外壁材や窓サッシとの隙間を埋めるコーキングは、雨水や汚れが内部に入らないようにする重要な役割があります。そのため、ひび割れなどの劣化が見られたら新しいコーキングを入れるタイミングです。
しかし、外壁のコーキング補修を検討している方のなかには「コーキングにかかる費用相場はいくら?」「コーキングの劣化症状には何がある?」といった疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、工法別のコーキングの補修費用を工法別にご紹介するとともに、業者に依頼する場合とDIYで行う場合の費用やメリット、デメリットの比較などについて詳しくご紹介しています。
また、補修すべき劣化症状などについて詳しく解説していますので、外壁のコーキング補修をお考えの方の参考となれば幸いです。
- コーキング補修には「増し打ち工法」と「打ち替え工法」の2つがある
- 増し打ち工法の費用は25万〜33万円、打ち替え工法の費用は 29万〜39万円が相場
- コーキングにひび割れや剥がれ、厚みがなくなってきたら交換のタイミング
![]() |
監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁コーキングの費用相場を工法別で比較!
外壁のコーキング補修には、「増し打ち工法」と「打ち替え工法」の2つがあります。
どちらの工法で補修するかによって費用が異なりますので、ここでは工法別にコーキングの補修費用をご紹介していきます。
以下は、増し打ち工法と打ち替え工法の単価と工事総額をまとめた比較表です。なお、総額は一般的な戸建ての広さである30坪住宅を基準にしたものになります。
データ出典:「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより
コーキング工事はメートル単価で算出されることが多く、つなぎ目の長さの単位に応じて費用が決まります。
ここからは、打ち替え工法と増し打ち工法の費用相場についてそれぞれ詳しくご紹介していきます。
増し打ち工法の費用相場
詳細 | 増し打ち工法 |
---|---|
単価(m) | 500〜700円/m |
工事費用 | 10万〜14万円 |
足場代 | 15万円前後 |
総工費 | 25万〜33万円 |
今回は、継ぎ目の長さが計200mの一般的な住宅を例にシュミレーションを行っていきます。
単価は500~900円/mで、継ぎ目の長さが200m。これらの項目を計算すると、
500~700円/m(単価)×200m(継ぎ目の長さ)
=10万円~14万円(工事費用)
となります。
なお、コーキングだけを依頼する場合は足場設置費用分の15万円前後がプラスされるので、総工費は25万円~33万円となります。
打ち替え工法の費用相場
詳細 | 打ち換え工法 |
---|---|
単価(m) | 700〜900円/m |
工事費用 | 14万〜24万円 |
足場代 | 15万円前後 |
総工費 | 29万〜39万円 |
こちらも同様に、継ぎ目の長さが計200mの一般的な住宅を例にシュミレーションを行っていきます。
単価は700~900円/mで、継ぎ目の長さが200m。これらの項目を計算すると、
700~900円/m(単価)×200m(継ぎ目の長さ)
=14万円~24万円(工事費用)
となります。
なお、コーキングだけを依頼する場合は、架設足場設置費用の15万円も上乗せされるため、総工費は25万円~33万円となります。
また打ち替え工法の場合、既存コーキング材の撤去費用として約1~3万円を別途で請求される可能性があります。
増し打ち工法と打ち替え工法はどっちがいい?
増し打ち工法と打ち替え工法の費用が分かったところで「ではどっちの工法を選んだらいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、各工法について費用以外の切り口で詳しく比較してみたいと思います。
以下は、増し打ち工法と打ち替え工法におけるメリットとデメリット、おすすめの人と費用総額を比較した表です。
増し打ち工法 | 打ち替え工法 | |
---|---|---|
メリット | ・打ち替え工法より費用が安い ・DIYでもできる |
・増し打ち工法より耐久性が低い ・密着性が高く雨漏りの心配などが少ない |
デメリット | ・耐久性は古いコーキング材の状態に依存する ・本来のコーキングの寿命を下回る可能性がある |
・増し打ち工法より費用が高い ・DIYでの施工は難しい |
おすすめな ケース |
・既存のコーキングの劣化が軽微 ・部分的な補修をする場合 |
・既存コーキング材の劣化が進んでいる場合 ・塗装も一緒にする場合 |
費用総額 | 25万円〜33万円 | 29万〜39万円 |
増し打ち工法の特徴
増し打ち工法は、既存のコーキングの上から新しいコーキングを重ねて施工する方法です。
作業が比較的簡単で費用も抑えられるのがメリットとなります。手の届く範囲やの補修あれば、DIYで直すこともできるでしょう。ホームセンターなどでは、外壁に使えるコーキング材を買うことができます。
一方で、既存のコーキングの劣化が進んでいると、密着性が弱く隙間ができてしまいます。そのため、せっかくコーキングを充填してもまたすぐに劣化してしまう可能性が高いです。
増し打ち工法は、既存のコーキングがそこまで劣化していない場合や、部分的な補修にとどまる場合に検討されます。
打ち替え工法の特徴
打ち替え工法は、古いコーキングを剥がして新しいものに交換する方法です。
コーキング完全に新しくするため、耐久性が大きく向上します。ただし、使用するコーキング材が多くなることや施工に手間がかかる分、費用は増し打ち工法より高めです。
既存のコーキングの劣化が進んでいる場合や、外壁塗装も一緒に行う場合は打ち替え工法が良いでしょう。
コーキング費用は業者とDIYでどのくらい違う?
外壁のコーキング補修はDIYでも行うことができます。しかし、「仕上がりの美しさ」や「施工後の安心感」を考えると、業者に依頼した方が良いのでは?と迷っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、以下に業者依頼とDIYそれぞれのメリット・デメリット、費用の目安をまとめた比較表をご用意しました
コーキング補修をどちらの方法で行うか検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
業者 | DIY | |
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
費用 | 5万円〜30万円 | 1万円〜5万円 |
メリット | ・仕上がりが美しい ・保証やアフターフォローがある |
・費用の節約になる ・自分の都合に合わせて作業できる |
デメリット | ・DIYに比べて費用が高い ・10万円以上かかる場合もある |
・綺麗に仕上げるのは難しい ・高い場所の補修は難しい |
データ出典:費用は「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより
続いては、それぞれの方法についてその費用からデメリットまで詳しくご紹介します。
コーキング補修を業者に依頼する場合
以下が、コーキング補修を業者に依頼する場合の費用とメリット、デメリットになります。
業者 | |
---|---|
![]() |
|
費用 | 5万円〜30万円 |
メリット | ・仕上がりが美しい ・保証やアフターフォローがある |
デメリット | ・DIYに比べて費用が高い ・10万円以上かかる場合もある |
データ出典:費用は「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより
業者にコーキング補修を依頼した場合の費用は、おおよそ5万円〜30万円程度と幅があります。建物の規模や劣化の進行度、使用する材料によって変動しますが、DIYと比較すると高くなるでしょう。
ただし、プロによる施工は仕上がりが美しく、施工後に保証やアフターフォローがつくことも多いため安心感があります。「仕上がりの品質やしっかりと外壁の耐久性を回復させたい」とお考えの方は、業者に依頼するのがおすすめです。
コーキングをDIYする場合
以下が、コーキング補修をDIYで行う場合の費用とメリット、デメリットになります。
DIY | |
---|---|
![]() |
|
費用 | 1万円〜5万円 |
メリット | ・費用の節約になる ・自分の都合に合わせて作業できる |
デメリット | ・綺麗に仕上げるのは難しい ・高い場所の補修は難しい |
データ出典:費用は「ヌリカエ」が行った2025年5月のデスクリサーチより
DIYでコーキング補修を行う場合、費用は1万円〜5万円程度に抑えられます。材料や道具を揃えるだけで済むため、予算を重視する方にとっては大きなメリットです。
また、自分の都合に合わせて作業できるため、時間の調整がしやすいのも魅力です。しかし、均一に綺麗に仕上げるには技術が必要であること、高所作業は危険を伴うため難しい点に注意してください。
コーキング補修は外壁全体が対象なるケースが多いため、手の届く一部分の補修でない限りは業者に依頼することをおすすめします。
外壁コーキングを業者に依頼した方がいいケース
外壁のコーキングを、業者に依頼する場合とDIYで行う場合とで比較してきました。
DIYの方が費用は抑えられますが、仕上がりが安定しにくいといったデメリットがあります。そのため「お金はかかるけど業者に依頼した方がいいのかな?」とお悩みの方は多いでしょう。そこでまずは、業者に依頼するのがおすすめなケースについて詳しくご紹介します。
外壁コーキングを業者に依頼した方がいいケース
- ① 築10年を過ぎている場合
- ② 仕上がりにこだわる場合
- ③ 手の届かない箇所の作業になる場合
築10年を過ぎている場合
お住まいが築10年を過ぎている場合、外壁コーキングの補修は専門業者に依頼した方が良いでしょう。一般的に、コーキング材の耐用年数は10年前後です。そのため、築10年を過ぎているのであればコーキングの大部分を補修しなければならない可能性があります。
コーキングの劣化が広範囲に及んでいたり、ひび割れが深かったりする場合、すべての範囲をDIYでの対応することは難しいでしょう。
また、築10年を過ぎた外壁は塗膜の劣化が進んでいるケースも多く、足場を組むなら一緒にメンテナンスを行う方が長期的に見て効率的かつ経済的です。
仕上がりにこだわる場合
コーキングの仕上がりは、外壁の美観だけでなく、防水性能や耐久性にも直結します。補修後の見た目の美しさや長期的な機能維持にこだわりたいのであれば、専門業者への依頼がおすすめです。
サイディングの凹凸に合わせたマスキングや、サッシ廻りの複雑な形状の箇所の施工はDIYではなかなか難しい部分でしょう。自分で挑戦してムラができたり、すぐに剥がれてしまったりするとかえって費用や手間がかかることもあります。
コーキング補修において早くかつ確実な方法は、業者に施工してもらうことでしょう。
手の届かない箇所の作業になる場合
2階部分や屋根に近い箇所など、ご自身の手の届かない高所のコーキング作業は専門業者に依頼してください。高所作業には常に転落・落下の危険が伴うため、安全性の観点から避けた方が良いでしょう。
専門業者は、安全基準に基づいた足場の設置や安全帯の使用など、作業員の安全管理を徹底して行います。不安定な脚立での無理な作業は非常に危険です。
安全確保と確実な施工のためにも、手の届かない箇所の施工になりそうな場合は業者に任せるようにしましょう。
外壁コーキングをDIYした方がいいケース
続いで、外壁コーキングをDIYした方がいいケースをご紹介します。
現実的には、DIYでの補修は限られたケースのみでできる作業です。
外壁コーキングをDIYした方がいいケース
- ① 一部分の補修にとどまる場合
- ② 「応急処置」として行う場合
一部分の補修にとどまる場合
コーキングの劣化が一部分範囲に限られており、かつ地上から安全に手が届く低い箇所であれば、DIYでの補修もできるでしょう。
たとえば、1階の窓枠部分や玄関周りの一部の肉痩せなど、作業範囲が限定的であれば、比較的少ない材料と手間で対応できる可能性があります。ホームセンターなどでも買えるコーキング材やマスキングテープ、ヘラなどを用意すれば、費用を抑えて補修することも可能です。
劣化が広範囲に及んでいる場合、DIYでは対処は難しくなります。また、正しい手順で施工しないと早期の剥がれや防水性が低下する可能性もあるため、施工方法をよく調べた上で無理のない範囲で行うことが重要です。
「応急処置」として行う場合
台風シーズン前や、すぐに専門業者を手配できない状況で一時的にでも補修したい場合などは「応急処置」としてDIYでコーキング補修を行う場合があるでしょう。
ただし、この場合はあくまで本格的な修理を行うまでの「つなぎ」のため、できるだけ早く業者に見てもらうに必要があります。
DIYによる応急処置は、プロの施工に比べて耐久性や防水性が劣る場合が多く、根本的な解決にはなりません。応急処置後は専門業者に補修してもらうようにしましょう。
コーキング補修が必要な劣化症状・寿命
コーキングは、気候、天候などの気象条件や、建物の立地など外部要因によって劣化が進行します。
劣化が進むと、最終的にはつなぎ目に大きな亀裂が発生します。
外壁の安全性を保つため、下記のような症状が発生している場合は補修・メンテナンスを行いましょう。
ひび割れ

外壁のコーキングは、紫外線を浴び続けることで、ひび割れを起こしてしまいます。 コーキングに含まれている可塑剤(かそざい)と呼ばれる成分は、紫外線によって気化します。
この現象によりコーキング自体の伸縮性が喪失し、ひび割れの原因となります。
可塑剤が表面に浮き出てくると、コーキングが柔らかさを失い、その結果、硬くなってひび割れを起こしてしまうのです。
剥がれ

外壁のコーキングの欠落や剥離は、ひび割れがより進行することによって生じます。 また外壁にコーキングをする際、プライマーと呼ばれる塗料が十分塗布されていないとしっかりと接着されずにコーキングが剥がれてしまうというケースもあります。
肉やせ
肉やせは、外壁材の間に重鎮するコーキングの量が少なすぎることが原因で発生する症状です。
コーキング材に寿命が来たこと、または前述した可塑剤が表面に浮き出ることによって、肉やせが発生するケースもあります。
寿命
コーキングに、ひび割れ・隙間・はがれが生じていれば交換時期を迎えているサインです。
建物周辺の気候や立地条件によって異なりますが、10年がおおよその寿命となります。
しかし、コーキングの上に塗装された継ぎ目や、高所の継ぎ目は目視で状態を確認できないかもしれません。現時点でコーキング工事を行うべきかどうか判断に迷う場合は、外壁の無料診断を行っている業者に点検を依頼してみましょう。
外壁のコーキング工事で注意したい3つのポイント
コーキング工事だけでも、費用は10万円以上も必要になります。高額な費用を無駄にしないためにも、3つのポイントを確認しましょう。
施工不良
コーキングが間違った仕方で施工されている場合、耐用年数よりも早く劣化が始まります。
例えば…
- 「プライマー」と呼ばれる下塗り材の塗布が不十分な状態でコーキングを充填すれば、外壁材の間に剥離が生じる。
- 「ハットジョイナー」と呼ばれるコーキングの下地になる部材の施工が不適切。
- コーキングに十分な厚みがない。
- コーキングの選択を間違える。
このような場合、コーキング材が欠落する恐れがあります。
適切に施工できる技術とノウハウを持つ優良業者を選ぶことにより、このような問題を回避できます。
コーキング工事のタイミング
コーキング工事は、劣化に気づいてから工事を始めると余計な費用がかかってしまいます。
もちろん、コーキング工事のみでも業者は対応してくれますが、以下のようなデメリットが発生します。
- コーキング工事のみでも、架設足場を設置する必要があるため余計な費用がかかる。
- 施工したコーキングは紫外線を直に受け、塗装と同時に行うよりも劣化が早い。
- 塗装されていない継ぎ目はデザインを損なう。
上記のようなデメリットがあるため、余裕がある場合は塗装と同時に行いましょう。
塗装を同時に行うことで、費用を節約し、コーキングを長持ちできますよ。
信頼できる業者を選ぶ
コーキング工事を行う場合は、信頼できる業者に依頼しましょう。業者を選ぶときは、以下のような選択肢があります。
ハウスメーカー・リフォーム専門店
あなたが住んでいる住宅を設計・施工したハウスメーカーや、住宅に関する工事全般を請け負うリフォーム専門店であれば、コーキングのみの工事も相談に乗ってくれるでしょう。ただし、もし依頼した場合は中間マージンによって費用が高くなってしまう点も覚えておきましょう。
シール工事・防水工事専門店
コーキング工事は防水工事にあたるため、高い技術力を期待できるのはシール工事・防水工事専門店です。専門的な技術とノウハウを有しているため高い品質を期待できますが、高額になる傾向があります。また業者の数もリフォーム専門店や塗装工事専門店に比べて少なく、見つけにくいでしょう。
屋根・外壁塗装業者
外壁塗装リフォームは屋根塗装やコーキング工事、防水工事などと合わせて施工するケースが多くです。そのため、塗装会社の多くは防水工事やコーキング工事も総合的に請け負っています。
「コーキングの専門家」が在籍しているかどうか
実は外壁のコーキング工事は「防水施工技能士」という国家資格が存在します。
この資格は1級と2級があり、1級防水施工技能士の資格試験には7年以上の実務経験が求められるため、有資格者には高度な施工品質を期待できます。そして、外壁塗装リフォーム専門店の中には、防水施工技能士が在籍している会社が多く存在します。
コーキング工事は有資格者でなくても施工できますが、信頼できる業者を探すためにも、防水施工技能士を探してみてはいかがでしょうか?
▼「業者の選び方」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
まずは優良業者に診断を依頼してみましょう!
コーキング工事に失敗すると、水漏れやひび割れ、さらに外壁のデザイン性が損なわれます。
コーキングの劣化症状を見つけたら、早めに業者へ依頼しましょう。