L型キッチンとは、カウンターが途中で90°折れ曲がった形状のキッチンです。比較的作業動線を確保しやすく、壁付けや対面タイプなどデザイン性にも優れているのが魅力です。
本記事ではL型キッチンのメーカーやメリット・デメリット、実際に導入した事例集などを詳しく解説していきます。
また、L型キッチンをより活用するためのポイントも紹介するため、現在L型キッチンを採用されている方も是非参考にしていただければ幸いです。
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L型キッチンとは?
そもそもL型キッチンとはどのようなものなのでしょうか? 定義と選ばれる理由を解説します。
L型キッチンの基本的な特徴
L型キッチンとは、カウンターが途中で90°折れ曲がった形状をしているキッチンです。その名のとおり、アルファベットの「L」の形をしているためこの名前で呼ばれています。
L型キッチンには大きく2種類があります。カウンターの2辺とも壁に向かって配置されるものと、どちらか1辺以上がダイニングなどの空間に向かって配置されるものがあります。比較的調理動線がスムーズで空間を有効活用できるのが特徴です。
L型キッチンが選ばれる理由
L型キッチンの人気が高まっている理由には、昨今の日本の住宅事情が関わっています。
例えば、都市部では狭い住宅が増えていることや、家族の生活様式の変化などが要因として挙げられます。
L型キッチンは、設置に必要なスペースに対してものの置き場や作業領域が広めに確保でき、調理中の移動量も少なめなため、コンパクトな家でも効率よく家事がしやすいのです。
また、家族全員がリビングで過ごす時間が増えたため、リビングと一体感があり、相互のコミュニケーションのとりやすいオープンレイアウトのものが人気になりました。
このように、L型キッチンはデザインの効率性と機能性が近年のニーズにマッチしたため注目されるようになったといえます。
L型キッチンのメーカー8社
ここでは、L型キッチンを取り扱うメーカー8社の製品を紹介します。
クリナップ
クリナップはステンレス素材を活かした清潔なキッチンが強みのメーカーです。ワークトップやシンクはもちろん、骨組みにもステンレスを使った「ステンレスキャビネット構造」は耐久性にも優れています。
製品例
▼ ラクエラ(rakuera)
▼ ステディア(STEDIA)
◆公式サイト◆
LIXIL
LIIXILはシステムキッチンの国内シェア1位の住宅設備メーカーです。収納容量と使い勝手が両立したキャビネットが特徴であり、デザインもクセがないため多くのユーザーに選ばれています。
製品例
▼ リシェルSI
▼ シエラS
◆公式サイト◆
タカラスタンダード
タカラスタンダードは世界トップクラスのホーロー製品を扱う住宅設備メーカーです。独自開発の高品位ホーロー素材は熱に強く、油汚れも落ちやすいのが特徴です。
製品例
▼ トレーシア(Treasia)
▼ エーデル(Edel)
◆公式サイト◆
TOTO
トイレメーカーとして有名なTOTOは水回り全般に強く、優れたシステムキッチンも開発しています。「きれい除菌水生成器」を取り付ければ、洗った後の食器類にさっと吹きかけるだけでぬめりを抑えられる優れものです。
製品例
▼ ザ・クラッソ(THE CRASSO)
▼ ミッテ(mitte)
◆公式サイト◆
パナソニック
パナソニックは家電製品メーカーとしての技術を活かして、料理が効率よくなる工夫やが備わったキッチンを開発しています。独自開発の天板素材「グラリオカウンター」は傷や汚れがつきにくく、美しさも兼ね備えています。
製品例
▼ ラクシーナ(Lacucina)
▼ L-クラス
◆公式サイト◆
トクラス
トクラスは高品位の人造大理石のワークトップが有名です。コラージアのみ選択可能の人造大理石「テノール」や「グラーナ」は、美しい質感と耐熱性・耐衝撃性を兼ね備えています。
製品例
▼ コラージア(Collagia)
▼ Bb
◆公式サイト◆
ウッドワン
ウッドワンは無垢材ナンバーワンの建材メーカーとして、無垢の木の良さを生かしたキッチンの製造・販売を行っています。本物の木を使っているからこその温かみや経年美化を楽しめます。
製品例
▼ スイージー(su:iji)
◆公式サイト◆
永大産業
永大産業は内装材や家具も手掛けるメーカーであり、キッチンでは職人が手作業で仕上げる高品質のステンレスキャビネットが有名です。機能性や耐久性においては、料理のプロが認めるほど信頼も厚いです。
製品例
▼ ゲートスタイルキッチン S-1
◆公式サイト◆
L型キッチンのメリット
続いては、L型キッチンのメリットについて詳しく解説します。
L型キッチンのメリット
- ① 動線と作業効率が良い
- ② 壁付け・対面式の2パターンを選べる
- ③ 収納スペースが豊富
① 動線と作業効率が良い
L型キッチンはコンロとシンクの位置が近く、キッチンサイズによっては体を90度横に向けるだけでコンロとシンクを利用できます。鍋を火にかけながら同時に洗い物をするといった、別の作業を並行して行いやすい構造です。
また、コンロとシンクの間に作業スペースがあるため、スムーズな調理ができます。冷蔵庫と食器棚をキッチン台の近くに設置できれば、さらに使い勝手が良くなるでしょう。
② 壁付け・対面式の2パターンを選べる
L型キッチンは前述のように、レイアウトによってバリエーションを持たせられます。
2面とも壁付けにしたり、コンロ側の1面のみを壁付けにしてシンク側をダイニングに向けて対面式にしたりするなど、生活スタイルに合わせて配置を工夫できます。
また、コンロとシンクの位置を替えることもできるため、利き腕に合わせることも可能です。
③ 収納スペースが豊富
L型キッチンは他タイプのキッチンと比べて、収納スペースの広さがメリットです。作業台下の空間が増えるため、多くの調理道具や食品・調味料などを収納できます。
また、L型キッチンのグレードによっては、食洗機やオーブントースターが造り付けになっているものもあるため、機能と見た目を両立させたキッチンスペース作りも可能です。
画像出典:ekrea PartsL型キッチンのデメリット
メリットの多いL型キッチンですが、一方でデメリットも存在します。検討するうえで外せないポイントになるので、しっかりと確認してください。
L型キッチンのデメリット
- ① 広いスペースが必要
- ② コーナー部分がデッドスペースになりやすい
- ③ 本体価格・リフォーム費用が高い
① 広いスペースが必要
L型キッチンは、その形状から一定の奥行きが必要です。
他のレイアウトからL型に変更をする場合には特に注意しましょう。対面式にレイアウトする場合は、占有するキッチンスペースが広くなり、ダイニングを圧迫するおそれがあります。
② コーナー部分がデッドスペースになりやすい
L型キッチンは、コーナー部分がデッドスペースになりやすいのがデメリットです。奥行きがかなりあるため、物理的に奥の方は手が届きにくくなっています。
作業台の下の収納部分も、奥行きがある分、広いスペースではあるものの、扉の幅が小さいため大きなものの出し入れがしづらくなっています。
そのため、メーカーによってはワゴン式の引き出しや、回転するラックなどを設置している場合があります。
③ 本体価格・リフォーム費用が高い
L型キッチンは、従来のキッチンと比べて本体価格やリフォーム価格が10万円程度高くなっています。
さらに、リフォーム工事の際に、コンロやシンクの位置を変える場合などは、配管工事も必要となるため追加費用が発生します。
キッチンの本体価格と工事の手間、この2点が要因で費用が高額になってしまいがちです。他の形状のキッチンとの比較
L型キッチンと他の主要3タイプのキッチン形状を比較し、それぞれの特徴やメリットを分析します。
I型キッチン
I型キッチンは、もっともシンプルな形状のキッチンです。一直線上にキッチン設備が配置されており、特に狭い空間での利用に適しています。あまりキッチンにこだわりがない場合のほか、一人暮らしのアパートや、狭小住宅でよく見られる形状です。
I型キッチンは、そもそもの設置スペースが限られている場合にもっとも効率的な選択肢となります。
U型キッチン
U型キッチンは、3方向に設備が配置されている形状キッチンです。中央から向きをかえるだけですべての設備にアクセスできるので、調理中の移動がもっとも少ないのがメリットです。
また、ものを置けるスペースも広いので調味料や食材を手元に置くことができるため、調理導線はさらに効率的になります。
デメリットは、広い設置スペースが必要なことと、L型キッチンよりも本体価格が10万円~40万円ほど高いことです。
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アイランド型キッチン
アイランド型キッチンは、キッチンの中央にどの壁と接していないカウンターが独立しているタイプのキッチンです。
もっともダイニングとの一体感が高く、のコミュニケーションもとりやすいデザインです。キッチンで調理をするだけでなく、その周りで家族や来客と食事を楽しむこともができます。
反面、キッチンの本体価格が通常最も高いこと、設置スペースのわりに物を置けるスペースが少ないこと、ダイニングへ調理のニオイや汚れが広がりやすいことが難点です。
L型キッチンのレイアウトプラン例
L型キッチンと一口に言っても、レイアウトの仕方は多種多様。ライフスタイルや希望条件に応じてプランニングしてみましょう。
本項では、レイアウトの参考になるプラン例(施工事例)をいくつかご紹介します。
プラン①壁側にコンロ、対面側にシンクを配置したレイアウト
まずは、定番のL型×対面のレイアウトです。コンロがある辺を壁付けにすることで油汚れが拡散せず、料理後の掃除が楽に。さらにプラ板の設置だけで、ダイニング側へのにおいの流出を防げています。
また、ダイニング側と対面する辺にシンクを配置することで、食後も子供の様子を見守りつつ食器洗いをすることも。腰壁(カウンター)部分を活用すれば料理の配膳・後片付けも楽ちんです。
プラン②両辺を壁付けにしたレイアウト
シンク側とコンロ側の両辺を壁付けにしたレイアウト。少ないスペースで大きなキッチンにできるため、スペースの限られたマンションで特におすすめのレイアウトプランです。
また、キッチン以外のものが視界に入らないため、ストイックに料理だけに集中して楽しみたいという方にもピッタリでしょう。
▼キッチンの移動リフォームに関して、費用相場や注意点について詳しく解説しています。
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プラン③オリジナルなL型風レイアウト
ややイレギュラーなL型風のレイアウトプラン。シンク側の辺とコンロ側の辺の間を切り離してキッチンの出入り口としています。
省スペースながら導線がよく、視界も広いため窮屈さを感じさせない秀逸なレイアウトプランです。
プラン④コンロ側が外壁に面したレイアウト
プラン①でご紹介したのと同じL型×対面の定番レイアウトですが、こちらはコンロ側の辺が家の外壁に面しているのが特色です。
対面キッチンの弱点は換気扇からの排気を逃がすために、天井の中にダクトを通す工事が必要なこと。その点、こちらのプランは換気扇から直接外に排気することができるため、ダクト工事が不要です。
元々のI型壁付けキッチンを、場所変えず形だけL型に変更したいという場合におすすめのレイアウトプランです。
L型キッチンにリフォームする際のポイント
L型キッチンは特殊な形のキッチンであるため、リフォームする際にもいくつか考えておきたいことがあります。以下の3点です。
- 「サイズ」のポイント
- 「収納」のポイント
- 「コーナー」のポイント
「サイズ」のポイント
L型キッチンのサイズの決め方は、以下の方法がおすすめです。
「サイズ」のポイント
①まずは最小サイズを想定してみる
②そこから15cmきざみで大きいサイズを検討する
L型キッチンの最小サイズはメーカーによりけりですが、おおむね以下のサイズを参考にしてもらえば問題ありません。
L型キッチンの最小サイズ
- コンロ側の間口:165cm
- シンク側の間口:180cm
- 奥行:60cm
L型キッチンはそもそもI型キッチンと比べるとキャビネットが大きいため、最小サイズでも不便になることは少ないです。
あえて不満になりうるポイントを挙げるなら以下の2点。
- 作業スペースが丁度コーナー部分にあたり体勢が窮屈
- 調理家電などを置く余白がない
以下はこれらの点も加味された、大きすぎず小さすぎないおすすめのサイズです。
L型キッチンのおすすめサイズ
- コンロ側の間口:165cm
- シンク側の間口:210cm
- 奥行:65cm
先ほどの最小サイズよりシンク側の間口を30cmプラス、奥行を5cmプラスしています。
シンクのとなりをメインの作業スペースとして、コーナー部分は調理家電や食材の仮置きをするスペースとして、使い分けができるようになりました。
「収納」のポイント
L型キッチンの「収納」について決めるには、以下の方法がおすすめです。
「サイズ」のポイント
①まずは「本体の収納 + 食器棚」をベースに考える
②そこからレンジボードや吊戸棚といった補助収納の追加を検討
L型キッチンはI型キッチンと比べて、そもそものサイズが大きいためキッチン本体の収納量も豊富です。そのため、特にこれまでI型キッチンを使用していた方は、収納が余ってしまわないかを考えた方が良いかもしれません。
L型キッチンと相性の良い補助収納としては「吊戸棚」や「背面収納」があります。
L型キッチン×吊戸棚
吊り戸棚はとりわけ壁付けレイアウトと相性の良い補助収納です。床面積を奪わないため、収納が足りないならまず検討してみましょう。
ただし、頭上にあるため重いものの収納には向かないこと、また対面レイアウトでは視界の圧迫感がでやすいことには注意が必要です。
L型キッチン × 背面収納
背中側にウォールキャビネットやカウンターを設置し「コの字」のようにするのも定番です。とりわけ対面レイアウトと相性がよく、圧倒的に収納量を増やすことができます。
あえて壁付けキッチンを囲うように背面収納を造作し、ストイックに料理に集中する空間にするというのもおすすめです。
「コーナー」のポイント
L型キッチンを使っている方からよく聞かれるのが「コーナー部分が上手く使えていない」という声です。リフォーム前にコーナーの活用方法については考えておきましょう。
「コーナー」のポイント
①家電・食洗器置き場として活用
②食材のストックスペースとして活用する
③コーナー下部の収納はワゴン式が便利
家電・食洗機置き場として活用する
天板のコーナー部分は、家電の置き場所として活用が可能です。デザイン性の高い電子レンジやトースター、炊飯器、食洗機などを設置すると、インテリアとしても活かすことができ、おしゃれなキッチン空間にすることができます。
家電の置き場としての使用も想定し、コーナー部分の近くにコンセントを設置しておくと便利です。
食材のストックスペースとして活用する
調味料やパスタなど、保存のきく食材を置くスペースとして、コーナー部分を活用するのもおすすめです。
デザインが統一されたガラスの容器に、調味料やパスタを入れて保存とディスプレイを両立させると、おしゃれなだけでなく残量も一目でわかり、日々の買い出しや料理に役立ちます。
コーナー下部の収納はワゴン式が便利
コーナー下の収納スペースの活用については、可動式のワゴンが便利です。
深い奥行きを利用したワゴンには、買いだめをしてあるストック品や、かさばる物などを収納することができます。
デッドスペースを解消するため、メーカーごとに作りが工夫されており、専用のキャビネットや回転棚が造り付けられているキッチンもあります。
各メーカーの商品を比較検討し、ご自身にとって使いやすいタイプを選びましょう。
L型キッチンにリフォームする費用
L型キッチンにリフォームする費用は70~300万円が目安です。内訳は「本体価格」「工事費用」「その他諸経費」で構成されます。
本体価格の目安
L型キッチンの本体価格は50~200万円が目安です。価格は主に商品のグレードによって変動します。
例えば、LIXILの人気3商品の価格帯は以下の通りです。
シリーズ | 価格帯 |
---|---|
シエラS | 577,000円~763,000円 |
ノクト | 776,000円~1,093,000円 |
リシェルSI | 1,001,000円~2,372,500円 |
実際のリフォームではここから10~40%の値引きがされることも多いです。
工事費用の目安
工事費用は20~50万円が目安です。工事費用はリフォームの規模によって変動します。例えば以下の通りです。
- L型→L型に交換
- I型→L型に交換
- 壁付けから対面レイアウトに変更
下に行くほど必要な工事が増え、その分工事費用もかかります。「なるべく費用を抑えたい!」という場合には「位置」「向き」「形」を変えないことがコツです。
L型キッチンで理想の生活を実現
L型キッチンにはさまざまな魅力があります。導入をご検討されている方は、メーカーのショールームなどで実物を見ることをおすすめします。
また、リフォーム会社を探す際には、無料でリフォーム会社の紹介を受けることができる「ヌリカエ」の活用がおすすめです。
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