「外壁塗装が必要だけど、なるべくお金をかけたくない…!」
「40万円ぐらいで、なんとか外壁塗装できないの?」
そんなお悩みをお持ちの方へ、本記事では「そもそも40万円で外壁塗装はできるのか」といった点から、40万円でも可能な外壁塗装工事の検討、一般的な外壁塗装の相場などについて詳しく解説しています。
Point
40万円での外壁塗装は「外壁面積100㎡」「寿命5~6年の塗料」なら可能
標準的な塗料を使うなら「一部塗装」なら可能
平均的な外壁塗装の費用相場は90~100万円
この記事を監修しました
株式会社Speee
小林 成光
所有資格
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
専門分野
外壁工事
職業
外壁アドバイザー、外装劣化診断士、ホームインスペクター
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
外壁塗装を40万円でできるケースとできないケースの違いとは
外壁塗装を40万円で完結させたいと考える方は多いでしょう。
しかし、この金額で外壁塗装を行うには特定の条件が求められます。ここでは、40万円で外壁塗装ができるケースと、できない場合の現実について詳しく解説します。
まず、外壁塗装の費用が40万円という予算で実現可能かどうかは、工事の規模や選択する塗料、業者の種類など、いくつかの要因によって大きく左右されます。
外壁塗装を40万円でできる場合
外壁塗装を40万円台で実施できるケースは非常に限定的です。主に以下の2つのパターンが考えられます。
◆外壁塗装を40万円でできる場合◆
2.部分的な塗装に限定するケース
平均よりやや小さめの一戸建てにお住まいで、塗装の耐用年数が5~6年で良いと考える方であれば、40万円前後で外壁塗装ができる可能性があります。
この場合、塗料は通常よりもグレードの低いアクリル塗料やウレタン塗料を使うことになるでしょう。5年ほどで現在の家を売却予定など、短期的な機能維持で問題ない場合に検討できる可能性があります。
また、外壁全体ではなく、特定の部分のみを塗装する場合も40万円台に抑えられる可能性があります。
塗装が外壁の1~2面などの小範囲に留まる場合は、全面を塗装する場合に比べて大幅に費用を抑えられるでしょう。
ただし「特定の面だけ色あせが目立つ」「傷ついた箇所だけきれいにしたい」、「一部だけ色を変えてイメージチェンジしたい」といった状況に限られます。
外壁塗装を40万円でできない場合
ほとんどの住宅で外壁塗装を40万円で完工するのは困難です。一般的な外壁塗装の相場と比較すると、40万円という金額が現実的でない理由が分かります。
◆外壁塗装を40万円でできない場合◆
2.高いグレードの塗料を使う場合
一般的な戸建ての大きさは30坪前後ですが、この大きさの家を塗装する場合は40万円を超えるケースがほとんどです。
外壁塗装の総工費は、80万円~140万円程度となります。特に、足場代だけで20万円前後かかることも多いです。
また、フッ素塗料や無機塗料といった高いグレードの塗料は、耐用年数が長く価格も高い傾向にあります。そのため、狭小住宅でもこれらの高グレードの塗料を使う場合は40万円と超えてくるケースがほとんどです。
40万円での外壁塗装プランは2通り!
40万円という金額は、外壁塗装工事の予算としてはかなり少額で、現実性も正直低めです。
しかし、編集部では試算の結果、40万円でもなんとか施工が可能な2つのパターンを特定しました。
プラン① 小さめの家+最安クラスの塗料+値引き交渉
1つめは、平均よりやや小さめの家にお住まいの方が、塗装は5~6年もてばいいという意思でもっとも安いグレードの塗料を選んだパターンです。
外壁塗装の総額は40万円台の後半、「47万6,121円」に抑えられました。
シミュレーション設定
外壁面積100㎡の一戸建て
塗料はアクリル樹脂塗料(耐用年数5~6年)を使用
閑散期に依頼して10~15%の値引きを業者と交渉
見積もりシミュレーション例
| 費目 | 単価 | 数量 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 足場架設 | 784 | 202(㎡) | 158,368円 |
| シート養生 | 378 | 202(㎡) | 76,356円 |
| 高圧洗浄 | 175 | 100(㎡) | 17,500円 |
| 外壁塗装(アクリル塗料) | 1,610 | 100(㎡) | 161,000円 |
| シーリング | 749 | 26(m) | 19,474円 |
| 軒天塗装 | 994 | 26(㎡) | 26,242円 |
| 破風板塗装 | 539 | 41(㎡) | 21,991円 |
| 現場管理費 | ここまでの5% | – | 24,047円 |
| 消費税 | 10% | 50,498円 | |
| 値引き | 14%引き | – | -79,354円 |
| 合計 | 476,121円 |
上記は14%引きで成立した場合ですが、12%引きでまとまった場合は48万8,818円、10%引きで交渉できた場合でギリギリ40万円台の49万9,928円となります。
この設定の工事が最適となる場合には、5年ほどで今の家を使わなくなる予定で、塗装もそれまで保てばよいケースなどが当てはまります。
プラン② 部分的な塗装
2つめは、塗装範囲が外壁全面でない場合です。
リフォームでよく使われるグレードのシリコン塗料(10~15年耐用)を使ったとしても、塗装範囲が25㎡ほどであれば、費用を40万円台後半の「46万9,290円」に抑えることができます。
シミュレーション設定
塗料はシリコン樹脂塗料(耐用年数10~15年)を使用
足場は建物の全周に架設のため、費用も外壁全体の場合と同程度
見積もりシミュレーション例
| 費目 | 単価 | 数量 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 足場架設 | 784 | 289(㎡) | 226,576円 |
| シート養生 | 378 | 289(㎡) | 109,242円 |
| 高圧洗浄 | 175 | 25(㎡) | 4,375円 |
| 外壁塗装(シリコン塗料) | 1,610 | 25(㎡) | 61,250円 |
| シーリング | 749 | 7(m) | 4,869円 |
| 現場管理費 | ここまでの5% | – | 20,316円 |
| 消費税 | 10% | 42,663円 | |
| 合計 | 469,290円 |
このプランが向いているのは、
- 陽のよくあたる面だけが色あせているので塗り替えたい
- 傷ついた箇所だけをキレイにしたい
- 一部だけ色を変えてイメチェンしたい
などの希望があるケースが想定されます。
40万以内で外壁塗装をするには?
40万円に収まる場合は稀かもしれませんが、少しでも安い費用で外壁塗装を行いたい、工事を急ぎたいが予算が無い、といった人向けに外壁塗装をできるだけ安価で行う方法をご紹介します。
助成金や補助金を利用する
外壁塗装を安く行うには、助成金・補助金を利用するといった方法があります。助成金の制度が存在している自治体であれば、10万から最大20万円を受けることができます。
助成金制度が存在しているのは全国の3分の1の市町村であり、申し込みは先着順になっています。助成金はすぐに募集が満枠になるといった場合が多いので、募集開始の2~3か月前には塗装業者と相談しておくことがお勧めです。
助成金があれば40万円台も夢ではない

火災保険を利用する
外壁塗装で火災保険を利用するには、「破損が災害によるものであること」「被災から3年以内に申請を行うこと」「損害の補修にかかる費用が火災保険の免責金額を超えること」の3つの条件をクリアしている必要性があります。
全額補償されれば40万円どころかタダ

リフォームローンを利用する
劣化症状が気になる状況で手元に予算が無いといった際には、リフォームローンを利用するといった方法があります。
ローンに対して抵抗がある人も多いと想定されますが、外壁塗装に関しては、家の状態によってすぐにリフォームが必要なケースがあります。逆に、外壁の劣化を放置しておくことによって工事費用がどんどん膨らむ可能性があるため、金利の負担はそれほど大きいものではありません。
外壁塗装は早めに対処することが大切なので、リフォームローンを賢く利用することも1つの手段です。

一般的な外壁塗装の費用はいくら?
30坪で70万円~90万円が標準
国内の戸建て住宅での外壁塗装の費用相場は、70万円~140万円です。平均的な30坪の住宅であれば、予算が70万円~90万円程度あれば、平均以上のグレードの塗料で施工することが可能です。
30坪住宅の外壁塗装相場についてもっと知りたい方は下記の記事をご覧ください。

塗料のグレードと費用変化
外壁塗装の費用をできるだけ安く抑えようと考えるのであれば、塗料のグレードを下げていくことで予算を節約していくことが可能です。
ただし、「できる限り安くしたい」といった場合でも、シリコン樹脂以上の選択がおすすめです。アクリル塗料やウレタン塗料は低価格が魅力的ですが、耐久年数が短くこまめなメンテナンスが求められます。外壁塗装は1度で終わらないため、ランニングコストで考えると安くはありません。
目先の費用だけではなく、トータルコストで考えることが生涯の出費を抑えることに繋がります。外壁塗装の塗料ごとの単価の相場をご紹介します。
| 塗料の種類 | 耐久年数 | 1㎡当たりの単価 |
|---|---|---|
| アクリル | 5~6年 | 1,400円~1,600円 |
| ウレタン | 8~10年 | 1,800~2,500円 |
| シリコン | 7~15年 | 2,300~3,500円 |
| フッ素 | 15~20年 | 3,500~5,000円 |
| 無機 | 20~35年 | 5,000円~5,500円 |

外壁塗装費用の一般的な内訳
外壁塗装でかかる費用は塗装作業代だけではありません。
高所作業用の足場や、塗装前の洗浄・調整、管理費・消費税などもかかります。
以下は、平均的な30坪の住宅で、シリコン塗料を使った場合の外壁塗装費用の見積もりで、総工費は84万7,470円となりました。本シミュレーションの内訳や単価をご紹介します。
| 費目 | 単価 | 数量 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 足場架設 | 784 | 293(㎡) | 197,568円 |
| シート養生 | 378 | 293(㎡) | 95,256円 |
| 高圧洗浄 | 175 | 125(㎡) | 21,875円 |
| 外壁塗装(シリコン塗料) | 2,300 | 125 | 287,500円 |
| 下地調整 | 570 | 125 | 71,250円 |
| 軒天塗装 | 994 | 33(㎡) | 32,802円 |
| 破風板塗装 | 539 | 51(㎡) | 27,489円 |
| 現場管理費 | ここまでの5% | – | 36,687円 |
| 消費税 | 10% | 77,043円 | |
| 合計 | 847,470円 |
適正な内訳や単価を知ることによって見積が妥当か否か判断することが可能です。
例えば、足場が5万で外壁塗装代が70万であるといった場合など、内訳が相場と著しくかけ離れている場合「あやしい」「プロではないかも」と気づくことができます。

塗装費用が高くなるケース
以下に当てはまる工事の場合は、ここまでご説明してきた相場に比べて、外壁塗装が高くなる傾向があります。
外壁塗装費用が高くなりやすい場合
外壁の劣化が激しい場合
外壁塗装が広いデザインの場合
このうち「ハウスメーカーに依頼した場合」がなぜ高くなるというと、中間マージン大きいからです。
地元の塗装店に直接声をかけた場合に比べると、一説には1.2~1.5倍ほどの違いがあるのがふつうと言われています。
ハウスメーカーに依頼しても作業に派遣されてくるのは結局地元業者ですので、費用をおさえるうえではハウスメーカーを通さないほうが賢いと言えるでしょう。
「40万で外壁塗装」は基本的には怪しい
今あなたは、安さをアピールして契約をとり、手抜き工事や材料のごまかしで利益をあげる、悪徳業者である可能性はありませんか?
思い当たるある方もない方も、続きを読めば安心できるようになります。
40万円でも儲けを出せるカラクリ
実は外壁塗装は、ずさんな工事をすることでコストをほぼ限度なく下げることができてしまう怖い工事でもあります。
悪質な業者は、施工費用40万でも儲けを出すために、必要な工程を省略したり、塗料を薄めたり、見積もりよりも安い材料をこっそりに使い、数ヶ月後にいざ異常があらわれるとのらりくらりと言い逃れをし、工事代金をせしめると言われます。
そのような工事をされると、元に直すのに結果的に普通に塗装するよりも高い金額がかかってしまうでしょう。
比較的低価格で品質の高い外壁塗装を提供する業者もいますが、あまりにも相場と外れた激安価格には注意しましょう。
悪徳リフォーム業者の特徴・手口
国民生活センターに寄せられたトラブル相談によると、契約後に品質面や価格面で後悔する可能性が高い業者には、以下のような傾向があります。
悪徳業者に多い特徴・トーク例
「限定値引き」などを理由に、契約をせかす
「このままでは危険」などといい、契約をせかす
断っても食い下がる、しつこく再訪したがる
これらに当てはまる業者は、いわゆる『点検商法』で契約を取って回っている疑いが濃厚です。
戸別訪問をする業者がすべて悪質というわけではありません。
しかし、もし悪意のある業者にひっかかってしまうと、話しているうちに判断力をうばわれ、知らずしらずのうちに品質に見合わない塗装工事を契約させらてしまうかもしれません。
たとえ40万円台の工事費用でも、塗料を極端に薄める、工程を大幅にとばす、ずさんな工事をすれば利益を出せてしまうのが、外壁塗装の怖いところです。
安さにつられて契約し、
「悪徳リフォーム業者の手口」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

外壁塗装の優良業者を見つけるには?
悪徳業者を避け、優良業者に出会うには以下のような探し方をするとよいでしょう。
優良業者が見つかりやすい探し方
「住宅リフォーム事業者団体」とは
「住宅リフォーム事業者団体登録」とは、国土交通省の登録基準をクリアしたリフォーム業者の団体のことです。
同登録制度は、近年の悪質リフォーム業者によるトラブル増加を鑑み、平成26年に創設されました。
悪質な業者にひっかかるのを強く避けたい場合、登録事業者団体の中から業者を探すと失敗が少ないはずです。
塗装をお考えの方には、領域の近い「日本塗装工業会」や、業者検索ページがわかりやすい「日本住宅リフォーム産業協会」のサイトなどがオススメです。
業者が怪しい場合も、そうでなくても「相見積もり」が有効
上記のなかでも、「相見積もりの取得」はどんな場合にも有効です。
3~4社以上から相見積もりをとり、価格・提案内容・担当者の対応を比べることで、あなたの希望する工事にピッタリの業者に出会える確率が高まります。

もし、相見積もりをとれるほど多くの業者に心当たりがなかったり、他の事で不安がある場合は[cta position=”link” text=”外壁塗装に関する無料相談窓口”]をぜひご利用ください。
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まとめ
予算40万円で可能な外壁塗装はどんな工事か、40万円台の費用を提示してきた格安業者は信用できるか等についてご説明してきました。
最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。
40万円の予算でも外壁塗装はできる?
試算の結果、「小さめの家で最安クラスの塗料を使用」か「部分的な外壁塗装」の2パターンなら、40万円でも可能と判明しました。詳しく知りたい方は40万円での外壁塗装プランは2通り!をご覧ください。
外壁塗装にかかる費用は通常何万円ぐらい?
平均的な30坪の住宅であれば、予算が70万円~90万円程度が目安です。詳しくは一般的な外壁塗装の費用はいくら?をご覧下さい。
「40万円で外壁塗装」は信用していいの?
小さな家でもない限り、基本的には信用しないほうが無難です。手抜き工事をされたり、塗料を薄めたり、こっそり安い材料を使われる可能性が否定できません。詳しくは「40万で外壁塗装」は基本的には怪しいをご覧ください。
外壁塗装の優良業者を見つけるには?
地元で長く営業している塗装業者を選ぶ、国が設立した「住宅リフォーム事業者団体」の登録業者から選ぶ、相見積もりをとり価格や応対など比べる、などの方法が有効です。詳しくは外壁塗装の優良業者を見つけるには?をご覧ください。
以上、40万円でできる外壁塗装はどんなものになるか気になった方、外壁塗装で40万円台の見積もりが出てきて驚いてしまった方にお役立て頂ければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたのお家
外壁塗装するといくら?
参考資料・ウェブサイト
- 菊池克弘『住宅リフォーム重要事項32選』都市環境建設 2015
- 建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2022年度版』一般社団法人経済調査会 2021
- みんなの建材倶楽部『使える!!内外装活用シート 2016-2017』エクスナレッジ 2016
- 田村誠邦・甲田珠子『プロのための住宅・不動産の新常識』エクスナレッジ 2019

