外壁塗装の見積もりを業者からもらい、予想を超えた金額に驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。外壁塗装の金額が高い理由にはいくつかの要因があり、ポイントさえ抑えておけば、納得のいく値段で外壁塗装を依頼できるようになります。
本記事では、外壁塗装の坪数別の相場から高いと言われる理由から、費用が高いかを確認する方法、悪質業者と優良業者の違いの比較までを解説していきます。
外壁塗装の費用が高いかを確認!坪数別の相場一覧
弊社ヌリカエにおいて、2023年11月~2024年11月の1年間で外壁塗装を施工した3,111件より、坪数別の相場の比較を以下にまとめました。
延べ坪数 | 塗装面積 | 費用相場 |
---|---|---|
10坪 | 40㎡ | 70万円~80万円 |
20坪 | 79㎡ | 80万円~100万円 |
30坪 | 119㎡ | 90万円~110万円 |
35坪 | 139㎡ | 95万円~115万円 |
40坪 | 158㎡ | 100万円~120万円 |
50坪 | 198㎡ | 105万円~125万円 |
60坪 | 238㎡ | 120万円~140万円 |
データ出典:当サービス「ヌリカエ」2023年11月~2024年11月の1年間で、外壁塗装を施工した3,111件より
坪数別に外壁塗装の費用相場を確認すると、10坪で70万円~80万円、20坪で80万円~100万円、30坪で90万円~110万円、35坪で95万円~115万円、40坪で100万円~120万円、50坪で105万円~125万円、60坪で120万円~140万円程度となっています。
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一般的な住宅は約30坪程度になるので、100万円前後が相場になると考えておくとよいでしょう。
もちろん上記の表はあくまでも相場になるため、グレードの高い塗料を使っていたり、塗装面積が広くなったりすると金額は相場よりも高くなることもあります。まずは、極端に見積もりの金額と想定されている相場の金額に乖離がないかを確認してみてください。
外壁塗装の費用相場についてのより詳細な解説は、以下の記事よりご確認ください。
外壁塗装の費用が高くなる理由
外壁塗装の費用が高くなる理由は施工内容にあります。具体的な外壁塗装の工程と単価相場は以下の通りです。
<外壁塗装の工程と単価相場>
内訳(工程名) | 概要 | 単価相場 |
---|---|---|
仮設足場工事 | 塗装をするうえでの足場の設置工程 | 700円~900円/㎡ |
飛散防止ネット | 塗料が塗装現場から飛び散ってしまうことを防ぐための工程 | 100~200円/㎡ |
高圧洗浄 | 塗装工事に入る前に壁を水で洗浄する工程 | 150~300円/㎡ |
下地補修 | 塗装する箇所の下地を整え、外壁塗装を長持ちさせるための工程 | 500円~1,000円/㎡ |
下塗り(外壁塗装) | 外壁の下地と上塗り塗料をうまく接合させるための工程 | 600円~1,000円/㎡ |
中・上塗り(外壁塗装) | 実際の塗装工程 | 800円~4,000円/㎡ |
コーキング処理 | サイディングボードの間の目地の部分の補修工程 | 500円~1,000円/㎡ |
付帯塗装 | 住宅の壁と屋根以外の箇所(付帯部)の塗装工程 | 500円~1,500円/㎡ |
諸経費 | 塗装工事で発生したゴミの処理や職人の交通費など | 10~20% |
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外壁塗装は単純に外壁を塗るだけではなく、足場の設置から洗浄、塗装後の検査まで約2週間ほどの期間をかけて実施します。
なお、外壁塗装の下塗り、上塗りは使用する塗料のグレードによって変わってきます。一般的に住宅に利用される塗料は「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」の4つです。
それぞれの塗料の費用相場は、以下の通りです。
<塗料のグレード別費用相場>
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5~7年 | 1,500円/㎡ |
ウレタン塗料 | 7~10年 | 1,950円/㎡ |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2,300円/㎡ |
フッ素塗料 | 15年~20年 | 4,300円/㎡ |
耐用年数や塗料を高機能のものを選択すると、必然的に金額も上がっていきます。
外壁塗装の費用が高いかと感じた場合の確認ポイント
見積もりを提示された際など、提示された金額が高いかどうかを確認するためには、「外壁塗装の費用相場と大きく離れていないか」「相見積もりをとっても金額に差はないか」「見積書の内容は詳細に記載されているか」の3点を確認することが大切です。
相見積もりをとっても金額に差はないか
見積書の内容は詳細に記載されているか
外壁塗装の費用相場と大きく離れていないか
手元に見積書があれば、提示された金額と本記事の1章で示した費用相場を比較してみてください。
比較した結果、相場よりもかなり高額な場合は、不当に高い可能性があります。
一般的な30坪程の住宅であれば、費用相場は100万円前後です。しかし、提示された見積もりが200万円を超えているなどした場合は、かなり高額であると判断できます。
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もちろん必ずしも不当な金額であるとは限りません。グレードの高い塗料を使っていたり、塗装面積が想定よりの広くなったなどが要因で高くなっている可能性もあります。
相場の金額と乖離がある場合には、「なぜ高いのか?」を確認する必要があります。
相見積もりをとっても金額に差はないか
最初に見積もりを依頼した業者だけでなく、ほかの会社にも見積もりを依頼し、相見積もりをすることで金額高いかどうかを比較できます。
他社でとった見積もりも同じような金額であれば、提示されている外壁塗装の費用は妥当であると判断できます。
また、相見積もりの際は総額に加えて「どの項目にどれくらいの金額がかかっているのか」「塗料製品はなにを使用するのか」「塗装面積に違いはないか」なども確認するようにしましょう。
見積書の比較ポイントなどは、以下の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。
見積書の内容は詳細に記載されているか
見積書は「総額」だけではなく、「費用内訳」もきちんと確認することが大切です。
たとえば、以下のような記載がされているかで、詳細な見積書であるかを判断できます。
塗料の数量や使用面積が明記されているか
その他、一式などの不明瞭な記載がないか
金額の内訳がきちんと記載している場合は、相場より金額が高くても妥当なケースが少なくありません。
一方で総額が不当に高い悪質業者のケースもあります。次章の「悪質業者と優良業者の違いを比較」を確認して、適切な業者の明瞭な見積書かどうかを判断してみてください。
悪質業者と優良業者の違いを比較【要確認】
外壁塗装の価格が高いと同時に、見積書の書式や営業方法に以下のような特徴がある場合は悪質業者の可能性が考えられるため注意が必要です。
悪質業者と優良業者を見分ける際は、以下の4つの比較ポイントを確認してみてください。
<悪質業者と優良業者を見分ける比較ポイント>
比較項目 | 悪質業者 | 優良業者 |
---|---|---|
見積書に「一式」があるか | ざっくりした表記で内容が不明瞭。詳細がわからないようになっている | 工程別(足場の設置、洗浄、塗装など)に費用が明記され、詳細を理解しやすい |
見積書に製品名・型式・仕様が明記されているか | メーカー名やグレードが不明 | メーカ名や塗料名が明記されている |
現地調査がされていない・時間が短くないか | 調査していなかったり、いい加減で短い時間で完了させる | 劣化状況や寸法を丁寧に計測し、写真を撮影するなど丁寧に行う |
担当者の対応は丁寧か | 不躾な対応をしたり、契約を急かしたりする | 丁寧な説明と、質問には真摯に応える。無理な営業も行わない |
比較ポイント①:見積書に「一式」があるか

上図のような、見積書の“数量”などの項目に「一式」という記述が多い場合は、悪質業者作成した見積書である可能性があります。
数量や単位は金額を決める重要な要素になるため、一軒一軒塗装面積などが異なる外壁塗装では、細かく数値を出す必要があるからです。きちんとした見積書の例は、以下の通りです。

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見積書に一式という表記を見つけたら、塗装面積などがきちんと計測されていない可能性があります。
比較ポイント②:見積書に製品名・型式・仕様が明記されているか
外壁塗装の見積書には、使用する塗料の製品名や、使用する足場部材の種類、作業に使う機材の名称などが明記されているのが一般的です。
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たとえば塗料名を「シリコン塗料」とだけ明記し、シリコン塗料のどんな製品を使っているかを明記していないなどです。
シリコン塗料の中にもグレードがあるため、メーカーや製品によって金額は大きく異なります。具体的な記載がある見積書の例は以下の通りです。

大雑把ではなく、細かく明記されているかを相見積もりをとるなどして確認しましょう。
比較ポイント③:現地調査がされていない・時間が短くないか
外壁塗装の見積書を提示するには、事前の現地調査が必要不可欠です。
前述したとおり、外壁塗装の見積書では塗装面積などを詳細に出す必要があるため、事前の現地調査は丁寧に行う必要があります。
現地調査がまったくされていない、調査の時間が短かった場合は悪質業者である可能性が高いため、注意が必要です。
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最低でも1時間程度の現地調査がされたかを目安にするとよいでしょう。
比較ポイント④:担当者の対応は丁寧か
悪質業者と優良業者では「担当者の対応」にも違いがあります。
悪質業者は早く契約が欲しいので、不躾な対応をとったり、契約を急かしたりするのが特徴です。高圧的な態度をとってきたり、不安を極端に煽ってきた場合は、すぐに契約をせずに保留しておくことが大切です。
悪質業者のセールストークの一例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 「この地域で実績を作りたいので、お値引きします」
- 「オリジナル塗料を利用しています」
- 「今すぐに修理しないと大変なことになります」
反対に優良業者の対応は非常に丁寧なのが特徴です。優良業者は相見積もりをとられたり、ほかの業者と比較したい依頼者の心理を理解しているので、丁寧な対応で選んでもらおうという営業になります。
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質問をした際に、わかりやすく丁寧に回答をしてくれるかを確認するとよいでしょう。
悪質業者の手口については、以下の記事に詳細を解説していますので、あわせてご覧ください。
外壁塗装の金額が高くても心配ないケース
そう頻繁に行うわけではない外壁塗装工事。
多くの方にとって外壁塗装の相場はよく分からず、金額だけ聞いて「高い」と感じる方も多いようです。
以下では、提示された外壁塗装費用が高くてもとくに不審ではないケースと、なぜ高くなってしまうのか理由を解説します。
- ハウスメーカーに依頼した場合
- 家の劣化状態が進んでいる場合
- 家が大きい場合
- 形状が「総二階」などの家の場合
ハウスメーカーに依頼した場合
マイホームを建設した方が外壁塗装の工事を依頼する際、まず相談するのはマイホームを建設したハウスメーカーの担当者なのではないでしょうか。
その際、ハウスメーカーは外壁塗装工事の依頼を引き受けてくれますが、ほとんどのハウスメーカーは自社で塗装工事は行っていません。
ハウスメーカーは多くの外壁塗装業者と共同で仕事を行っており、そのような業者に案件の下請けとして外注に出しています。予算やスケジュールの関係で下請け会社が施工工事ができないときには、孫請け会社と呼ばれるさらに下の業者に塗装工事を回します。
こうして窓口となったハウスメーカーは、実際に塗装工事は行わないにもかかわらず、紹介料という形で中間マージンをとるため、顧客への見積もりには高い料金が反映されます。
地元業者に直接依頼すれば安くなる
一般的に、塗装を自社で行う業者と塗装を行わないハウスメーカーに工事依頼をした場合を比較すると、見積もり額が30%~50%ほど高くなる場合もあります。見積もり額が高いと感じたら、直接業者へ依頼するなどの方法を考えましょう。
家の劣化状態が進んでいる場合
外壁塗装は外壁の劣化状況によって、使用する塗料や塗りの回数などが異なるため、状態によっては見積金額が高くなることがあります。
例えば、築年数が数十年も経っているものだと外壁の劣化が進み、修繕箇所が多くなってしまいます。
また、周囲が家で囲まれていて日当たりが悪い場合はコケやカビが生えやすくなります。一方で道路に面して一日中日当たりのいい場合は砂埃や直射日光の影響を受けて、外壁が剥がれ落ちたり激しく劣化している場合があります。
このように、周辺環境によっても外壁の状態は大きく変化し、比例して外壁塗装にかかる費用も高くなります。見積もりを依頼した業者に説明を求めた上で、改めて金額を確認しておきましょう。
家が大きい場合
当然ながら、家が大きいほど塗装作業の面積が多くなり、材料費や人件費が大きくなります。
ご近所に比べて見積もり金額が高い場合でも、あなたが比較的大きな家にお住まいならば、特に心配すべきことはありません。
平均的な家の大きさは?
国内の一戸建て大きさは延床面積では32坪、外壁面積127~180㎡ほどが平均と言われています。
総二階の家の場合
建物の形状やデザインによっては、同じような大きさの家に比べて外壁や軒天が広くなることがあり、その場合は塗装費用も高くなります。
具体的には、1階と2階が同じような作りをしている、いわゆる「総二階」の場合に、その家の外壁面積は広くなりやすいです。
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反対に、2階が1階より小さくなっていたり、斜めにカットされているようなデザインだと、家の大きさ(高さ)の割に外壁面積は小さくなります。
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高い外壁塗装費用を安くする方法
外壁塗装が高い理由と見積もりで提示される外壁塗装の費用の相場を項目別でみてきました。正しい金額を把握し、外壁塗装の相場観を養っておくことは非常に重要です。しかし、そもそも塗装工事を依頼する業者選びの段階で費用を抑える方法はないのでしょうか。
ここからは、外壁塗装の工事費用を抑えるために覚えておきたい対処法について説明します。
地元業者に依頼する
上述した通り、建築を依頼した大手ハウスメーカーに外壁塗装を依頼すると、自社では外壁塗装は行えないため、下請けや孫請けに仕事を外注します。その際に、見積もり額は大手の窓口を通しているため紹介料として中間マージンが取られてしまいます。
そのため、自社で塗装工事を行う地元業者に見積もりを依頼することで費用を抑えられる可能が高くなります。
外壁塗装はおよそ10年に一度を目安に行う定期的な家のメンテナンスになっているので、地元で長くお付き合いができる業者に依頼するのがおすすめです。
また、塩害や砂埃などの地域特有の問題や周辺環境を熟知しているため、より効果的な塗料の提案や緊急時の対応の速さ、親身になって意見を取り入れてくれる可能性が高いという点も魅力です。
相見積もりをとる
外壁塗装に関しての知識や経験が乏しい方にとって、1枚の見積もりからそれぞれの工事費用が適切な値段なのかを判断するのは至難の業です。
また、業者によっては、「外壁塗装費用一式」「付帯工事費用一式」「諸経費一式」のように一つ一つの費用の内訳を示さない見積もりを提示してくる業者も存在します。そのため、複数業者に見積もりを依頼する相見積もりをとるのが効果的です。
相見積もりをとる際は、提示する条件を同じにして、予算や納期を正確に伝え、それぞれしっかりと真摯に話を聞いてくれるのかを見ておくのもポイントです。
相見積もりの効果的な利用は、不当な高額請求を防ぐだけではなく、長期的にお付き合いができる良い塗装業者を見つける手段になります。
不明瞭な見積もり内容を指摘する
提示された見積もりの中に、理解できない内容があった場合、直接業者に質問する、もしくは問い合わせてみることも費用を抑える上で有効な手段です。
見積もりの内訳の中で「外壁塗装費用一式」のように内訳が記載されていないような場合は、塗料にかかる費用と工事費用を聞いてみることをおすすめします。
また、「手数料」や「諸経費」は業者の必要経費であるため内容がありません。多めに見積もりを提示して契約をとる業者もいますので相場である総工事費用のおよそ5%~15%以上を請求してくる場合、それぞれの内訳を確認してみるのがいいでしょう。
なお、相場からあまりに安すぎる見積もりに対しても注意が必要です。工事が開始した後に追加で費用が必要になったり、請求額が大きく膨らんだりする場合もあるため、見積もり内容に少しでも疑問を持つ場合は、契約前に塗装業者に確認して問題を解決しておくと良いでしょう。
外壁塗装が高い理由についてまとめ
外壁塗装の費用が高くなる理由として、施工内容や使用する塗料のグレードが挙げられます。
一方で相場よりも高額な料金を設定してくる悪質業者が存在しているのも事実です。見積書に違和感を感じた場合は、本記事の比較ポイントを確認して、適切かどうかを判断してみてください。
また、地元業者に依頼したり、相見積もりをとったりすることで、外壁塗装にかかる費用を抑えることも可能です。外壁塗装の契約をする前には、ぜひ試してみてください。
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ヌリカエでは簡単な質問に答えるだけで、すぐに相見積もりを取得できるサービスを提供しています。完全無料ですので、ぜひ活用してみてください。
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