平屋はシンプルな構造で熱効率や耐震性に優れ、ワンフロアで生活できるため、近年見直されて人気となっています。
しかし、2階建て以上の戸建てと比較すると新築の物件数が少なく、気に入る平屋になかなか出会えないこともあります。
そのため、中古の平屋を購入してリフォームを行う方も少なくありません。
本記事では、平屋のメリット・デメリット、平屋リフォームの費用相場、リフォームの際に活用できる補助金制度について解説します。
【関連記事】
>>リフォームの費用相場
平屋が見直されている理由とメリット・デメリット
平屋は、階段の昇り降りをする必要がなく、シンプルな構造のためメンテナンスの費用も少なくて済むことから、近年人気が高まっています。
特に、小さなお子さんや高齢者の方にとっては、階段の危険やきつさがないことから、安全性や暮らしやすさの面でも人気です。
高齢になり、二階建ての戸建を減築して平屋にリフォームする方も増えています。
以下では、平屋のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
平屋のメリット
平屋の大きなメリットは、ワンフロアであることによる、効率的な動線と無駄のない間取りです。
他にも、冷暖房の効率が良く光熱費を抑えられるというコストの面、耐震性が高いという建築面のメリットもあります。
平屋のメリットは多く、以下の項目が挙げられます。
- ワンフロアのため移動がしやすく効率的な動線
- 階段がないため居住空間が広く無駄のない間取り
- 階段がないため昇降のきつさや危険がない
- バリアフリーリフォームや修繕を行いやすい
- 2階建てに比べて安定性・耐震性が高い
- 2階建てに比べて固定資産税が安い
- 2階建てに比べて家族のコミュニケーションが取りやすい
- 外壁塗装などのメンテナンス費用を抑えられる
- 冷暖房の熱効率が良く、光熱費を抑えられる
上記のように、平屋は2階建てに比べると、ランニングコストも抑制できます。
延べ床面積が少ないことから固定資産税の抑制や、外壁の面積も少ないことから塗装などのメンテナンスの費用も抑制できるなどのメリットがあります。
平屋のデメリット
平屋には先述のようにメリットが多い一方で、デメリットも存在します。
平屋をリフォームする前に知っておきたいデメリットと注意点は次の通りです。
- 防犯対策・目隠し対策が必要
- 水害災害時に、高いところに逃げられない
- プライバシーが確保しづらい
周辺の建物や立地にもよりますが、窓から室内が見えてしまうことがデメリットの一つです。その場合は、防犯対策や目隠し対策が必要となります。
防犯対策としては、防犯ガラスの導入や、センサーライトの設置、防犯砂利を敷いたりするなどの施策が可能です。また、平屋は1階建ての建物のため、水害が発生したときに高いところに逃げることができません。
水害が発生したときに、迷うことなく避難するために、地域のHPにあるハザードマップを確認して、被災想定区域や避難場所・避難経路などを把握しておくようにしましょう。平屋は家族間のコミュニケーションが活発になる一方で、プライバシーを確保しにくいというデメリットもあります。
ロフトの設置や、過ごす空間の床の高さを変えるスキップフロア・ダウンフロアの設置などによって、空間スペースを分ける方法がプライバシー対策として挙げられます。
平屋リフォームの費用相場は?
平屋リフォーム・リノベーションにかかる費用について、ここでは次の3つのパターンについて解説します。
- 平屋をフルリフォームする場合の費用相場
- 2階建てを平屋に減築リフォームする場合の費用相場
- 特殊なリフォームの費用相場
それぞれご紹介します。
平屋をフルリフォームする場合の費用相場
築年数が経過している平屋を購入してフルリフォームをする場合の費用相場は、約500万円〜2,000万円程度が目安となります。
導入する設備のグレードや、家の広さ、劣化の状況によってかかる費用は大きく変動するため、何を重視するか、優先順位をはっきりさせてから計画を立てるようにしましょう。費用相場の内訳は次の通りです。
■平屋でよく行われるリフォームの費用相場 | |
---|---|
間取り変更
(壁を撤去して広いLDKにするなど) |
100万円~350万円 |
スケルトンリフォーム
(間仕切りの壁を完全撤去してフルリフォーム) |
300万円~2000万円 |
断熱リフォーム | 4,000円~3万円/㎡ |
耐震リフォーム | 25万円~300万円 |
合併処理浄化槽の設置/交換 | 80万円~100万円 |
■内装リフォームの費用相場 | |
壁のリフォーム
(壁紙・クロスの張り替え、珪藻土や漆喰などの塗り壁にする) |
10万円~30万円 |
床のリフォーム
(フローリングの張り替え、畳からフローリングに変更) |
20万円~40万円 |
間仕切りの設置リフォーム
(壁の設置、パネルドアの設置) |
8万円~40万円 |
■水回りの設備のリフォーム費用相場 | |
キッチン | 60万円〜300万円 |
お風呂 | 60万円〜150万円 |
トイレ | 30万円~70万円 |
洗面所 | 5万円~15万円 |
2階建てを平屋に減築リフォームする場合の費用相場
現状の家が2階建ての場合、平屋に減築する費用の目安は次の通りです。
併せて、1階部分を増築リフォームする場合の費用相場も記載します。
2階建てを平屋に減築リフォーム | 500万円〜2,500万円 |
---|---|
1階部分を増築リフォーム | 70万円~500万円 |
特殊なリフォームの費用相場
平屋で行われる特殊なリフォームには以下のような工事が挙げられ、費用相場は次の通りです。
- ロフトの設置
- 天井を吹き抜けにする
- ビルトインガレージの設置
ロフト設置工事費(6畳の場合) | 約80万円 |
---|---|
天井を吹き抜けにする | 約100万円~500万円 |
ビルトインガレージの設置 | 約70万円~250万円 |
ロフトがあると、子供の部屋・物置・書斎など様々な用途に使用できます。
平屋リフォームで使える補助金制度
平屋リフォームの際には、国や自治体の補助金制度も要件を満たせば利用することができます。
補助金の対象となる工事は次の通りです。
- 耐震補強
- 省エネ化
- バリアフリー化
国による上記の補助金と、自治体による補助金も併せて解説します。
耐震補強の補助金
耐震性の向上や、子育て世帯向けの改修工事などを補助する、国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は令和4年度も実施されます。お住まいの自治体でも耐震補強の補助金制度を設けている場合があるため、自治体のホームページもチェックしてみましょう。
地域によって補助金の制度や金額は異なりますが、平屋リフォームの際には、1981年5月31日以前建てられた旧耐震基準の建物は補助金の対象になりやすくなっています。
また、大阪市の「民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度」は、他の補助金制度との併用はできませんが、2000年5月31日以前に建築された建物も対象となっています。
耐震工事の内容と費用相場については、築年数や家屋の状態によって変動しますが、目安は以下の通りです。
耐震診断 | 3万円~25万円 |
---|---|
壁の耐震補強・改修工事 | 約25万円 |
基礎の耐震補強・改修工事 | 30万円~60万円 |
参考:日本建設業連合会「耐震診断費用の目安」
省エネにする補助金
下記のような、エコ・省エネを目的とした断熱工事やリフォームは、国や自治体の補助金制度の対象となることがあります。
窓の断熱化 | 5万円~60万円/箇所 |
---|---|
外壁、屋根の断熱化 | 80万円~350万円 |
高効率給湯器の設置(エコキュートなど) | 40万円~73.5万円/台 |
節水型トイレへの交換 | 15万円~40万円/台 |
高断熱浴槽付きの浴室リフォーム | 55万円~90万円/箇所 |
太陽光発電システムの設置 | 約30万円/1kW |
蓄電池の設置 | 12万円〜20万円/kW |
環境省が実施している「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、断熱リフォームの工事に補助金が出る制度です。令和4年度も実施され、公募期間は6月17日(金)~4年8月10日(水)までとなっています。
なお、国の制度の他にも、自治体が独自に用意している支援制度もあるため、お住まいの自治体のHPもチェックして、補助金や制度を確認することをおすすめします。
バリアフリーにする補助金
平屋リフォームの際に、バリアフリーリフォームも併せて実施するときには、介護保険の住宅改修支援制度が利用しやすいでしょう。
要介護もしくは要支援の認定を受けている方が同居されている場合で、ケアマネージャーなどに相談の上、必要だと判断された工事が対象となります。
対象となる工事は、段差の解消や手すりの取り付けなどで、補助金額の上限額は20万円です。
参考:厚生労働省「介護保険における住宅改修」
なお、バリアフリー工事の費用相場は以下の通りです。
手すりの設置 | 10万円~20万円 |
---|---|
床の段差解消 | 10万円~20万円 |
室内ドアを引き戸へ変更 | 5万円~30万円 |
バリアフリー化は、介護を受ける人の利便性を高めることはもちろん、介助をする人にとっても、介護しやすい環境を整える工事となります。
平屋リフォームのメリット・デメリットを知って補助金制度も活用しよう
これまで解説したように、近年、平屋の人気が高まり、平屋リフォームを実施する方も多くなっています。
平屋には多くのメリットがある一方、デメリットも存在しますが、対策は可能です。
また、平屋リフォームの規模にもよりますが、リフォームには多額の費用がかかります。
そのため、平屋リフォームを行う際には、上記のような補助金制度を活用することもおすすめです。
自治体ごとに補助金が用意されていることもあるため、お住まいの地域のHPも確認するようにしましょう。
なお、平屋リフォームの業者選びにお悩みの方は、ぜひ「ヌリカエ」も活用してみてください。全国2,000社以上の中からあなたの地域に近く、条件の揃った業者をご提案させていただきます。ネットで手軽に見積もりを取り寄せられるので、ぜひお気軽にお試しください。