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外壁塗装するといくら?
「シーラー」とは、外壁塗装において最初に塗る「下塗り材」の一種で、英語の「seal(塞ぐ・密封する)」に由来します。
主な役割は、外壁材と上塗り塗料を密着させる「接着剤」としての機能と、傷んだ外壁が塗料を吸い込んでしまうのを防ぐ「吸い込み防止」の機能の2つです。
記事では、シーラーとは何か、シーラの種類や選び方などについて詳しく解説しています。
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監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール |

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」
建築・塗装における「シーラー」とは?
本章では、建築・塗装における「シーラー」の特徴や役割、他の分野で使われる際の意味についてもご紹介していきます。
言葉の意味と2つの主な役割

シーラーとは、外壁や屋根の塗装工事において、中塗り・上塗りの前に必ず塗布される「下塗り用塗料」のことです。
外壁塗装は通常「下塗り・中塗り・上塗り」の3回塗りが行われますが、シーラーはその一番土台となる重要な工程を担います。シーラーには主に以下の2つの役割があります。
シーラーにある2つの役割
- 接着効果(両面テープの役割):塗装面(外壁材)と上塗り塗料の間に立ち、両者を強力に密着させます。シーラーなしで塗料を塗ると、短期間で剥がれる原因となります。
- 吸い込み防止(目止めの役割):劣化してスカスカになった外壁材は、水分を吸収しやすい状態です。そのまま上塗り塗料を塗ると、塗料が下地に吸い込まれてしまい、色ムラや艶引け(ツヤが出ない)が発生します。シーラーが下地に浸透して表面を固めることで、塗料の吸い込みを防ぎます。
「シーラー」という言葉は他の領域でも使われますが、建築・塗装では「下塗り塗料のこと」と覚えておきましょう。
他の分野(お菓子・歯科・車)との違い
「シーラー」という言葉は幅広い分野で使われますが、建築・塗装以外の意味とは明確に異なります。
検索時に混同しやすい主な例は以下の通りです。
| 分野 | シーラーの意味・用途 |
|---|---|
| 建築・塗装 | 塗料の密着性を高める「下塗り材」 |
| お菓子・食品 | 袋を熱で溶着して密封する機械(ヒートシーラー) |
| 歯科 | 虫歯予防のために歯の溝を埋める処置 |
| 自動車 | 鋼板の継ぎ目を埋めて防水する充填剤(ボディーシーラー) |
いずれも「シール(Seal)=塞ぐ、密閉する」という語源は共通していますが、外壁塗装の見積書に記載されている「シーラー」は、あくまで「下塗り用塗料」を指します。
外壁塗装でシーラーを塗らないとどうなる?
「予算を抑えるために下塗りを省きたい」「DIYだから面倒な工程は飛ばしたい」と考える方もいるかもしれません。
しかし、塗装工事においてシーラー(下塗り)を省略することは、もっともやってはいけないタブーの一つです。シーラーを塗らないと、せっかく高い上塗り塗料を使ってもその性能を発揮できず、短期間で見るも無惨な状態になってしまいます。
ここでは、シーラーを塗らなかった場合に具体的にどのような不具合(施工不良)が起きるのかを解説します。
数年で塗装が剥がれる(密着不良)
シーラーを塗らない最大のリスクは、塗装後わずか数年(早ければ数ヶ月)で塗料がボロボロと剥がれ落ちてしまうことです。
塗装においてシーラーは「接着剤」の役割を果たします。接着剤を使わずに、セロハンテープを汚れた壁に貼ろうとしてもすぐに剥がれてしまうのと同様に、シーラーなしで塗った塗料は下地に定着しません。
特に高圧洗浄後の外壁や、古い塗膜が残っている壁は表面が不安定なため、シーラーによる密着強化が必要です。

色ムラやツヤ引けが起きる(吸い込み)
もう一つのリスクは、仕上がりの美観が損なわれることです。劣化してスカスカになった外壁材(サイディングやモルタル)は、スポンジのように水分を吸い込む性質があります。
シーラーで「目止め」をせずに上塗り塗料を塗ると、塗料の成分が下地に不均一に吸い込まれてしまいます。その結果、以下のような現象が起きます。
- 色ムラ:吸い込みが激しい部分とそうでない部分で、色の濃さが変わってしまう。
- ツヤ引け:本来ツヤが出る塗料でも、カサカサのマットな質感になってしまう。
これは単に見栄えが悪いだけでなく、塗膜の厚みが確保できていないことを意味するため、防水性能や耐久性も大きく低下します。
【結論】DIYでも省略は厳禁
自宅のウッドデッキや塀などをDIYで塗装する場合も、原理はプロの工事と同じです。むしろ、木材などの吸い込みが激しい素材ほど、シーラー(木部用下塗り材)の重要性は高まります。
「ホームセンターで買ってきたペンキをそのまま塗る」のではなく、必ず塗装する素材に合ったシーラーを最初に塗ってください。シーラーを塗ることで、上塗り塗料の伸びが良くなり少ない塗料できれいに仕上げることができます。

シーラー・プライマー・フィラーの違い
外壁塗装の見積もりを見ると、「シーラー」ではなく「プライマー」や「フィラー」という名称が記載されていることがあります。「これらは違うものなの?」「自分の家にはどれが必要?」と迷う方も多いでしょう。
実はこれらはすべて、塗装の最初に塗る「下塗り材」の仲間です。名前は違いますが、それぞれ得意な役割や適した外壁材が異なります。
この章では、見積もりの不安を解消するために、これら3つの下塗り材の決定的な違いと、プロがどう使い分けているかを分かりやすく解説します。
【比較表】下塗り材の名称と使い分け

業者や塗料メーカーによって呼び方が変わることもありますが、一般的な役割と使い分けは以下の上記の通りです。
表にまとめると、それぞれ以下のような役割や特徴があります。
| 名称 | 主な役割 | 適した下地(素材) | 塗膜の厚み |
|---|---|---|---|
| シーラー | 吸い込み防止・密着 | コンクリート、モルタル、サイディング | 薄い(水っぽい) |
| プライマー | サビ止め・密着 | 鉄部、金属(ステンレス・アルミ等) | 薄い |
| フィラー | 凹凸補修・ひび割れ埋め | モルタル(ひび割れがある場合) | 厚い(ドロっとしている) |
「シーラー」と「プライマー」は役割が似ていますが、「フィラー」だけはパテのように厚みが出るため、用途が明確に異なります。
シーラーとプライマーの違い
結論から言うと、シーラーとプライマーの役割は「接着剤」としてほぼ同じです。
言葉の定義も曖昧で、メーカーによっては「○○シーラー」と「○○プライマー」を同じ意味で使うこともあります。ただし、現場の慣習として以下のように使い分けることが多いです。
シーラーとプライマーの違い
- シーラー(Sealer):主にコンクリートやモルタルなど、塗料を吸い込む性質がある素材に使われます。「塞ぐ」という意味通り、吸い込みを止める目的が強いです。
- プライマー(Primer):主に鉄部や金属など、吸い込みがない素材に使われます。「Primary(最初の)」という意味で、鉄部のサビ止め塗料などを指すことが一般的です。
見積書にどちらが書かれていても、下地(外壁の素材)に合ったものが選定されていれば問題ありません。
フィラーが必要なケース(デコボコ補修)
フィラー(Filler)は「埋めるもの・詰め物」という意味で、外壁にひび割れ(クラック)や凹凸がある場合に使われます。
シーラーやプライマーがサラサラした液体であるのに対し、フィラーはドロっとした粘度のある材料です。これを厚く塗ることで、細かいひび割れを埋めることができます。
特にモルタル外壁の塗り替えでは、小さなひび割れを埋める機能を持った「微弾性フィラー」がよく使われます。サイディングなどの凹凸が少ない壁には、フィラーではなくシーラーを使うのが一般的です。
シーラーの種類と選び方
シーラーには多くの製品があり、「とりあえずこれを塗っておけばOK」という万能なものはありません。
外壁の素材や現在の劣化状況、そして上に塗る塗料との相性を考えて選ぶ必要があります。もし選び方を間違えると、シーラーが古壁を溶かしてしまったり、逆に弾いてしまったりして、施工不良の原因になりますので注意してください。
ここでは、代表的なシーラーの種類と、プロが実践している選び方の基準を解説します。
水性シーラーと油性シーラーの違い

シーラーは大きく分けて、水で希釈する「水性タイプ」と、シンナーなどの溶剤で希釈する「油性(溶剤)タイプ」の2種類があります。
近年は環境配慮や近隣へのニオイ対策から「水性シーラー」が主流になりつつあります。しかし、水性は油性に比べて浸透力が弱いため、ボロボロに劣化した外壁には向きません。
劣化が激しい場合は、強烈なニオイがあっても、ガッチリと下地を固めてくれる「油性シーラー」を選ぶ必要があります。

下地の状態に合わせた選び方

シーラー選びで最も重要なのは、現在の外壁の状態(劣化度合い)です。プロは現場調査で壁を触って確認し、このような基準で選定します。
チョーキング現象は分かりやすいですが、水性塗料が使われているかどうかは見た目での判断は難しいです。そのため、特別な理由がない限りは業者による判断に任せる方が安心となります。

機能性シーラー(遮熱・防カビ・ヤニ止め)

単に接着させるだけでなく、特殊な機能を持ったシーラーも存在します。目的に応じてこれらを使い分けることで、リフォームの質を上げることができるでしょう。
また、これら機能をもつシーラーは相場よりも高くなる傾向にあります。外壁全体に塗る場合、単価によって費用が大きく左右されますので注意してください。

まとめ:見積もりで「シーラー」を確認しよう
この記事では、外壁塗装における「シーラー」の役割と重要性について解説してきました。専門用語なので難しく感じるかもしれませんが、要は「塗装を長持ちさせるための接着剤」です。
どんなに高価で高性能なシリコンやフッ素塗料を上塗りしても、この土台となるシーラーが適切に塗られていなければ、本来の寿命を全うすることはできません。
最後に、改めて記事の要点を振り返り、失敗しない工事にするためのチェックポイントを確認しましょう。
記事の要点整理
- シーラーは、外壁材と塗料を密着させる「接着剤」であり、塗料の吸い込みを防ぐ「目止め」の役割も持つ。
- 見積書では「プライマー」と書かれることもあるが、鉄部用などを除き、役割はほぼ同じである。
- 外壁にひび割れや凹凸がある場合は、厚みのある「フィラー」が使われることもある。
- シーラーを省略すると、数年で「塗装の剥がれ」「色ムラ」といった深刻な施工不良を招く。
- 外壁の劣化状況に合わせて、「水性」か「油性」かを選ぶ必要がある。
優良業者は下塗りを重視する
塗装工事の品質は「下塗りで決まる」と言っても過言ではありません。そのため、優良な業者は必ず現場調査で外壁の状態を細かくチェックし、どのシーラーを使うべきかを慎重に選定します。
逆に見積もりに「下塗り一式」としか書かれていなかったり、なぜそのシーラーを選んだのか説明できなかったりする業者は注意が必要です。契約を結ぶ前に、「うちの外壁にはどのタイプのシーラーを使いますか?」「なぜその種類なのですか?」と質問してみてください。
もし、業者の説明に納得がいかなかったり、見積もり内容に不安を感じたりした場合は、第三者の専門家に相談することをおすすめします。

