陸屋根の雨漏りの原因と防止方法。日頃のチェックでトラブルなく長く住める!

  • 【更新日】2022-06-22
陸屋根・屋上のイメージ

フラットでおしゃれな形状や、屋根のスペースが物干しなどに活用可能なことから人気のある陸屋根。
しかし、傾斜の有る屋根に比べて水が滞まりやすく、雨漏り対策が欠かせないことはご存知でしょうか?

本記事では、陸屋根の家で雨漏りを起こさないように長く住むための知識やコツを解説します。

「住宅の雨漏り修理」について広く知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「雨漏り修理の費用相場と工事内容まとめ。業者依頼からDIYまで詳しく解説」

「陸屋根」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「陸屋根とはどんな屋根?メリット・デメリットや工事方法を解説」

Point
  • 陸屋根が雨漏りする4大原因は「排水口の詰まり」「外傷」「経年劣化」「施工不良」
  • 日頃から防水層や排水溝、立ち上がり部分を点検し、異常の早期対応で雨漏り防止!
  • 陸屋根防水の種類は「FRP」「ウレタン」「シート」「アスファルト」がある

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陸屋根の雨漏りの原因は4つ

陸屋根で雨漏りが起こる原因は、主に以下の4つです。

  • 排水口の詰まり
  • 外傷(飛来物、鳥害など)
  • 経年劣化による剥がれ、破れ
  • 施工不良

それぞれの原因と解決方法について解説していきます。

排水口の詰まり

陸屋根にある排水溝に落ち葉やゴミ、土が詰まって水が流れなくなり、逃げ場を失った水がわずかな隙間から屋内に雨漏りとなってあらわれる場合があります。

解決方法
  • 排水口の掃除をし、詰まりを解消しましょう。また、水が侵入してしまっているということは、防水層にも穴や経年劣化がある可能性があります。念のため防水業者の点検も受けましょう。

外傷(飛来物、鳥害など)

外壁要因により表面の防水層(樹脂や繊維等によるコーティング)にキズができてしまった場合、そこから屋根の下地や天井に水が浸透して雨漏りの原因となります。

「外的要因」の候補としては、まず飛来物の激突による損傷や、鳥が突付いて破ってしまう「鳥害」などが挙げられます。
鳥害は、鳥が集まってくることの多いアパート等の陸屋根などでよく発生します。

解決方法
  • 防水工事業者に「防水層の部分補修」を依頼し、キズ・穴を直します。

経年劣化による剥がれ、破れ

屋外床の剥がれ

年月が経つうちに、陸屋根の防水層や他の部材との継ぎ目にひび割れ・膨れ・めくれ等が発生し、そこが雨水の侵入口となって雨漏りを引き起こすパターンです。

経年劣化は、さらに大きく3通りの原因に分かれます。
基本的には業者による全体メンテナンスが必要となります。

紫外線による防水層の劣化

太陽光に長年さらされる間に表面が傷んできたため、ひび割れ等が起こるケースです。

解決方法
  • 床面全体の寿命が考えられます。業者に依頼して陸屋根防水の再工事を行うことになるでしょう。

強風によるシートのめくれ

防水層の種類が「シート防水」の場合に起こる、風雨でめくれたシートの隙間から水が侵入するケースです。
徐々にめくれていく事もあれば、台風などで一気に進行することもあります。

解決方法
  • 業者に依頼して剥がれている部分の再接着、もしくは陸屋根全体のシート防水の再工事を行います。

コーキングの劣化

陸屋根にある隙間や境い目を埋めているコーキング(シーリング)が痩せたりヒビ割れを起こしたため、雨水の侵入口となってしまっているケースです。

解決方法
  • 業者に依頼して陸屋根にある「コーキングの打ち替え」を行います。作業は部分的・全体的どちらの場合もあります。

施工不良

まれに、陸屋根が建築時点から問題を抱えていたケースがあります。
具体的には「水はけのための適切な傾斜がとられていない」「乾きらないまま重ね塗りをしたため水分で膨れてきた」などのトラブルがあります。

解決方法
  • ハウスメーカー等の建築業者と話し合いのうえ、保証を利用して再工事などの対処が考えられます。
  • 自分で気づくのは難しい原因です。経年劣化を疑い業者を呼んだ際に、調査の結果施工不良とわかる場合が多いでしょう。

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陸屋根の雨漏りを防ぐには?

日頃から陸屋根の変化を自分で点検することで、本格的な雨漏りを防ぐことが出来ます。
ここでは普段からチェックしておくべき陸屋根の部位や、確認時のポイントを4つ解説します。

①「排水口」と周囲のチェック

排水口周りと詰まりは、目視で簡単に点検・異常の回復ができます。

落ち葉や鳥の羽、土埃で詰まっていないかは目で見て確認できます。実際、排水口周辺をきれいにすることで雨漏りが解消した事例もあります。

ウレタン防水の場合はウレタンが流れ込み、排水口が狭くなっていないかを確認するのもよいでしょう。

②表面の「防水層」の異常をチェック

陸屋根の表面

陸屋根表面について自分でチェックできる項目は、他にもあります。表面の亀裂や膨らみ・浮きのチェック、植物の発生・水溜まりはないか、そして陸屋根表面の色褪せです。

陸屋根は多少の勾配がついているとはいえ、ほぼフラットであるため風により砂や土埃などの蓄積は避けられません。特に劣化が進み防水効果が低くなっている場合、苔や植物が育っていることもあるでしょう。

劣化の状態にもよりますが、植物を無理に引き抜くと根が防水層内部にまで浸食していた場合、さらなる劣化・破損に繋がる可能性があります。決して無理に引き抜くことなく、可能な範囲で植物を切りましょう。

③「パラペット」のヒビ割れや腐食をチェック

パラペットの部位

パラペットとは、陸屋根の外周を囲む立ち上がり部分のことです。胸壁や扶壁(ふへき)と呼ばれ、手すりやフェンスの役割を持つため、手すり壁と呼ばれることもあります。

パラペットと陸屋根の防水層の継ぎ目部分は、特にチェックしておきたいポイントです。
一般的に日当たりがよく乾きやすいとされる南面でも、パラペットによる日影のせいで湿度が高く水はけが悪いこともあります。

つなぎ目部分に金属が使われていれば錆や腐食などのチェックをし、内樋部分に水溜まりができていないか、ゴミが溜まっていないかも確認しましょう。

④「笠木」のシーリング・腐食をチェック

笠木(「パラキャップ」とも)とは、パラペットの頂部に取り付ける蓋のような部材です。
この蓋により、建物内部へ雨水や異物が侵入するのを防いでいます。

笠木とパラペットを固定するために、ビス打ちをする場合があります。
通常、穴の隙間はシーリング材で塞がれており雨水侵入の心配はありませんが、長期間経つと劣化することもあります。

このビス留め部分のシーリングが劣化し、風雨に晒されていないか、錆や腐食を起こしていないかチェックしましょう。

また金属の部材を複数枚重ねて笠木を設置している場合、部材と部材の間には隙間ができます。こちらもビス留め同様シーリング材で隙間を埋めていますが、劣化している可能性や飛来物の影響で歪みや隙間が発生している場合があります。

笠木は固定部分を中心にチェックしましょう。

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陸屋根の防水層は4種類

陸屋根の雨漏りを避けるためには、防水工事が不可欠です。

防水材料の代表的なものは4つあります。防水性の高いものや、施工が簡便なものなどそれぞれの特徴について紹介していきます。

1:ウレタン塗装防水

ウレタン塗装のメリットは、複雑な場所での施工に向いていることと工期が短いこと、そしてコストが安いことでしょう。

液体状のウレタン樹脂を重ねて塗り、継ぎ目なく防水層を作るというものです。メンテナンスの際は、上から塗り重ねるという簡便な工事です。しかも施工前の素材がウレタンでなくとも対応できる、というメリットも持っています。

デメリットとしては、人による施工になるため均一に塗布することが難しいこと、乾燥時間がかかること、デザインの選択肢がないことが挙げられます。

2:FRP防水

FRPは浴槽や、屋外のベンチ、貯水槽や浄化槽、自動車や電車の内装に加えボートやヨットなどの船体、さらには人工衛星に使われるなど汎用性の高い素材です。

FRP防水は、メンブレン防水といって膜を形成する施工方法です。基本的には、陸屋根にガラスマットを敷設し液状のポリエステル樹脂を塗布して硬化させます。

液状の素材を使うため、継ぎ目のない防水層の形成ができること、複雑な場所にも施工が可能であるというメリットがあります。また、既存の防水層の上からでも施工が可能です。

しかしウレタン防水に比べて費用が高くなることや工事の際の臭いに対するクレームが多く寄せられること、施工に向いた建物を選ぶことなどはデメリットと言えるでしょう。

「FRP防水」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「FRP防水とは? メリット・デメリット、かかる費用を徹底解説」

3:シート防水

耐久性とコストの面で選ばれているのがシート防水です。床面に塩化ビニールや合成ゴムなどのシートを敷設し、熱や接着剤で貼り付けていきます。

風が強い場所には向かないこと、継ぎ目など仕上げが難しいため業者の技術が問われることが短所です。紫外線や、鳥による影響でシートや継ぎ目が劣化する可能性もあります。定期的な点検が大切です。

4:アスファルト防水

施工に手間と技術力が必要になるのがアスファルト防水です。熱工法・常温粘着工法・トーチ工法などがあります。防水性が高い一方、アスファルトは非常に重量があるため建物の耐荷重を要します。

接着性や耐久性・防水性が高いことに加え、メンテナンスの回数が少ないことがアスファルト防水のメリットです。例えば、FRP防水が約10~15年に一度メンテナンスが必要であることに対し、アスファルト防水の寿命は新規施工より20年程と言われています。

「陸屋根防水の種類」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「陸屋根の防水工事4種を徹底比較! オススメは「塩ビシート」防水」

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陸屋根の劣化レベル別補修工事4つ

陸屋根に補修の必要が発生したら、業者に改修の依頼をしましょう。昨今ではDIYも人気ですが、工法や素材など専門知識がなければ後々大きなトラブルとなる可能性もあります。

陸屋根の劣化を確認したら、自分で補修せず業者に依頼することをおすすめします。

1:小さな傷や浮き

防水シートやトップコートのほんの一部を鳥がつついてしまい、小さな浮きが発生してしまったという場合は、部分的に不具合箇所のみを補修することができます。

まだ小規模だからといって放置すると、防水層の悪化が進み工事の規模が大きくなる可能性が出てきます。工事費用と防水層の寿命を考慮して、早めに業者のチェックを受けましょう。

2:表面のざらつきや色褪せ

陸屋根表面のざらつきはメンテナンスの目安です。陸屋根の防水層の上にはトップコートが塗布されています。トップコート自体に防水効果はありませんが、防水層を紫外線や風雨から守る役割があります。

陸屋根の表面がざらつき、色褪せる原因はトップコートの劣化です。劣化はさらに進むとトップコートのひび割れとなり、防水層が直接紫外線などの影響を受けることに繋がります。

陸屋根のメンテナンスは、防水層とは別にトップコートの塗り替えも必要です。

3:既存防水層のリフォーム

「雨漏りが発生してしまった」「防水層素材の寿命」「陸屋根点検でひび割れなど、修理が必要な場所が見つかった」等の場合は、陸屋根の改修工事を依頼します。

防水層のリフォームで検討される項目のひとつは、既存の防水層の種類からの変更です。防水層の変更は、工期とコスト面でメリットのあるウレタン防水工事を選択するのが主流になります。

注意が必要なのは、防水層のリフォームは防水業者が施工するという点です。「塗り直す」というイメージから塗装業者を選択しないように気を付けましょう。

4:陸屋根下地まで悪化

雨漏りが発生してしまった場合、まず原因を特定して補修をすることが必要です。しかし、補修するのは陸屋根防水層だけではありません。室内のクロスなど内装材にまで影響を及ぼしているからです。

防水層以下の下地や建物構造部の腐食、電気配線や内装材に加え、木造住宅だった場合にはその後のシロアリの発生にも気を付けなければなりません。

雨漏りが下地にまで侵食していたり、建物躯体などに影響していたりする場合には、下地を含んだ全面改修ではなく、防水層の全面交換が必要になります。

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陸屋根防水層の全面改修は10年~15年

どんなに耐久年数が長いと謳われていても、防水層の改修工事は必要です。基本的に全面改修は10年から15年で必要になると覚えておきましょう。

ちなみにアスファルト防水は他の防水層より耐久年数が長く、20年程度であると言われています。しかし、アスファルトは工法が大がかりであることや重量などを加味し、屋上面積が広いマンション・ビルなどの建物に施工されることが多くあります。

まずは自身の陸屋根の防水工事の内容を確認しましょう。

全面改修のタイミングでなくとも、塗膜防水・アスファルト防水ではトップコートの塗り替えは必要です。5~7年程を目安にしましょう。他にも清掃や目視など日頃からの注意で防水層の状態を維持させることに繋がるでしょう。

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陸屋根の雨漏りに関する知識を深めリフォームに活かそう

陸屋根のリフォームを考えている方は、まず自身の陸屋根の防水層素材を確認することから始めましょう。施工後の年数、そして陸屋根表面の状態のチェックで雨漏りのリスクが分かることもあります。

雨漏りのリスクを抱えている陸屋根ですが、防水素材の傾向を知り定期的にメンテナンスすることで予防できるでしょう。

この記事を参考に、陸屋根の知識を深めリフォームに活かしましょう。
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