クラック補修の必要性や手順・ポイントを分かりやすく解説

  • 【更新日】2021-09-15
クラックの入った外壁の補修とは

クラックとは、経年劣化や乾燥、地震や不同沈下、施工不良などによって外壁に発生するひび割れのことです。幅0.3mm以下のものはヘアクラック、それ以上のものは構造クラックと呼ばれ、建物に悪影響を及ぼすことがあります。
構造クラックは外壁素地にまで亀裂が進行している状態です。雨漏りや構造体の劣化・腐食を避けるためにも、早急にクラック補修をしましょう。

今回は、クラック補修の必要性や手順、ポイントなどを詳しく解説いたします。

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クラック補修を行うことの重要性

外壁に起こる劣化のひとつに、クラック(ひび割れ)があります。クラックは、紫外線や温度差によって塗膜が縮むことで起こります。地震などの自然災害、乾燥、経年劣化といった外的要因ほか、施工不良などでも起こり得ます。
クラックの状態が悪化すると、外壁だけでなく、建物の構造体に悪影響を及ぼします。定期的に外壁のチェックを行い、クラックを見つけた際は、進行度に合わせて早めに補修しなければなりません。

外壁のクラックが原因で建物に起こる悪影響には、次のようなものがあります。

1. 雨漏り

外壁は、建物を雨や風、紫外線から守っています。外壁にクラックが生じると、ひびのすき間から雨水が侵入し、部屋の天井や内壁に雨漏りが発生してしまいます。
内壁・天井ほか、押入れやクローゼットに雨染みやカビの繁殖を見つけたら、すぐに外壁にクラックがないか確認しましょう。

2. 雨水の侵入による構造体の劣化・腐食

クラックからの雨水侵入は、内壁や天井への雨漏りだけでなく、建物の構造体にも大きな影響を与えます。

木造一戸建ての場合、侵入した雨水によって外壁材の下に敷かれている防水材が劣化し、構造体の内部まで水が入り込んでしまいます。そのまま放置しておくと、水分や湿気によって木材が腐食し、建物の強度がどんどん下がってしまいます。また、内部構造の木材が腐食することで問題になるのが、シロアリ被害です。シロアリは腐った木や湿気のある場所を好み、柱などを食べてしまいます。放置していると家は耐久性を失い、最後には倒壊してしまう恐れもあります。

鉄筋コンクリート造の建物であれば、クラックから侵入した雨水や空気によって鉄筋が酸化し、錆びが発生してしまいます。錆びた鉄筋は強度を失うだけでなく、爆裂現象を引き起こす可能性があります。爆裂現象とは、錆びによって膨張した鉄筋が破裂することで、外壁も大きく傷つきます。
爆裂現象が起こった外壁からは、さらに雨水が入り込み、内部構造の腐食・劣化を進んでしまいます。

新築時はアルカリ性だったコンクリートが、経年によって中性化する主な原因は、クラックによる雨水の侵入です。コンクリートが中性化すると、上述した被害が起こる可能性が高くなります。

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そもそも外壁のクラックとは?

外壁に生じるひび割れのことを総じて「クラック」といいます。クラックには大きく分けて、4つの種類があります。

1. ヘアクラック

クラック幅が0.3mm以下、深さ4mm以下程度の髪の毛ほどの細いひび割れを、ヘアクラックといいます。外壁の表面、塗膜のみがひび割れている状態で、モルタル下地まではクラックが届いていない場合がほとんどです。建物の内部構造に影響を与えるクラックではないため、メンテナンスの緊急性は低く、すぐにクラック補修が必要なものではありません。 一般的なモルタル外壁ほか、サイディングやコンクリート外壁にも発生します。

ヘアクラックの主な原因の1つに、太陽の熱や紫外線による塗膜の経年劣化があります。外壁素地は、屋外の温度差によって膨張と収縮を繰り返しています。塗膜が劣化すると、素地の膨張収縮に耐えきれず、亀裂が生じてしまうのです。

塗料の耐用年数よりも大分早い時期にヘアクラックが生じた場合は、使用した塗料に対して乾燥時間が短かった、素地や下塗り・上塗り塗料の相性が悪かったなど、外壁塗装の施工不良が原因の可能性があります。

2. 構造クラック

構造クラックとは、建物の構造に影響を及ぼすひび割れのことです。貫通クラックとも呼ばれています。幅が0.3mm以上、深さ5mm以上あるクラックは、構造クラックの可能性が極めて高いでしょう。外壁表面の塗膜がひび割れているヘアクラックとは違い、外壁の内部に亀裂が入っている状態のため、早急な補修が必要です。
また、たとえ幅0.3mm以下のクラックであっても、1m以内に3つ以上のクラックがある場合は、構造クラックの可能性があります。

構造クラックの主な原因は、地震や不同沈下といった外的要因によって建物に力が加わり、最初は浅かったクラックが、構造体に影響するほどの亀裂へと進行してしまうことです。設計・施工ミスで建物の構造自体に欠陥がある場合は、地震などで通常よりも多くの揺れや力が加わり、構造クラックが発生しやすくなります。

3. 乾燥クラック

モルタル外壁やコンクリートに水を加えて混練する「湿式工法」で施工された外壁は、乾燥する課程で水分蒸発によって収縮し、塗膜が追従できずヘアクラックが発生します。これを乾燥クラックといい、モルタル外壁やコンクリートではどうしても起きてしまう特性で、建物の構造自体には影響ありません。細かいものであれば、経年の汚れと共にほとんど目立たなくなります。

4. 縁切れクラック

外壁の一面を2度に分けて塗装した際に発生するクラックです。1度目の塗装から作業を中断し、時間を置いて2度目の塗装作業を再開したときなどに起こる現象で、1度目の塗膜と2度目の塗膜のつなぎ目が収縮することでひび割れが発生してしまいます。

縁切れクラックは、ひび割れが広がる前に補修することが大切です。また、外壁塗装を1度で終わらせることで予防できます。

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クラック補修を行うのにかかる費用

外壁のクラック補修を業者に依頼した場合の費用相場は、1ヵ所につき1~2万円程度です。クラックの幅や深さ、位置(足場が必要な高い場所など)によって費用に大きな差が出ます。構造クラックで劣化が進行していると、10万円以上かかるケースもあります。

築年数10年以上の建物や、建物全体にクラックが散見される場合は、業者の点検時に外壁塗装や、サイディング材の張り替えを提案されることもあるでしょう。壁面を手で擦ったときに、白い粉のようなものが付着する場合は、経年劣化により外壁の塗膜が白亜化している証拠です。経年劣化した外壁はクラックができやすく、建物の耐久性を低下させるため、できるだけ早くメンテナンスを行う必要があります。

メンテナンスのうち、外壁塗装は1㎡あたり2,000~5,000円程度、サイディング材の張り替えは、1㎡あたり7,000~,000円程度の費用がかかります。まとまったお金が必要になるため、業者とよく相談し、細かい見積もりを出してもらいましょう。

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クラック補修を行う際の手順

建物の外壁にクラックを見つけたときは、まずはクラックの幅から補修の緊急度をチェックしましょう。微細なものであれば様子見、またはDIYで補修できます。構造クラックは必ず業者に点検依頼をし、必要な補修を施しましょう。

クラック幅ごとの補修緊急度と対処方法

クラックの状態によって、補修方法も変わってきます。まずは定規を使って、クラックの太さ(幅)を確認してみましょう。クラックの幅を測る「クラックスケール」が便利ですので、ホームセンターやネットショップで購入しておくことをおすすめします。

幅0.3mm以下:様子見またはDIYによるクラック補修

クラックの幅が0.3mm以下のクラックの場合は、外壁の塗膜や素地表面のみがひび割れているケースがほとんどです。クラックの進行に注意しながらしばらく様子をみましょう。また、この進行度であれば、ご自分で補修することも可能です。補修に必要な補修材のスプレーやパテ、シーリング材は、ホームセンターやネットショップで簡単に入手できます。

幅0.3~1mm以内:業者への点検依頼と補修の相談

クラックの幅が0.3~1mm以内の場合は、構造クラックの可能性が高いでしょう。クラックの状態が進行する前に業者に点検依頼し、補修が必要かどうかを相談してみましょう。

幅1mm以上:業者への点検&補修依頼

クラックの幅が1mmを超える場合は、ひびが下地や内部の構造部分まで届いている可能性があります。できるだけ早く業者に点検を依頼し、必要な補修を行ってもらいましょう。

幅3mm以上:早急な補修が必要

3mm以上のクラックは、すぐにでも補修が必要な状態です。長時間放置され、建物の内部に相当な量の雨水が侵入している可能性が高いでしょう。構造体が腐食し、建物の強度が下がっていることも考えられます。

1. ヘアクラックをDIYで補修する方法

0.3mm以下のヘアクラックは、建物の構造自体に影響はなく、そのままにしておいても問題ないことがほとんどです。一方で、ヘアクラックはカビやコケの原因になるため、建物の美観を損ねるという点では、早めにクラック補修をしたほうかよいでしょう。

微細なヘアクラックであれば、DIYによる応急処置が可能です。ヘアクラックの補修方法としては、次の3つがあります。

● 微弾性フィラーなどの下塗り塗料でクラックを埋め、仕上げに上塗り材を塗布する
● スプレータイプのセメント材を吹き付ける、もしくは補修用モルタルを塗布する
● シーリング・コーキング材を充填し、上塗り材を塗布する

微細なクラックであれば、スプレータイプの補修材がおすすめです。ひび割れた箇所に吹き付けるだけなので、簡単にクラック補修ができます。

外壁をメンテナンスする際には、前処理として壁面洗浄することが重要です。壁面についた汚れやカビ、コケなどを洗い落とし、十分に乾燥させてからクラック補修を行いましょう。

シーリングの種類と補修の手順

シーリング材でクラックのすき間を充填する場合は、壁面洗浄をしたあと、まずはクラックのすき間から、汚れをかき出すように掃除します。ブラシのほか、ドライバーの先などを使用すると便利です。
続いて、クラックの部分にシーリング材を充填します。クラックのすき間がしっかりと埋まるように打っていきましょう。
シーリング材が完全に乾燥するのを待ち、最後に上塗り材を塗布して完成です。

シーリング材にはさまざまな種類があり、それぞれ特性や乾燥時間が異なります。
たとえばアクリル系シーリングは、伸びがよく扱いやすいだけではなく、乾燥時間が1~2日で済むというメリットがありますが、耐久性の面ではやや劣ります。
ウレタン系は耐久性が高く、アクリルよりも乾燥時間が長いのが特徴です。乾燥目安は4~5時間で、完全硬化までにおよそ1週間かかります。上塗り材を塗装することで、欠点である紫外線への弱さをカバーします。

湿度が高い場所、水に濡れる機会が多い場所には、樹脂セメントがおすすめです。ただし乾燥に2~3日かかることがデメリットです。

2. 木造住宅(モルタル外壁・サイディング外壁)の構造クラック補修

木造住宅に多いモルタル外壁やサイディング外壁には、シーリング・コーキング材を使用し、「カット工法」と呼ばれるクラック補修を施します。
補修の手順は次のとおりです。

1. クラック部分をサンダーでUカット(またはVカット)
2. カットしたクラック部分を綺麗に掃除し、プライマーを塗布
3. シーリングを充填
4. シーリングが硬化したら、樹脂モルタルを塗布して段差を調整しながら仕上げる
5. 肌合わせをして完成

3. RC造(コンクリート)の構造クラック補修

鉄筋コンクリート外壁のクラックについても、モルタルやサイディング同様カット工法で補修していきます。手順もほとんど変わりませんが、シーリングではなくエポキシ樹脂を使用します。

エポキシ樹脂は接着力が強く、硬化収縮が少ない補修材です。さまざまな化学物質に対して高い耐性を持ち、外壁の腐食を長期間防ぎます。
薄いモルタルやサイディング外壁とは相性が悪いですが、コンクリート外壁の補修に最適です。

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クラック補修を行う際のポイント

外壁のクラックをDIY、または業者に補修依頼する場合は、次の3つのポイントに注意しましょう。

1. DIYでの補修はあくまで応急処置だと理解しておく

0.3mm以下の微細なクラックは建物の構造に影響がないため、DIYでも十分補修できます。しかし、どんなに些細なクラックに見えても、0.3mm以上あるクラックは、構造クラックの可能性があるため、「この程度なら」とご自分で補修してしまうのはおすすめできません。
どうしてもDIYを検討する場合は、あくまで応急処置として行い、クラックの経過を注意深く観察することが大切です。クラックが広がった、すぐそばで別のクラックが発生したなどの異変があった場合は、すぐに業者に点検依頼しましょう。

2. 飛び込み業者に依頼するのは厳禁

外壁のクラックは外から見えるところに発生するため、飛び込みの訪問業者に目をつけられやすい傾向にあります。
「お宅の外壁のクラックはすぐに補修しないと危険」などといわれると不安になり、そのまま契約してしまうケースもあるでしょう。確かに、クラックを放置しておくと、建物の耐久性を低下させ、大きな被害を招く可能性があります。だからこそ、どのような業者なのかよくわからない飛び込み訪問ではなく、技術や実績がしっかりした業者に依頼するべきです。

3. 相見積もりをとり信頼できる業者に依頼する

信頼できる施工業者を見つけるには、ホームページで施工事例などをチェックすること、相見積もりをとることが重要です。
相見積もりは最低でも3~4社からとり、補修にかかる料金や施工計画など、見積書の内容を比較してみましょう。だいたいの相場感が把握できるはずです。

また、営業担当者の対応もしっかり確認しておきましょう。担当者の説明がわかりやすく、丁寧な対応で相談に乗ってくれる業者であれば、安心して工事を任せることができるでしょう。

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外壁のクラックは定期的に点検・補修して建物の劣化を防ぐ

外壁にクラックを見つけたら、クラックの幅を確認し、構造クラックの可能性がある場合はすぐに補修しましょう。放置しておくと、建物の内部に雨水が入り込み、構造体の腐食・劣化を招きます。

クラックは塗膜の経年劣化ほか、地震などの外的要因で発生、進行します。定期的な外壁チェックを行い、できるだけ早い段階でクラックを見つけることが大切です。

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