ご自宅の外壁塗装について調べている方のなかには、外壁が吹き付け塗装されているということを知った、という方も多いのではないでしょうか。
また「業者からは吹き付け塗装じゃなくてローラー塗装をおすすめされたけど、結局どの塗装方法がいいの?」と疑問を持たれている方も多いと思います。
そこで本記事では、吹き付け塗装がどのような塗装方法か、その特徴や仕上がりなどについて詳しくご紹介します。また、現在は手塗り(ローラー塗装)の使用が主流である理由も紹介や両者の徹底比較もしておりますので、ご自宅を綺麗に塗り替える際の参考になれば幸いです。
- 吹き付け塗装は、スプレーガンを使用して塗料を霧状にして壁面に吹き付ける工法です。
- 吹き付け塗装は、作業スピードが早くデザイン性が高い反面、塗料の飛散リスクや凹凸に汚れが溜まりやすいといったデメリットがあります。
- 吹き付け塗装の仕上がりは「リシン」「スタッコ」「スキン」「吹き付けタイル」の4種類です。
吹き付け塗装とは
吹き付け塗装は、スプレーガンを使用して塗料を霧状にして壁面に吹き付ける工法です。主にモルタルの外壁にデザイン性をつける際に使用されます。そのため、サイディング外壁が主流の戸建てで吹き付け塗装が採用されることはあまりありません。
また、吹き付け塗装は塗料が周囲に飛散しやすいことも、使用頻度が低くなっている理由の一つです。戸建ての塗装では、吹き付け塗装よりもローラー塗装が主流となっています。
【吹き付け塗装の作業風景】
モルタル外壁への塗装について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
>> モルタル外壁をDIYでおしゃれに塗装!おすすめ塗料も紹介
吹き付け塗装の特徴
吹き付け塗装の特徴は、主に下記の4つです。
- 立体感を出せる
- 作業スピードが早い
- 塗料が周囲に飛び散りやすい
- 熟練した職人が少ない
吹き付け塗装は、他の方法とは違い凹凸のある立体感を表現しやすい点が特徴です。使う機械や空気の量、職人の加減によって細かい塗料の調整ができるため、他の塗装方法とは違って多彩な表現ができます。
ローラー塗装などと違い作業スピードが早い点もメリットです。吹き付け塗装は広範囲に塗料を付着させることができるため、効率が良い方法となります。
しかし、吹き付け塗装は塗料を霧状にして飛ばすものです。そのため、風の強い日などは近隣の外壁や車などに塗料が付着してしまう可能性があります。塗料の飛散を防ぐため、足場や車、室外機などにはカバー(養生)がかけられますが、近隣に飛んでしまう可能性もゼロではありません。
また、近年では戸建てにおける吹き付け塗装の施工が減少しているため、熟練した職人の数も減っています。「吹き付け塗装の繊細な仕上がりがいい」と考えていても、業者によってはその実現が難しい場合もありますので注意が必要です。
吹き付け塗装のメリット
吹き付け塗装は、専用のスプレーガンを用いて塗料を霧状にして吹き付ける工法です。
この方法には、デザインの自由度や施工の効率性といったメリットがあります。
作業スピードが速い
吹き付け塗装は、スプレーガンを使って塗料を霧状に広範囲へ塗布するため、手作業に比べて短時間で広い面積をカバーできます。
そのため、塗装作業にかかる時間を大幅に削減でき、工事全体の工期短縮につながるでしょう。特に、大規模な建物や複雑な構造を持つ外壁に対しては、その効率性が顕著に現れます。
多彩なデザイン性
この工法の大きな魅力は、手塗りでは表現が難しい独特の凹凸模様や質感を外壁にデザインできる点です。
例えば、低価格ながら塗り替えが容易な「リシン」仕上げ、重厚感のある「スタッコ」仕上げ、細かい石粒を散らしたような「スキン」仕上げで高級感を出すことができます。
また、耐久性が高くひび割れや防水性に優れた「吹き付けタイル」仕上げ など、豊富なデザインパターンを楽しめます。建物の個性や意匠性を高められるでしょう。
外壁のデザインについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁のおしゃれなデザイン事例50選を比較!個性・高級感あふれる写真いっぱい」
複雑な塗装面にも対応
スプレーガンで塗料を吹き付けるため、凹凸の多い壁や狭い箇所、複雑な形状の部分でも塗料が均一に届き、ムラなく美しい仕上がりを実現します。
手作業では難しい細部の塗装も効率良く行え、建物全体の統一感を損なうことなく、精度の高い施工が可能です。
吹き付け塗装であれば、どのようなデザインの建物であっても、質の高い塗装を実現できます。
吹き付け塗装のデメリット
吹き付け塗装は多くのメリットを持つ一方で、いくつかの注意すべきデメリットも存在します。
これらの点を事前に理解し、適切な対策を講じることが大切です。
塗料が飛散する
吹き付け塗装の最大の懸念点は、塗料が霧状になって周囲に広範囲に飛散しやすいことです。飛散した塗料が、隣接する住宅や駐車中の車、植栽などを汚染するリスクがあります。
特に住宅密集地では、このようなトラブルを避けるために厳重な養生(マスキング)が不可欠です。
飛散のリスクは、戸建て住宅での吹き付け塗装の採用が減少している主な理由の一つです。
外壁塗装における養生について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の養生とは?工事前に必ず知っておきたい塗装の基礎知識!」
技術が必要
吹き付け塗装で均一かつ美しい仕上がりを実現するには、職人の高度な技術と豊富な経験が求められます。スプレーガンの操作には、塗料の吐出量、スプレー距離、移動速度、角度など、多くの要素を繊細にコントロールする熟練の技が必要です。
そのため、技術力不足の業者に依頼すると、ムラや液だれ、ピンホールなどの施工不良につながる可能性があります。
近年の主流は手塗り(ローラー塗装)のため、吹き付け塗装の技術を持つ職人や対応できる業者が減少傾向です。
凹凸に汚れがたまりやすい
吹き付け塗装による独特の凹凸模様はデザイン性の高さにつながりますが、その反面、表面の凹凸部分にホコリや排気ガス、カビや藻などの汚れが蓄積しやすいというデメリットを抱えています。
滑らかな外壁と比較すると、汚れが目立ちやすく一度付着した汚れは除去が難しいことがあるので注意害必要です。
汚れの付きやすさやは、美観を損ねるだけでなく塗膜の劣化を早める可能性もあります。長期的な維持を考える場合、定期的な清掃が重要になるでしょう。
吹き付け塗装の仕上がり
吹き付け塗装における仕上がりでは、下記の4つが代表的です。
- リシン
- スタッコ
- スキン
- 吹き付けタイル
それぞれの仕上がりについて、写真付きでご紹介します。
【リシン】
リシンは、吹き付け塗装のなかでも低価格な仕上げとなります。塗り替えも簡単にできるため、人気な仕上げの一つです。
【スタッコ】
スタッコは、吹き付け塗装のなかでも重厚感のある仕上げです。化粧漆喰とも呼ばれることもあります。
スタッコ仕上げについて詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
>> スタッコ仕上げの基礎知識と特徴を徹底解説
【スキン】
スキン仕上げは、細かい石粒を散らしたような仕上げです。きめ細かいデザインのため、建物に重厚感や高級感を出すことができます。
【吹き付けタイル】
吹き付けタイルは、他と比べて耐久性が高い仕上げです。ひび割れに強く、防水性も高いことが特徴となります。
外壁のデザインでお悩みの方は、下記の記事が参考になりましたら幸いです。
>> 外壁のおしゃれなデザイン事例50選!個性・高級感あふれる写真いっぱい
【徹底比較】吹き付け塗装 vs 手塗り(ローラー)
「吹き付け塗装」と「手塗り(ローラー)」が挙げられます。それぞれの工法には異なる特性があり、どちらを選ぶべきか悩む方も少なくありません。
ただし、現在の戸建て住宅では、塗料の飛散リスクや近隣への配慮から、吹き付け塗装が採用されるケースは少ないです。
しかし、意匠性の高さや作業速度の速さなど、吹き付け塗装ならではの魅力もあります。手塗りが主流の現代において両者の特徴を理解することは、ご自宅に最適な塗装方法を選択する上で大切です。
そこで本章では、費用やメンテナンス性、デザイン性、塗装速度、塗料飛散といった様々な観点から、吹き付け塗装と手塗り(ローラー)を徹底的に比較します。
まずは、各項目ごとの違いが分かる比較表をご覧ください。
【吹き付け塗装と手塗り(ローラー)の比較表】
比較項目 | 吹き付け塗装 | 手塗り(ローラー) |
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
費用 | 材料費や技術料がかかることがある | 一般的な外壁塗装の費用相場 |
メンテナンス性 | 凹凸部分に汚れが溜まりやすい | メンテナンスしやすい |
デザイン性 | 独特の質感やデザインを表現できる | 吹き付け塗装には劣る |
塗装速度 | 手塗りよりも広範囲を短時間で塗装可能 | 吹き付け塗装に比べ時間がかかる |
音 | コンプレッサーの動作音が大きい | 塗装音はほとんどない |
塗料飛散 | 周囲に塗料が飛散する可能性が高い。 | 飛散が少ない |
技術 | 均一な塗装には高度な技術が必要 | 比較的安定した品質になる |
養生時間 | より細かく丁寧な養生が必要で時間を要す | 一般的な養生時間 |
対応業者 | 手塗りよりも対応業者は少ない。 | 多くの塗装業者が対応可能 |
このように、「吹き付け塗装」と「手塗り(ローラー)」では、大きな違いがあります。
基本的には施工費用が安いかつ安定した品質である「手塗り(ローラー)」がおすすめされますが、ご希望に応じて吹き付け塗装も検討してみると良いでしょう。次項では、各塗装方法ごとのメリットとデメリットについて詳しくご紹介します。
吹き付け塗装のメリット・デメリット
まずは、吹き付け塗装のメリットとデメリットをご紹介します。
吹き付け塗装のメリット
- 独特の凹凸模様で、高いデザイン性を実現できる
- 広範囲を短時間で塗装でき、工期を短縮できる
- 複雑な形状でも、均一で美しい仕上がりになる
吹き付け塗装のデメリット
- 塗料の飛散や騒音で、近隣への配慮が必要
- 施工には高い技術が必要で、対応できる業者が少ない
- 凹凸に汚れが溜まりやすく、劣化が早い場合がある
吹き付け塗装の最大のメリットは、リシンやスタッコのような手塗りでは難しい凹凸のある独特の質感を表現できる高い意匠性です。加えて、スプレーガンを用いるため広範囲を短時間で効率的に塗装でき、複雑な形状でも均一に仕上げやすい利点があります。
しかし、その反面、塗料が霧状に飛散しやすく、コンプレッサーの騒音も発生するため、特に住宅密集地では近隣への慎重な配慮が必要になるでしょう。
また、均一で美しい仕上がりには職人の高度な技術が求められますが、対応できる業者が減少傾向にあるのが現状です。表面の凹凸が汚れを付着させやすく、ひび割れなどの劣化が比較的早くからはじまる可能性も考慮すべき点となります。
手塗り(ローラー)のメリット・デメリット
続いて、「手塗り(ローラー)」のメリットとデメリットをご紹介します。
手塗り(ローラー)のメリット
- 塗料の飛散や騒音が少なく、近隣トラブルのリスクが低い
- 塗料のロスが少なく、経済的で環境にも良い
- 対応業者が多く、品質が安定しやすい
手塗り(ローラー)のデメリット
- 手作業なので時間がかかり、工期が長くなりやすい
- 職人の腕によって、仕上がりの質に差が出やすい
- 吹き付けのような、独特のデザイン表現は難しい
手塗り(ローラー)塗装は、塗料の飛散や機械による騒音を大幅に抑えられる点が大きな特長です。これにより近隣への影響を最小限に抑えられるため、特に住宅が密集した地域での施工に適しており、トラブルのリスクを低減できます。
塗料のロスが少なく経済的であることに加え、主流の工法であるため対応できる業者も多いです。品質が安定しやすいという安心感もあります。
一方で、手作業ゆえに施工に時間がかかり工期が長くなる傾向があるほか、職人の技術力によって仕上がりが大きく左右される点に注意が必要です。
また、吹き付け特有の凹凸のあるデザイン表現は難しいため「吹き付け塗装のデザインが良い」とお考えの方は、手塗り(ローラー)はおすすめしません。
よくある質問
吹き付け塗装でよくある質問を下記にまとました。
吹き付け塗装のデメリットは?
吹き付け塗装の費用はいくらですか?
吹き付け塗装の種類は?
吹き付け塗装とは何ですか?
吹き付け塗装は、スプレーガンを使用して塗料を霧状にして壁面に吹き付ける工法です。
手塗り(ローラー塗装)と違い、広範囲を効率的に塗装できるほか、凹凸のある複雑なデザインをつくることができます。現在では、主にモルタルの塗装で用いられることが多いです。
ただし、吹き付け塗装は塗料の飛散リスクや職人の技量によって仕上がりが左右されます。
吹き付け塗装のデメリットは?
吹き付け塗装のデメリットは、塗料の飛散リスクや職人の技量よって仕上がりが左右されること、凹凸に汚れがたまりやすいことなどです。
塗料の飛散リスクを防ぐため、養生に時間がかかることやスプレーガンなどの機械による騒音トラブルの可能性もあるなど、あらゆるデメリットがあります。
吹き付け塗装の費用はいくらですか?
吹き付け塗装の費用は、約1,000円/㎡~4,000円/㎡となります。
種類ごとに費用が異なり、最も安価な種類はリシン、最も高額なのが吹き付けタイルです。また、使う塗料や坪数などによっても費用は大きく変わります。
吹き付け塗装の種類は?
吹き付け塗装には「リシン」「スタッコ」「スキン」「吹き付けタイル」の4種類があります。
吹き付け塗装は、モルタル外壁が普及した1980年代まで主流の塗装方法でしたが、サイディングの普及によって現在でローラー塗装による手塗りが主流です。
まとめ
モルタル外壁での施工が多かった一昔前、吹き付け塗装はそのデザイン性の高さから人気の塗装方法でした。
しかし、近年はモルタル外壁の建物が減ったこと、塗料の飛散リスクへの懸念が強まったことからローラー塗装が主流となっています。
お住まいの家で吹き付け塗装がなされている場合でも、再塗装のときにはローラー塗装を採用するケースが多いです。
塗装の効果と必要性について詳しく知りたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。
>> 塗装はなぜ必要?効果・種類・費用や業者の選び方をやさしく解説


あなたのお家
外壁塗装するといくら?







