ライフスタイルの変化によって、和室から洋室へリフォームする事例が増えていますが、次の通り、リフォーム内容によって費用相場は異なります。
- 畳からフローリングに張り替え:6~30万円
- 和室の天井や壁のリフォーム:10~35万円
- ふすまから扉への変更:8~15万円
- 押し入れからクローゼットへの変更:18~22万円
- 洋室へのフルリフォーム:53~90万円(8畳)
同じリフォーム内容でも、使用する部材などによっても費用相場は大きく変わります。今回は、和室から洋室へリフォームする際の費用相場のほか、壁材や床材の選び方や実際の施工例なども紹介します。洋室へのリフォームを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
POINT
- 和室から洋室へのフルリフォームすると、8畳で最大90万円程かかる
- 主な目的は、断熱効果やバリアフリー、床材の耐久性強化など
- 一般的な床材はフローリング、一般的な壁材はクロス
あなたのお家
リフォームするといくら?
和室から洋室へのリフォームで事前に知っておくべきこと
和室から洋室へリフォームするなら、次の3点は事前に知っておきましょう。
- 1.和室から洋室にリフォームするメリット
- 2.業者を選ぶ際は複数社に見積もりを依頼する
- 3.マンションの場合は管理規約を守ってリフォームする
- 4.リフォームの工期を短縮する方法
これらのポイントを把握しておくことで、よりスムーズにリフォームが行えます。
和室から洋室にリフォームするメリット
和室を洋室化するリフォームには、次の3つのメリットがあります。
- 障子や畳の手入れが不要になる
- 掃除が楽になる/li>
- 高齢者が生活しやすくなる
洋室はこれらの点で和室よりも優れているため、メリットを得たいならリフォームを行うことがおすすめです。
障子や畳の手入れが不要になる
洋室の場合は障子や畳などを撤去することが多く、これらのメンテナンスが不要になるのは大きなメリットです。あえて和室の雰囲気を残して洋室にするという方法もありますが、基本的には障子や畳など、和の要素が強いものは撤去するため、手入れが簡単でしょう。
障子は破れたら張り替えが必要であり、畳は日焼けや経年劣化の具合によって、表替えや取り換えなどが必要です。洋室でも壁紙や床の張り替えはありますが、和室よりはメンテナンスの頻度は低いため、手間が省けるでしょう。
掃除が楽になる
普段の掃除が楽になる点も、和室から洋室にリフォームするメリットの1つです。和室は床の間や障子の桟などに汚れがたまりやすく、こまめに掃除をしておかないと見栄えが悪いです。
また、段差や隙間などの細かい場所が多いため、メンテナンスの手間も大きいでしょう。洋室は床掃除だけで簡単に汚れが取れるため、日常的なメンテナンスが楽です。フローリングなら掃除機をかけたり、汚れが目立つところは拭き掃除をしたりするだけで済み、掃除の手間は格段に少なくなるでしょう。
高齢者が生活しやすくなる
洋室でベッドを置くなら、高齢者も生活がしやすくなり、バリアフリー化にもつながります。部屋の間口を広く取り、ベッドを設置することで、車いすに乗っている人でも出入りがしやすく、乗り降りも楽になるでしょう。
和室だと布団を敷くため、寝起きだけでも大変になりやすく、バリアフリー化を目指すなら、ベッドが置ける洋室が適しているでしょう。
和室と洋室では床構造や壁構造が違う
和室と洋室は、単純にデザイン性が違うだけではなく、床や壁の構造なども大きく異なります。そのため、リフォームするなら構造の違いを解消するために、補強工事や段差の解消工事などが必要です。
床や壁紙の張り替えだけで済むわけではなく、リフォームには時間とお金がかかりやすいことは理解しておきましょう。見た目を変えるだけで段差や隙間ができてしまい、使い勝手が悪くなることもあるため、必ず構造の問題は解決しておくことが大切です。
業者を選ぶ際は複数社に見積もりを依頼する
少しでもリフォームの費用を節約するためには、複数社に見積もりを依頼して、それぞれの内容を比較することが大切です。業者によって、工事費の設定額や部材の仕入れ値、その他諸経費の計算方法は異なります。そのため、同じ内容の工事でも、全体の金額が違ってくることは少なくありません。
もし依頼する業者を間違えると、それだけで費用が高くなってしまうため、複数社で比較して、適正価格で請け負ってくれる業者を探すことをおすすめします。また、業者選びの際には工事内容にも注目が必要で、適切な工事を適正価格で行ってくれるかどうかも重要です。
複数社での比較をスムーズに行うためには、一括見積もりサイトの利用がおすすめです。「ヌリカエ」なら、実績のある優良業者の中から、リフォーム内容に合った業者を紹介いたします。信頼できる業者に工事を依頼しやすくなるために、スムーズにリフォームを進められるでしょう。
マンションの場合は管理規約を守ってリフォームする
マンションは、建物ごとの管理規約によってリフォームに制限が出ることも多いため、これを確認して管理者に許可をもらわなければなりません。許可なく実施すると、あとから元に戻すように指示され、余計な手間と費用がかかってしまう場合があります。
マンションは、上下の階の住人との兼ね合いもあるため、使用できる部材や工事の内容が限定されることが多いです。防音性や強度など、一定の基準を満たす内容でなければ工事ができないため、この基準についても確認しておく必要があります。
また、リフォームの際には工事の1週間前までに、上下の部屋と同じフロアの住人に工事を行うことを伝え、騒音などで迷惑をかけるかもしれないと、事前に申し出ておくようにしましょう。
リフォームの工期を短縮する方法
少しでも早くリフォームを終えるためには、次の2点を意識することが大切です。
- フローリングではなくクッションフロアやカーペットにする
- 真壁の柱や木目の天井などは塗装する
クッションフロアやカーペットは、6畳で1日程度で施工できる場合が多く、工期の短縮につながります。フローリングだと、6畳程度でも2日程度と倍ほどの時間がかかることもあります。
また、洋室にするためには、和のテイストが強い木の部分を隠す必要がありますが、これを塗装によって仕上げることで工期の短縮は可能です。塗装の際には白く塗って洋風に変えるか、さらに工期を短縮したいならDIYで行うこともおすすめです。
和室から洋室へのリフォームにかかる費用相場
和室を洋室に変更する方法はさまざまあり、それぞれで費用相場は異なります。
リフォーム内容 | 費用相場 |
---|---|
畳からフローリングに張り替え | 6~30万円 |
和室の天井や壁のリフォーム | 10~35万円 |
ふすまから扉への変更 | 8~15万円 |
押し入れからクローゼットへの変更 | 18~22万円 |
洋室へのフルリフォーム(8畳) | 53~90万円 |
部分的なリフォームとフルリフォームでは、費用相場が大きく違うため、どこまでの範囲で行うのかを考えておくことが大切です。
畳からフローリングに張り替え:6~30万円
畳の和室をフローリングに張り替えることで、一気に洋室らしい雰囲気になります。費用相場は6~30万円程度ですが、使用する材質や部屋の広さによっても大きく変わります。例えば、広さ別の費用で見ると、相場は次の通りです。
部屋の大きさ | 戸建て | マンション |
---|---|---|
4.5畳 | 16.7~20.6万円 | 17.6~21.4万円 |
6.0畳 | 22.3~27.4万円 | 23.5~28.6万円 |
8.0畳 | 29.7~36.5万円 | 31.3~38.1万円 |
マンションのほうが費用相場がやや高額になるのは、下の階への騒音対策として、一定以上の防音性を守らなければならないためです。戸建てよりも防音性の高いものが求められるため、より機能的になる分、コストも高くなると考えましょう。
また、使用する材質による違いもあり、天然素材のものは高く、ゴムなどの人工のものは安い傾向にあります。材質によって香りや手触りなどが異なるため、金額だけでなく使用感も考慮して選ぶことが大切です。
和室の天井や壁のリフォーム:10~35万円
天井や壁のリフォームでは、どのようなコンセプトで仕上げるかが重要です。仕上げの内容次第で費用の相場も違ってくるため、この点も頭に入れておかなければなりません。
仕上げの内容 | 費用相場 |
---|---|
クロス仕上げ | 10~20万円 |
珪藻土仕上げ | 20~30万円 |
カントリー風 | 25~35万円 |
基本的なクロス仕上げなら安価で行えますが、珪藻土のように機能的なものや、カントリー風のようにデザインにこだわったものにすると、コストアップする場合があります。
リフォームを実施する範囲によっても費用は異なりますが、付随する機能やデザイン性も、金額に影響すると考えましょう。そのため、無地で白色などシンプルなものほど安く、費用を抑えやすいです。
ふすまから扉への変更:8~15万円
部屋が洋室でも、ふすまが設置されていると和室の雰囲気が残ってしまうため、完全に洋室にしたいなら扉へ変更することがおすすめです。使用する材質や、鍵の有無などのオプションによっても異なりますが、扉の相場は1箇所あたり大体8~15万円です。
つまり、複数箇所取り替えが必要な場合は、個数に応じてコストが高くなることは理解しておきましょう。扉に変更する場合は、部屋と廊下の段差に注意が必要です。扉への変更によって段差が生まれる場合は、これを解消するための策も考えなければなりません。
フローリングの高さを調整したり段差を削ったりなどの工夫が必要で、対策方法次第では、コストアップする可能性があることも頭に入れておきましょう。
押し入れからクローゼットへの変更:18~22万円
収納を押し入れからクローゼットに変更する場合の費用相場は、18~22万円程度です。これは、ふすま2枚分に相当する費用ですが、さらに広くなる場合は金額も増加します。
また、シンプルなクローゼットなら金額は安いですが、オプションを付加するとそれに応じて金額は上がります。例えば、内部にハンガーパイプをつけたり、移動できる棚などを設置したりすると、費用相場以上になってしまうことも少なくありません。
洋室へのフルリフォーム:53~90万円(8畳)
和室から洋室へフルリフォームを行う場合は、8畳あたりで53~90万円程度かかります。これはあくまで目安で、使用する部材のグレードや部屋自体の広さ、隣室や廊下などとの兼ね合いによって金額は上下します。
工夫次第では、相場以上に安くすることも可能です。ただし、細部までこだわると相場を大きく上回る可能性もあることは、理解しておきましょう。
【予算別】和室から洋室へのリフォーム内容
和室から洋室へリフォームをする場合、6畳程度の部屋を想定すると予算別で次のリフォームを行えます。
予算 | リフォーム内容 |
---|---|
10~20万円 | ・畳をフローリングに変更 ・床をクッションフロアにする場合は壁紙変更も可能 |
20~30万円 | ・~20万円でできること(畳をフローリングに変更、壁紙変更) ・天井を洋風に変更 ・照明器具の変更 |
30~50万円 | ・~30万円でできること(畳をフローリングに変更、壁紙変更、天井を洋風に変更、照明器具の変更) ・押入をクロゼット仕様に変更 ・扉の変更 |
60~100万円 | ・~60万円でできること(畳をフローリングに変更、壁紙変更、天井を洋風に変更、照明器具の変更、押入れをクロゼット仕様に変更、扉の変更) ・アクセント壁としてタイルや木質壁を採用する ・クロゼット内部の収納造作を充実させる |
100万円以上 | ・~100万円でできること(畳をフローリングに変更、壁紙変更、天井を洋風に変更、照明器具の変更、押入れをクロゼット仕様に変更、扉の変更、アクセント壁としてタイルや木質壁を採用、クロゼット内部の収納造作の充実) ・床暖房(電気式)設置 ・床を無垢素材に変更 ・建具も木製オーダー品ラグやカーテンなどのインテリア用品までこだわりを取り入れる |
リフォームをする際には予算を明確にして、その範囲内でどのような工事ができるのかを把握しておくことが大切です。
和室から洋室へリフォーム|床材の選び方
和室から洋室へリフォームするなら、床材の選び方も重要です。床材にはさなざまな種類があり、それぞれで特徴が異なります。どの床材を選ぶかによって、部屋の雰囲気が変わるだけでなく耐用年数も異なるため、これも参考にしましょう。
クッションフロア(耐用年数5~10年)
施行が簡単なクッションフロアは、m?あたりの単価は安く、安価でリフォームをしたい人におすすめです。耐用年数は5~10年程度で、定期的な交換が必要なことは覚えておきましょう。簡単に交換できるため賃貸住宅にもおすすめで、ペットを飼っていて汚れやすい部屋に使用することもおすすめです。
フローリング(耐用年数10~20年)
耐用年数の長さで見るなら、フローリングがおすすめです。フローリングは10~20年程度使え、洋室では多く普及している床材です。主流の床材であるため選択肢も豊富で、さまざまなメーカーから商品が出ている点も魅力でしょう。
手入れもしやすく傷にも強いため、長持ちする点が大きな特徴で、木の風合いを出したい人にも向いています。万能な床材なので、どれにしようか迷っている人にもおすすめです。
カーペット(耐用年数10~15年)
交換のしやすさや耐用年数を考慮すると、カーペットがおすすめです。耐用年数は10~15年程度と長く、種類も多いため魅力的な床材といえます。また、デザイン性が高いものも多いため、インテリアにこだわりたい人に向いているでしょう。
ただし、お手入れが面倒になりやすい点はデメリットで、毛足の深いものだと、ゴミやダニなどが取れづらいといった点があることは覚えておきましょう。
無垢フローリング(耐用年数15~20年)
より木の風合いを強く感じたいなら、無垢フローリングがおすすめです。耐用年数は15~20年程度で、長く使える点も特徴です。人工的なシートよりも、木の風合いや温かみがあるため、本物らしい質間を味わいたい人に向いているでしょう。
傷にも強く、小さな傷ならDIYによる補修も可能です。ほかの床材よりも高価で、施工に時間がかかりやすい点はありますが、本格的な洋室に仕上げたい人におすすめです。
Pタイル(床タイル)(耐用年数7~12年)
一般的な居室ではあまり使われませんが、Pタイルという材質もおすすめです。Pタイルは店舗で使用されることが多い床材で、防水性や傷に強い点が魅力です。ただし、耐用年数は7~12年程度で、定期的に交換しなければならないことは覚えておきましょう。
メンテナンスはしやすいものの、表面の硬さや滑りやすいことから、子供がいる場合やバリアフリー化が必要な住宅には、不向きな床材です。
和室から洋室にリフォーム|壁材の選び方
真壁から大壁仕上げにする場合は、次の選択肢があげられます。
- 1.クロス
- 2.塗壁
- 3.木質
- 4.タイル
それぞれの違いを知り、どの壁材が自宅に向いているか考えておきましょう。
クロス:コスト重視な人向け
低価格でリフォームを行いたいなら、コストが安いクロスがおすすめです。壁材としてクロスは主流のため、流通量が多く安価であることが特徴です。耐用年数は10年程度なので定期的な交換は必要ですが、もともとの価格が安いため、長い目で見ても安く仕上げることは可能です。
多く流通しているので、クロスを販売しているメーカーは多く、デザインなどの選択肢が多い点も魅力といえるでしょう。
塗壁:DIY派な人向け
DIYでリフォームをしたいなら、塗壁という選択肢もあげられます。塗壁は水性塗料を使用したものから、珪藻土までさまざまなものがあり、デザインの選択肢も豊富です。塗料はホームセンターでも購入可能で、自分で仕上げるなら低価格でリフォームができます。
塗料にもよりますが、10~15年程度は持つ場合が多く、定期的なメンテナンスも自分で行えば、より長持ちして安価になるでしょう。
木質:自然素材派な人向け
自然派な雰囲気を楽しみたい人は、木質の壁材がおすすめです。木の風合いがある木質の壁材は、耐用年数が15~20年程度と長く、木の温かみも感じられます。導入コストはやや高いため、壁全面を木質の壁材にするだけでなく、1面にアクセントとして取り入れて、カフェ風にすることもおすすめです。
タイル(壁タイル):本物志向な人向け
高級感のある仕上がりを求めるなら、タイルを使用することもおすすめです。タイルにはさまざまな種類があり、代表的なものだとレンガや大判タイルがあげられます。部屋のコンセプトに合わせて使い分けが可能で、1面だけに導入し、アクセントとして使うこともおすすめです。
和室から洋室へ|リフォーム事例3選
実際に、和室から洋室へリフォームをするとどのように変わるのか、施行例を通して知っておきましょう。
- 1.【事例1】断熱効果のあるフローリングにリフォーム
- 2.【事例2】バリアフリー目的の洋室リフォーム
- 3.【事例3】和室をフローリングの寝室にリフォーム
和室から洋室という点はそれぞれ共通していますが、詳細な工事内容は異なります。工事内容にも着目して、どのような変化が見られるのかを知っておくことが大切です。
【事例1】断熱効果のあるフローリングにリフォーム
床下に断熱材を導入したリフォームでは、畳を取り除いて下地を作り直してから、フローリングへの張り替えを行っています。フローリングだけでは、足元が冷えてしまうことも多いですが、断熱材を導入することによって温かさが逃げづらくなり、温度の問題を解消できているようです。
断熱材の充填と下地の作り替えまで行っているため、期間は2週間とやや長いですが、費用は35万円と比較的安価で、コストパフォーマンスのよいリフォームといえます。
【事例2】バリアフリー目的の洋室リフォーム
バリアフリーリフォームを行った事例では、和室から洋室へのフルリフォームを行っています。費用は約140万円と高額ですが、和室から洋室へ変更した際に生じた出入り口の段差も解消されており、安全性にも考慮した工事ができています。
和室と洋室では部屋の高さが異なり、出入り口などに数cm程度の段差ができてしまうことも少なくありません。この事例では、建具を設置して枠を作り直すことで段差を解消しており、つまずきにくい安全な洋室を実現できています
【事例3】和室をフローリングの寝室にリフォーム
和室をフローリングに変更し、寝室に生まれ変わらせたケースでは、フローリングやクローゼット、クロスの変更など複数箇所のリフォームを行っています。押し入れはウォークインクローゼットになっており、広々とした収納スペースが確保できています。
また、クロスはアクセントクロスを採用することで、メリハリをつけて印象的な空間を演出できているでしょう。機能性だけではなく、デザイン性も重視したリフォームができており、従来の畳の和室の印象と比較すると、まったく別の部屋に生まれ変わっているといえます。
洋室へのリフォームはコストに注意して行おう
和室から洋室へのフルリフォームは、費用が高くなりやすいため、予算を明確にして行うことが大切です。また、使用する床材や壁材次第では別途追加工事が必要となり、コストアップすることもあります。
まずは業者に相談して、理想とするリフォームにいくらかかるのかを把握したうえで、予算に合わせて工事内容を調整していきましょう。