張り替えは、屋根のリフォーム・修理リフォームのなかでも一番大がかりなものとなり、費用も大きいものです。
屋根張り替えの費用相場は、平均的な30坪の自宅の場合で、140~200万円となります。費用相場に開きがある理由は、使用する屋根材ごとに単価が異なるからです。
張り替える屋根材ごとの費用相場は、下記の通りです。
- 屋根張り替えの費用相場は、140~200万円
- スレート瓦に張り替える場合、費用は約140~180万円
- 金属瓦(ガルバリウム鋼板)に張り替える場合、費用は約160~200万円
本記事では、屋根の修理やリフォームをご検討中の方に向けて、「屋根張り替えの費用相場・費用内訳」「屋根張り替えの費用事例」「張り替える屋根材の特徴と費用」について解説をします。
リフォームの検討を始めたばかりの方に役立つ内容をやさしく紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
屋根の張り替えリフォームの費用相場
張り替え前 | 張り替え後 | 税込相場目安 |
---|---|---|
スレート | 金属屋根(ガルバリウム鋼板) | 約1,560,000円 |
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) | 約1,890,000円 | |
金属屋根 | 金属屋根(ガルバリウム鋼板) | 約1,620,000円 |
スレート | 約1,500,000円 | |
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) | 約1,560,000円 | |
和瓦 | スレート | 約1,790,000円 |
金属屋根(ガルバリウム鋼板) | 約1,850,000円 | |
石粒吹きガルバリウム鋼板(ジンカリウム鋼板) | 約2,000,000円 | |
和瓦 | 約2,200,000円 |
屋根の張り替えの費用相場は、一般的な30坪住宅の場合で140~200万円です。
主な費用の内訳は、足場代が15~20万円、古い屋根の撤去費が12~20万円、屋根の下地の補修費用が20~30万円、新しい屋根材の材料費と設置費が45~90万円です。
140~200万円の費用に開きがある理由は、「屋根の面積」と「屋根材の選択」の2つです。
屋根材ごとの材工費用は上記の表より確認をしてください。屋根の面積については下記の記事で詳しく解説をしていますので参考にしてください。
>>屋根面積がすぐわかる方法!図面不要・手順や計算もやさしく解説
屋根張り替えリフォームの費目と単価相場
リフォーム内容 | 費用相場(単価) |
---|---|
足場費用 | 700円~1,000円/㎡ |
養生費用 | 200~300円/㎡ |
既存屋根の撤去費用 | 1,200円~2,000円/㎡ |
下地(野地板)の補修費用 | 2,000円~3,000円/㎡ |
防水シートの敷設費用 | 600円~1,000円/㎡ |
新しい屋根材の材工費 | 陶器瓦:9,000円~1万5,000円/㎡ |
スレート:4,500円~6,500円/㎡ | |
ガルバリウム鋼板:6,000円~9,000円/㎡ | |
棟の設置費 | 2,000円~3,000円/m |
軒先、ケラバの設置費 | 1,500円~2,000円/m |
アスベストの撤去設置費(※) | 60万円~200万円/戸 |
屋根の張り替えリフォームの費目ごとの費用相場は、既存の屋根材の撤去費用が平米あたり1,200~2,000円、屋根の下地の補修費用が2,000~3,000円、新しい屋根材の購入費と設置費が4,500円~1万5,000円です。
これらに加えて、足場代や棟の設置費用がかかります。
これらを合計すると、屋根の張り替え費用は一般的な屋根面積80平米程度の住宅の場合で約140~200万円となります。
既存の屋根がアスベストを含んでいる場合は、法令により特別な撤去方法が必要なため、別途60万円~200万円の費用がかかります(※)。
この出費を回避するため、アスベストを含む屋根では張り替えではなく重ね葺きが採られることも多くあります。
ここからは、屋根張り替え工事の手順と費目の単価相場を解説します。
1.足場の敷設、周囲の養生
まずは高所作業用の足場を設置した後、足場とその周辺に飛散防止用の養生シートをかけます。
足場代は平米単価で700円~800円/㎡、養生代は200円/㎡前後が目安です。
足場代を節約しようとして足場の一部を省略すると、安全性や作業性が低下して良い仕事ができません。
張り替えを、外壁塗装と同時におこなうと、足場代が一度で済むので効率的です。
>> 足場料金の単価・費用相場はいくら?見積もりで損しないコツとは?
2.既存屋根材の撤去・処分
続いて、もとからある屋根材を剥がします。
アスベストが含まれていない場合、作業費は1,200円~2,000円/㎡が目安です。
費用には処分費用も含まれています。
アスベストが含まれている場合は、さらに高額になります。
平米あたり3,000円~4,000円/㎡の撤去費用と、別途処分費用として2,000~3,000円/㎡、さらに処分場への運搬費として約30,000円~50,000円がかかります。
3.下地(野地板)の撤去・新設
屋根材を撤去した既存の野地板の上に、下地の合板を重ねて貼ります。野地板自体を新設する場合もあります。
費用は材料と施工費を合わせて、2,000円/㎡前後です。
野地板の補強は省略できる場合もありますが、野地板の経年劣化は屋根瓦より早いので、屋根材を新しくする際に同時にリフォームしておいた方が安心でしょう。
4.防水シート
下地(野地板)の上に防水シート(ルーフィング)を設置します。
費用は材料と施工費を合わせて、650円/㎡程度です。
張り替え作業では、下地合板(野地板の補強)を省略する場合でも、防水シートは必ず施工します。
5.新しい屋根材
防水シートの上に新しい屋根材を葺きます。
一般的にはスレートで葺き直すか、より軽量でかつ耐久性の高いガルバリウム鋼板で張り替えを行います。
費用はスレートの場合4,500円~6,000円/㎡、ガルバリウム鋼板の場合約6,000円/㎡です。
張り替えでは、元が瓦屋根であった場合以外、瓦材はほぼ使われません。
屋根の重量が7~10倍になるため、住宅が重さに耐えられなくなったり、耐震性が下がってしまうからです。
6.棟板金、軒先・ケラバ板金等
張り替えリフォームの最後に、棟や軒先、ケラバなどの納まり上、板金の加工が必要になります。
費用は板金の長さで決まり、棟板金が2,000円~3,000円/m、軒先・ケラバ板金が1,500円~2,000円/mです。
屋根張り替えリフォームの費用例(30坪住宅)
費目 | 単価 | 数量 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
足場代 | 750 | 200(㎡) | 150,000 | ・単価700~800円が相場 |
養生代 | 200 | 200(㎡) | 40,000 | |
既存屋根材の撤去・処分 | 1,600 | 100(㎡) | 160,000 | ・単価1,200~2,000円が相場 |
下地(野地板)の撤去・新設 | 2,000 | 100(㎡) | 200,000 | ・省略できる場合あり |
防水シートの敷設 | 650 | 100(㎡) | 65,000 | ・省略不可 |
新しい屋根材の敷設 | 5,250 | 100(㎡) | 525,000 | 単価相場 ・スレート:4,500~6,000円 ・ガルバリウム鋼板:約6,000円 ・粘土瓦:約12,000円 |
新しい棟の設置 | 2,500 | 12(m) | 30,000 | ・単価2,000~3,000円が相場。板金の場合 |
新しい軒先、ケラバの設置 | 1750 | 30(m) | 52,500 | ・単価1,500~2,000円が相場。板金の場合 |
業者 諸経費 | – | – | 122,250 | ・リフォーム費の10%と設定 |
合計 | – | – | 1,344,750 |
|
税込 |
– | 10% | 1,479,225 |
*足場面積200㎡、屋根面積100㎡、棟12m、軒先・ケラバ30mと仮定
最後に、ここまで紹介した費用相場をイメージしやすいように、屋根張り替え費用の事例を紹介しました。
現在最も普及している化粧スレート屋根から同じスレート屋根へ張り替える際の費用は、今回の事例では「147万円」となりました。
参考:屋根の張り替えの他工法の費用比較表
修理方法 | 作業内容 | 費用目安 |
---|---|---|
張り替え(葺き替え) | 【全体修理】 瓦を全て交換。瓦と下地を両方交換する場合も |
約140~200万円 |
葺き直し | 【下地の修理】
下地板を交換し、元の瓦を敷き直す |
約100~180万円 |
重ね葺き | 【低予算な全体修理】
古い屋根を新しい下地と屋根で覆う |
約80~120万円 |
部分修理 | 【部分的な異常の解決】
土台や瓦を部分的に補修・交換 |
約5~50万円 |
張り替え工事とよく同時に検討される重ね葺き(カバー工法)について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
張り替えの時、新しい屋根材は何を選べばいい?
今の屋根 | 新しい屋根 | メリット | デメリット | 税込相場目安 |
---|---|---|---|---|
スレート | スレート | ・もっとも安価に済む
・見栄えが変わらない |
・耐用年数が短め | 約1,560,000円 |
金属屋根 | ・軽量化、耐震性が向上 | ・スレートより費用が高い | 約1,890,000円 | |
和瓦 | ・耐荷重量上、行われない | – | ||
金属屋根 | スレート | ・安価に済む | ・重量が増すが、多くは問題なし | 約1,620,000円 |
金属屋根 | ・耐用年数が長い
・見栄えが変わらない |
・スレートの場合より費用が高い | 約1,500,000円 | |
和瓦 | ・耐荷重量上、行われない | 約1,560,000円 | ||
和瓦 | スレート | ・もっとも安価に済む | ・見栄えが大幅に変わる | 約1,790,000円 |
金属屋根 | ・大幅な軽量化。耐震性が向上 | ・見栄えが大幅に変わる | 約1,850,000円 | |
和瓦 | ・見栄えが維持できる ・耐用年数がもっとも長い |
・費用がもっとも高額 | 約2,200,000円 |
張り替えの際は、屋根材を今までのものから変えることも可能です。
スレート屋根の特徴
スレート屋根(コロニアルなど)は、もっとも材工費が安価なことが特徴です。スレート屋根の単価相場は、「4,500円~6,500円/㎡」です。
また、色やデザインが豊富にあり、黒や、茶などの定番色から、グリーン、レッドまで幅広い色の製品が販売されています。
そのかわり、地震への強さに関わる軽量さでは金属屋根に一歩譲り、耐用年数も10年ほど短くなります。
また、スレート屋根は他の屋根材と比較して、割れ・ヒビのリスクが高く、異常がなくても定期的に点検・補修を受ける必要があります。
>> スレート屋根とは? 特徴・修理方法・メンテナンス周期・費用を全解説
金属屋根(ガルバリウム鋼板)の特徴
金属屋根(ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板など)は、長い耐用年数が特徴です。また、軽量なため耐震性の向上にもっとも寄与します。金属屋根の単価相場は「6,000円~9,000円/㎡」となり、耐用年数の短いスレート屋根よりも材工費費用は平米あたり500~1,500円ほど高めです。
また、ガルバリウム鋼板を使用した場合、雨音が以前よりも大きくなる場合があります。
金属屋根の雨音を抑えたい場合は、石粒が表面についたジンカリウム鋼板(スレートよりも、平米あたり3,000~4,500円ほど高め)を使うと良いでしょう。
>> 【入門】ガルバリウム屋根のメリット・デメリット。他の屋根材と徹底比較!
和瓦の特徴
和瓦(陶器瓦)は、もとから陶器瓦の屋根ではないなら、張り替えに用いることはオススメできません。理由は、陶器瓦の重量が他2種に比べて7~9倍あるため、住宅が重さに耐えられなくなったり、重心が上がって耐震性が大きく下るためです。
和瓦の単価相場は、「9,000円~1万5000円/㎡」です。
和瓦は、屋根材としてはもっとも高価ですが、耐用年数は50年以上と一番長い屋根材です。
また、陶器瓦の住宅は、全体の意匠も和風である場合がおおいので、スレートや金属屋根に変えた場合の違和感にも注意すべきでしょう。
>> 瓦屋根の修理方法は4種類! あなたに最適なのは部分修理? 全体修理?
記事のおさらい
屋根の張り替えリフォームの費用相場はいくら?
屋根の張り替えの費用相場は、一般的な30坪住宅の場合で140~200万円です。詳しく知りたい方は屋根の張り替えリフォームの費用相場をご覧ください。
屋根張り替えリフォームの費用内訳は?
主な費用の内訳は、足場代が15~20万円、古い屋根の撤去費が12~20万円、屋根の下地の補修費用が20~30万円、新しい屋根材の材料費と設置費が45~90万円です。詳しくは屋根張り替えリフォームの費目と単価相場をご覧ください。
スレートからスレートへ張り替える場合の費用事例は?
現在最も普及している化粧スレート屋根から、同じスレート屋根へ張り替える際の費用は、147万円です。詳しくは屋根張り替えリフォームの費用例(30坪住宅)をご覧下さい。
張り替えの時、新しい屋根材は何を選べばいい?
スレート屋根(コロニアルなど)は、もっとも材工費が安価なことが特徴です。金属屋根(ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板など)は、長い耐用年数が特徴です。和瓦(陶器瓦)は、もとから陶器瓦の屋根ではないなら、張り替えに用いることはオススメできません。詳しくは張り替えの時、新しい屋根材は何を選べばいい?をご覧下さい。
そこで、重要なことが、できるだけ複数の業者から相見積もりを取ることです。
費用やリフォーム内容に一番納得のいく業者を選ぶことで、コスト的にも効果的にも最適なリフォームを行うことができます。
業者の得意分野によっては、張り替え以外のリフォームを提案してくることもあるので、費用や内容に納得のうえで張り替えリフォームより安いリフォームで済むこともあるかもしれません。
本記事が、屋根の張り替えをご検討中の方々のお役に立てば幸いです。