防水塗料ウレタン工事を行うなら知っておきたい!特徴からほかの防水工法との比較まで

  • 【更新日】2025-08-12
ウレタン防水の特徴

ウレタン防水工事は多くの建物で採用される防水工法です。

液体状のウレタン樹脂を塗布し、継ぎ目のない防水層を形成するのが特徴で、ベランダや屋上など場所を問わず、複雑な形状の箇所にも対応できるのがメリットです。

本記事ではウレタン防水工事がどのようなものかから、ウレタン防水工事の種類の比較、工事業者の選び方までを解説していきます。

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この記事を監修しました

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株式会社Speee

小林 成光
所有資格

外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター

専門分野

外壁工事

職業

外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。

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ウレタン防水とは?

ウレタン防水とは、ベランダや屋上の床に液体状のウレタン樹脂を床面に厚めに塗り拡げて乾燥させ防水膜をつくる、防水工法です。

液体状のウレタン樹脂を複数回塗り重ね、継ぎ目のない防水層を作り、雨水の浸入を防ぎます。

ウレタン防水は、防水工事の中でも比較的安価で耐久性が高く、さまざまな形状の場所に対応できるなどのメリットがあり、最も主流な防水工事と言っても過言ではありません。

  • 5~6年ごとにトップコートを再塗装すれば、、約15年程度防水効果を維持できます。

ウレタン防水のメリット

ウレタン防水のメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

ウレタン防水のメリット

  • ① 安価な施工費用
  • ② あらゆる場所への対応性
  • ③ 既存防水層への重ね塗り
  • ④ 高い伸縮性

ウレタン防水は、他の防水工法と比較して比較的安価に施工できます。10㎡程度のベランダや陸屋根など、広い面積への施工でも低コストで実施可能です。

また、液体状の塗料なので、屋上、ベランダ、バルコニー、凹凸のある場所など、どんな複雑な形状の箇所にも継ぎ目なく施工できます。シート防水のように継ぎ目が存在せず、剥がれや捲れのリスクを軽減するのも嬉しい点です。

さらに別の素材の防水材が既に施工されていても、その上から重ね塗りできる点も大きなメリットです。既存の防水層を撤去する手間や処分費用を省き、コストと工期を削減できます。

加えてウレタン樹脂はポリウレタンと呼ばれるプラスチック素材で、柔軟性、弾性、耐衝撃性に優れているのも特徴です。建物の揺れが生じても防水層のひび割れが起こりにくく、雨漏りの発生を防ぐことにつながります

ウレタン樹脂のデメリット

ウレタン樹脂のデメリットとしては、以下の2点が挙げられます。

ウレタン樹脂のデメリット

  • ① 職人の技術に依存する
  • ② 乾燥時間が長い

ウレタン防水の仕上がりは職人の腕に大きく左右されます。約3mmが適正とされる塗膜の厚みを均一に塗り重ねるには、高い技術と経験が必要だからです。

厚みが不均一だと表面に凹凸が生じ、水が溜まりやすくなり劣化を早める原因となります。

また、ウレタン樹脂塗料は乾燥に時間がかかるため、施工中は立ち入りができず、不便に感じてしまうケースもあるでしょう。

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ウレタン防水工法の種類を徹底比較

【ウレタン防水の工程(密着工法の場合)】

 

ウレタン防水には3つの工法があります。
このうち、広い屋上や、雨漏りしている面の改善に向くのが「通気緩衝工法」
家庭のベランダなどの狭い部分に向くのが「密着工法」
費用や効果的に2つの中間にあたるのが「メッシュ工法」です。
それぞれの違いを見ていきましょう。

ウレタン防水の「通気緩衝工法」

通気緩衝工法とは、完成したウレタン防水層の内部の水分や湿気をあとから逃がすことのできる、もっとも高度な工法です。
通気緩衝工法の工事は、床面に直接ウレタン樹脂を塗らず、床面に敷いた「通気緩衝シート」の上から塗り固めます。
シートには、内部の湿気を抜くための「脱気筒」をとりつけます。
通気緩衝工法を採ることで、湿気による防水層の膨れを防ぐ効果が期待できます。

【表:ウレタン防水「通気緩衝工法」の情報】
項目 特徴・費用など
特徴 熱や水分による膨れを防止
工事費用 5,000円~6,000円/㎡
工期 4~10日

「通気緩衝工法」がオススメの場合

  • 湿気を含む材質の床(コンクリートなど)
  • 雨漏りが起こった・起こっている床

ウレタン防水の「密着工法」

密着工法とは、防水加工をしたい床面に直接ウレタン樹脂を塗る、シンプルな工法です。
ウレタン防水のなかでも、最も施工費用が安いのが特徴です。
また、脱気筒を取り付ける必要もないので、通気緩衝工法よりもより場所を問わずに工事ができます。

【表:ウレタン防水「密着工法」の情報】
項目 特徴・費用など
特徴 工事費用が安い
工事費用 3,500円~5,000円/㎡
工期 3~7日

「密着工法」がオススメの場合

  • 工事費用を安く抑えたい場合
  • >床面が狭い範囲

ウレタン防水の「メッシュ工法」

メッシュ工法とは、防水加工をする床面にメッシュシートを貼り付け、そこにウレタン樹脂を塗る工法です。
ひとつ前の密着工法よりも、ヒビ割れしにくい防水層になります。
通気緩衝工法のような、湿気対策になる効果はありません。

【表:ウレタン防水「メッシュ工法」の情報】
項目 特徴・費用など
特徴 密着工法よりもヒビ割れしにくい
工事費用 4,000円~6,500円/㎡
工期 3~9日

「メッシュ工法」がオススメの場合

  • 地震や衝撃によるヒビ割れが心配

ウレタン防水と他の防水の工法の違いは?

防水工事には、ウレタン防水以外にも様々な工法があります。ウレタン防水以外の主な防水工法は、FRP防水シート防水です。
以下はウレタン防水と各防水工法の比較表になりますので、ぜひ参考にしてみてください。
工法名 費用相場 耐用年数 工期 適した場所
ウレタン防水(密着工法) 約4,000円〜5,500円/㎡ 約10年 約3~7日 屋上、ベランダ、複雑な形状の場所
ウレタン防水(通期緩衝工法) 約5,500円〜6,500円/㎡ 約13~15年 約4~10日 湿気が多い場所、老朽化した建物
FRP防水 4,000円~7,500円/㎡ 約12~15年 約1~2日 ベランダ、マンションの廊下等
シート防水 2,500円~7,500円/㎡ 約12~15年 約5~10日程度 平らな床面の場所
アスファルト防水 5,500円~8,000円/㎡ 約12~15年 約3週間程度 屋上、駐車場等

ウレタン防水以外の3工法の特徴は?

ウレタン防水の他には、主に3つの防水工法があります。
軽量で固く、衝撃に強い「FRP防水」、施工費用、維持費用ともに安い「シート防水」、高耐久・高重量な「アスファルト防水」です。

それぞれのメリット・デメリットと費用を、ウレタン防水と比べてみましょう。

FRP防水:軽くて頑丈な仕上がり

[ 画像出典 ]

FRP(エフアールピー)防水は、洗濯物などで頻繁に人が出入りする陸屋根(屋上)に最適な工法です。

FRP防水の床は、まず「FRP」と呼ばれるプラスチック製の繊維を敷き詰め、つづいてその上を樹脂で固める方法で作ります。
デパートの屋上駐車場などにも使われる防水工法で、非常に丈夫な床に仕上がります。
そのため、人がよく歩くことのある陸屋根や、重いものを置く陸屋根に向いています。
弱点としては、下地の伸縮に弱いため「木造で広さのある陸屋根」には施工できません。

シート防水:費用が安くメンテナンスの手間もナシ

[ 画像出典 ]

シート防水は、充分な防水性能を持ちながら、施工費用・メンテナンス費用ともに安価な防水工法です。

シート防水の床は、塩化ビニール製などのシートを熱や接着剤で貼り付けることで完成します。
シートの寿命が来るまでメンテナンス不要なため、費用面でかなりオススメきます。
また、シートの色やデザインも豊富なため、人目につく陸屋根にも最適です。
反面、風が強い場所には向かない、仕上げが難しく業者の腕を選ぶのがデメリットです。

アスファルト防水:耐久性抜群。新築向き

[ 画像出典 ]

アスファルト防水は、どちらかと言うと新築時に向く工法です。

アスファルト防水の床は、アスファルトでできたシートをバーナーであぶりながら貼り付ける「トーチ工法」と、同様のシートを粘着剤で貼り付ける「冷工法」があります。
防水性能は高いのですが、非常に重いため家の耐荷重によっては負担をかけてしまいます。
よって、最初からアスファルト防水を前提に新築される家向けの工法で、他の防水層でできた陸屋根をアスファルト防水に改修することは少ないです。

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ウレタン防水の工事業者の選び方は?

以上が、ウレタン防水工法についての解説と、他の防水工法との比較になります。

最後に1点、ウレタンの防水工事を検討中の方によくある不安を解消したいと思います。
防水工事をする際、業者の腕や提示費用に不安がある場合は、複数の業者から「相見積もり」をとることがオススメです。

3社ほどの業者から相見積もりをとることで、

  • ・適正金額が見えてくる
  • ・業者の説明力や人柄が比べられる
  • ・感じの悪い業者を避けられる

というメリットがあります。

とくに、熟練した業者に依頼する必要性の高いウレタン防水をご検討中の場合、1社だけとやりとりをして決めてしまうのはややリスキーと考えられます。

「そんなにたくさんの業者に心当たりがない…」という方は、よろしければこのページの相場チェックから、相見積もりの照会をぜひご利用ください。
当サービスを経由して相見積もりをしていただいた方へのサービスとして、業者へのキャンセル連絡が必要な場合に、お客様にかわって当社が連絡をお引き受けいたします。

相見積もりを進めていく中で「この業者は感じが悪いな」と思ったり、「他の業者に決めてしまった場合の連絡が気まずい」という場合も、喜んでご連絡を代行させていただきます。

以上、本記事があなたのご自宅の防水工事の検討に役立てば大変幸いです。

コラム:防水工事の用語集

ウレタン防水に関わるもの以外にも、防水工事の種類や用語をまとめてみました。業者の説明や資料が分からない、防水工事について自分でもっと深く調べたい場合などにお役立てください。

防水工法・関連用語など 用語の意味
ウレタン防水 ウレタンゴムを床面に塗布して防水層を作る工法。耐用年数は10~13年程度。6~7年目にメンテナンス(トップコートの塗り替えなど)が必要。
FRP防水 床面にプラスチック繊維を敷いたあとに樹脂で固めて防水層を作る工法。耐用年数は10~13年程度。5~6年目にトップコートの塗り替えが必要。
アスファルト防水 床面にゴム系のアスファルトを溶かしながら敷いて防水層を作る工法。屋根・室内・地下などに使われる。重量があるため、ベランダには使われない。耐用年数は10~15年程度。6~7年目にトップコートの塗り替えが必要。
アクリルゴム防水 一般的に外壁に使用される。ベランダには使われない。耐用年数は10~15年程度。
セメント防水 床・壁・木造のベランダ・水槽・地下防水などに使用される。ベランダには使われない。耐用年数は10~15年程度。
塩化ビニル系シート防水 シート防水の中では近年主流になっている。歩行可能で、小規模な建物や戸建て住宅・小面積の屋上などに多く採用されている。耐用年数は13~20年程度。
合成ゴム系シート防水 シート防水の一種。かつては屋上で多く採用されていたが、密着工法のみで複雑な形状に対応しにくく、近年はあまり採用されていない。耐用年数は10~15年程度。
ポリオレフィン系シート防水 屋上の防水工事で使用される。耐用年数は10~15年程度。
エチレン酢酸ビニル樹脂系シート防水 屋上の防水工事で使用される。耐用年数は10~15年程度。
塗膜防水 液状の樹脂などで防水層をつくる工法。「ウレタン防水」「FRP防水」などが当てはまる。
複合防水 塗膜とシートの両方を用いて防水層を作る工法。
メンブレン防水 建物の表面を皮膜で覆う防水工法の総称。特定の防水工法ではない。「FRP防水」「シート防水」「ウレタン防水」ともにメンブレン防水に含まれる。メンブレン防水以外には、壁材などのつなぎ目を線状に埋めて防水する「シーリング防水」がある。
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