塗装工事が終わったばかりなのに、外壁の色がまだらに見える…それは「塗装ムラ」かもしれません。
本記事では塗装ムラが発生した場合の正しい対処法から相談先までを解説しています。
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後悔しない対応のために、ぜひ最後までご覧ください。。
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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塗装ムラを見つけたら最初に行う2つのこと
外壁塗装が終わったばかりなのに、色がまだらだったり、光の当たり方でムラが見えることがあります。
ムラを発見した場合は「ムラの状態の記録」と「ムラの種類の確認」を行うことが大切です。
ムラの状態を記録する
塗装ムラに気づいたら、状態の記録を行いましょう。
まずはスマートフォンなどで、ムラが確認できる箇所を複数枚撮影します。
可能であれば異なる時間帯や光の角度でも撮影すると、より分かりやすい記録になります。また、発見した日付・天候・塗装からの日数などもメモしておくと、後で相談する際に非常に役立ちます。
記録を残すことで、施工業者にムラの状況を正確に伝えることができ、責任の所在や補修の必要性を正確に判断する材料になります。
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記録がなければ「気のせい」や「施工後に何かあったのでは」と判断されかねないので、冷静に証拠を残すことが何より重要です。
ムラの種類を確認する
塗装ムラと一口に言っても、種類によって原因や対応方法が異なります。代表的な塗装ムラは、「色ムラ」「艶ムラ」「乾燥ムラ(乾きムラ)」の3つです。
それぞれの違いは以下の表の通りです。
ムラの種類 | 特徴 | 主な原因 | 対応方法 |
---|---|---|---|
色ムラ | 塗料の色が場所によって違って見える | 塗布量の差、塗り重ね不足 | 再塗装や部分補修で色を均一に整える |
艶ムラ | 光の加減でツヤの有無に差がある | 塗料の乾き方、下地処理の不備 | 状況に応じて再塗装または研磨と再仕上げ |
乾燥ムラ(乾きムラ) | 一時的に色やツヤにムラがあるが時間とともに馴染む | 乾燥中の湿度や温度、施工直後の状況 | 数日様子を見る。改善しなければ業者に相談 |
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ムラの見た目がどのタイプに近いかを確認しておくと、業者に相談する際に状況を的確に伝えやすくなります。
塗装ムラの主な原因
塗装ムラは見た目の問題だけでなく、仕上がりの品質や耐久性にも関わる重要な問題です。
塗装ムラの主な原因としてよくある3つのケースを紹介します。
施工内容にミスがある
塗料メーカーの規定を守っていない
職人の技術不足
塗装ムラの原因の一つが、職人の技術不足です。
たとえば、塗装の厚みが均一になっていなかったり、ローラーの使い方にムラがあったりすると、仕上がりにばらつきが出やすくなります。
また、下地の状況に応じて塗料の粘度や量を調整する技術が不足していると、乾きムラや色ムラが発生しやすくなります。
経験豊富な職人であれば、気温や湿度、素材の状態を見極めながら最適な施工を行えますが、経験の浅い職人や教育が行き届いていない業者では、このような技術的なミスが起こりがちです。
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塗装は見た目以上に繊細な作業であるため、職人の腕が仕上がりを大きく左右します。
施工内容にミスがある
塗装工事において工程そのものにミスがあると、どれだけ良い塗料を使っても塗装ムラが起きてしまいます。
たとえば、高圧洗浄が不十分なまま塗装を始めると、汚れやカビが下地に残り、塗料の密着不良を引き起こします。
また、下塗り・中塗り・上塗りといった各工程の乾燥時間を守らずに進めると、表面がまだらになる可能性が高まります。
塗装は「塗る」こと自体よりも、事前準備と工程管理が非常に重要なためです。施工マニュアルやチェックリストに沿って、丁寧に作業を進めているかどうかが、ムラの有無を左右する大きなポイントになります。
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現場での確認不足や作業の省略が、結果としてムラにつながることは少なくありません。
塗料メーカーの規定を守っていない
たとえば、指定された乾燥時間や塗布量、希釈率を無視すると、塗料本来の性能が発揮されず、ムラが発生しやすくなります。
特に気温や湿度に応じた作業のタイミングを調整せずに進めた場合、乾燥不足や色ムラが顕著に出てきてしまいます。
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コストや作業効率を優先するあまり、こうした基本的な取り決めを軽視する業者は残念ながら存在します。
塗装ムラは業者に対応してもらえる?
塗装ムラを見つけたとき、「これはやり直してもらえるのか?」「クレームを入れてもいいのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。
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実際に業者が対応してくれるかどうかは、いくつかの条件によって異なるため、対応してもらえるケースに当てはまるかを確認しましょう。
対応してもらえるケース
塗装ムラが業者の施工ミスによるものであれば、補修や再塗装といった対応をしてもらえるケースが多いです。
たとえば、塗り重ね不足や乾燥不良、下地処理の不備などが原因で明らかに仕上がりが不均一な場合、これは施工不良とみなされ、業者が無償で対応することもあります。
また、契約書や保証書に「仕上がり不良に対する保証」が記載されている場合、その内容に基づいて再施工が受けられる可能性があります。
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こうしたケースでは、ムラの状態を記録した写真や、発見時の状況を伝えることでスムーズな対応につながるでしょう。
対応してもらえないケース
塗装ムラがすべて業者に対応してもらえるわけではありません。
たとえば、施工から時間が経過している場合や、保証期間を過ぎている場合には、無償対応の対象外になることがあります。
また、軽度な艶ムラなど、見た目にわずかな違和感がある程度で性能に問題がないと判断される場合も、業者側が補修対応を断ることがあります。
さらに施主自身がDIYで補修を試みた結果、ムラが悪化したケースでは、責任の所在が不明確になり、保証が受けられないこともあります。
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対応の可否はムラの原因や契約内容によって左右されるため、まずは冷静に状況を整理し、写真とともに相談することが大切です。
塗装ムラの直し方
塗装ムラを見つけた場合、そのまま放置してしまうと劣化が進みやすく、家の寿命にも影響を及ぼす可能性があります。
状況に応じて「施工業者への依頼」または「第三者機関への相談」という2つの選択肢が存在します。
塗装業者に依頼する
塗装ムラが見つかったとき、まず検討すべきは施工を担当した業者への連絡です。
特に施工直後で、明らかに塗りムラ・艶ムラ・乾きムラなどが確認できる場合は、業者側で補修対応をしてくれる可能性が高くなります。
契約書や保証書を手元に用意し、ムラの状態が分かる写真を添えて相談しましょう。多くの塗装業者は、一定の保証期間を設けており、その範囲内であれば再塗装や部分補修が無償で行われます。
ただし、業者によって対応範囲や判断基準が異なるため、あいまいな対応をされた場合は、遠慮せずに具体的な根拠や対応内容を確認することが大切です。
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対応が誠実な業者ほど、こうした問い合わせにも丁寧に応じてくれます。
第三者機関に相談する
万が一、業者が対応を拒んだり、話し合いが進まない場合は、第三者機関に相談するという選択肢もあります。
各自治体には「国民生活センター」が設置されており、塗装工事に関するトラブルについても無料で相談に乗ってくれます。
また、住宅瑕疵担保責任保険に加入していた場合は、「住宅あんしん保証」や「JIO(日本住宅保証検査機構)」などの保険法人へ問い合わせも可能です。
こうした機関では、専門家による現地調査や施工不良の有無を判断してもらえるケースも少なくありません。
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第三者機関を利用することで、主観ではなく客観的な視点から問題点を指摘してもらえるため、トラブルがこじれる前に対応できる可能性が高まります。
塗装ムラを防ぐための業者の選び方
工事後に塗装ムラによって後悔しないためにも、信頼できる業者を見極めるポイントを押さえておくことが大切です。
主なポイントは以下の4点です。
見積もりの内訳がされているかを確認する
相見積もりをとって適正な料金かを確認する
質問に適切に解答してくれるかを確認する
地元での実績を確認する
地域密着型の塗装業者は、その地域の気候や建物の傾向を把握しており、適切な塗料や施工方法を提案してくれる可能性が高いです。
また、地元で多くの施工実績がある業者は、近隣の口コミや紹介も得やすく、トラブルが起きにくい傾向があります。
会社のホームページやチラシだけでなく、「〇〇市 塗装 業者 口コミ」などで検索して、Googleレビューや施工事例をチェックするのもおすすめです。
施工写真が豊富で、コメント付きの事例紹介がある場合は、信頼性の高い業者といえるでしょう。
見積もりの内訳がされているかを確認する
見積もりの内訳が明確かどうかも、塗装業者を選ぶうえで重要なポイントです。
塗料代、養生費、足場代、下地処理費などが「一式」とだけ書かれている見積もりは、施工内容が不透明で、あとから追加費用が発生するリスクがあります。信頼できる業者は、どの工程にどれだけの費用がかかるのかを細かく説明してくれます。
見積もり段階で丁寧な説明がある業者ほど、実際の施工でも手を抜かず、トラブルが起きた際の対応も誠実なケースが少なくありません。
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見積もりは単なる金額比較ではなく、業者の誠実さを見るための判断材料でもあります。
相見積もりをとって適正な料金かを確認する
1社だけでなく、複数の業者から見積もりをとる「相見積もり」を行うことで、料金の相場や各社の特徴を把握できます。
相見積もりによって、極端に高額な業者や、逆に不自然に安い業者を避けられるためです。
注意点としては価格だけで判断せず、「何にいくらかかっているのか」「保証の内容はどうか」なども比較することです。
また、見積もりを出してもらう際に、現地調査を丁寧に行ってくれる業者かどうかも確認しておくとより安心できます。
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相見積もりを通じて、誠実な対応をしてくれる業者に出会える確率は確実に高まります。
質問に適切に解答してくれるかを確認する
質問に対して誠実かつわかりやすく回答してくれるかどうかも大切なポイントです。
たとえば、「この塗料の特徴は?」「ムラが出にくい施工方法とは?」といった質問に対し、専門用語ばかりで回答をしたり、明確な答えを避けたりするような業者は注意が必要です。
素人にもわかるように丁寧な説明を行い、必要に応じて資料や施工写真を見せてくれるような業者は信頼性が高いといえます。小さな疑問をしっかり解消してくれるかどうかは、施工中・施工後の対応にも表れます。
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安心して任せられる業者かどうかを見極めるためにも、事前のやり取りを大切にしましょう。
塗装ムラをDIYするのはダメなのか?
結論からいえば、DIYによる塗装ムラの補修はおすすめできません。
なぜなら、ムラの原因を正確に判断し、適切な塗料や施工方法を選ぶには専門的な知識と技術が必要だからです。
また、間違った塗料の選定や不適切な塗り方をしてしまうと、ムラがさらに悪化したり、下地を傷めたりすることにもつながります。
さらに、DIYで手を加えてしまうことで、業者の保証対象外となる可能性もあります。
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ムラを見つけたら、自己判断せず、まずは専門業者に相談するのが最も確実で安心な対応方法です。
まとめ
塗装ムラは見た目だけでなく、住宅の保護性能にも関わる重要な問題です。
もし塗装後にムラを見つけた場合は、写真などで状態を記録し、まずは施工業者に相談しましょう。原因が施工ミスであれば、無償で補修してもらえるケースもあります。
また、業者とのやりとりが難しい場合は、消費生活センターなどの第三者機関に相談することも検討しましょう。
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ムラを見つけても慌てずに一個ずつ手順を踏んでいくことが大切です。