屋根葺き替え工事とは?塗装・カバー工法との違いや平均費用、必要なタイミングを解説

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外壁塗装するといくら?
屋根葺き替えは、既存の屋根を全て撤去して新しい屋根材に交換する工事です。
ヌリカエにおける見積もりデータにより、費用相場は300万円前後で、カバー工法や塗装より高額ですが、屋根下地の補修が可能で建物の寿命を延ばせる点が最大のメリットです。屋根材の深刻な劣化や雨漏りが発生している場合に最適な工法となります。
本章では、屋根の葺き替えについて、カバー工法や塗装との比較、397件の見積もりデータから分かった相場や葺き替えが必要になるタイミングなどについて詳しく解説しています。
この記事を監修しました
株式会社Speee
小林 成光
所有資格
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
専門分野
外壁工事
職業
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
屋根葺き替えとは?カバー工法・塗装との違いを比較

屋根葺き替えは、既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する最も大規模な屋根リフォームです。他の工法である「カバー工法」や「屋根塗装」とは、工事内容や費用、目的が大きく異なります。
| 比較項目 | 屋根葺き替え | カバー工法 | 屋根塗装 |
|---|---|---|---|
| 工事内容 | 既存の屋根を撤去し、下地から新しくする | 既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる | 既存の屋根材の表面に塗料を塗る |
| メリット | ・下地の補修・交換が可能 ・屋根材を自由に選べる ・建物の寿命が延びる | ・工期が短く、費用が安い ・廃材が少ない ・断熱性・遮音性が向上 | ・最も費用が安い ・工期が短い ・外観をきれいにできる |
| デメリット | ・費用が最も高い ・工期が長い ・廃材が多く出る | ・下地の補修はできない ・屋根が重くなる ・屋根材の選択肢が限られる | ・下地の補修はできない ・軽微な劣化にしか対応できない ・定期的なメンテナンスが必要 |
| 費用相場 | 1,264,175円 | 3,451,264円 | 3,633,555円 |
| こんな人におすすめ | ・屋根下地が傷んでいる ・雨漏りしている ・耐震性を改善したい | ・下地に問題はないが、屋根材が劣化している ・費用を抑えたい | ・色あせやコケなど、表面的な劣化 ・ひび割れが軽微 |
どの工法が最適かは、現在の屋根の劣化状況、今後のメンテナンス計画、そして予算によって決まります。屋根の下地まで劣化が進んでいる場合や、深刻な雨漏りがある場合は、葺き替え工事が唯一の選択肢となることが多いです。


屋根葺き替えの費用相場と価格を決める5つの要素
屋根葺き替えの費用相場は、363万円が目安です。ただし、この金額は様々な要因で変動するため、価格帯には幅があります。
【金額帯別】屋根葺き替え工事の費用分布

ヌリカエにおいて、実際に屋根葺き替えやカバー工法、屋根塗装を行った見積もりデータ397件より、屋根葺き替えは全体の66%が200万円以上であることが分かりました。
屋根の葺き替えは屋根のリフォームのなかでも最も規模か大きいもののため、費用も高額になる傾向にあります。一般的な大きな戸建て住宅でも、少なくとも100万円以上はかかるでしょう。

屋根葺き替え工事の費用が変わる要因5つ
工事費用は、主に以下の5つの要素によって決まります。
1. 屋根の面積
工事を行う面積が広くなるほど、材料費や人件費が増加します。一般的な戸建て住宅(30坪程度)の屋根面積は、60〜80㎡が目安です。
2.新しい屋根材の種類
ガルバリウム鋼板、スレート、瓦など、選ぶ屋根材の単価によって総額が大きく変わります。耐久性や機能性も考慮して選ぶ必要があります。
3.屋根の形状と勾配
屋根の形状が複雑であったり、勾配(傾斜)が急であったりすると、作業の難易度が上がり、足場の設置費用や人件費が割高になります。
4.下地の劣化状況
既存の屋根材を剥がした際に見つかる下地(野地板など)の腐食や損傷が激しい場合、補修や交換に追加費用が発生します。
5.付帯工事の有無
足場の設置は必須ですが、その他に雨樋の交換、雪止め金具の設置、換気棟の取り付けなどを行う場合は、別途費用がかかります。
最終的な費用は、専門家による現地調査を経て確定します。正確な金額を把握するためには、必ず複数の業者から相見積もりを取り、内訳を比較検討することが重要です。
【判断基準】葺き替えが必要な屋根の劣化症状とタイミング

屋根葺き替えは、カバー工法や塗装では対応できない深刻な劣化が見られる場合に必要となります。ご自宅の屋根にこのような症状が現れたら、葺き替えを検討するタイミングです。
それぞれの症状について詳しく解説していきます。
症状1:屋根材の広範囲にわたるひび割れ・欠け・剥離
単なる経年劣化を超え、屋根材そのものの防水性能が限界に達しています。表面の塗装やコーティングでは素材のボロボロになった状態を回復できず、塗装をしてもすぐに剥がれてしまう状態です。
部分的な補修を行っても、別の箇所ですぐに同じ症状が出る「いたちごっこ」になりかねないため、全面的な刷新が必要です。
症状2:屋根下地(野地板)の腐食や著しい劣化
屋根の上を歩いたときに沈む感覚がある場合、屋根材の下にある野地板(木材)が湿気を含んで腐食している証拠です。
これは屋根材を支える力が失われている状態で、強風による屋根の飛散や最悪の場合は屋根そのものが抜け落ちるリスクがあります。建物の骨組みを守るためにも、下地からの作り直しが必要になるでしょう。。
症状3:複数箇所からの雨漏り・天井のシミ
雨漏りが1箇所であれば部分修理で直ることもありますが、複数箇所で発生している場合、屋根全体の防水シート(ルーフィング)が寿命を迎えている可能性が高いです。
見えない場所で柱や断熱材にカビが発生しているケースも多く、これ以上の放置はシロアリ被害などの二次災害を招き、修繕費用を増大させる原因となります。

症状4:耐用年数(寿命)を大幅に超過している
スレートなら20〜30年、日本瓦でも漆喰や下地は20年程度でメンテナンスが必要です。見た目に大きな問題がなくとも、防水シートの寿命は20年前後と言われています。
耐用年数を大幅に過ぎた屋根は、台風や地震などの外部衝撃に対する抵抗力が弱まっており、いつ大きなトラブルが発生してもおかしくない「潜在的な危険状態」と言えます。
症状5:重量のある屋根材による耐震性の懸念
重い瓦屋根(特に土葺き工法などの旧来のもの)は、建物の重心を高くなるため地震揺れを大きくする原因となります。
昨今の耐震基準に合わせ、ガルバリウム鋼板などの軽量屋根材へ葺き替えることで、屋根の重量を1/10近くまで軽量化できる場合もあり、建物への負担軽減と耐震性向上に劇的な効果をもたらします。
土葺きや瓦などの重い屋根材で、地震などの自然災害に対して気になる点があれば、専門の業者に点検やリフォームを依頼するのがおすすめです。
屋根葺き替えで選べる屋根材の種類と特徴

| 屋根材の種類 | ガルバリウム鋼板 | スレート | 瓦(和瓦・洋瓦) |
|---|---|---|---|
| 特徴 | 軽量で錆びにくく、耐震性に優れる。デザインも豊富。 | 日本の住宅で最も普及。価格が安く、施工できる業者が多い。 | 既存の屋根材の表面に塗料を塗る |
| 費用単価(㎡) | 6,000円~ | 5,000円~ | 9,000円~ |
| 耐用年数 | 25~40年 | 20~30年 | ・50年以上 |
| メリット | ・耐震性が高い ・錆びにくい ・デザイン性が高い | ・価格が安い ・対応業者が多い | ・耐久性が非常に高い ・断熱性、遮音性に優れる |
| デメリット | ・傷がつくと錆びやすい ・断熱性、遮音性は低い | ・割れやすい ・定期的な塗装が必要 | ・重量があるため耐震性に劣る ・初期費用が高い |
近年では、軽量で耐震性に優れ、メンテナンスの手間も少ない「ガルバリウム鋼板」が人気です。ただし、お住まいの地域の気候(積雪、台風など)や、家のデザイン、将来のメンテナンス計画などを総合的に考慮して選ぶことが重要です。
ガルバリウム鋼板:葺き替えリフォームの圧倒的No.1
現在、屋根の葺き替え工事で最も選ばれているのが「ガルバリウム鋼板」です。
最大の魅力はその「軽さ」にあります。日本瓦の約1/10、スレートの約1/3という軽さで、建物への負担を大幅に軽減し、耐震性を向上させます。
金属でありながら、アルミニウムと亜鉛の合金メッキにより非常に錆びにくく、酸性雨にも強いのが特徴です。
かつては「雨音がうるさい」「夏暑い」という欠点がありましたが、現在は断熱材と一体化した製品(スーパーガルテクトなど)が主流となり、断熱性・遮音性も劇的に改善されています。デザインもシンプルでモダンなため、和洋問わずどんな住宅にも馴染むでしょう。

スレート:コストを抑えたい方の定番
日本の新築住宅で最も普及している屋根材で、「カラーベスト」「コロニアル」という商品名でも知られています。
セメントに繊維素材を混ぜて薄い板状にしたもので施工が比較的容易なため、対応できる業者が多く工事費用を安く抑えられるのが最大のメリットです。 シンプルでフラットな形状は、すっきりとした外観を好む方に適しています。
ただし、主原料がセメントであるため、防水機能は塗装によるものです。メンテナンスを怠ると、コケの発生やひび割れ、反りの原因となるので注意してください。
「工事の初期費用はできるだけ抑えたい」という方におすすめです。

瓦(和瓦・洋瓦):塗り替え不要の圧倒的な耐久性
古くから日本家屋を守ってきた「瓦」は、トップクラスの耐久性を誇ります。陶器製であるため、紫外線による色あせがほとんどなく、塗装は基本的に必要ありません。「50年以上持つ」とも言われ、ランニングコストで見れば非常に優秀な素材です。
また、厚みがあるため断熱性と遮音性に優れ、夏は涼しく、雨音もさほど気にならないでしょう。 デメリットはその「重さ」です。耐震性を確保するためには、建物自体の構造が頑丈である必要があります。
近年では、瓦の形状をした金属屋根や、従来の半分以下の重さの「防災瓦(軽量瓦)」も登場しており、瓦の美観を保ちつつ地震対策をすることも可能です。
屋根葺き替え工事の基本的な流れと期間

屋根葺き替えは、古くなった屋根をすべて撤去し、下地から新しく作り直す工事です。 天候や屋根の大きさによりますが、工期は実働で7日〜14日程度が目安です。ただし、雨天による順延や日曜・祝日の休工を含めると、全体で2週間〜3週間程度を見ておくと安心です。
今回ご紹介する期間はあくまでも目安としてご覧ください。
ステップ1:近隣へのご挨拶(着工前日〜数日前)
工事期間中は、足場を組み立てる際の金属音や大きな材料を運ぶトラックの出入りなどが続くため、近隣の方々に不便となる可能性もあるでしょう。
近隣トラブルを未然に防ぐため、着工までに業者が工事日程などの書面を持って挨拶をしてくれます。可能であれば施主も同行すると、近隣との良好な関係を保ちやすくなるでしょう。
ステップ2:足場の設置と養生(1~2日目)
工事の初日は、職人の安全を確保と丁寧な作業を行うための土台となる足場を組み立てます。
足場の組み立てでは大きな金属音や建材などの出入りでゴミやホコリが舞う可能性があるでしょう。足場と同時に建物の周囲には飛散防止ネットで覆われますが、車や鉢植えなどの位置によっては足場組立のために一時的な移動をお願いされる場合があります。
また、家全体がネットで覆われるため室内が少し暗く感じられるようになることにも注意が必要です。

ステップ3:既存屋根材の撤去(2〜5日目)
足場が完成した後は、古い瓦やスレート、板金などの屋根材を一枚ずつ手作業で丁寧に剥がし、トラックへと積み込んでいきます。
屋根材の撤去中は砂埃や細かい破片が舞いやすいため、ネットなどでガードしながら慎重に作業が進められます。なお、2004年以前に施工されたスレート屋根などの場合はアスベストが含まれている可能性があるため注意が必要です。
アスベスト入りの屋根材を撤去する場合は、法律に基づいた特別な処分が必要となります。そのため、工期の伸びや費用の追加が生じる場合があるでしょう。
ステップ4:下地(野地板)の確認・補修・補強(5〜8日目)
屋根材をすべて撤去した後に現れる「野地板」と呼ばれる下地の点検は、葺き替え工事における重要工程です。
下地の状態が良好であれば、既存の板の上に新しい構造用合板を重ねて補強する増し張りを行いますが、腐食が激しい場合には古い板を取り除いて新しい板へ張り替える作業が必要となります。
屋根の大きさや劣化度合いによって、工期が大幅に伸びやすいステップでもある点に注意してください。
ステップ5:防水シート(ルーフィング)の施工(8~10日目)
新しく整えられた下地の上に、雨漏り防止の要となる防水シートを隙間なく敷き詰めていきます。
防水シートは、万が一屋根材の隙間から雨水が浸入した場合でも室内への浸水を食い止める重要なものです。近年では耐久性の高い改質アスファルトルーフィングなどの高性能なシートを使用するのが一般的となっています。
下地の補修からこの防水シートの施工までに雨が降ると工事品質に影響が出る可能性があるため、スムーズに完了させたい場合は、天気予報などもチェックしつつ工事開始時期を検討しましょう。
以下の記事では、外壁塗装におけるベストな時期や避けるべき時期を解説していますが、これは屋根の葺き替えにも当てはまります。工事をいつ始めたらよいか迷っている方はぜひご覧ください。

ステップ6:新しい屋根材・役物の設置(10〜13日目)
防水対策が完了した屋根に、いよいよ新しい屋根材を葺いていきます。屋根材本体だけでなく、屋根頂上部分に取り付ける棟板金や、落雪を防ぐための雪止めといった「役物」と呼ばれる部品もあわせて設置します。
屋根材を固定するためにビスを打ち込む音が響く可能性があるため、心配であれば事前に「どのくらいの期間でどのくらいの音の大きさが続くか」について聞いておくと良いでしょう。
家の外観が新築のように生まれ変わっていく様子を実感できる工程です。
ステップ7:最終確認・清掃(14日目)
すべての屋根材が葺かれた後、傷の有無や施工不良がないかを入念にチェックする完工検査を行います。この段階で工事中に庭やベランダに落ちたゴミやビス、木くずなどをの掃除が行われることが多いです。
また、基本的に最終確認は施主の立ち合いが必要になります。最終確認に立ち会えない可能性がある場合は、事前に業者に相談しておきましょう。
ステップ8:足場の解体・お引き渡し(15日目)
最後に足場を解体し、周囲の最終清掃を行ってすべての工事が終了となります。業者によっては、保証書や施工工程を記録した工事写真などの報告書が渡されるでしょう。
最終的に問題がなければ、無事引き渡しとなります。
屋根葺き替え工事について知っておきたい注意点
屋根葺き替え工事のスケジュールは、天候によって大きく左右されます。特に、既存の屋根材を撤去し新しい防水シートを敷き終えるまでの間は、建物の内部を濡らさないよう細心の注意が必要です。
そのため、天気予報を確認しながら雨が予想される場合は無理に作業を進めず、順延の判断をすることがあるでしょう。このときは、厚手のブルーシートで屋根全体を覆い屋根が濡れないようにします。。雨が降っていると作業ができないため、2、3日ほど作業が遅れるケースが多いです。
また、工事期間中の生活についていくつかご協力をお願いされることがあるでしょう。古い屋根材を撤去する際や清掃を行う工程ではどうしてもホコリが舞いやすいため、状況に応じて洗濯物の室内干しが必要になる場合があります。
施行中の外出は問題ありませんが、最終確認の際は立ち合いが必要です。工事中は、外のコンセントや水道を貸してほしいとお願いされるケースもありますが、基本的に大きな不便を強いられるということはないでしょう。
まとめ
屋根葺き替え工事は、屋根の下地から補修する根本的なリフォームです。塗装やカバー工法よりも費用は高くなりますが、屋根の寿命を大きく延ばすことができます。
既存の屋根が瓦の場合、ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材へ葺き替えることで地震時の揺れを軽減できる可能性もあるでしょう。
屋根の劣化状況などによって、最適なリフォーム方法異なります。まずは専門家による正確な現地調査を受け、複数の業者から見積もりを取り寄せ内容をしっかり比較検討することが大切です。

