築30年の家はところどころに劣化や不具合が発生するようになり、リフォームすべきタイミングになります。
本記事では、築30年の家はリフォームすべき理由やメリット・デメリット、さらに築30年の家でどのようなリフォームをすべきかなどを徹底解説していきます。
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築30年の家はリフォームすべき
築30年の住宅をリフォームすべき理由として、主に以下の3つが挙げられます。
- 建物自体が寿命に近づく
- 耐震性・断熱性が低下している
- 間取り・設備が使いにくい
建物自体が寿命に近づく
築30年以上の住宅は、そろそろ建物自体が寿命に近づいていると言えます。
例えば、国土交通省の「長持ち住宅の手引き」によると、住宅の平均築後経過年数(取り壊されるまでの年数)は約30年と報告しています。
同じく国土交通省の「令和3年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、リフォームした住宅(新築住宅として取得した住宅)の平均居住年数は27.7年と報告しています。
築30年を過ぎたら急に住めなくなる、なんてことはありませんが、「住宅が傷んだり、汚れたりしていた」など、多くの人が築30年を目安にリフォームを行っていると言えます。
耐震・断熱性が低下している
築30年以上の住宅は、耐震性や断熱性が低下している可能性があります。
築30年程度の住宅であれば、1981年の建築基準法改正による新耐震基準(耐震等級1)が適用されています。断熱性についても、施工が1992年以降であれば新省エネルギー基準(断熱等性能等級3)を満たしています。
ただし、長年の使用による老朽化やメンテナンス不足により、土台や柱などの基礎部分が経年劣化している場合、新築時の耐震性能・断熱性能が維持できていない可能性もあります。
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間取りや設備が使いにくい
築30年以上経つと、住宅や設備の性能が低下するのみならず、設備や間取りが昔のままだと使い勝手が悪いことも考えられます。
築30年の住宅のリフォームを検討されているのは、20代~30代で家を取得した、現在50代~60代の方が多いと思われます。家族構成や生活スタイルの変化によって、新築当時は使いやすかった設備や間取りも、徐々に使いにくくなっているのではないでしょうか?
先々を見据えたバリアフリーリフォームも大切ですが、自分たちが「より楽しく過ごせる家」にリフォームすることもおすすめです。
築30年の家をリフォームするメリット
築30年の住宅を建て替えではなくリフォームすることは、以下の3つのメリットがあります。
築30年の家をリフォームするメリット
- 費用・工期を抑えられる
- 再建築不可物件でも新築同様にできる
- 住み慣れた家を残せる
費用・工期を抑えられる
リフォームは、長くても1ヶ月程度で完了し、場合によってはリフォーム中の家にそのまま住み続けることも可能です。
一方で住宅の建て替えを行う場合、古い住宅を解体してから新築するため、リフォームよりも費用と工期が増加します。解体工事に1週間~10日、新築に4ヶ月~6ヶ月ほどの期間を要するため、約半年にわたって仮住まいをする必要が出てきます。
また、建て替えにかかる費用は、物件によって1,500万円~2,300万円程度が目安となりますが、リフォーム費用は1,200万円~1,400万円程度で全面的なリフォームも可能です。
費用・工期を抑えて住まいを改善したい場合には、リフォームが選択肢となるでしょう。
再建築不可物件でも新築同様にできる
建築基準法の「接道義務」を満たしていない住宅では、解体しても新しい家を建てられない「再建築不可物件」の可能性があります。
接道義務とは、4m以上の道幅の道路に、敷地が2m以上接することを義務付けるもので、災害時の救護活動や消火活動を行うために定められています。
再建築不可物件は建て替えが難しいため、リフォームやリノベーションが選択肢となります。
再建築不可物件は相場よりも安価に売られているため、近年では中古で購入してリフォームやリノベーションを行うことも人気です。
ただし、再建築不可物件をフルリフォームする際にも注意点が多くあるため、住宅診断(インスペクション)やリフォーム会社への相談をしっかり行いましょう。
住み慣れた家を残せる
新築から住み続けている築30年の住宅の場合、リフォームを選ぶことで、これまでの30年分の思い出を残したまま、家の性能を高めることが可能です。
子ども部屋として使っていた部屋をそのまま残したり、柱を別の箇所の建材として使うことなどもできるので、建て替えにはない精神的なメリットがあります。
築30年の家をリフォームするデメリット
築30年の住宅で、建て替えよりもリフォームを選ぶことで発生するデメリットは、以下の3つです。
築30年の家をリフォームするデメリット
- 自由な間取り変更が難しい
- 住宅ローンの審査が厳格化する
- 建て替えより費用がかさむ場合も
自由な間取り変更が難しい
リフォームでは家の基礎をそのまま使用するため、柱や壁を取り払った自由な間取り変更が難しくなります。
生活動線の障害になる柱や壁を残した場合、リフォーム後も暮らしにくく感じて後悔してしまう可能性もあるでしょう。
間取り変更を含めたリフォームを検討している場合には、建物の構造上、取り払えない柱や壁などを事前に診断してもらうことをおすすめします。
住宅ローンの審査が厳格化する
住宅の資産価値は築30年の家よりも新築の家の方が高くなり、住宅ローンの審査でも優遇されます。
そのため、新築の家に建て替える場合には住宅ローンの審査が通りやすいですが、築30年の家のリフォームで住宅ローンを申請した場合には、審査に通りにくくなる可能性があります。
リフォーム費用を自己資金で賄う場合は、影響はありませんが、ローンを組んでのリフォームを考えている方は注意が必要です。
建て替えより費用がかさむ場合も
目先の費用を抑えようとした結果、住み始めた後になって不具合が見つかり何度もリフォームを繰り返す事態になるなど、トータルコストで建て替えの方が安く済んだという失敗例も少なくありません。
そのため目に見える部分のみをリフォームするのではなく、事前に住宅診断(インスペクション)を受けて修理が必要な箇所を調べることをおすすめします。
築30年の家のリフォームでよく行われる工事
築30年の家のリフォームでは、主に以下の3つの工事がよく行われています。
スケルトンリフォーム
スケルトンリフォームとは家の柱や梁などの骨格となる部分のみを残し、それ以外の壁や設備を一度すべて解体してから新たに作り直す大規模なリフォームのことです。
スケルトンリフォームは大規模工事になるので、部分的な工事に比べると工事費用は高くなりますが、間取りの変更や水回り設備の刷新、家のデザインの変更、断熱・耐震リフォームなどできる工事の自由度が高い点が魅力です。
築30年の家は家自体の断熱性や耐震性が低いことが多く、今後長期的に生活することを考えるとネックになりやすいです。
スケルトンリフォームであれば家の骨格部分以外の内装や外装を一から作り直すので、断熱・耐震工事がしやすく、長期的に安心して暮らせる家にリフォームが可能です。
家の断熱性が上がることは家の省エネ化にもつながるため、リフォーム後は光熱費を節約できるなどの嬉しい効果もあります。
スケルトンリフォームがおすすめの人
- 家が全体的に劣化しており、どこをリフォームすればいいかわからない人
- 家の間取りやデザインなどを大きく変更したい人
- 家の断熱性や耐震性をしっかり上げたい人
スケルトンリフォームの費用相場
スケルトンリフォームの費用相場は戸建てとマンションで異なります。それぞれの費用は以下の通りです。
種類 | 合計金額 |
---|---|
戸建てのスケルトンリフォーム | 600~1,200万円 |
マンションのスケルトンリフォーム | 500~800万円 |
戸建てのスケルトンリフォームは屋根や外壁まで取り除くことが多いため、その分解体費用が高くなります。
また、スケルトンリフォームの場合は耐震工事や断熱工事を行うかどうかも費用変動の要素となります。築30年の家は耐震性や断熱性に不安が出始めることが多いため、一緒に工事をしておくのがおすすめです。
>>スケルトンリフォームとは?
>>スケルトンリフォームの費用相場
バリアフリーリフォーム
新築から30年経っている家の場合は、生活する家族のライフスタイルも大きく変わっていることが多いです。例えば子どもが独立して夫婦2人になったり、独立した子どもが戻ってきて同居することになったり。
そのようなライフスタイルの変化のタイミングでは、長期的な生活を見据えてバリアフリーリフォームを行う世帯も多いです。
出典:長谷工リフォーム/トイレのバリアフリーリフォーム事例バリアフリーリフォームする時は以下の部分の工事を行うのがおすすめです。
- 浴室やトイレ内に手すりを設置
- 浴室やトイレの扉を引き戸に交換
- 部屋中の段差を解消
- 車いすで動きやすいように通路幅や部屋の拡張
- 玄関にスロープを設置
また、家族の中に要介護者がいる場合はバリアフリーリフォームをすると介護保険で最大18万円までの補助が受けられます。介護保険で受けられる補助金の内容についてはこちらの記事をご覧ください。
バリアフリーリフォームがおすすめの人
- 家族内に高齢者・要介護者がいる家庭
- 親や祖父母世代との同居を予定している人
- 将来的な病気やケガなどの万が一に備えたい人
バリアフリーリフォームの費用相場
バリアフリーリフォームの費用相場は以下の通りです。
工事内容 | 費用相場 |
---|---|
手すりの設置 | 7,000~3万円/㎡ |
段差の解消 | 3~15万円 |
ドアを引き戸に変更 | 5~60万円 ※設置場所によって変動 |
滑りにくい床材への変更 | 2,000~13,000円/㎡ ※床材の種類によって変動 |
玄関スロープの設置 | 1~50万円 ※簡易スロープかコンクリート製スロープかによって変動 |
階段昇降機の設置 | 50~150万円 |
トイレリフトの設置 | 20~25万円 |
廊下の通路幅を拡張 | 30~80万円 |
浴室の入り口を拡張 | 30~50万円 |
築30年の家でバリアフリーリフォームをする場合はこれから長期的に住むことを考えて、手すりの設置・段差の解消・引き戸への交換・床材の変更・スロープの設置などをできるだけまとめてリフォームするのがおすすめです。
身体が元気なうちにバリアフリーの状態に整えておき、早めに住み慣れておくのも大事です。
>>バリアフリーリフォームの工事内容と費用相場
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水回りのリフォーム
築30年の家であってもどのように使われてきたかによって劣化状況が変わるので、スケルトンリフォームのような大規模な工事をしなくても良い場合もあります。
その場合は気になる箇所を部分的に工事するのでも良いでしょう。
築30年でこれまで一度もリフォームをしていない場合は、特にキッチンやお風呂などの水回りのリフォームを優先的に行うことをおすすめします。
水回りはほとんど毎日使用するところなので、築30年にもなるとキッチンやお風呂などは寿命を迎えます。実際に製品の故障や建材の傷み、カビの繁殖などが進んでいる可能性が高く、水漏れのリスクも上昇します。
そのため、予算が限られていて家の大規模なリフォームができない場合には、水回りだけでも最新の状態にリフォームしておくのがベストです。
水回りリフォームがおすすめの人
- 築30年でもそこまで家が劣化していない人
- よく使う水回りだけをリフォームしたい人
- 今の家の間取りやデザインが気に入っている人
水回りリフォームの費用相場
水回りリフォームの費用相場は以下の通りです。
工事箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 60〜300万円 |
お風呂 | 60〜150万円 |
トイレ | 30~70万円 |
洗面所 | 5万~15万円 |
水回りリフォームが必要なタイミングは、一般的には10~20年です。工事するかどうかは実際の劣化状況を見て判断しますが、築30年の家は水回り部分はほとんどが寿命を迎えていますのでこの機会にリフォームしてしまうのがおすすめです。
まとめ
築30年が経過した住宅では、水回りをはじめとする設備が寿命を迎えている可能性が高く、リフォームや建て替えを検討するタイミングとなります。築30年の場合はリフォームの方がまだ費用を抑えることができるのでおすすめです。
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