近年、古い団地を自分好みにリノベーションをして住む人が増えています。
無印良品とUR都市機構の団地リノベーションプロジェクトによって手掛けられた物件も人気です。
本記事では、関心の高まっている団地リノベーションの費用相場などの基礎知識から、メリット、おしゃれな事例、リノベーションの流れについて、詳しく解説します。
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団地リノベーションとは?
団地とは、同じ敷地内に建てられている複数の共同住宅のことです。都道府県や市区町村が運営している公営住宅、公社住宅などが団地と呼ばれ、病院や保育園などの生活関連施設が併設されている場合もあります。
団地リノベーションとは、築年数が古い団地を、現代的な機能やデザインを備えた住まいに一新することです。
築年数が経っている古い団地は、間取りや設備が旧式のため、設備を入れ替えて、間取りも変更するリノベーションが主流です。
根本からリノベーションをすることで、新築マンションのような使い勝手とデザインにすることができます。
団地は新築物件に比べて安価に購入できるため、リノベーション費用を加算しても、新築と比較すると低コストで理想の住まいを実現できる点が大きな特徴です。
ただし、団地リノベーションが可能なのは専有部分のみのため、玄関ドアや廊下などの共用部分は個人ではリノベーションができない点に注意が必要です。また、ベランダにある窓ガラスも交換できない場合があります。
団地リノベーションの事例
実際に団地のリノベーションを行った事例をいくつかご紹介します。
①間取り変更で利便性が向上
昔ながらの団地を新築さながらにリノベーションしました。
■before
■after
間仕切りが多い昔ながらの団地でした。設備の移動が難しかったため、ほぼすべての壁面の撤去を行い大胆な間取り変更を実施。別々だったキッチンとリビングが、開放感あふれる広々としたLDK空間に生まれ変わりました。
このように団地の構造上可能であれば間取り変更を行うことで、限られた空間を有効活用できますよ。
リノベーション面積 | 44㎡ |
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リノベーション費用 | 636万円 |
リノベーション箇所 | キッチン、リビング・ダイニング、浴室など |
②茶道のお稽古ができるこだわり空間
新しさと古い団地の良さを取り合わせました。
■before
■after
リノベーションにあたって特にこだわったのは、開放感。面白さや楽しさを残すべく、空間の使い方は工夫されました。和室は茶道を楽しめるようにするため、壁の位置を移動。それにより棚を設置するスペースがうまれ、茶碗や茶器を飾ることができました。さらに、リビングから和室へのアプローチに格子戸を設置したため、格子越しの光が良いアクセントになっています。
リノベーション面積 | 25㎡ |
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リノベーション費用 | 965万円 |
リノベーション箇所 | キッチン、リビング、浴室、和室など |
③スケルトン団地リノベーション
スケルトンにして、要望を1つ1つ叶えていきました。
■before
■after
団地の外観からは想像もつかない、最新設備と落ち着いた内装のおしゃれな家になりました。キッチンや浴室などは、毎日の家事が楽になる便利機能が満載の最新モデルへ。部屋を開けると丸見えだった玄関は、間取りを変更することで改善。必要なくなった和室は思い切ってなくし、リビングを広くしました。
リノベーション面積 | 61㎡ |
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リノベーション費用 | 600万円 |
リノベーション箇所 | キッチン、浴室、トイレ、洗面所など |
④リビングを増築してゆとりある空間に
メゾネットタイプの団地の大規模なリノベーションを行われました。
■before
■after
RC構造の団地だったため、耐火性・耐震性に優れていました。ただ、建物の老朽化と間取りの使い勝手の悪さを解消するためリノベーションを決行。リビングを増築し、対面式のキッチンで広く使いやすくなりました。
さらに、限られたスペースを有効活用するため、階段下には収納スペースを設置。奥行が深くデッドスペースになりがちですが、形状にあった収納グッズを使うことで物の出し入れが楽になります。
リノベーション面積 | 64㎡ |
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リノベーション費用 | 1200万円 |
リノベーション箇所 | キッチン、リビング、浴室、トイレなど |
⑤費用を抑えた団地リノベーション
リノベーション箇所を絞り、300万円台で理想の家を手に入れました。
■before
■after
壁紙や畳などあまり傷んでいない設備をそのまま活かすことで、費用を抑えることに成功。リノベーションされた水回りは、白を基調とした、無駄のないシンプルな空間にまとめました。
木の温もりを感じられるよう、床は無垢のパイン材に。価格が安く、1年中快適に過ごせるため、お客様に最適でした。
リノベーション面積 | 45㎡ |
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リノベーション費用 | 380万円 |
リノベーション箇所 | キッチン、浴室、洗面所、リビング |
団地リノベーションのメリット
ここからは、団地リノベーションの主な3つのメリットについて解説します。
コストが低い
マンションと比べた場合の団地の最大のメリットは低価格であることです。現在、売買されている分譲の団地は築年数が30年以上の古い物件が多いため、マンションよりも低価格で購入することができます。
リノベーションを行う場合は、物件の費用と工事費用を合わせた金額が必要となりますが、取得コストの低い団地であれば、リノベーション費用を加えても総費用が抑えられます。
低価格で自分仕様のマイホームにできる点が、団地リノベーションの大きな利点です。建物の強度が高い
築年数が古いと耐震性に不安のある方も少なくないでしょう。
しかし団地は、昔の基準でも耐震性に優れている点がメリットです。
団地を多く建設している公団・公社は、利益優先で建設コストを抑える民間企業よりも、設計や施工管理・検査体制がしっかりしています。そのため、古い物件でも安全性に優れている建物が多くなっています。
基本構造がしっかりしている団地は、柱と梁のフレームで構成する構造ではなく、壁・床・天井をコンクリート板で構成し建物全体を箱型で支える「壁式構造」という鉄筋コンクリート造りになっています。
構造的に高い耐震性を有している団地は、リノベーションが完了してからも安全に暮らせるでしょう。
暮らしの利便性が良い
集合住宅である団地は、利便性も大きなメリットです。
多くの人が住んでいることから、交通のアクセスや公共施設、駐輪場や駐車場、公園や道が整備されているなど、住環境が整えられていることが多いため、暮らしやすい環境です。
また、配水管や共有部分のメンテナンスなどもしっかり行われている場合が多くなっています。
団地の場合は、管理組合や自治会など、住んでいる人のコミュニティや近所付き合いが形成されていることから、災害時の助け合いなどの面でも安心です。
一方で、人付き合いを好まない方にとっては、プライバシーが確保しにくいと感じる場合もあるでしょう。
団地を購入してリノベーションを行う場合の流れ
まだ団地を購入されていない方は、「物件購入」と「リノベーション」の2つのプロセスの引き継ぎがスムーズに進むよう計画することが大切です。ここでは、住宅ローンを利用を想定したスケジュールの一例をご紹介します。
①不動産会社とリノベーション業者選び
団地を買ってリノベーションをする場合は、まずは物件が決まらないことには何も始まりません。ですが、その前にパートナーとなる不動産屋選びも重要です。
また、リフォーム費用を住宅ローンに組み込んで借入する場合、物件探しと並行して検討しておきたいのがリフォーム会社選び。一体型住宅ローンを利用するのであれば、事前審査に工事代金の見積書が必要となるためです。
そのため物件が決まった段階で、リノベーション業者に要望を伝え、概算見積もりを出してもらう必要があります。概算の見積もりでも住宅ローンの事前審査でも、住宅ローンの契約まで進みますよ。
②物件選び
STEP2 物件選び
- 物件内見
- 事前審査
- 売買契約
まずは無理のない予算の範囲や希望される条件を元に、物件を探します。一概には言えませんが、平均で1〜3ヶ月程度物件探しに時間をかける方が多いようです。
事前審査は、正式に住宅ローンに申し込む前に、金融機関が最小限の情報で短期間に判断する審査のことです。欲しい団地が見つかった段階で事前審査を申し込むようにしてください。
③物件購入
STEP3 物件購入
- 本審査
- ローン契約
- 物件決済(引き渡し)
本審査では複数の書類を提出する必要があり、事前審査よりも詳細な確認を関係で、審査には約1週間〜2週間かかるのが一般的です。
本審査を通過した後、金融機関と住宅ローン契約を結びます。この契約の時点で住宅ローンの金利タイプや返済期間などが決定します。
④リノベ―ション設計
STEP4 リノベーション設計
- 現地調査・ヒアリング
- プラン提案
- 見積もり
団地の売買契約を終えてからは、できるだけ早くリノベーションの打ち合わせをスタートすることをおすすめします。賃貸物件にお住枚の場合、賃料とローンの負担が二重に発生してしまうためです。
現地調査では採寸や現状の確認を行い、お客様からお伺いしたご要望を元に、プランを作成し、細かいデザインや正式な見積もりを決めます。
⑤リノベーション工事
STEP5 リノベーション工事
- 工事契約
- 工事
- 引き渡し
実施プランと納得した金額に工事請負契約書を締結します。そして管理組合申請と近隣承認を経て、リノベーション工事が始まります。
工事が完了後は、現場監督とリフォーム担当立ち合いの元で工事個所をチェックし、お引き渡しとなります。
団地リノベーションの価格帯
ここでは、団地リノベーションにかかる費用を次の部位ごとに解説します。
・間取り変更や、部分的なリノベーション
・防音・断熱対策
・全面リノベーションやスケルトンリフォーム
なお、全面リノベーションの目安は、2LDK〜3LDKほどの広さであれば、総額300万円〜2000万円程度が相場です。
水まわりのリノベーション費用
キッチンや浴室などの水回りをリノベーションする場合、水回りの設備と床や壁などを全て交換し、きれいにするのであれば、300万円程度が目安となるでしょう。
水回りの箇所別の相場費用と平均寿命は次の通りです。
リフォーム箇所 | 費用相場 | 平均寿命 |
---|---|---|
キッチン | 60万円〜300万円 | 10年 |
お風呂 | 60万円〜150万円 | 20年 |
トイレ | 30万円~70万円 | 20年 |
洗面所 | 5万円~15万円 | 10年 |
特定の箇所だけ交換するのもよいですが、もし、複数の設備を取り替える予定がある場合は、一度にまとめてリノベーションをすると結果的に費用を抑えられることがあります。
事業者によって、水回りのセット料金で割引いてもらえるケースがあるためです。
間取り変更のリノベーション費用
間取りを一部変更するなどの部分的なリノベーションを行う場合は、100万円〜300万円程度が相場です。
団地は昔の間取りになっているため、和室から洋室に変更したり、3LDKから広めの2LDKに変更するなどのリノベーションを行う事例が多くなっています。
以下では、仕切り窓の設置、撤去の費用相場を記載しますので、参考にしてください。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
間仕切り壁の設置 | 5万円~20万円 |
間仕切り壁の撤去(補修含む) | 7万円~23万円 |
壁・ドアの新設 | 30万円~70万円 |
ダイニング・キッチン・リビングをLDKに変更 | 100万円~300万円 |
クロスの張り替え | 1,000円~1,500円/㎡ |
フローリングの張り替え | 2万円~6万円/畳 |
防音材の施工(壁の内側) | 12万円〜30万円 |
防音仕様の床材に張り替え(6畳の場合) | 6万円〜23万円 |
なお、団地リノベーションの場合、建物の工法・構造によっては理想の間取りに変更できない場合があるため、施工業者とよく相談しましょう。
防音・断熱対策のリノベーション費用
築年数が経過している物件の場合、防音・断熱性能が低い可能性があるため、リノベーションを行う際に合わせて検討することをおすすめします。
団地は専有部分のみが施工可能となるため、事例の多い断熱・防音対策としては、既存の窓に内窓を設置したり、室内の天井・壁・床に防音材や断熱材を施工したりする方法が挙げられます。
施工内容 | 費用相場 |
---|---|
内窓の設置 | 8万円〜15万円 |
防音材の施工(壁の内側) | 12万円〜25万円 |
防音仕様の床材に張り替え(6畳の場合) | 6万円〜30万円 |
断熱材の施工(天井・床下など) | 20万〜300万円 |
壁断熱施工 | 180万~300万円 |
床断熱施工 | 20万〜100万円 |
断熱化のため窓枠を樹脂サッシに交換
(サッシ枠のみ) |
5万円程度 |
断熱リフォームを行うと、外気の影響を受けにくくなるため、冬は暖かい室温、夏は涼しい室温を保つことができ、省エネにもつながるメリットがあります。
なお、防音対策については、隣人の生活音が気になるのか、子供の足音が階下に響いて苦情が来ているのか、など騒音の種類によって行う工事の内容が変わります。
そのため、どのような音を防ぎたいか、防音工事の目的を業者に伝えるようにしましょう。
全面リノベーションやスケルトンリフォームの費用
全面的なリノベーションやスケルトンリフォームをする場合の費用相場は、300万円~2000万円程度となっています。
スケルトンリフォームは、柱や梁など、躯体を除く壁や天井を取り払い、室内を丸ごと交換するリフォームのことで、フルリフォームとも言います。間取り・デザイン・設備の全てを自由に設計できるため、より理想の家を作ることができるでしょう。
なお、工期も長くなるのでゆとりのあるスケジュールを確保しましょう。
団地リノベーションのまとめ
団地の多くは賃貸用ですが、当初から分譲を想定した団地や、URが管理していた賃貸物件が中古分譲住宅として出回っている団地もあります。その多くは、高度経済成長期の1960~70年代に建設されたもの。築年数が古いため、500万円以下でも購入できる団地も多いです。
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