子どもが大きくなり、部屋数を増やすために増築リフォームを検討している方も多いのではないでしょうか。
増築したいけど、土地が狭くて思いどおりに増築できないという悩みも聞こえてきます。
そのような方には、二階建ての住宅を三階建てへ増築することを考えてみてはいかがでしょうか。
本記事では、二階建てを三階建てに増築するリフォームのメリットと注意点について解説します。
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三階増築をするメリット
二階を三階にする増築リフォームは、ハードルが高いと思われるでしょう。
その分、大きなメリットもありますので見ていきましょう。
メリットその1:スペースの有効活用ができる
三階増築をすると、スペースの有効活用ができるメリットがあります。
土地面積が限られている場合、建物を上に広げることで土地を有効に活用することができるためです。例えば、三階増築をすると下記のような活用方法があります。
- 1階をガレージにする
- 二世帯住宅にする
- 事務所併用住宅にする
三階増築をおこなうと、各階で空間を分けることができるので、さまざま活用方法が期待できるでしょう。
メリットその2:コストを抑えて居住スペースが増やせる
三階増築をすると、コストを抑えて居住スペースが増やせるメリットがあります。
例えば、建て直しの場合は解体工事費用がかかり、工事期間中の居住を確保する必要があります。
一方、三階増築であれば、解体工事費用も掛かりませんし、現在の住居に住んだまま増築が可能です。また、住み替えと比べても、三階増築の方が費用を大幅に抑えることができるといえるでしょう。
そのため、コストを抑えつつ、新しい部屋を増やしたいという方には、メリットになるといえます。
三階を増築する前に確認すべき注意点
三階を増築する前に確認すべき注意点を紹介します。
三階増築には「法律上の制限を上回っていないか」「増築に耐えられる基礎・強度か」などの確認事項があります。
下記内容を確認した上で、三階増築を検討するようにしましょう。
注意その1:法律上の制限を上回っていないか
建物には様々な法的規制があります。
隣近所への配慮からなる法律や、周辺環境や町づくりのための規制など多岐にわたります。その中には、三階増築に関係するものもあります。
建ぺい率
建ぺい率とは、敷地の広さに対する、建物の面積の割合です。
建ぺい率の求め方は以下の通りです。
建ぺい率(%)=建物面積(㎡)÷ 敷地の面積(㎡)
建物を上から見たときに、その土地の何割を占めているかで判断します。
土地によって建ぺい率の上限が決まっているので、同じ広さの土地でも建てられる建物の面積が変わります。
■(例)敷地面積50㎡の場合
- 建ぺい率50%→建築面積25㎡以内
- 建ぺい率80%→建築面積40㎡以内
建ぺい率が大きいほど、建物に使える土地の面積は大きくなります。
しかし「建ぺい率の基準を守らないと建築基準法違反によって、罰則を下される可能性があるので注意が必要です。三階増築を検討する前に、建ぺい率を計算して増築面積がオーバーしないか確認しましょう。
容積率
容積率とは、敷地面積に対する「延べ床面積」の割合です。
延べ床面積とは、すべての床の面積の和です。
ただし、バルコニーやロフト、吹き抜けなどの部分は、延べ床面積には含まれません。例えば、敷地面積100㎡、容積率80%が上限の土地があるとします。
そこには、延べ床面積80㎡までの建物が建てられる計算になります。
容積率も土地ごとに上限が決められています。中でも一点、気をつけなければならないのが、前面道路幅が12m以下の場合です。
住居系の地域であれば、「道路幅×0.4」と「指定の容積率」のどちらか小さい方が適用されます。
例えば幅員6mであれば、「6m×0.4×100%=240%」と指定の容積率を比較してどちらか小さい方が採用されます。
用途地域による制限
用途地域とは、計画的な市街地をつくるために用途に応じて分かれている13のエリアのことです。建築物の高さの制限上、「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」内で三階建てリフォームを行う為には、設計上高いハードルを超えなければなりません。
注意その2:増築に耐えられる基礎・強度か
戸建て住宅は、多くの場合が木造または軽量鉄骨造です。
二階建ての上にもう一つ「階」を乗せるため、事前に強度を確認する必要があります。
強度の確認は、建築士に構造計算を行ってもらう必要があります。
構造計算を行った上で施工しなければ、台風や地震によって倒壊してしまう恐れがあります。また、年数が経過した基礎の状態も気になります。
基礎の一部をサンプルとして、コンクリートの中性化を調べ、強度の確認が必要です。
注意その3:自治体へ確認申請が必要な場合がある
三階増築リフォームを行うためには、確認申請が必要です。
確認申請とは、建築物が法や条例などに反していないかを役所の担当者、または指定確認検査機関に確認してもらう手続きのことです。
申請が通ると済証を発行してもらえます。
増築の場合は必ず手続きを行いましょう。
なお、確認申請が必要な工事なのに手続きをしなければ、1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑が定められています。注意その4:通し柱がないか
三階増築リフォームに限らず、通し柱を切ることはできません。
二階建て住宅の中には、二階まで通した柱(通し柱)が入っていることがあります。
通し柱を切ってしまうと家の倒壊につながるため、必ず通し柱の有無を確認してください。三階増築の費用相場
三階増築リフォームは、コストパフォーマンスに優れた増築です。
ただし、コストパフォーマンスに優れているだけで、決して安価ではありません。
それぞれの状況での三階増築リフォームを見ていきましょう。
費用相場その1:二階建てから三階建てに増築
二階建てから三階建てに増築する費用相場は、50万円/㎡程度です。「構造体を作らなければならない」「三階建てリフォームのために足場を組まなければならない」の2点が影響し、割高になります。
それでも、土地を購入するよりは、費用を抑えることができます。
費用相場その2:平屋から三階建てに増築
平屋から三階建てに増築する費用相場は、80万円/㎡程度です。平屋を三階建てにする場合、1階の補強など、既存の平屋の構造に大幅な変更が必要となるため、費用がより高くなる可能性があります。
費用相場その3:三階に水回りを増築
三階に水回りを増築する費用相場は、下記の通りです。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
三階増築費用 | 640万円(50万円/㎡×12.8㎡) |
キッチン | 70万円 |
浴室 | 80万円 |
トイレ | 30万円 |
給排水配管 | 15万円 |
合計 | 835万円 |
※キッチンを6㎡、トイレ1.5㎡、浴室3.3㎡、通路など2㎡とした場合
水回りを増築リフォームするためには、給排水配管の分岐と延長が必要です。
また、浴室はかなりの重量物となります。
構造体自体の補強、下階への漏水対策として防水工事も必要になる場合もあります。費用相場その4:三階に玄関を増築
二世帯住宅にしたい場合は、玄関を2つにわけたほうが良いとされています。
1階、二階にそれぞれ専用の玄関を設けることで、お互いに干渉することが減ります。
三階に玄関を増築する場合の費用は、増築費用50万円/㎡+外部階段設置20万円/㎡+玄関廻りの工事100万円の合計170万円からとなります。三階増築リフォームでも補助金がもらえる【基準あり】
補助金の有無は、国や地方自治体の政策や予算状況、対象となる建物の条件などによって異なります。
一般的には、リフォームや増改築に対して補助金が出る場合もありますが、三階増築リフォームに対して補助金が出るかどうかは、国や地方自治体によって異なります。
例えば、日本の場合、国や各都道府県、市区町村によって様々な補助金制度が設けられています。
中には、エネルギー効率を向上させるための補助金や、災害対策のための補助金など、特定の目的に対してのみ補助金が出される場合もあります。
そのため、三階増築リフォームに対して補助金が出るかどうかは、国や地方自治体のウェブサイトや相談窓口 などで確認することをおすすめします。また、補助金を受けるためには、一定の条件や手続きが必要な場合もあるため、詳細な情報を収集し、必要な手続きを行うことが重要です。
三階増築が難しい場合のリフォーム案
三階増築が難しい場合のリフォーム案を紹介します。
法律上の制限や現在の住宅の強度不足などにより、三階増築が不可能な場合は、下記案を試してみましょう。
その1:屋根裏部屋やロフトを作る
1つ目のリフォーム案は、屋根裏部屋やロフトを作る方法です。
屋根形状や構造体を触ることなく、三階のような場所を作ることができます。
屋根裏は、そもそも屋根の直下であり高さはないですが、費用をかけずにリフォームできます。また、床面積を大きくしすぎなければ建築基準法に抵触しないため、固定資産税の金額に影響なく増設することができます。
その2:スケルトンリフォームでスキップフロアを作る
2つ目のリフォーム案は、スケルトンリフォームです。
スケルトンリフォームとは、壁や天井を全て無くし構造である柱だけを残して行うリフォームのことです。
スケルトンリフォームの場合、間取りの変更も可能です。
もともと、二階建てである事が条件になりますが、1階と二階の間に、半二階のような場所を作ることができます。普通の空間よりは低くなりますが、二階建ての建物の内側を三階建てにして使うというものです。
三階増築を依頼する優良な会社の見つける方法
まず、三階増築という大掛かりなリフォームの前に、小さなリフォームでその業者の取り組む姿勢を見てみましょう。
三階増築は、難しいリフォームです。
必ず、工事実績も確認しておきましょう。また、相見積もりをとることをおすすめします。
業者との関係性が出来ていれば相見積もりは不要ですが、最初のころは取得しておくべきでしょう。
工事の相場感を掴むことが出来れば、費用の交渉にも役立ちます。
家を建てた工務店、ハウスメーカーに相談するのも良いでしょう。
三階増築は優良なリフォーム会社に依頼しよう【まとめ】
三階増築について紹介しました。
三階増築には「スペースの有効活用ができる」「コストを抑えられる」といったメリットがあります。
しかし「法的規制」や「増築に耐えられる基礎・強度か」などの制限もあるので事前に確認しておくようにしましょう。
費用に関しては「二階建てから三階建てに増築」「平屋から三階建てに増築」など状況別によって変動します。
また、三階増築が難しい場合は「屋根裏部屋やロフトを作る」「スケルトンリフォーム」といったリフォーム案を採用するとよいでしょう。
本記事を参考に優良なリフォーム会社を選定して三階増築を成功させましょう。