I型キッチンは、シンプルで使いやすく、コストパフォーマンスに優れたキッチンレイアウトとして知られています。
昔からある型だけにオシャレにはしづらいと思われがちですが、知っているだけでキッチンのデザイン・仕上がりに差が出るポイントがいくつもあります。
I型キッチンの導入をご検討されている方は、参考情報としてぜひご活用ください。
I型キッチンはアリ? それともナシ?

I型キッチンは価格が安く、設置面積が小さくて済むシンプルさが特徴のレイアウトです。
I型は決して新しいタイプのキッチンではないため、「デザインが普通すぎる」「オシャレに仕上げづらい」というイメージがあるようです。
しかし本記事では、「オシャレなキッチンを志向する人にとっても、I型キッチンは断然アリ!」だと断言します。
その理由は、I型キッチンのコンパクトさ・シンプルさを活かせば、I型ならではの広くない家でも実現しやすいオシャレなデザインも可能なことです。
たとえば、以下のようなデザインが考えられます。

- ミニマルでかわいいデザイン
- 直線的でモダンなデザイン
- 金属と組み合わせたスタイリッシュなデザイン
- 長さを強調した個性的なデザイン
また、I型はスタンダードなタイプだけに、各社ともデザインバリエーションが豊富で、好みの配色等を選びやすいのもメリットです。
I型キッチンのデザイン麺での実力を見直すことができましたか?
この先でもI型キッチンの製品や施工例のバリエーションを多く解説していきますので、あなたの使い方に合わせた理想のデザインに出会えれば幸いです。
I型キッチンのバリエーション
I型キッチンは、狭いスペースでも作業効率が高まる壁付け型が一般的です。
ただし、カウンターをはさんでリビングが見える向きに設置する「セミオープン式」のレイアウトをI型キッチンと呼ぶこともあります。
壁付け型

I型キッチンを壁に向かって設置したスタンダードなパターンです。
キッチンの各設備を少ない床面積で配置することが可能で、その分をダイニングやリビングのスペースにあてることができます。
LDKの場合はキッチンが目立つため、キッチンのデザイン選びが居室の印象を左右します。
また、壁とキッチンが一体になったデザインなどに凝ることもでき、自由度が低いようにみえて意外とデザインの楽しみが多い型です。
対面型
対面型のI型キッチンは、「ペニンシュラ型」と「アイランド型」の2種類に分かれます。
ペニンシュラ型

リビング側を向いて使う配置で、キッチンカウンターの左右どちらが壁に接しているレイアウトを「ペニンシュラ型」と呼び、ペニンシュラ型の多くはI型の形状をしています。
ペニンシュラ型は調理中もリビングが見渡しやすく、子供の様子を見たり、家族と話したりできるため、子育て中の家庭に近年人気があります。
デザインとしては、リビングに向いたキッチン側面の色・素材に凝ることができるほか、奥側では「魅せる収納」にもこだわりやすい形状です。
アイランド型

おなじくリビングを向いて使う配置で、キッチンカウンターのどちらも壁から離れているレイアウトを「アイランド型」と呼ます。こちらもキッチン部分は多くはI型をしています。
アイランド型のキッチンは、複数人での同時作業や、できたそばから料理を並べて食べるようなパーティーに向いています。
リビングの中心にキッチンがある存在感とモダンさが人気で、正面・側面・奥の壁ともによく目に触れるのでデザインのこだわりが尽きないでしょう。
対面型の弱点は「汚れ・匂いの広がりやすさ」
ペニンシュラ型・アイランド型ともに共通するデメリットは、壁付け型に比べて周囲に油汚れや調理の匂いが広がりやすいことです。また、キッチンの筐体や手元もリビング目立つため、オシャレに見せるには常にキレイに保つ努力が欠かせないもの難点に感じるかもしれません。
「ペニンシュラ型」「アイランド型」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
I型キッチンのおすすめ商品5選
おしゃれなI型キッチンをお探しの方に、大手メーカーの販売しているものからデザインのよい製品を選別していくつかご紹介します。
トレーシア|タカラスタンダード
トレーシアは、幅広い世代のニーズに応えるミドルクラスのホーローシステムキッチンです。丈夫さと美しさを融合させた素材のホーローが、扉だけでなくキャビネットや引き出しの底など細部にまで使われています。
また、スタイリッシュなインテリアにもマッチするよう、コンクリート調の扉をホーローで再現。さらに扉の色は、タカラスタンダードのホーローシステムキッチンの中では最多の18色からお好みのカラーをお選びいただけます。
基本プラン | 約48万円~ |
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マルチ収納対面プラン | +約10万円 |
フラット対面プラン | +約20万円 |
「タカラスタンダードのキッチン」については、下記の記事もご覧ください。
ステディア|クリナップ
水や熱に強いステンレス素材を生かしたキッチンがを発売しているクリナップ長年支持されています。中でもステディアは、慌ただしい毎日を送る方に向けた便利機能が標準装備されています。キズや汚れがつきにくいワークトップや、洗いやすいシンクなどです。
また、2022年からはデュアルトップ対面プランが新登場しました。作業台よりもカウンターの方が高く作られているため、対面キッチンの解放感はそのままに、料理中の手元を隠せます。基本プランの本体価格は約130万円~と、アイランドキッチンと比較して少しお求めやすい点もポイントです。
基本プラン | 約100万円~ |
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デュアルトップ対面プラン | +約30万円 |
フラット対面プラン | +約45万円 |
「クリナップのキッチン」については、下記の記事もご覧ください。
ミッテ|TOTO
TOTOのミッテは、使いやすい機能だけを標準装備している価格を抑えたシンプルなキッチンです。水はねが少ない幅広のシャワーや、使いやすさにこだわった収納などを搭載しています。
基本プラン | 約73万円~ |
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スリム対面プラン | +約40万円 |
フラット対面プラン | +約45万円 |
「TOTOのキッチン」については、下記の記事もご覧ください。
Berry|トクラス
トクラスのキッチンの中で最上位モデルです。フライパンも縦でおけるほどの、洗い物がしやすい広いシンクになっています。また、トクラスはヤマハの系列会社ということもあり、ピアノの表面塗装技術がキッチンにも活かされているのが大きな特徴です。おしゃれかつ高品質で、長く愛せるI型キッチンとなっています。
奥行がコンパクトなものから、開放感あるカウンターが広々としたものまで。対面キッチン内でもバリエーションが豊富です。
基本プラン | 約107万円~ |
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ステップ対面プラン | 約147万円~ |
「トクラスのキッチン」については、下記の記事もご覧ください。
ちっちゃい su:iji|ウッドワン
特におすすめできるのは、料理をあまりしない、コンパクトなキッチンを探しているという方です。間口1,500~2,100mmにちょうど良いため、賃貸物件やリノベーション物件など幅広く対応しています。また、よりコンパクトなものをお探しの方向けに、加熱機器が無い機種もありますよ。
基本プラン | 約30万円~ |
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I型キッチンのおしゃれなリフォーム事例集
他の型からI型へのリフォームや、おしゃれなキッチンリフォームなど、5つの事例をご紹介します。
一戸建て|ライフスタイルの変化を機にI型キッチンへ
家族の人数が減ったのを機に、L型からI型のキッチンにリフォームされました。このようにキッチンよりも、ダイニングスペースの広さを重視されるのであれば、I型キッチンがおすすめです。キッチンは、汚れを落としやすい天板やレンジフードが標準装備されているTOTOのミッテを採用しました。
費用 | 112万円 |
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施工期間 | 10日 |
一戸建て|あえて壁付けのI型キッチンを選択
対面型も十分設置可能なスペースもありましたが、壁付けのI型キッチンを選択。ダイニングのスペースを広く取ることができました。キッチン上部には吊戸棚が設置されているので、コンパクトながら収納スペースは十分です。
費用 | 118万円 |
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施工期間 | ー |
一戸建て|コンパクトで使いやすいI型キッチン
リフォーム前は吊戸棚や扉収納だったため、スペースが不足していました。不足していた収納スペースの確保や、作業効率の点からI型キッチンにリフォーム。シンクを真ん中に、コンロと冷蔵庫が1列に並ぶことで調理がしやすくなります。
費用 | 200万円 |
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施工期間 | 7日 |
マンション|北欧風のおしゃれなキッチンに
ブルーとオーク柄を組み合わせた、北欧風のキッチンにリフォームされました。このようにI型キッチンでも、工夫次第でおしゃれなキッチン空間が作れます。また、食器棚を横並びの配置にしたことで、見た目も使い勝手も良いです。
費用 | 85万円 |
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施工期間 | 2日 |
マンション|シンプルで使いやすいキッチン
TOTOのミッテにリフォームされました。使いやすい機能だけが標準装備されているため、比較的お求めやすい価格になっています。キャビネットは上下同じ高さになっているので、必要なものがすぐに取り出せるのがポイントです。
費用 | 80万円 |
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施工期間 | 10日 |
アパート|妥協しない賃貸のキッチンリフォーム
賃貸の場合、スペースの確保が難しいキッチンリフォーム。こちらのご家庭は、ハウステックの「コパンナ」にリフォームされました。吊戸棚を手元まで引き下ろせたり、コンロもビルトインだったりなど機能面では妥協していません。このように省スペース設計も可能なのが、I型キッチンの魅力です。
I型キッチンのレイアウトのコツ
よりI型キッチンの作業効率よくできるレイアウトのコツを、いくつかご紹介します。
①冷蔵庫の配置のコツは?
冷蔵庫は、キッチンの奥に配置するのがおすすめです。キッチンを奥にした方が、見た目のおさまりが良くなり、キッチンに馴染みやすくなります。
②通路幅の目安は?
キッチンの通路幅が狭い場合、低い位置にあるものを取るのが難しい、2人で同時に調理がしにくいといったデメリットがあります。一方で広すぎてしまうと、リビングやダイニングのスペースを圧迫していしまいます。1人で調理する場合は80~90㎝、2人以上で調理する場合は100~120㎝程度が目安です。
③吊戸棚は必要?
吊戸棚がある最大のメリットは、収納量が増えることです。キッチン上部の空いたスペースを有効活用できるので、収納が不足しがちなコンパクトなI型キッチンにリフォームされた方は特におすすめ。ただ、手が届きにくい場所にはなるので、普段使わないものを収納するようにしましょう。
④ゴミ箱の位置は?
使い勝手が良い箇所の1つに、シンク下が挙げられます。シンク下は開閉頻度が少なく、水滴を床に垂らさず捨てることができ、メリットが大きいです。
⑤リビング・ダイニングとの動線は?
I型のキッチンの場合、LDKを一直線に配置することで一体感が生まれるでしょう。縦長にするメリットは、全体が見渡しやすくなり、一目で室内の様子を把握できます。
一方で、キッチンとダイニングを横並びに配置した場合、食事の動線がスムーズになる点がポイントです。家族が多い方におすすめのレイアウトです。
まとめ:I型でもオシャレなキッチンにできる!
I型キッチンは他のレイアウトと比較して、シンプルで使いやすく、価格を抑えられるメリットがあります。
一方で、横に広すぎると動線が悪化したり、目隠しがなくキッチンが丸見えになったりするデメリットがあります。
実際にI型キッチンへのリフォームを検討する際には、ご自身のキッチンスペースに合ったレイアウトやキッチン商品を選択することが大切です。
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