瓦屋根の修理方法は4種類! 工事の選び方、費用、業者の決め方は?

  • 【更新日】2022-10-28
瓦屋根の修理方法は4種類! 工事の選び方、費用、業者の決め方は?

 

本記事は、現在瓦屋根(和瓦)の家にお住まいで、そろそろ修理・補修・リフォームをお考えの方に向けた解説記事です。

記事では、以下のような疑問を解決いたします。

    • 瓦屋根の修理方法はどんなものがあるか?
    • 自分の屋根の場合、適切な対処は何か?
    • 修理にかかる費用や日数は?
    • 修理を安く済ませる方法は?

 

屋根に異常はないけど先々のために調べている方から、雨漏り等で修理をお急ぎの方まで、本記事がお力になれれば幸いです。

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瓦屋根の4つの修理方法と選び方

瓦屋根の修理方法は4種類

修理方法 作業内容 費用相場
葺き替え
屋根瓦を全て新しくする 180~250万円
葺き直し
下地を修理した後、元の屋根瓦を敷き直す 140~210万円
カバー工法
今の屋根の上に新しい屋根を建てる 80~120万円
部分修理
瓦の部分的な破損やズレを直す 20~50万円

瓦屋根の修理方法は、「葺き替え」「葺き直し」「カバー工法」「部分修理」の4種類です。
4つの修理方法のうち、瓦屋根全体の修理が「葺き替え」「葺き直し」「カバー工法」、壊れた瓦だけを修理するのが「部分修理」となります。
なお、日本瓦の屋根は塗装(塗り替え)が不要なため、リフォームの際に塗装工事をする必要はありません。

素材や環境にもよりますが、屋根材の和瓦は50~60年ほどもち、その間は再利用が可能です。 しかし瓦屋根の下地のルーフィングや野地板は20~30年ほどしかもちません。 そのため、「瓦」と「下地」のどちらに異常があるのかが、工事方法を決める際の判断基準となります。

>> 屋根の「ルーフィング」について詳しく知りたい方はこちら

瓦屋根の「葺き替え」のメリット・デメリット

[ 画像出典 ]

瓦屋根の葺き替えとは?

葺き替え(ふきかえ)は、屋根瓦全体を新しいものに交換する修理方法です。
瓦の交換の際に、瓦がのっている野地板やルーフィング(野地板と瓦の間に敷く防水シート)の補修や交換が同時に行われることもあります。

葺き替えのメリット・デメリットは?

葺き替えは、屋根の表面から下地まで全体を新しくする工事です。
そのため、屋根全体の劣化や、大きな雨漏りなどの問題を根本から解決できることがメリットです。
屋根瓦が広範囲にわたってひび割れていたり、ずれ落ちている場合は、修理方法として葺き替えが最適となります。

また、葺き替えの際に屋根材を和瓦から変えることも出来ます。
変更先の屋根材の候補は、「ガルバリウム鋼板」などの金属屋根材や、「スレート」などの窯業系屋根材です。

デメリットは、屋根の修理方法の中では最も高額な工事となることです。
特に、和瓦から和瓦へ葺き替える場合が一番高く、修理費用が200万円近くなるか、それを超えることも珍しくなりません。

瓦屋根の葺き替えの費用相場・工程は?

修理内容 既存の屋根瓦と、瓦の下に敷いてあるルーフィング・野地板を一度全て撤去。その後、野地板・防水シート・屋根瓦を新しいものに張り替える。
費用相場 120~220万円
工期 7~15日
工事周期 50~60年

瓦屋根を葺き替える際には下地も新しくするほうが無駄がありません。
その理由は、和瓦は50~60年と長期間もつのに対し、ルーフィングや漆喰は20~30年ほどしかもたないためです。

「葺き替え」はこんな場合にオススメ


  • ●瓦屋根が全体的に傷んでいる
  • ●大規模な雨漏りが起こっている
  • ●屋根材を和瓦から別のものに変えたい
  • ●美観を新品にリフレッシュさせたい

「葺き替え」はこんな場合には向かない


  • ✔予算が少ない
▼「葺き替えの費用」についてより詳しく知りたい方はコチラ
>> 屋根の葺き替え修理の費用はいくら? うちの見積もり額は適正?

瓦屋根の「葺き直し」のメリット・デメリット

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瓦屋根の葺き直しとは?

葺き直しとは、屋根瓦を新しくせずに下地部分のみを修理する方法です。
屋根瓦を一度取り外し、ルーフィングや野地板などの下地部分を補修・交換した後、元の瓦を1枚ずつ並べてます。

葺き直しのメリット・デメリットは?

葺き押しは、屋根瓦を再利用することで、瓦の購入費用をなくせることがメリットです。
そのため、瓦がまだ使用可能で、下地のみに広く異常がある屋根の場合には、葺き直しが最もリーズナブルな修理方法となります。

デメリットは、工事をしたのに瓦屋根の美観がリフレッシュされないことです。
修理費用も、葺き替えに比べて抑えられるとはいえ、高額な部類に入ります。

瓦屋根の葺き直しの費用相場・工程は?

修理内容 既存の屋根瓦を一度全て撤去。瓦の下に敷いてあるルーフィング・野地板を修繕・交換し、その後元の瓦を並べる。
費用相場 100~190万円
工期 7~10日
工事周期 20~30年

「葺き直し」はこんな場合にオススメ


  • ●瓦は無事で下地のみが傷んでいる

「葺き直し」はこんな場合には向かない


  • ✔瓦屋根の美観をリフレッシュさせたい
  • ✔屋根材を和瓦から変えたい
  • ✔予算が少ない

瓦屋根の「カバー工法」のメリット・デメリット

[ 画像出典 ]

瓦屋根のカバー工法とは?

カバー工法とは、既存の瓦屋根の上に、そのまま新しい屋根を建てるです。
今ある屋根を覆うように新しい屋根を建てるので「カバー工法」と呼ばれます。

カバー工法のメリット・デメリットは?

カバー工法は、屋根瓦や下地の撤去・廃棄費用が一切かからないことがメリットです。
また、屋根が一層ぶん増えることで、断熱性・防音性が増す効果が少なからず期待できます。

デメリットは、瓦や下地に異常があった場合も放置されてしまうことです。
もしも既存の下地部分などで見えない異常が進行していた場合、新しく建てつけた屋根が数年で崩れてしまう可能性もあります。 その場合、カバー工法で建てた部分を一度剥がして、古い瓦屋根部分の下地を直すことになり、最初からカバー工法にかけた費用が無駄になってしまいます。

そのため、カバー工法は安価な代わりにリスクの大きい屋根修理方法と言われています。

また、屋根全体の重量が増すことで耐震性の低下が危惧されます。
新しい屋根材も、耐荷重量の都合上スレート瓦か金属瓦となります。
再び瓦屋根を選ぶことはできません。

【!】カバー工法は、しばしば「画期的な修理工法」として宣伝されることがありますが、ご説明したようにリスクも多い工法です。当サービス・ヌリカエとしては「全体リフォームをしたいが、どうしても予算が足りない場合の選択肢」と考えています。

瓦屋根のカバー工法の費用相場・工程は?

修理内容 既存の瓦屋根をそのままに、新しい下地を打ち付け、新しい屋根材を建てる。
費用相場 80~120万円
工期 5~10日
工事周期 20~30年

「カバー工法」はこんな場合にオススメ


  • ●低予算で屋根の全体修理をしたい
  • ●防音性・断熱性を少しでも高めたい

「カバー工法」はこんな場合には向かない


  • ✔リスクが大きい工事は不安
  • ✔耐震性が下がるのは不安
  • ✔既存屋根にすでに異常がある
  • ✔新しい屋根でも和瓦を使いたい

瓦屋根の「部分修理」のメリット・デメリット

[ 画像出典 ]

瓦屋根の部分修理とは?

部分修理とは、狭い範囲の損傷に適した修理方法です。
表面の瓦だけでなく、下地の野地板、棟瓦や漆喰などの部分の異常を解決できます。

部分修理のメリット・デメリットは?

他の3つの修理方法は、いずれも屋根全体におよぶ工事が発生します。
異常の範囲が狭い場合は、部分修理を選ぶことにより経済的に修理を済まられることメリットです。

ただし、異常部分が狭くとも、屋根瓦や下地の耐用年数が近づいている場合は、「葺き替え」や「葺き直し」を選んだほうがよいでしょう。
異常を修理してもすぐに別のトラブルが起こる可能性が高く、葺き替え・葺き直しで根本解決したほうが経済的だからです。

部分修理と、その他の修理方法を迷うシチュエーションはほぼ無いでしょう。

瓦屋根の部分修理の費用相場や工程は?

部分修理は、部位やトラブルごとにさまざまな種類があります。 下記に、工事の種類と単価の相場を掲載します。
工事内容 価格・単価 工期
棟の取り直し
のし瓦3段程度の場合 10,000円~15,000円/m 1~2日
のし瓦が1段増すごとに 2,000円/m追加 1~3日
漆喰の塗り替え
棟面戸漆喰(片面) 4,000円~5,000円/m 1~5日
土居のし、軒先面戸漆喰 2,000円/m 1~3日
破損瓦の差し替え
1~5枚程度まで 15,000円~20,000円 1~2日
瓦ずれ補修(部分葺き替え)
15㎡以上の場合 2,000円/㎡ 1~3日
15㎡未満の場合 20,000円~ 1~2日
谷板金の交換
15㎡以上の場合 20,000円~ 1~3日

「部分修理」はこんな場合にオススメ


  • ●破損や劣化の範囲が狭い

「部分修理」はこんな場合には向かない


  • ✔下地や瓦の耐用年数が近い

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瓦屋根を修理すべき時期とサインは?

瓦屋根の修理に適切な時期・タイミング

・「新築から20~30年目」で葺き直し ・「新築から50~60年目」で葺き替え ・「雨漏り」や「破損」などの異常があれば、時期を問わずスグ部分修理

 

瓦屋根に限らず、屋根工事は、トラブルが発生してからではなく、防水機能が落ちてくる前に行うのが良いとされています。
その理由は、雨漏りが発生している場合の修理工事よりも、異常が起こる前のメンテナンス工事のほうが安いからです。

 

新築後、最初に瓦屋根の修理を行うタイミングは、下地が耐用年数を迎える20年~30年目が目安[/text]です。
このタイミングで必要な工事の種類は、葺き直しです。

葺き替えをしてからさらに20~30年後、つまり新築から約50~60年目に、今度は和瓦の耐久年数が訪れます。 このタイミングで葺き替えをオススメします。

 

これは、屋根にトラブルがない場合の修理目安です。
雨漏りや瓦の破損・ズレなどの異常がある場合は、時期を問わずにすぐに業者へ修理を依頼してください。

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瓦屋根の修理と一緒にかかる費用

瓦屋根の修理は、屋根工事のなかでも高額な作業になります。
さらに屋根工事は、業者によってどうしても提示費用がバラバラな分野でもあります。
業者から見積もりを取り寄せたあと、書きを参考に費用の内訳をチェックすることをオススメします。

足場代はかならず必要

「ベランダから届く範囲で数枚だけ屋根瓦を交換する」といった局部的かつ特殊な修理でない限り、かならず足場が必要になります。
足場をしっかりと組み立てることで、工事を安全に進められるかが大きく変わります。
どの程度の範囲の屋根を修繕するかにもよりますが、30坪程度の建坪の住宅屋根瓦全体を修理する場合なら、足場代だけで15~20万円ほどかかるでしょう。

瓦代は50~180万円ほど

どの種類の瓦を使うかによって、瓦代は大きく変わります。
一般的な釉薬瓦は1平米あたり5,000~15,000円ほどですので、建坪30坪の屋根なら施工費込みで50~150万円ほどになります。
また、高級和瓦として使用されるいぶし瓦は1平米あたり8,000~18,000円ほどが相場ですので、建坪30坪の屋根なら施工費込みで80~180万円ほど請求されます。

ルーフィング交換は20万円~

ルーフィングを張り替える場合には、20~30万円ほどの費用が請求されます。
漆喰部分に亀裂や剥げなどが見られる場合は、補修箇所と補修面積によってさらに高額の費用が請求されます。

雨漏りチェックにも別途費用が発生する

屋根瓦全体を葺き替えてもらう場合は、雨漏りチェックを別料金で実施する必要はありません。
しかし、部分的に瓦を交換してもらう場合は、瓦のひび割れやルーフィングの劣化を調査するために、任意で雨漏りチェックをしてもらうことがあります。
チェック方法によっても料金が変わりますが、もっとも一般的な散水調査10~30万円ほどの費用が加算されます。

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瓦屋根の修理はDIYできる?

瓦屋根のDIYは不可能ではないが…

部分修繕だけでなく、葺き替えや葺き直し絶対にDIYが不可能というわけではありません。
しかし屋根の修理はプロでも危険が多い、高度な作業です。
素人が行うのは決してオススメできません

以下の注意は、リスクを承知でどうしてもご自分で瓦屋根修理したいという方向けに記します。

瓦屋根の修理をDIYする場合の5つの注意

1. 足場をしっかりと組み立てること

費用を節約するためにDIYをするのに、屋根から転落して大ケガをしては意味がありません。
屋根に上がるときは、かならず安定した足場を作り、無理な姿勢を取らなくても作業ができるようにしておきましょう。

2. 工具を落とさないこと

工具や屋根瓦が転落すると、屋根の下にいる人を傷つけてしまう恐れがありますし、工具や瓦自体が破損する可能性もあります。
修理作業をするときは、工具や瓦が転落しないように充分に注意してください。

3. 劣化している瓦の周辺の瓦もチェックすること

表面的には数枚しか瓦がひび割れていなかったとしても、瓦の裏や重なった部分がひび割れているということがあります。
ご自分で屋根瓦の修理をするときも、修理する瓦だけでなくその周囲の瓦も、裏面や側面を厳しくチェックするようにしてください。

4. 外した瓦の下部分を丁寧に掃除すること

外した瓦の下にほこりや雨露が溜まっていると、ルーフィングや漆喰の劣化につながり、長期的に見れば屋根全体の劣化につながってしまうことがあります。

屋根瓦を外した時は、かならず下部分を丁寧に掃除し、ルーフィングに傷みが発生していないか確認するようにしてください。
ルーフィングが脆くなっているように思われるときは、早めに専門の業者に連絡し、下地部分の修繕や屋根瓦全体の葺き替えをしてもらうようにしましょう。

5. ずれがないように瓦を敷き詰めること

屋根瓦にずれがあると、瓦が滑り落ちたり屋根全体の外観を損なったりすることにもなってしまいます。

修理を終えて瓦を敷き詰めるときは、ずれがないようにきっちりと敷き詰めてください。
特に釉薬瓦やテラコッタ瓦、いぶし瓦などの陶器でできた瓦は焼く時に縮むことがあり、1つずつ微妙にサイズが異なります。

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瓦屋根の修理業者の探し方・決め方

前述の「3. 瓦屋根を修理する前に知っておきたいこと」で触れた、屋根修理の費用が業者によって大きく変わる理由について、補足したいと思います。

それは、同じような坪数の家でも、屋根の形状や傾斜によって面積が大きく変わるため、家の大きさが工事費用の目安にならないからです。

また、業者の得意・不得意により、同じ工事でも見積もり費用が倍近く変わることも珍しくありません。
提案された修理内容がベストな選択肢であるかは、素人には判断がつけられないでしょう。

そこで、我々消費者ができる対策は、できるだけ複数の業者から相見積もりを取り、一番費用や工事内容に納得のいく業者を選ぶことに尽きます。
これにより、コスト的にも効果的にも、最大限満足がいく修理工事に出会う確率を上げることができるのです。

当サービス「ヌリカエ」でも、無料の一括見積りサービスをご提供しています。
他の業者からも見積もりを取り寄せたいという場合に、ご活用いただけると大変幸いです。

 


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