屋根塗装の見積もりのチェックポイント。4つの記載で見抜く!

  • 【更新日】2023-11-14
屋根塗装の見積もり例と単価相場

当記事では、業者から来た屋根塗装の見積もり費用が適正金額かどうか確かめたい方へ、

  • 屋根塗装の見積もり書のチェックポイント
  • 見積もりが一般的な価格より高かったら、どうすればいいか?

 

などについて解説しました。

なお、「屋根塗装」について基本から知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

Point
  • 屋根塗装の見積もり金額は、約58~93万円程度が一般的
  • 信用できる見積もり書は、施工面積や塗料の製品名が具体的に書いてある

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。
小林成光(コバヤシマサミツ)さんのプロフィール写真 監修者:外装劣化診断士 小林 成光

600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。 ▼略歴・プロフィール
「監修者|小林 成光(株式会社Speee)」

屋根塗装の見積もりはこの4箇所で判断!

①見積もりの総額

  • 屋根塗装の一般的な金額は58~93万円
  • 高すぎる場合:水増し請求のおそれ
  • 安すぎる場合:手抜き業者のおそれ

まずは、屋根塗装の総工費が一般的な金額からかけ離れていないかを見ましょう。

屋根工事だけの総額は、平均的な30坪住宅の場合で58~93万円が一般的なです。
総額が高すぎる場合だけでなく、安すぎる場合も注意が必要です。

くわしくは①見積もりの総額の解説をご覧ください。

外壁塗装など他の工事と同時に実施する場合の一般的な金額については、以下の記事をご覧ください。

②作業内容と単価

  • 作業の単価は高すぎないか
  • 本来不要な作業項目がないか

続いて、見積もり書の表にある作業項目ごとの単価設定と、屋根塗装として余計な項目がないかをチェックします。

チェックの目的は、一般的な金額より高めの単価を設定したり、余計な作業項目を混ぜたりして総額を吊り上げていないかを確かめることです。

屋根塗装のあるべき作業項目と適正単価については②作業内容と単価の解説をご覧ください。

③数量(施工面積)

  • 実際の外壁面積よりも大きい数値でないか
  • 「一式」表示はごまかしの可能性あり

作業の価格だけでなく、数量(施工面積)が正しいかもチェックが必要です。
単価についてはネットで調べる個人が多いので、巧妙な悪質業者は外壁の面積のほうをごまかして価格を釣り上げることがあります。

家の大きさごとの外壁面積の目安は③数量(施工面積)の解説をご覧ください。

④詳細や内訳の有無

  • 塗料や作業規格の非記載はごまかしの可能性あり

最後に、見積もり書に「詳細」や「摘要」といった欄に使用する塗料名や製品、作業の規格種別などが具体的に書かれているかを見ましょう。

製品名などが伏せられているということは、通常使わないような安い材料等を使うことで利益を確保している可能性が疑えます。
「③」と同じく、価格を調べられるとごまかせなくなるので、見積書上では明記しないのでしょう。

くわしくは④空欄や省略の有無の解説をご覧ください。

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①見積もりの総額

まずは、あなたに提示された金額が一般的な金額内かどうかを判断しましょう。
見積書のおおむねトップにある、「合計金額」や「総額」といった欄を見てください。

一般的な大きさ住宅では、屋根塗装の見積もり費用は総額58~93万円が一般的な金額です(2階建て・屋根面積100㎡の場合)。
金額には足場代(約15万円~20万円)も含まれています。

上記の見積り書の金額は一般的な総額に収まっているので、総額においてはほぼ安心と言えます。

金額に幅があるのは、選んだ塗料によって材工費が変わるためです。一般的に、耐用年数の長い塗料を選ぶほど価格も高くなります。

「30坪住宅の屋根塗装費用」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

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②作業内容と単価

悪質な業者の作った見積もり書では、必要な作業が飛ばされていたり、一般的な金額より法外に高い単価が設定されているおそれもあります。
そこで本章では、屋根塗装に最低限必要な工程と、それぞれの適正単価の範囲を解説します。

単価のチェックにあたり、見積書で見るべきは以下の列です。
また、一番左の列もみて品名(作業名)も同時にチェックしましょう。

屋根の見積もりに登場する主な作業項目

仮設足場:500~700円/㎡

屋根塗装では、高所作業用の足場が必須になります。
費用は、レンタル代・設置・撤去代を合わせて1㎡あたり500~700円が一般的な金額です。

シート養生:200~300円/㎡

塗料が周囲に付着しないように、足場の周囲や家の塗装範囲外の部分を覆う作業です。
施工単価は、1㎡あたり200~300円が一般的な金額です。

「足場」と「シート養生」をまとめて「700~1,000円/㎡」なら一般的な金額内です。

高圧洗浄:/㎡

塗装の前に、屋根表面に付着したコケや汚れを掃除する作業です。
施工単価は、1㎡あたり200~300円が一般的な金額です。

下地処理(板金部):1,000~1,700円/㎡

下地処理とは、塗膜前に傷やサビ等を補修・除去し、表面をなめらかにする作業です。
板金部と屋根部で単価が変わり、板金部では1,000~1,700円/㎡程度が一般的な金額です。

下地処理(屋根部):400~900円/㎡

一方、化粧スレートなどの屋根部の下地処理代は、400~900円/㎡が目安です。

屋根塗装(下塗り):250~400円/㎡

下塗りとは、塗料が屋根によく付着するよう、先に「シーラー」という材料を塗る作業です。色はついていません。
施工単価は1㎡あたり250~400円が一般的な金額です。

屋根塗装(中塗り・上塗り):1,900~2,200円/㎡

屋根塗料は通常中塗り・上塗りの2回塗ります。
塗装は下塗りと合わせて3回工程が通常で、これより少ない工程だと手抜き工事の可能性があります。

中塗り・上塗りの施工単価は合わせて1㎡あたり1,900~2,200円が一般的な金額です。

単価は塗料のグレードによって変わる

「下塗り」と「中塗り・上塗り」をあわせて2,200~2,700円前後ならおおむね一般的な金額内です
ただしこれは一般的なシリコン樹脂塗料(10~15年耐久)を使った場合です。ウレタン塗料の場合では「1,400~1,950円/㎡」、フッ素塗料では「3,300~4,300円/㎡」が一般的な金額となります。

塗料の種類 単価(3工程) 期待耐用年数
ウレタン塗料 1,700~1,950円/㎡ 8~10年
シリコン塗料 2,200~2,700円/㎡ 10~15年
フッ素塗料 3,300~4,300円/㎡ 15~20年
光触媒塗料 4,200~4,700円/㎡ 15~20年
無機塗料 4,500~5,500円/㎡ 20年以上

縁切り:250~360円/㎡

縁切りとは、上塗りの乾燥後に塗膜に切れ目を入れ、屋根材の裏に回った雨水の逃げ道をつくる作業です。雨漏りを避ける効果があります。

タスペーサーとは?

タスペーサーとは、薄いプラスチックでできた、雨水の出口確保用の部品です。近年は縁切りをするかわりに、これを屋根材の隙間に差し込んでから塗装をするのが一般的です。

諸経費・運搬費:合計の5~10%

業者の車のガソリン代、駐車場代、事務代やその他販管費として別途費目が立ちます。
一般的な金額はここまでの合計の5~10%程度が目安です。

「値引き額」の項目がある場合
見積書によっては「値引き額」の項目がある場合があります。値引き額はしっかりした業者でせいぜい数万円、どんなにお得でも10万円を超えないでしょう。
これを超える高額な値引きには要注意です。はじめから高すぎる金額を提示して、お得感を出すために値引きしたふりをしている可能性が高いです。

単価が大きく違った場合は?

もし見積もり書の単価が上記の金額と違っていて不安な場合は、その業者への返事を保留して他の塗装会社からも見積もりをとって比べることを強くオススメします。
相見積もりの心当たりがない方のために、地域の優良業者の無料紹介窓口 も用意しています。

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③数量(施工面積)

単価ではなく、施工する数量(屋根面積)をごまかして値段を釣り上げる手法にも気をつけなければなりません。
とくに屋根面積は家ごとにばらつきが大きく、自分では調べにくい数値です。

建築図面をもとに正確に調べるのが望ましいですが、よくわからない方のために一般的な目安を表にまとめました。
戸建て住宅の坪数(延床)ごとの屋根面積の目安
延べ坪数 屋根面積の目安
20坪 55~65㎡
30坪 90~110㎡
40坪 115~145㎡
50坪 160~195㎡
60坪 200~240㎡

施工面積の水増しに気づく方法

単価の水増しの発見方法と同様に複数の施工業者からも見積もりをとって比べることができれば、かなり安心です。
いくつか見積もりがあれば面積をごまかしている業者だけ「数量」が大きくなるので、かなりの確率で気づくことができます。

相見積もり先の心当たりがない方は地域の優良業者の紹介窓口 をご利用ください。

「屋根面積の確かめ方」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

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④空欄や省略の有無

水増しやごまかしのある見積もり書は、工事で使う材料や細かい作業規格を明記しない傾向があります。
例えば以下のようなことをチェックし、詳しいことがぼかされていたり、欄そのものが無かったりする見積もりには注意しましょう。

「詳細」「摘要」などの欄はあるか

作業単価の根拠として重要な、作業の目的や使用する材料・機材・消耗品などの情報は、通常「詳細」「摘要」などの欄を設けて説明されます。

屋根塗装の見積もり書にこれらの情報がないということは、あなたに詳しい作業内容を知らせたくないと判断できます。

「一式」が多用されていないか

「屋根塗装工事 一式」「◯◯作業 一式」などと記載して詳細を省略している見積もり書にもご注意ください。
作業の内訳を明示したくない、担当者にそもそも計算する知識がない等の疑いがあります。

使用する塗料や用具が明記されているか

塗料名やメーカーを記載せず、「シリコン塗料」としか書いていなかったり、シート・足場・コーキング材などの製品・型式をはっきりさせない見積もりも要注意です。

こういった場合、価格に見合わない低品質な塗料・コーキング・その他消耗品を使おうとしている可能性があります。

これも重要!「施工保証」の有無

誠実な業者であれば、塗装見積もり書に施工の保証年数を見積もりに明記するか、別紙等で形に残るよう施工保証を行ないます。
施工保証について話がなかったり、口約束だけで済ませようとする業者に依頼すると、後から施工不良が起こっても、泣き寝入りせねばならない事態になるかもしれません。

「悪質な屋根業者の特徴」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

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屋根塗装の契約を結ぶ前の注意

悪徳業者の見分け方

定価というものが存在しない屋根塗装は、悪徳業者とのトラブルがたえない業界でもあります。

契約する前には以下のようなことを心がけると、悪い業者を最大限高い確率で避けることが出来ます

  • 3~4社以上から相見積もりをとる
  • 一般的な金額より高すぎる・安すぎる業者は避ける
  • 不安を煽る、即決を迫る業者は避ける
  • 値引きを強調する業者は避ける
  • 地元で長く営業している業者を選ぶ

 

3~4社以上から相見積もりをとる

相見積もりは最低3社から必要

相見積もりとは、同じ設定で複数の業者から見積もりを取り寄せることです。
相見積もりによってだいたいの適正費用や工事の規模がわかってくるので、明らかに費用が高い業者や、対応のおかしい業者が浮き彫りになり、契約を避けることが出来ます

一般的な金額より高すぎる・安すぎる業者は避ける

見積もり額が一般的な金額より高すぎる場合は、施主が素人であることをいいことに、法外な料金を取ろうとしている場合が疑われます。

反対に、見積もり金額が安すぎる場合にも注意が必要です。

実は塗装工事は、材料や作業が粗悪でも、数ヶ月~1年程度は見た目には異常がなく、しばらく発覚しないことが多いのです。
これを利用して、安い値段でお得に感じさせて工事契約を結び、塗装工事は値段なりの手抜きをして利益を出し、発覚後は知らぬ存ぜぬで通されるケースも少なからず報告されています。

安い金額で契約して後悔するパターンとして、他には安い金額で契約をした後、あれこれと理由をつけて請求額を上乗せされ、結局は高い金額がかかったという例もあります。

明らかに一般的な金額とかけ離れた金額を算出されたら、業者にしっかり理由や内訳を尋ねましょう。

不安を煽る、即決を迫る業者は避ける

飛び込み営業に多いパターンで、「今すぐ修理しないと屋根がダメになります」「すでに雨漏りしていますよ」などと極度に消費者の不安を煽って判断力を鈍らせ、契約を取ろうとする悪徳業者もいます。

見積もり提示時に夫婦揃って話を聞くよう要求する業者も、財布の紐を握っている人を同席させ、ネットなどで一般的な金額を調べる間を与えず契約即決させる狙いがあるようです。

屋根の劣化状況によっては大至急メンテナンスが必要な場合もありますが、「本当にすぐ壊れそうなほど危険なのか?」「実際に雨漏りしているの?」とまずは疑ってかかる、証拠を提示してもらうことを推奨します。

相見積もりを利用して複数の業者の現地調査を受けていれば、「この業者だけやたらと危険性を主張するな」とわかるので、やはり1社だけの見積もりで契約を決断するのはリスキーだと分かりますね。

値引きを強調する業者は避ける

国民生活センターの調査では、「モニター価格で安くなります」「近場で工事があるので、特別に足場代を無料にできます」などといって、数十万円単位の値引きを強調するのも、悪質業者の常套句のようです。

「値引きされたあとも、一般的な金額からするとまだまだ高かった」という後悔の声が少なくありません。

繰り返し「◯◯代が無料です」「お値引きします」と強調してくるようなら、悪徳業者の可能性があると考えてください。

地元で長く営業している業者を選ぶ

全国的な業者ではなく、地域に根ざした塗装業者や工務店であれば、地元の住民の評判を非常に大切にします。
つまり、限られた商圏のなかで悪い噂が広まらないよう、不誠実な対応や不具合を放置するような工事はおそらくしないと考えられます。

近所の知り合いから太鼓判を押された業者なら、安心して施工を依頼できるでしょう。
もし近所に知り合いがいなければ、あなたの地元の業者に詳しい相談・診断窓口(無料) を利用するとよいでしょう。

私の家だといくら?

※1時間以内に74人が ヌリカエで料金診断しました。

まとめ

以上、屋根塗装の総額や単価と、見積もり書のチェック方法・注意点についての解説でした。

屋根塗装は、悪意のない業者であっても得意・不得意によって金額がバラバラになるのが普通なため、相見積もりが有効です。
当ページからも、あなたの家のリフォーム適正金額や、業者からの相見積りを取り寄せることができますので、この機会にご利用いただければ幸いです。

最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。

屋根塗装の見積もりのチェック方法は?

見るべきポイントは4つあります。「総額」「作業項目と単価」「数量(施工面積)」「詳細の記載有無」です。詳しく知りたい方は屋根塗装の見積もりはこの4箇所で判断!をご覧ください。

屋根塗装の見積もり一般的な金額はいくら?

30坪の戸建て住宅では「58~93万円」が目安です。詳しく知りたい方は①見積もりの総額をご覧ください。

屋根塗装は1㎡あたりいくらが一般的な金額?

シリコン塗料を使った場合、下塗り代と合わせて「2,200~2,700円」が一般的な金額です。詳しくは②作業内容と単価をご覧下さい。

屋根面積の大きさ、通常はどれぐらい?

一般的な30坪住宅の場合「90~110㎡」程度が目安ですが、家によりばらつきがあります。図面で調べるか、相見積もりの取得が有効です。詳しくは③数量(施工面積)をご覧ください。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

▼書籍
  • 菊池克弘『住宅リフォーム重要事項32選』都市環境建設 2015
  • 建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2022年度版』一般社団法人経済調査会 2021
  • みんなの建材倶楽部『使える!!内外装活用シート 2016-2017』エクスナレッジ 2016
  • 田村誠邦・甲田珠子『プロのための住宅・不動産の新常識』エクスナレッジ 2019
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