ケレンとは?塗装で必須なのか作業の流れを写真で解説

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外壁塗装するといくら?
ケレンとは、塗装、セメント、コンクリート、モルタルなどの汚れや錆びを落とし、塗料の付着性を高める下地処理作業のことです。
外壁塗装では大切な作業のひとつとなっており、業者に依頼した際の見積書には「高圧洗浄・ケレン」「下地処理・ケレン作業」と記載されていることが多くあります。
本記事では外壁塗装に欠かせないケレンについての概要や必要性、作業目的、作業内容や種類とその金額などについて詳しく解説していきます。
この記事を監修しました
株式会社Re:Fact
小林 成光
所有資格
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
専門分野
外壁工事
職業
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
ケレンとは?

外装リフォームにおいて、仕上がりの美しさだけでなく耐久性を根本から左右するのが「ケレン」という下地処理の工程です。ケレンとは、主に鉄部や木部の塗装前に行われる作業で、やすりや電気工具を用いて古い塗膜やサビ、汚れを徹底的に削り落とす作業を指します。
【ケレン作業の風景】
一見すると地味な工程ですが、住まいを長持ちさせるためには欠かせない作業となります。
ケレンを行う具体的な目的は、主に以下の4つです。
ケレンの目的
- 塗料の密着性を高める:サビや剥がれかけた古い塗膜が残ったままでは、新しい塗料が下地にしっかりと張り付くことができません。これらを除去することで、塗料が本来持つ付着力を最大限に引き出します。
- 表面を整える(目荒らし):ツルツルとした表面にわざと細かな傷をつけることで、塗料が食い込む面積を増やします。これにより「アンカー効果」が生まれ、塗膜が剥がれにくい強固な仕上がりになります。
- さびの再発を防ぐ:鉄部などに発生したサビを根元から削り落とすことで、塗装後の内部からの腐食進行を食い止めます。
- 仕上がりを美しくする:古い塗膜の段差や付着物を取り除いて表面を平らにすることで、塗りムラのない均一な仕上がりになります。
どれほど高価で高性能な塗料を使っても、このケレンが不十分であれば、わずか数年で塗料が剥がれ落ちてしまう原因になります。
ケレンは、住まいを長期にわたって守り続けるためにとても大切な役割があるのです。

ケレンは外壁・屋根塗装に必須?
ケレンは、すべての塗装面で必須の作業ではありません。ただし、さびや剥がれがある面には欠かせないため、基本的には行ったほうがよい作業です。
「高圧洗浄をすれば、ケレンはいらないのでは」という疑問への答えは、「役割が違うため置き換えられない」となります。
高圧洗浄は、強い水圧で外壁や屋根の汚れ・コケ・チョーキング(塗膜の劣化で出る白い粉)を洗い流す作業です。
一方のケレンは、スクレーパーやワイヤーブラシ、電動工具を使い、さびや浮いた古い塗膜を削り落とす作業を指します。
表面に細かな傷をつけて塗料を密着しやすくする「目荒らし」も、ケレンの一部です。
| 項目 | 高圧洗浄 | ケレン |
|---|---|---|
| 方法 | 高圧の水を吹き付ける | 手工具・電動工具でこする、削る |
| 主に落とすもの | 汚れ・コケ・カビ・チョーキングの粉 | さび・浮いた古い塗膜・こびりついた付着物 |
| 主な対象 | 外壁・屋根の全面 | さびや剥がれがある箇所(鉄部・木部・金属屋根など) |
国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版でも、塗り替え前の下地調整は複数の工程に分かれています。
「汚れ・付着物の除去」「既存塗膜(古い塗膜)の除去」「研磨紙ずり(紙やすりで研ぐ作業)」は、それぞれ別の工程です。
そのため、見積書に高圧洗浄とケレンが別々に書かれていても、作業の重複ではありません。
ケレンを省いた場合に起こること
- 塗膜が早く剥がれる:さびや浮いた古い塗膜の上に塗ると、新しい塗料が下地に密着しません。
- さびが塗膜の下で広がる:削り残したさびは、塗装後も内側から進行します。
- 塗り直しの費用がかかる:早期に剥がれると、再塗装の費用が余計に発生します。
どの箇所に、どの程度のケレンを行うのかについて、見積もりの段階で業者に確認しておくと、作業内容に納得したうえで契約できます。

ケレンが外壁・屋根塗装で必要・不要なケース
ケレンが必要かどうかは、塗る場所の素材と、さび・剥がれの有無で決まります。目安は次のとおりです。
- 必要:さびが出ている・古い塗膜が浮いている、剥がれている箇所への塗料を塗る場合
- 不要:塗膜が劣化しておらず、さびや剥がれがない場合
それぞれのケースについて、詳しくご紹介していきます。
ケレンが必要なケース
さびが出ている金属部分と、剥がれ・浮きがある古い塗膜には、ケレンが必要です。
ケレンが必要となる代表的な箇所は以下となります。
- 鉄骨階段・手すり・ベランダの柵などの鉄部
- トタン屋根・雨戸・シャッターボックス・水切りなどの金属部分
- 破風板・軒天などの木部で、塗膜が剥がれている箇所
- 外壁のうち、塗膜が浮いたり剥がれたりしている箇所
さびを削り残したまま塗ると、錆止め塗料やその上に塗る塗料の効果が十分に発揮されません。特に、金属部分は「ケレン→錆止め→上塗り」の順で進むと覚えておきましょう。


ケレンが不要なケース
古い塗膜が健全で、さびや剥がれがない面では、塗膜を削り落とすケレンは必要ありません。
窯業系サイディングやモルタルの外壁で、ひび割れや剥がれがなく、古い塗膜が下地にしっかり付いているケースではケレンは必要ないことが多いでしょう。
ケレンが必要かどうかは、塗装面の状態を見て判断します。見積書の内容に疑問があれば、現地調査の際に該当箇所を一緒に確認してもらうと確実です。

【再確認】ケレンの必要性

塗装においてケレンを省くことはできません。
ケレンの必要性について、以下の4つの視点から解説していきます。
塗料の密着性・付着性を向上させる
塗装では塗料の密着性や付着性の質によって耐用年数に違いが出てきます。
ケレンを省いてしまうと、塗料の密着性・付着性が損なわれてしまい効果的な塗装にはなり得ません。
たとえば錆びや古い塗膜が残った状態で、上から新たに塗装をしても塗料が密着せず、塗装の性能を最大限に引き出せないでしょう。
さらに塗装がすぐに剥がれてしまうなどのトラブルも発生しやすくなります。
こうしたトラブルを防止し、塗装の性能を活かすために塗料を密着しやすくするケレンが大切になります。
塗料の効果を長持ちさせる
塗料の効果を長持ちさせることもケレンの大事な役割です。
塗料をきちんと塗ることで、効果は長持ちし、建物を浸水などから保護することにつながります。
きちんと塗料を塗るためには、ケレンによって汚れや錆びを除去することが大切です。除去しなければ劣化症状を解消したわけではないため、塗装して数ヶ月で塗装がはがれてしまう恐れもあります。
再度の塗り直しになると余計な費用が嵩んでしまうため、きちんとケレンを行うことが、長期的なコストパフォーマンスにも優れています。

施工後の仕上がりをよくする
施工後の仕上がりをきれいにするためにもケレンは欠かせません。
塗料の厚みは、標準的な塗装工事で0.5㎜にも満たないほどです。そのため下地に異物が付着している上から塗装すると、その箇所だけ塗膜に厚みができてしまいます。
塗膜に厚みが出てしまうとムラができてしまうため、きれいな仕上がりになりません。
施工後の見栄えをよくすることは、塗料の効果を長持ちさせることと同義のため、非常に大切になります。
ケレン作業がもたらす効果
ケレン作業は、塗料の寿命をより長持ちさせることが証明されています。
関西鋼構造物塗装研究会によると、ケレン作業等の素地調整は塗料の性能を高める最も大きな要因であると示しています。
| 要因 | 塗料の寿命に与える影響(%) |
|---|---|
| ケレン作業(素地調整) | 49.5% |
| 塗り回数(1回塗り、2回塗りなど) | 19.1% |
| 塗料の種類 | 4.9% |
| その他(塗装技術や気候など) | 26.5% |
塗料の寿命に及ぼす影響のうち約50%をケレン作業が占めているとされており、塗り回数や種類よりも大事だとしています。
ケレン作業の様子
ケレン作業がどのように進められていくのかご紹介します。
ケレンにはいくつか種類があり、それぞれの使う道具が違います。良く使われるものは、ディスクサンダーやマジックロンサンドペーパー、ワイヤーブラシなどです。
大きな範囲をケレンする場合は、グラインダーや電動スクレーパーなどの電動工具、狭い範囲や仕上げでは手動工具を使うことが多いです。
これらの道具で、さびのある個所や目荒らししたい部分を削っていきます。


ケレン作業をすると、以下のようにさびが取れ塗料を塗る準備が整います。
さびを取るためには時間がかかりますが、ケレンは塗料の性能を最大限に発揮させるために欠かせない工程です。
ケレンの種類と単価・費用相場

ケレンには「1種」「2種」「3種」「4種」があり、それぞれ使われる場面が異なります。一般住宅で使われるのは、主に2種から4種です。
それぞれの種類で費用も大きく違いますので、本章では4つの種類ごとにその特徴について詳しく解説していきます。
1種ケレン
第1種ケレンは、ブラスト工法と呼ばれる高圧での研磨剤吹き付けや特殊な薬品を用いた酸洗浄によって、金属の黒皮や赤サビ、古い塗膜を除去する作業です。
非常に大がかりな設備と高度な技術を要するため、主に橋梁や船舶といった過酷な環境にある鉄構造物の防食塗装で採用されます。費用相場は1平方メートルあたり3,000円から4,000円と非常に高額です。一般的な戸建て住宅のリフォームでこの工法が使われることは基本的にありません。
2種ケレン
第2種ケレンは、ディスクサンダーやパワーブラシといった電動工具を使いサビや旧塗膜を削り落とす作業です。
さびが塗装面の30%を超えて広がっている場合や、以前の塗料とは全く異なる種類の塗料を塗るために、既存の膜をすべて剥がす必要がある際に使われます。金属の地肌が見えるまで磨き上げ、1平方メートルあたり1,500円から2,000円ほどの費用がかかります。
長年の風化によって3種では落とせないさびや、広範囲をスピーディーにケレンする場合などに用いられることが多いです。
3種ケレン
第3種ケレンは、一般住宅の塗り替えにおいて最も頻繁に使われるケレンです。ディスクサンダーなどの電動工具と、ワイヤーブラシやスクレーパーなどの手動工具を併用し、剥がれかかった塗膜やさびを除去します。
しっかりと下地に密着している健全な旧塗膜を残して活用するのが特徴で、費用相場は1平方メートルあたり600円から1,000円程度となります。住宅の寿命を延ばすために最もコストパフォーマンスに優れた方法と言えます。
4種ケレン
第4種ケレンは、主にサンドペーパーや皮スキなどの手動工具を用いて、表面の汚れやチョーキング現象による粉化物を除去する比較的軽微な作業です。
全体的なダメージが少ない場合に用いられ、費用相場は1平方メートルあたり200円から400円と最も安価になります。表面に細かな凹凸をつける「目荒らし」という役割もあり、特に塗装では塗料をしっかりと密着させるために欠かせない工程です。
まとめ
外壁塗装におけるケレンは、単なるさびとりではなく、塗装の寿命を左右する重要な工程です。
まず、ケレンには1種から4種までの区分がありますが、住宅リフォームでは主に2種~4種(200円/㎡〜2,000円/㎡)が使われます。また、見積書の「下地処理1式」という表記には注意が必要です。具体的なケレンの種類や下地作業が不明確な場合は、後々のトラブルを避けるためにも、業者に作業内容の根拠を必ず確認するようにしましょう。
納得のいくリフォームを実現するために、正しい知識を持って信頼できる業者を選んでください。






