バランス釜は、1960年代に公営住宅向け商品として開発され、一気に全国へ普及した給湯設備機器です。
お風呂専用の給湯設備であり、浴室内の浴槽の隣に設置されています。
近年見かけることが少なくなってきましたが、賃貸アパートではバランス釜を使用されている方も多いのではないでしょうか?
バランス釜を長年使用しているとガス漏れなどの不具合が生じてくるため、リフォームが必要になります。
本記事では、4パターンあるバランス釜のリフォーム方法や交換時期・費用相場について紹介します。
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バランス釜とは
バランス釜とは、スクエア型の浴槽の隣に設置されているガスを使った給湯機器です。
バランス釜は室外から吸い上げた空気を使用してガスを燃焼させ、同じ量の空気を「バランス良く」排気することからバランス釜と呼ばれるようになりました。
浴槽についた吸い込み口から入った水が風呂釜内のパイプ管を通してガス火で温められ、吐き出し口から浴槽に戻すことでお湯が沸きます。
使用されている方は知っての通り、電気を使わなくてもお湯を沸かすことができるため、停電に見舞われた際にもお湯を沸かすことができます。
バランス釜をリフォームする方法とは?
近年、見ることが少なくなってきたバランス釜ですが、バランス釜も取り替えやリフォームすることができます。バランス釜が設置されている浴室のリフォーム方法4つを見ていきましょう。
ガス給湯器に交換する
浴室内に設置されているガス給湯器を撤去し、新しく給湯器を外部に設置する方法です。
バランス釜を撤去すると、壁に開口が見えてきます。
開口部分にパネルを貼り付けて開口を塞ぎます。
外部に新しく屋外設置型のガス給湯器取付を行い、パネル部分に穴を開けて配管を行うことになります。
新しく作った配管に水栓を取付ければ、給湯設備は完成です。
浴槽に開いていた穴は、塞いで再利用することも可能ですし、浴槽も同時に取り替えることも可能です。
ガス給湯器への交換しすることで、バランス釜が無くなった分のスペースが生まれるので、浴槽のサイズを広くできることがメリットといえます。
ただし、ガス給湯器への交換は外壁側や共用廊下側の作業が必要になります。
ホールインワンタイプに交換する
ホールインワンタイプのガス給湯器に変更する方法です。
浴槽とバランス釜を同時に交換する方法となります。
ホールインワンタイプの給湯器は、給湯能力や保温性能、使い勝手などが異なるため、事前に比較検討をしましょう。
ホールインワンタイプは壁に給湯器を埋め込むので、バランス釜のスペースが不要になります。そのため、浴槽のサイズを大きくすることが可能です。
また、給湯設備部分が、外部壁との開口内で収まることから、大幅なリフォーム工事は不要となります。
大きなリフォームができない場合、ホールインワンタイプへの変更がおすすめです。
新しいバランス釜に交換する
今使っているバランス釜のスペースに収まるように、新しいバランス釜に交換する方法です。
4つリフォーム方法の中で、もっとも費用を抑えることができますが、浴槽サイズは変わりません。
現在、各給湯器メーカーからバランス釜の後継モデルが販売されているので、お使いの後継モデルに切り替えるのが一般的です。
ユニットバスにリフォーム
バランス釜と浴槽を撤去し、壁や床を解体して、ユニットバスへ変更する方法です。
ユニットバスとは、壁・天井・床・浴槽が一体化した製品を設置した浴室です。
設備的には、もっとも綺麗になりますし機能面でも格段に充実します。また、ユニットバスは一体型であるため、バランス釜のように隙間もなく、清掃がしやすいメリットもあります。
給湯器はユニットバス製品と家の構造、希望の機能に合わせて設置します。
費用も工事期間もかかりますが、清潔感のあるスッキリとした浴室にリフォームしたい方にはおすすめの方法です。
バランス釜をリフォームするタイミング・目安
バランス釜をリフォームする適切な時期と目安について紹介していきます。
下記内容に当てはまる方は、リフォームの検討をおすすめします。
バランス釜は10年が標準使用期間
使用頻度や水質の違いによっても異なりますが、バランス釜の標準使用期間は10年です。
使用期間が10年を超えているバランス釜は、内部の部品が劣化するため、故障が起きやすいといわれています。また、何年か使用していると「シャワーヘッドが壊れてしまう」ことがよく起こりえますが、給湯器の部品の保有期間は製造終了から10年間と決められているため、故障時に部品が手に入りにくい場合もあるでしょう。
バランス釜は10年を目安にリフォームを検討することをおすすめします。
点火しない・お湯がでない・設定温度より低い
点火しなかったり、お湯が出なかったり、設定温度より低いお湯が出てくる場合は、リフォームを検討した方が良いでしょう。
給湯器の電池を交換しても解決しない場合は、「水比例弁」「温度センサー」などの電気系統のトラブルが考えられます。
この症状を放置していると「突然熱湯が出てやけどする」「急に冷水が出る」などの恐れがあります。
温度に関して少しでも異常を感じたら業者に相談するようにしましょう。
ガス臭や焦げ臭いニオイがする
ガス臭や焦げ臭いニオイがする場合もリフォームを検討した方が良いでしょう。
ガス臭や焦げ臭いニオイがするときは、給湯器内で不完全燃焼が起こっている可能性があります。不完全燃焼とは、給湯器でガスを燃やすときに酸素を取り込めないことによって一酸化炭素が出てしまう現象です。
一酸化炭素は有害なので換気を必ず行い、リフォームを検討することをおすすめします。
変な音がする
給湯器から変な音がする場合もリフォームの検討をおすすめします。
着火レバーを回して点火するときに「ボンッ」という爆発音がするのであれば、熱交換器の故障が考えられます。放置しているとお湯が出なくなるので、業者などを手配するようにしましょう。
バランス釜をリフォームする費用相場
バランス釜をリフォームする費用相場について紹介します。
バランス釜をリフォームする4つのパターンごとの相場は下記の通りです。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
ガス給湯器に交換する | 20万円~50万円 |
ホールインワンタイプへ交換する | 20万円~30万円 |
新しいバランス釜へ交換する | 10万円~25万円 |
ユニットバスにリフォームする | 60万円~100万円 |
予算と合わせて、最適なリフォームを検討しましょう。
詳細は下記の通りです。
ガス給湯器に交換する
画像出典:リンナイガス給湯器に交換する場合の費用相場は「20万円〜50万円」です。
ガス給湯器本体の値段は製品により10万円~40万円ほどで、そこに交換工事費用が加わり、費用相場が20万円以上になります。
費用を検討する際は、今後のガス代も抑えられような製品に交換することがおすすめです。
最近は熱効率の良いガス給湯器製品があり、従来型に比べて年間約1万円ほどガス代を節約できる製品もあります。
例えば上記写真は、エコジョーズ給湯器というランニングコストが安い製品です。
ホールインワンタイプへ交換する
画像出典:リンナイホールインワンタイプへ交換する場合の費用相場は「20万円〜30万円」です。
ホールインワンタイプは、ガス給湯器と浴槽のセット交換となるので、本体価格+10万円ほどの工事費で、費用相場は20万円以上になります。
上記写真は、リンナイの壁通貫タイプのガスふろ給湯器です。バランス釜のリフォーム方法で解説した通り、給排気口にすっぽり収まるコンパクトさが特徴です。
新しいバランス釜へ交換する
新しいバランス釜へ交換する場合の費用相場は「10万円〜25万円」です。
浴槽などの交換はせず、バランス釜の交換のみにする場合は、10万円以下のお手ごろな価格の製品を使用することで、工事費用含めて10万円代から交換が可能です。
ユニットバスにリフォームする
画像出典:TOTOユニットバスにリフォームする場合の費用相場は「60~100万円」です。
浴室の広さや、ユニットバスの性能によって本体価格に幅があるため、性能にこだわるとリフォーム費用は100万円以上になります。
同じ工事内容でもリフォーム会社によって費用が異なる場合があるため、相見積もりをしっかり取るようにしましょう。
写真はバランス釜からTOTOのユニットバスへリフォームした例です。
マンションや団地でバランス釜をリフォームする注意点
マンションや団地でバランス釜をリフォームする場合は注意が必要です。
バランス釜が故障した場合、すぐにでも業者に連絡をしてリフォームを開始したいところですが、事前に管理元への確認が必要となります。
都道府県が運営する公営住宅(団地)の場合は管理サービス事務所・住まいセンターへ、マンションの場合は管理会社へ、そのほか賃貸の場合は大家さんへ連絡を入れるようにしましょう。
基本的にバランス釜の持ち主は管理会社や大家さんにあります。そのため、仮にバランス釜が壊れた場合は、大家さんの負担で交換となるケースが多いでしょう。
しかし、まだ使用できるバランス釜をリフォームしたい場合は、自己負担となります。
どちらのパターンでも大家さんや管理会社への連絡は必須です。また「壁がもろい」「各階の排気先が同じダクト」など、環境によってリフォームが不可となるケースもあるので、業者に現地調査を行ってもらう必要もあります。
団地でのお風呂リフォームの注意点や費用相場について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
【まとめ】バランス釜をリフォームして快適なお風呂に
バランス釜は、1960年代に公団タイプの住宅向け商品として開発された給湯設備機器です。
賃貸アパートではバランス釜を導入しているところが多いですが、長年使用しているとガス漏れなどの不具合が生じてくるためリフォームが必要です。
リフォーム方法は「ガス給湯器に交換」「ホールインワンタイプに交換」「新しいバランス釜に交換」「ユニットバスにリフォーム」の4つとなります。
「使用期間が10年を超えている」「お湯がでない」「ガス臭や焦げ臭いニオイがする」「変な音がする」などに当てはまる場合は、リフォームの目安です。
また、バランス釜が故障した場合、すぐにでも業者に連絡をしてリフォームを開始したいところですが、賃貸の場合は必ず、大家さんや管理会社に連絡を入れるようにしましょう。
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