築年数が経ったマンションは、フルリフォームなどの大規模な工事が必要です。フルリフォームを行う際には、どのような工事をするかはもちろん、工事内容に応じた費用を把握しておかなければなりません。
フルリフォームには高額な費用がかかることが多いため、相場を知っておくことが大切です。費用相場や安く抑えるコツを知り、マンションのフルリフォームを賢く行いましょう。
POINT
- マンションのフルリフォーム費用は、3LDK程度の広さなら最低300万円以上はかかる
- フルリフォーム費用を抑えるためには、リフォーム減税制度や一括見積りサイトを利用するとよい
- マンションの構造によってリフォーム費用が大きく変動するので要注意
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マンションフルリフォームの費用相場【箇所別】
まずは、マンションのフルリフォームにかかる費用の相場を、リフォーム箇所別で知っていきましょう。
リフォーム内容 | 費用相場 | |
---|---|---|
水回り | キッチンのリフォーム | 50~300万円 |
浴室のリフォーム | 60~120万円 | |
トイレのリフォーム | 20~100万円 | |
洗面台のリフォーム | 20~50万円 | |
3LDKから2LDKへの間取り変更 | 約750万円 | |
和室から洋室への変更 | 約100万円 | |
フローリングの張り替え費用 | 約20万円 |
リフォーム内容によって費用は変動するものの、3LDK程度の広さなら基本的に300万円以上はかかります。300万円がフルリフォームをする際の最低費用と考え、工事内容次第では、さらにコストが高額になることは理解しておかなければなりません。
水回りのリフォーム
水回りとは以下の4つの設備のことを指します。
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面台
特にキッチンと浴室のリフォームは費用が高額です。
キッチンのリフォーム:50~300万円
キッチンの交換リフォームの費用相場は100~200万円がボリュームゾーンです。ただし、100万円以下や200~300万円にも広く分布しています。というのも、キッチンリフォームの費用はキッチンの本体価格、つまりグレードによって大きく変わるからです。
普及品グレードのキッチンへの交換なら100万円以下で抑えられますが、ミドルグレードのキッチンなら100~200万円、ハイグレードのキッチンなら200万円~となります。
浴室のリフォーム:60~120万円
浴室リフォームの費用相場は60~120万円がボリュームゾーンです。浴室もキッチンと同じく選ぶグレードにより費用が変わりますが、キッチンほどグレード間の価格差は大きくありません。
スケルトンリフォーム:500万円~
内装をすべて解体し、一から作り替えるスケルトンリフォームでは、500万円以上の費用がかかることも少なくありません。全面的なリフォームによってコストが高いだけではなく、解体や既存の設備の撤去などにも費用がかかります。
スケルトンリフォームは費用は高いものの、内装を全面的に交換できるため、まるで新築住宅のように生まれ変わる点が魅力です。単に内装のデザインを変更するだけではなく、配管も新しくリフォームできるため、築30~40年程度の古いマンションに適しています。
ただし、スケルトンリフォームは工事の内容だけでなく、施工面積によっても費用が異なり、面積が広いほどコストアップします。
3LDKから2LDKへの間取り変更:約750万円
75平米で3LDKの部屋を、2LDKの間取りに変更するスケルトンリフォームでは、約750万円の費用がかかっています。
リフォーム内容 | 費用 |
---|---|
仮設工事 | 20万円 |
解体工事 | 70万円 |
木工事 | 205万円 |
建具工事 | 53万円 |
内装工事 | 50万円 |
設備機器工事 | 168万円 |
家具工事 | 57万円 |
電気工事 | 31万円 |
ガス工事 | 9万円 |
水道工事 | 27万円 |
諸経費 | 53万円 |
合計 | 743万円(税込約780万円) |
このケースはあくまで一例で、間取りの変更にかかる費用相場が、明確に750万円と決まっているわけではありません。もっと簡単に壁や間仕切りを撤去するだけで間取りを変更できるケースもあり、その場合なら数十万円程度でリフォームできることもあります。
反対に別途工事内容を追加して、さらに細部にまでこだわるなら、750万円以上かかることもあります。このケースは、スケルトンリフォームによる大掛かりな間取りの変更であるため、ただ間取りを変更するだけなら数十万円から数100万円程度で行えます。
和室から洋室への変更:約100万円
現在和室として使用している部屋は、リフォームによって洋室に変更することも可能です。和室から洋室への変更は、全面的に行おうとすると100万円程度の費用がかかることも少なくありません。
実施する内容は畳からフローリングへの変更や、押し入れからクローゼットへの変更、ふすまからドアへの交換などがあげられます。また、天井や壁紙の張り替えなどを行うこともあり、工事箇所が増えると相場以上の費用がかかることも多いです。
和室と洋室は雰囲気が大きく違うため、一部だけ変更しても周りの雰囲気となじまず、リフォームした箇所だけが目立ってしまうこともあります。例えば、畳をフローリングに変更したものの、部屋の内装が和風のもので、ふすまや押し入れなどがあるとバランスが悪くなります。
和室を洋室に作り替えたいなら、基本的には複数箇所を同時に洋風に変更する必要があるため、費用が高くなりやすいでしょう。
フローリングの張り替え費用:約20万円
床材をフローリングに張り替える場合の費用は、20万円程度です。費用の相場は使用する床材の材質や、床面積次第で変動します。
素材 | 費用 |
---|---|
集成材 | 5.5~10万円(6畳) |
無垢材 | 12~25万円(6畳) |
集成材と無垢材では費用が2倍程度異なります。無垢材はコストアップすることも多く、場合によっては相場の20万円を超えることもあります。
素材によって金額が違うだけではなく、手触りや断熱性、滑りやすさなど細かい特徴が異なります。金額やデザインはもちろん、機能性の部分もチェックして、自宅に合ったものを選びましょう。
マンションのフルリフォーム費用を抑える5つの方法
フルリフォームは高額な費用がかかりやすく、コスト負担の大きさに困ってしまう人は少なくありません。そこで考えたいのは、いかにして費用を抑えるかということです。
- 1.複数のリフォーム業者から見積りをもらう
- 2.リフォームに必要な設備は施主支給する
- 3.できるだけ一度にまとめて工事を行う
- 4.地元の工務店に依頼して手数料を削減する
- 5.リフォームの補助金・減税制度を利用する
工夫次第でコスト削減は可能であるため、費用節約の5つの方法を知り、少しでもお得にマンションのフルリフォームを行いましょう。
複数のリフォーム業者から見積りをもらう
同じ工事内容でも、業者によってかかる費用が異なる場合は多いため、見積もりは複数業者からもらうことが大切です。業者ごとの金額設定の違いや工事内容を比較し、より好条件で請け負ってもらえる業者を探すことが、フルリフォームの費用を抑えるポイントです。
最初に見積もりを依頼した1社だけで決めてしまうと、適正価格がどれくらいかわからず、場合によっては相場より高い金額で工事を依頼してしまう可能性があります。どの業者を利用してよいかわからない場合は、一括見積もりサイトを利用して、複数社の見積もり内容を同時に比較してみるとよいでしょう。
ヌリカエでは、リフォームの専門知識を持った相談員が、自宅の工事内容に合った業者を紹介しているため、理想的なパートナーを見つけやすいでしょう。
リフォームに必要な設備は施主支給する
リフォームに使用する部材、業者に注文して購入してもらうことが一般的ですが、実は自分で購入したものを使ってもらうことも可能です。より安い製品を自分で購入することで部材費を抑えることができ、取りつけの工事費だけでリフォームができるため、安く済ませられることも多いでしょう。
自分で製品を探し、購入したい場合はどれが使えるのか、そもそも自身で購入したものでも取りつけをしてくれるのか、業者に確認しておかなければなりません。また、自分で購入するからといって必ずしも安くなるとは限らず、製品によっては業者に依頼したほうが安いこともあります。
業者は大口のロットで大量仕入れをしていることも多く、これによって市場価格よりも安価で製品を購入していることも少なくありません。いわば業者価格のほうが、一般的に出回っているものよりも安いことが多いです。そのため、自分で製品を買うなら業者に購入してもらった場合とどちらがお得かを、比較しておくことをおすすめします。
できるだけ一度にまとめて工事を行う
リフォームが一度にまとめて工事を行ったほうが、料金は安くなりやすく、費用もかかりづらいです。まとめて依頼することでセット割引を適用してくれる業者は多く、通常よりも安い料金でリフォームができることも少なくありません。
また、複数回に分けると、依頼するたびに諸経費などがかかりますが、複数箇所をまとめることでこの費用も1回で済ませられます。仮にセット割引がなかったとしても、諸経費などを1回にまとめて安くできることで、コストダウンに繋がることは確かです。
地元の工務店に依頼して手数料を削減する
マンションのリフォームを依頼できる業者の種類は多数ありますが、コスト削減を重視して選ぶなら、地元の工務店がおすすめです。地元の工務店なら、リフォームの相談をした業者がそのまま工事も請け負ってくれるため、費用が抑えやすいです。
大手のハウスメーカーやリフォーム業者に依頼すると、実際に工事を行うのは契約した業者ではなく、その下請けであることが少なくありません。下請けに出す場合は仲介手数料が別途発生し、その分の費用が上乗せされて金額が高くなってしまうことも多いです。
そのため、仲介手数料が発生しない直接契約できる地元の工務店のほうが、お得度は高いといえます。ただし、地元の工務店は業者ごとに技術力やリフォームのノウハウに差があることも多いため、依頼先は念入りに選定しなければなりません。
ホームページなどから過去の工事事例を確認できるなら、それを参考にしてリフォームに強そうかどうかはチェックしておきましょう。
リフォームの補助金・減税制度を利用する
リフォーム内容によっては、補助金や減税制度などが利用できるため、これらを積極的に活用することで、費用負担は抑えられます。制度もさまざまありますが、代表的なものだと次のものがあげられます。
- 介護保険の補助金制度
- バリアフリーリフォーム
- 省エネ化リフォーム
- 耐震リフォーム
- 3世代の同居対応リフォーム
- 長期優良住宅化リフォーム
それぞれで適用になる工事や利用の条件、補助金の上限額や控除額などは異なります。減税制度では、所得税と固定資産税が対象になることが多いです。
他にも制度は多数あり、自治体ごとに独自で実施しているケースも少なくありません。これらの制度はリフォーム前の申請が必須であるため、利用条件を確認して、業者と相談しながら上手に活用していきましょう。
リフォーム以外でかかる費用
現在のマンションに住みながらリフォーム工事できない場合、仮住まいの家賃が必要です。また、仮住まいに全ての荷物が収納できない場合はトランクルームの利用料金も発生します。
場合によっては高額な費用がかかる可能性があるため、リフォーム工事以外にかかる費用も把握しておくことが大切です。ここでは、リフォーム工事以外にかかる5つの費用について解説していきます。
- 1.大規模リフォームのネック「仮住まい費」
- 2.2回分を計上しておく「引越し費」
- 3.大荷物の一時保管のため「トランクルーム費」
- 4.駐車場代
- 5.設計費や確認手数料(大規模なリフォームの場合)
大規模リフォームのネック「仮住まい費」
キッチンや浴室といった部分的をリフォームする場合、現在のマンションに住みながら工事が行えます。しかし、大規模リフォームといえるフルリフォームの場合、現在のマンションから仮住まいへの転居が必要です。
仮住まいへの転居が必要な場合、一時的な家賃だけでなく敷金や礼金といった初期費用もかかります。さらに、契約事務手数料や保険料、ハウスクリーニングなどの清掃費も発生します。
リフォーム工事中に暮らす仮住まいには、賃貸マンションを含めて次のようなタイプがあげられます。
- 賃貸マンション
- ウィークリーマンション
- マンスリーマンション
- ホテル など
仮住まいを探す際には、リフォーム工事にかかる期間によってウィークリーマンションやホテルも選択肢の1つです。
2回分を計上しておく「引越し費」
仮住まいが必要な場合、引っ越し費用は仮住まいへの転居とリフォーム工事後に戻るマンションへの移動に2回必要です。そのため、仮住まいへの転居が必要な場合は引越し費用を2回分計上しておきましょう。
引っ越しのタイミングよって相場は異なりますが、一回の引越しで必要な費用は20~30万円です。ただし、新年度や新学期前後は引っ越しシーズンとなっているため、このタイミングと重なると費用は高めです。同じ荷物の量でも業者によって料金が異なるため、複数社に見積もりを依頼して料金を比較することをおすすめします。
大荷物の一時保管のため「トランクルーム費」
仮住まいに転居する場合、現在のマンションにある荷物が全て収納できない可能性が考えられます。このような場合、荷物を一時的に預けておくためにトランクルームを借りなければなりません。
トランクルームを借りる際には毎月の利用料だけでなく、事務手数料やカギの設置代金といった初期費用が必要です。また、何かあった時のために保険料や保証料が必要なケースもあります。トランクルームに自身で荷物を運搬できれば問題ありませんが、荷物の量によっては運送費用も計上しておくようにしましょう。
駐車場代
リフォーム工事を行う場合、現場に通う作業員のための駐車場代が必要になる可能性もあります。戸建てでは数台程度であれば敷地内のスペースで間に合う可能性もありますが、マンションは住戸分しか駐車スペースがないケースがほとんどです。
このような場合、作業員は駐車場を借りなければなりません。必要な台数と工事期間によって費用は変動しますが、工事期間が長くなるほど費用は高くかかります。また、エリアによって駐車場代の相場は異なり、都市部ほど高くなる傾向にあります。
設計費や確認手数料(大規模なリフォームの場合)
フルリフォームやリノベーションといった大規模な工事の場合、設計費や確認手数料がかかるケースがあります。設計費の相場は、次のように設計の依頼先によって異なります。
- 設計事務所の場合:総工事費の10~20%程度
- リフォーム業者やリノベーション業者の場合:総工事費の5~15%程度
また、マンションはリフォーム工事が行えるスペースに限りがあるため、建築確認申請が必要となります。建築確認申請には手数料がかかり、30~100平米の面積であれば17,000円程度が相場です。
ただし、建築確認申請にかかる手数料は設計費に含まれているケースもあります。
マンションのフルリフォームは費用相場を知ってから行おう
マンションのフルリフォームは、どのような内容で行うかによってかかる費用が異なります。そのため、工事内容ごとの費用相場を知り、きちんと予算を組んでから行うことが大切です。コスト削減の方法なども試しながら上手にリフォームを行い、快適な住環境を手に入れましょう。