【プロが解説】塗装とは?DIYで後悔しないための判断基準と費用相場

「家の塗装、そろそろ考えなきゃ…でも、そもそも本当に必要?」「DIYで安く済ませられないかな?」そんな疑問をお持ちではありませんか?この記事では、塗装の本当の意味から、プロに頼むべきかどうかの判断基準まで、専門家の視点で分かりやすく解説します。
塗装は単なる色付けではなく、家を長持ちさせるための「バリア」です。放置した場合のリスクを知り、適切なメンテナンスの第一歩を踏み出しましょう。
この記事を監修しました
株式会社Speee
小林 成光
所有資格
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
専門分野
外壁工事
職業
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
【結論】塗装の本当の意味は「美観」より「保護」。放置すると起こる3つのリスク

塗装の3大目的:保護・美観・機能付与
外壁塗装には大きく分けて「保護」「美観」「機能付与」という3つの目的があります。多くの人は「見た目を綺麗にするため(美観)」と考えがちですが、最も重要なのは「家を腐食から守る(保護)」ことです。塗料を塗ることで、雨水や紫外線、排気ガスといった過酷な外部環境から、建物の構造体を物理的に遮断します。
さらに、最近の塗料には「遮熱・断熱」や「防カビ・防藻」「セルフクリーニング(低汚染)」といった特殊な機能(機能付与)を持つものも増えています。これらの機能を付加することで、住まいの快適性を高め、将来的なメンテナンスコストを抑制することにもつながります。塗装は家を美しく飾るだけでなく、性能をアップデートする役割も担っているのです。
塗膜は家を守る「防水バリア」
外壁塗装によって形成される「塗膜」は、厚さわずか0.1〜0.3mm程度の薄い膜ですが、これが家全体を包む強力な防水バリアとなります。モルタルやサイディングといった外壁材そのものは、実は水分に弱く、直接雨を吸い込むと急速に劣化が進みます。塗膜が水を弾いているからこそ、家は健康な状態を保てるのです。
もし、外壁を触ったときに手が白くなる「チョーキング」や、細かいひび割れ(クラック)が発生しているなら、それはバリアが壊れ始めた証拠です。この「防水の壁」が機能しなくなると、家は無防備な状態に晒されてしまいます。0.1mmの薄い膜が、数百万円、数千万円という資産価値を守っているという事実を覚えておきましょう。
放置厳禁!雨漏りや腐食を招く3つのリスク
塗装のバリアが切れたまま放置すると、家には深刻なダメージが蓄積されます。特に以下の3つのリスクは、一度発生すると修繕費用が莫大になるため、絶対に避けるべきです。
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「まだ雨漏りしていないから大丈夫」という考えは危険です。雨漏りが目に見える形で現れたときには、すでに壁の中が深刻な状態になっているケースがほとんどです。
塗装工事は「壊れたから直すリフォーム」ではなく「壊れないようにする予防」であることを意識し、リスクが顕在化する前に手を打つことが賢明な判断といえます。

【独自データ】塗装の8割は見えない仕事!プロの工程時間割を公開
塗っている時間は全体の2割?工程の円グラフ

「外壁塗装」と聞くと、職人がハケやローラーで色を塗っている姿を想像する方が多いでしょう。しかし、実際のプロの現場では、「塗る作業」は全工程のわずか2割程度に過ぎません。残りの8割は、塗料を密着させるための「下準備」や、現場を安全かつ正確に管理するための作業に費やされています。
上のグラフが示す通り、塗装工事の良し悪しは、実は「塗る前」に決まっています。どんなに高級な塗料を使っても、この8割の「見えない仕事」が疎かであれば、数年で塗膜が剥がれ落ちてしまうのです。プロの職人が時間をかけて行う作業の内訳を、詳しく見ていきましょう。

下地処理(ケレン)と養生こそが品質を決める
見えない仕事の中でも特に重要なのが「下地処理」です。古い塗膜やサビを削り落とす「ケレン」や、高圧洗浄による汚れ落としを徹底することで、初めて新しい塗料が壁にしっかり密着します。この工程を飛ばすと、10年持つはずの塗料がわずか2〜3年で浮いてくる原因になります。
また、窓や床、植木などが汚れないようにビニールで覆う「養生(ようじょう)」も欠かせません。養生が綺麗にできている現場は、塗装のラインも美しく仕上がります。さらに、ひび割れを埋めるコーキング補修などもこの「塗らない時間」に含まれます。これら地道な作業の積み重ねが、最終的な防水性能と美観を支えているのです。

プロの料金が高い理由とその「価値」
塗装工事の費用が高く感じる理由は、単純な塗料代だけでなく、こうした「専門技術を要する下準備」と「安全確保(足場設置)」に多くの人件費がかかっているからです。足場を組み、何日もかけて洗浄や補修を行うのは、すべて「10年、15年と家を守り続けるため」に必要な投資なのです。
安さを売りにする業者の中には、この8割の工程(特に洗浄や乾燥時間、下地補修)を短縮して工期を縮めるケースもあります。しかし、それは結果として家の寿命を縮めることになりかねません。プロの料金には、「目に見えない部分での安心」という付加価値が含まれているのです。
【判断マップ】DIY vs プロ「運命の分かれ道」はここだ!
DIY推奨エリアとプロ必須エリアのマッピング

塗装をDIYで行うかプロに任せるかの最大の判断基準は、「作業の高さ」と「下地の状態」にあります。
安易にすべてを自分で行おうとすると、仕上がりが悪くなるだけでなく、家全体の寿命を縮める致命的なミスにつながることも。以下の表で、DIYが可能な範囲とプロに任せるべき範囲を整理しましょう。
| エリア・作業内容 | DIYの可否 | 理由とリスク |
|---|---|---|
| ウッドデッキ・門塀 | ◎ DIY推奨 | 足場が不要で、失敗しても建物本体へのダメージが少ないため。 |
| 1階部分の軒下・雨樋 | △ 慎重に | 脚立で届く範囲。ただし、下地処理を怠るとすぐに剥がれます。 |
| 2階以上の外壁・屋根 | × プロ必須 | 転落事故のリスクが極めて高く、専門的な足場設置が不可欠。 |
| ひび割れ・剥がれ補修 | × プロ必須 | 浸水経路の特定が必要。素人補修は雨漏りを悪化させる原因に。 |
図で見るとわかる通り、地面に足がついた状態で作業できる範囲であればDIYの楽しみがありますが、家の寿命に直結する「建物の外郭(外壁・屋根)」については、最初からプロの手に委ねるのが正解です。

高所作業と専門技術がプロ必須である理由
2階以上の作業でプロが必要な最大の理由は「安全確保」です。毎年、住宅のセルフメンテナンス中の転落事故が後を絶ちません。プロは国家資格に基づく足場を組み、安全帯を着用して作業します。また、「屋根」に関しては、不適切な箇所に塗料を塗ると雨水の逃げ道が塞がり、逆に雨漏りを引き起こす「縁切り」不足のリスクもあります。
技術面でも、プロは壁の素材(モルタル、サイディング、金属など)に合わせて「下塗り材」を使い分けます。この選定を間違えると、どんなに丁寧に塗っても1年も経たずに塗膜がペリペリと剥がれてしまいます。DIY用の塗料は扱いやすく調整されていますが、プロが使う高耐久な業務用塗料とは、保護性能において格段の差があるのが現実です。
失敗事例:結局プロに頼んで高くつく「二度手間」のワナ
「自分で塗ってみたけれど、ムラがひどくて結局プロにやり直しを頼んだ」という失敗事例は非常に多いです。この場合、実は最初からプロに頼むより費用が高くなることがほとんどです。なぜなら、DIYで塗ってしまった不適切な塗膜をすべて削り落とす「剥離作業」という余計な工程が発生してしまうからです。
「半分まで塗って挫折したお客様から相談を受けることもあります。部分的に塗られた状態だと、全体の色を合わせるのが難しく、古い塗料を剥がす手間もかかるので、追加費用をいただかざるを得ません。せっかくの節約が逆効果になるのは本当にもったいないな、と感じますね。」
DIYはあくまで「趣味」や「簡易的な美観維持」の範囲に留め、家全体の防水・保護を目的とする場合は、最初からプロによる適正な施工を受けることが、トータルで見たときに最も安く、安全に家を守る方法となります。
いくらかかる?塗装の費用相場と10年後を見据えた塗料の選び方
【坪数別】外壁塗装の費用相場

外壁塗装の費用は、主に「塗装する面積(延べ床面積)」「使用する塗料のグレード」「足場代」の合計で決まります。一般的な戸建て住宅の場合、総額で80万〜150万円程度がボリュームゾーンとなります。まずは自分の家の坪数に近い相場を確認し、予算の目安を立てましょう。
| 延べ床面積 | 塗装面積の目安 | 費用相場の目安 |
|---|---|---|
| 20坪(約66㎡) | 約80〜100㎡ | 60万〜90万円 |
| 30坪(約99㎡) | 約120〜150㎡ | 80万〜120万円 |
| 40坪(約132㎡) | 約160〜200㎡ | 100万〜150万円 |
※上記は外壁塗装+足場代の目安です。屋根塗装を同時に行う場合は、プラスで費用が必要になります。また、劣化状況によって下地補修費が変動するため、正確な金額は現地調査後の見積もりで確認することが不可欠です。

シリコン vs フッ素?「1年あたりのコスト」で比較

塗料選びで最も大切なのは「1回の工事費」ではなく、「1年あたりのコスト(ライフサイクルコスト)」で考えることです。初期費用が安い塗料は寿命が短いため、30年間で何度も塗り替える必要があり、結果的に損をしてしまうケースが多いのです
主要な塗料グレードで、その差を比較してみましょう。
| 塗料グレード | 耐久年数 | 30坪の工事費例 | 1年あたりのコスト |
|---|---|---|---|
| ウレタン | 8〜10年 | 約80万円 | 約8.8万円 |
| シリコン | 10〜15年 | 約100万円 | 約7.6万円 |
| フッ素 | 15〜20年 | 約130万円 | 約7.2万円 |
| 無機 | 20〜25年 | 約150万円 | 約6.5万円 |
表を見るとわかる通り、初期費用が最も高い「無機塗料」が、1年あたりのコストでは最も安くなります。「今回安く済ませたい」のか「将来の塗り替え回数を減らしたい」のか、長期的な視点で選ぶことが失敗しないコツです。

コスパ最強の塗料を選ぶための判断基準
結局どの塗料が「買い」なのかは、その家にあと何年住むかで決まります。例えば「あと10年で家を壊す、または住み替える」という予定であれば、高価な無機塗料を選ぶ必要はなく、シリコン塗料で十分です。逆に、「子供に家を譲りたい」「あと30年は住み続ける」なら、フッ素や無機塗料を選んで塗り替え回数を最小限にする方がお得になる可能性が高いです。
また、最近では「ラジカル制御型塗料」のように、シリコン並みの価格でフッ素に近い耐久性を持つコスパ抜群の塗料も登場しています。自分のライフプランを業者に伝え、予算と耐久性のバランスが最も良い「我が家のベストバランス」を提案してもらいましょう。
【チェックリスト】失敗しない!「良い塗装業者」を見極めるポイント

見積書の「一式」表記には要注意
良い業者の見積書は、項目が細かく分かれています。逆に、最も注意すべきは「外壁塗装工事 一式 〇〇万円」といった、詳細が不明な「一式」表記です。何㎡を塗るのか、どんな塗料を何缶使うのかが明記されていないと、手抜き工事をされても指摘することができません。
適正な見積書には、必ず「塗装面積(㎡)」「単価」「使用する塗料の商品名」が記載されています。特に面積が「坪数」ではなく「㎡」で計算されているか確認しましょう。窓やドアなどの塗らない部分をしっかり差し引いて計算している業者は、誠実な見積もりを作っている可能性が高いといえます。

中塗り・上塗りの「3回塗り」が守られているか
塗装の基本は「下塗り・中塗り・上塗り」の合計3回塗りです。悪徳業者はこの回数を減らして手間と塗料代を浮かせようとしますが、これでは本来の耐久性は発揮されません。工程ごとに写真を撮って報告してくれるか、または中塗りと上塗りでわざと少し色を変えて塗るなどの工夫をしてくれる業者は非常に信頼できます。
また、塗料にはそれぞれメーカーが指定した「乾燥時間」があります。1日のうちに3回すべて塗り終えてしまうような強行軍の業者は、乾燥時間を守っていない可能性が高く、数年後の剥がれリスクを招きます。契約前に「各工程の乾燥時間はどう管理していますか?」と質問してみるのも良い方法です。
ヌリカエの審査基準から見る信頼できる業者の条件
自分一人で業者の良し悪しを判断するのは、実はとても大変な作業です。そこで活用してほしいのが「ヌリカエ」の加盟店審査基準です。ヌリカエでは、ユーザーの皆様が安心して依頼できるよう、独自の厳しい基準を設けています。
ヌリカエの主な審査基準
- 過去の施工実績と評判
- 適切な保険への加入
- 法令順守の徹底
これらの基準をクリアした業者のみをご紹介することで、「一式見積もり」や「手抜き工事」を行うような悪質な業者を事前に排除しています。優良業者同士を比較することで、適正価格かつ高品質なメンテナンスが実現可能になります。
複数の業者から選ぶときには、以下の5つの項目もあわせて確認してみましょう。
【業者と契約するときに確認すべき5項目】
□ 見積書に「商品名」と「㎡数」が明記されているか
□ 自社施工、または施工管理が徹底されているか
□ 工程写真の提出を約束してくれるか
□ 契約を急かさず、劣化状況を写真で説明してくれるか
□ 保証内容と期間が書面で明確になっているか
まとめ
塗装は家を長持ちさせるための「投資」
外壁塗装は、単に家の見た目を新しくするだけのリフォームではありません。10年に一度、大切な我が家を雨や紫外線から守る「防水バリア」を新調する、極めて重要なメンテナンスです。この記事で解説したポイントを改めて整理しましょう。
- 本質的な目的:「美観」以上に「建物の保護」こそが塗装の本当の役割。
- プロの価値:工事の8割を占める「塗らない工程(下準備)」が品質の決め手。
- DIYのリスク:高所作業は命に関わる。家の寿命を守るならプロへの依頼が必須。
- 塗料の選び方:初期費用だけでなく、「1年あたりのコスト」で長期的なおトクを考える。
- 業者の見極め:見積書の詳細さや、施工管理の姿勢をチェックリストで厳選。
まずは無料シミュレーションから始めよう
「そろそろ塗り替えかな?」と感じたその時が、将来の修繕費用を抑える最大のチャンスです。放置して構造部材まで傷んでしまう前に、まずは自分の家の「適正相場」を知ることから始めてみませんか?
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