材が斜めに広がっています。角度をつけて作業面に押し当てるため、狭い場所や角、曲面に有効です。
7:エアハンマー
エアハンマーは、圧縮空気の力でコンクリートやアスファルトを切ったり削ったりする「ハツリ」工事、錆落とし、バリ取りなどを行う空圧工具です。
スタンダード型とピストル型の2種類の形状があり、「エアチッパー」とも呼ばれます。エアコンプレッサーに接続して使用します。エアハンマー内部のピストンがチゼルという消耗品の鋼鉄製工具を打撃することで、作業面に衝撃を与えて作業を行います。
8:リベットシェーバー
リベットシェーバーは、金属の接合に使う「リベット」というクギのような結合部品のケレン作業に使用します。
ディスクグラインダーに取り付け、刃でリベット頭部を覆って塗膜を落とします。
リベット部分は塗膜が厚い上に根本やキワは落としにくく手間や時間が掛かりますが、リベットシェーバーを使うことで効率と作業性を大幅にアップさせることが可能です。
9:ケレンマイスター
ケレンマイスターは、六角ボルトやナット接合部のケレン作業に適したケレン工具であり、サンダーに接続して使用します。
「ヘリカルブレード」という螺旋状の刃が回転し、ボルトやナットの狭い側面も柔軟に対応できます。鋼材面が露出するまで素地調整することが可能です。
また、軽量で騒音や反動も少なく、作業性に優れています。
10:ウォータージェット
ウォータージェットは、加圧した水を高速噴射させることで対象物の切断加工や剥離、除去を行う工具です。
ポンプで高圧水を生成し、髪の毛ほどの細さで噴射します。切断加工の場合の水圧は、水道水の約2,000倍に相当します。
ケレン作業でも、振動が少ないためひび割れる心配がありません、特別な薬剤を使用せずに水の力だけで厚い塗膜も除去可能であり、騒音や粉塵も発生しないため、環境に配慮しながらケレン作業ができます。
手作業におすすめのケレン工具5つ
ケレン作業で使う手工具にも様々な種類があります。
動力工具は作業性が良く労力を削減できる特長があるのに対し、手工具は細かい作業が可能、自分のペースで作業できるというメリットがあります。
また、手工具は、動力工具と同様に2種~4種ケレンで使われます。動力工具で取り切れなかった錆や汚れを手工具で落とします。
ここでは、手作業におすすめのケレン工具を5つご紹介します。
1:ケレン棒
ケレン棒は、先端に刃が付いた金属製のヘラです。コンクリートや鉄骨などの付着物の除去、剥離、錆落としに使います。作業面に対して角度をつけて押し当て、付着物を削ぎ取ります。
錆に強いステンレス製、切削力の強い超硬合金、グリップ付きのもの、作業面に合わせて使える伸縮タイプなど様々な製品があります。また、エンド部分をハンマー打ちできるハンマータイプなら、頑固な錆の除去に便利です。
2:ワイヤーブラシ
ワイヤーブラシは、毛の部分が金属やナイロンでできたブラシです。
塗装剥がしや錆落としに使います。金属の毛材にはステンレスや真鍮があります。ステンレスは平面部に、柔らかい真鍮は主に磨き用として使われます。毛の形状はストレートとちぢれタイプの2種類です。
ワイヤーブラシ本体の形状は様々で、タワシのような要領で力を入れてこする角型や小判型、凹凸面を磨きやすい柄付タイプに加え、デッキブラシタイプまであります。
3:スクレーパー
スクレーパーは、塗膜剥がしや錆落としに使う金属製のヘラです。
メーカーによっては、前述したケレン棒と同一のものを指すことがあります。スクレーパーは刃を本体に取付けて使用するため、劣化や破損した場合でも刃を交換するだけで良いのでコストを抑えられます。
幅広タイプや3枚刃タイプなど、形状も豊富で用途に合わせて選べるというメリットがあります。
4:やすり
やすりは、錆落としや目荒らし(目粗し)に使います。
目荒らしは作業面に細かい傷を付けてザラザラした状態にすることで、「足付け」とも呼ばれます。
金属や樹脂のようなツルツルした部分に塗装する場合、塗料が流れやすく、剥離してしまう恐れがあります。やすりで目荒らしすることで、塗料を密着させることができます。
ケレン作業では、研磨力と耐久性に優れた「マジックロン」というナイロン製やすりが多用されています。
5:サンドペーパー
サンドペーパーは研磨剤が接着された紙・布製のやすりで、「紙やすり」や「研磨紙」とも呼ばれています。
サンドペーパーの目の粗さは「番手」と呼ばれ、#と数字で表されます。目が粗いほど数字が小さくなり、#40~100は「粗目」、♯1000以上は「極細目」です。
ほかにも、水研ぎや油研ぎが可能な「耐水ペーパー」、目詰まりなく使える網目合成繊維の「ポリネットシート」もあります。
ケレン工具について知ろう
塗装前のケレン作業は非常に重要な工程です。ケレン作業を行うことで、塗料のノリや耐久性が向上し、仕上がりも美しくなります。
本記事では、大手ECサイトにおけるケレン工具のランキングを「電動」「エアー」「手動」ごとに3つずつご紹介しました。
ケレン作業では、作業面の状態に合わせて様々な工具を使用します。よく使われるケレン工具について理解を深め、安全に作業を進めていきましょう。