訪問販売で外壁塗装を契約した後でも、強引な営業手法や相場より高い金額での契約であれば解除したいですよね。
クーリングオフは契約後でも一定期間内であれば契約解除ができる制度です。訪問販売や電話営業などの場合で、8日以内であれば外壁塗装にも適用することができます。
こちらの記事では、クーリングオフできる場合・できない場合、手続き方法などについて解説します。
外壁塗装でクーリングオフできる場合
以下、全てに当てはまる場合はクーリングオフできる可能性が高いです。
- 契約してから8日以内である
- 業者が突然訪問してきた
- 訪問販売や電話勧誘などで契約をした
- 取引額が3,000円以上である
- 過去1年以内に取引のない業者との契約である
- 日本国内で契約をしている
- 個人と法人による契約である
「1,契約して8日以内」は契約書を受け取った日の翌週の同じ曜日までになります。
12月9日(金)に契約した場合、12月16(金)(当日含む)が期限です。
しかし例外があり、下記のケースでは8日過ぎてもクーリングオフできる場合があります。
- 契約書を受け取っていない
- 契約書にクーリングオフについて明記がない
- 業者からウソや脅しなどでクーリングオフを妨害された
いずれかに当てはまる場合は、こちらの専門機関へご相談ください。
外壁塗装でクーリングオフできない場合
以下、1つでも当てはまる場合はクーリングオフできないと思われます。
- 契約してから8日を過ぎている
- 業者を自らの意思で呼び寄せたり、事務所に出向いて契約をした
- 訪問販売や電話勧誘ではない方法で契約をした
- 取引額が3,000円未満である
- 過去1年以内に取引のある業者である
- 日本国以外での契約である
- 法人と法人による契約である
「1,契約してから8日を過ぎている」は、翌週の同じ曜日を過ぎることを表します。例えば12月9日(金)に契約した場合、12月17(土)になると期間外です。
また「3,訪問販売や電話勧誘ではない方法で契約した」とは、例えば下記があります。
- 一括見積サイトで知った業者と契約した
- 知り合いから紹介の地元の工務店と契約した
ポイントは「突然の勧誘で消費者は考える間もなく、契約を促されたり、契約せざるを得ない状況であったか」という点です。
じっくりと業者を比較検討するなど、消費者に考える時間がある場合はクーリングオフの対象とはなりません。
できるかわからない場合は第三者機関に早めの相談を
クーリングオフできるか判断が難しい場合は、消費者ホットラインや国民生活センターなど専門機関への早めにご相談ください。
まず消費者ホットライン、繋がらない場合は国民生活センターにお電話での相談がおすすめです。
機関名 | 電話番号 | 備考 |
---|---|---|
消費者ホットライン | 188(いやや!) | お住まい地域のクーリングオフ相談窓口を紹介 |
国民生活センター | 03-3446-1623(タップで電話がかかります) | 消費者ホットラインが繋がらない際の相談先(平日バックアップ相談、平日の10時~12時/13時~16時) |
消費者ホットラインは消費生活の中でトラブルや困ったことについて相談できる窓口です。お住まいの地域のクーリングオフについて相談できる消費者センターを紹介してくれますので、その先でクーリングオフの具体的な相談をしましょう。
また国民生活センターは消費者庁管轄の独立行政法人で、消費者被害の救済も行っています。最寄りの相談窓口にたどり着けない際に、上記連絡先で平日バックアップ相談を実施しています。
外壁塗装でクーリングオフできる?診断チャート
外壁塗装でクーリングオフができるかどうか、簡単に判定できるチャートを作成しました。
*1:クーリングオフの対象取引には以下がありますが、外壁塗装に当てはまるのは主に「訪問販売」「電話勧誘販売」になります。
取引形態 | 期間 | 根拠法・条項 |
---|---|---|
訪問販売 | 8日間 | 特商法第9条 |
電話勧誘販売 | 8日間 | 特商法第24条 |
特定継続的役務提供契約 | 8日間 | 特商法第48条 |
連鎖販売取引(マルチ商法) | 20日間 | 特商法第40条 |
業務提供誘引販売取引(内職・モニター商法など) | 20日間 | 特商法第58条 |
訪問購入 | 8日間 | 特商法第58条の14 |
*2:契約書に記載するクーリングオフの説明について、以下を明記する必要があります。
クーリング・オフの告知
①書面受領日から8日間(対象により異なります)は書面により、撤回・解除ができること、その効力は書面を発した日に発生すること、違約金等を請求できないこと、既払金は速やかに返還することなどを、赤枠・赤字・8ポイント以上の活字で記載しなければならない(省令5条)
②クーリング・オフが適用除外とされる指定品(乗用車)、使用・消費によってクーリング・オフできなくなる指定品(化粧品など)、ならびにクーリング・オフが適用除外とされる3000円未満の現金取引は、事業者が、これを主張するためには、その旨が書面に記載されている前提条件となる(省令6条2・3・4項)
売買契約(役務提供契約)の申し込み(契約締結)の日付に関する事項
*3:契約書の受領日を1日目とし、契約解除通知日が8日目以内である必要があります。翌週の同じ曜日までと捉えるとわかりやすいです。
*4:顧客の要請を無視して適用期間が過ぎるのを待つ、「クーリングオフの適用外です」というような虚偽の報告をするなどが当てはまります。
外壁塗装のクーリングオフ適用事例
外壁塗装の契約トラブルは多く、クーリングオフ適用になる具体的な事例を紹介します。
事例①契約後に費用相場より高い金額で悪徳業者と気づいた
突然自宅に訪問してきた業者に「今すぐ塗装をしないと大変なことになる」と不安を煽られて、200万円で外壁塗装の契約をした。あとから「なんとなく高いな」と違和感を感じてネット検索してみると、自宅の坪数や塗料での費用相場は70~90万円だとわかった。
明らかに相場よりも高い金額で契約解除をしたかったので、契約書受け取った当日にクーリングオフ手続きをした。
上記では当日手続きしていますが、契約書を受け取った直後はNGなど特にないのでご安心ください。
事例②長時間の居座りで契約せざるを得なかった
突然自宅に訪問してきた外壁塗装業者に、「契約するまで帰りません」と押し切られて長時間家に居座られてしまった。数時間にわたって業者とも揉めた挙句、結局契約しないと帰ってくれないので、仕方なく契約書にサインしてしまった。
業者が帰った後に契約書を見るとクーリングオフについて記載がなかったものの、翌日には念のためクーリングオフの手続きをしておいた。
ちなみに上記では8日以内に手続きを取っていますが、「契約書にクーリングオフについて記載がない」場合はクーリングオフ期限のカウントが始まりません。
よって契約から8日経過しても、クーリングオフ適用できる可能性が高いです。
事例③大幅値引きしますと即日の契約を迫られた
突然自宅に訪問してきた外壁塗装業者に、「今だけキャンペーン価格で200万円を100万円にします」「今日だけ特別に、モニター価格で特別に150万を50万にします」と当日中の契約を迫られた。翌日に塗装業者名を検索したところ詐欺の可能性が高いと気がついたので、期限内に内容証明郵便でクーリングオフの手続きを取った。
しかし業者から連絡ないので1か月後に電話確認をしたところ、「そんなものは届いてない」と言われてしまった。
クーリングオフは発信主義となります。期限は相手が受け取った日ではなく、消費者側が書面を発信した日が期限内であれば問題ありません。
事例④工事が始まっているので契約解除はできないと言われた
突然自宅に訪問してきた業者と外壁塗装の契約をして、翌々日にはもう外壁塗装が始まっていた。明らかに手抜き工事をされていると気づいてクーリングオフを申し出たところ、「もう着工しているのでクーリングオフはできません」と業者に断られた。
加えてこの場合は業者から「クーリングオフできません」と不実の告知で消費者のクーリングオフを妨害しているため、8日をすぎてもクーリングオフ適用できる可能性が高いです。
もっというと、工事が終了していても期限内ならクーリングオフができます。
Q6 7日前に訪問販売でリフォーム工事の契約をして、昨日すでに工事が完了しているがクーリング・オフできますか。
A 訪問販売のクーリング・オフ期間内であれば、工事が開始または完了していても、クーリング・オフはできます。すでに完成した工事を無償で元に戻すように求めることができます。しかし、元に戻すことで建物にダメージを与える場合など、原状回復を望まない場合は、あえて元に戻す必要はありません。
以上、悪徳業者の手口についてもっと詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。
外壁塗装のクーリングオフ手続き方法
クーリングオフは8日以内になりますので、至急クーリングオフの手続きを行ってください。
まず手続きの前に、書面の記載方法を誤るとクーリングオフ不可であることをお気を付けください。
せっかく期限内に書面発信しても、書き損じやミスがあれば無効になってしまいます。
書面に不安がある場合は「できるかわからない場合は第三者機関に早めの相談を」を参照し、第三者機関にご相談ください。
クーリングオフ手続きの流れ
以下の流れで手続きを進めていきましょう。
◆クーリングオフの手続きの流れ◆
STEP1:必要書類を揃える書面作成のために契約書の控え、契約した業者の資料、請求書や見積書を用意します。
↓
STEP2:クーリングオフ書面を作成して送信・郵送
記載の仕方はメール書面はこちら、郵便書面はこちらでご確認ください。業者のメールアドレスがわかる場合は、早く手続きできるメールがおすすめです。
↓
STEP3:業者に連絡を入れる
業者に連絡し、返金や現状回復を依頼します。
メールの場合
今までは書面のみでしたが、2022年6月の特定商取引法改正によりメールでの申請も可能になりました。
正確には「電磁的記録」といって、メールに加えてウェブサイト上のクーリング・オフ受付フォームなども対象になります。(参考:改正特定商取引法 – 国民生活センター)
メールのクーリングオフにおける注意点
メールでクーリングオフする際は「クレジットカードで契約の場合は、塗装会社とクレジット会社に計2通メール送信」「メール送信後は送った記録としてメールを保存」することが必要です。
メール文面のテンプレート
画像引用:周南市 – 記載例(メールで通知する場合)(PDFで開きます)
以下のテンプレートの宛先の変更と、文面の「○○」の箇所を埋めて送信してください。契約年月日は契約書の日付、下の方に記載する日付はクーリングオフのメール送信日を記載します。
◆メールテンプレート◆
宛先:xxxxxxx@xxxxxx.co.jp
件名:クーリング・オフ
○○株式会社 御中
次の契約を解除します。
契約年月日 ○○○○年○月○日
商品名 外壁塗装リフォーム
契約金額 ○○○○○円
販売会社 ○○株式会社 ○○営業所
担当 ○○○○氏
クレジット会社 ○○株式会社
尚、支払った代金○○○○円を速やかに返金し、商品を引き取ってください。
○○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町〇丁目○○番地
氏名 ○○○○
- 契約書を書面で受け取った日付
- 契約会社名
- 業者の契約担当者名
- 契約した作業内容
- 金額
- 契約の解除をしたい旨の意思表示
- 申出日
- 自分の住所
- 自分の氏名
書面の場合
外壁塗装業者のメールアドレスがわからなかったり、書類として記録を残したい場合は、クーリングオフを書面で行いましょう。
できるだけ簡易書留や内容証明郵便など、記録が残る手段を使うようにしてください。ハガキでもクーリングオフ自体は可能ですが、発信した記録を残すことができません。
文面のクーリングオフにおける注意点
文面でクーリングオフ手続きをする場合、以下の点にお気を付けください。
- ▼全書面共通
- 発送前にコピーを取り、書面を保存しておく
- ▼ハガキの場合
- 現金の場合は1通の作成(業者)
- クレジットカードの場合は計2通の作成(業者・クレジット会社)
- ▼内容証明郵便の場合
- ハガキの場合よりも、2通多く作成が必要(郵便局預かり分・本人保管分)
- 現金の場合は計3通の作成(業者・郵便局・本人)
- クレジットカードの場合は計4通の作成(業者・クレジットカード会社・郵便局・本人)
文面の書き方
以下の内容証明郵便やハガキでのテンプレートの○○を変更して、記載するようにしてください。契約年月日は契約書の日付、下の方に記載する日付は郵送する日を記載します。
記載内容は変わらないので、下記のイメージに当てはまるように記載ください。
▼内容証明郵便のイメージ
▼はがき書面イメージ
画像引用:あなたの契約、大丈夫? – 消費者庁(PDFで開きます)
◆書面テンプレート◆
○○株式会社 御中
次の契約を解除します。
契約年月日 ○○○○年○月○日
商品名 外壁塗装リフォーム
契約金額 ○○○○○円
販売会社 ○○株式会社 ○○営業所
担当 ○○○○氏
クレジット会社 ○○株式会社
尚、支払った代金○○○○円を速やかに返金し、商品を引き取ってください。
○○年○月○日
住所 ○○県○○市○○町〇丁目○○番地
氏名 ○○○○
- 契約書を書面で受け取った日付
- 契約会社名
- 業者の契約担当者名
- 契約した作業内容
- 金額
- 契約の解除をしたい旨の意思表示
- 申出日
- 自分の住所
- 自分の氏名
内容証明郵便の注意事項
内容証明郵便は普通のハガキを郵送する際とは異なる点が多いです。主に書き方にルールがあったり、出せる郵便局に限りがあります。
- 文字数や使用文字に制限がある
- 内容証明郵便を送れる郵便局は限られている
- 訂正があるかもしれないので、郵便局に行く際は印鑑を持参する
▼文字数の制限
区別 | 字数・行数の制限 |
---|---|
縦書きの場合 | ・1行20字以内、1枚26行以内 |
横書きの場合 | ・1行20字以内、1枚26行以内 ・1行13字以内、1枚40行以内 ・1行26字以内、1枚20行以内 |
引用元:日本郵便 – 内容証明 ご利用の条件等(2022年10月28日閲覧)
また「内容証明郵便用紙 テンプレート」と検索すると、そのまま印刷して使えるフォーマットが出てきます。
出先の場合は、文房具店で売っている「内容証明郵便用紙」も活用できます。
▼使用文字
次の文字または記号によって記載されていること。
(1) 仮名
引用元:日本郵便 – 内容証明 ご利用の条件等(2022年10月28日閲覧)
(2) 漢字
(3) 数字
(4) 英字(固有名詞に限ります。)
(5) 括弧
(6) 句読点
(7) その他一般に記号として使用されるもの
▼訂正方法
該当箇所二重線を引きます。欄外に削除の場合は「○○字削除 訂正印」、「○○字 加入」と記載します。
画像引用元:行政書士の知っトク案内 – 【5分でわかる】内容証明郵便の書き方、訂正方法、封筒【見本あり】
▼2枚目以降にわたる場合
謄本の枚数が2枚以上にわたるときは、そのつづり目に契印をしていただきます。
引用元:日本郵便 – 内容証明 ご利用の条件等(2022年10月28日閲覧)
謄本のつづり目に押印する印章は、封筒に記載された差出人の印章に限られます。ただし、差出人が1名のみの場合(複数でない場合)は、差出人の印章に代えて、「契印」等つづり目を明確に示すことができる印章を用いても構いません。
内容証明郵便を発送できる郵便局は限りがあります。
こちらの日本郵便のサービス条件を指定して郵便局を検索できるページから、事前に対応できる郵便局を探しておきましょう。
下記のように「郵便サービスを選ぶ>内容証明」の箇所を選択します。
出典:日本郵便 – サービス条件を指定
- また料金については1通のみ送る場合、およそ1,300円ほどです。
- 郵便料金(定型郵便で25gまでの場合:84円)+内容証明料(440円 ※2通目以降:1枚あたり260円)+書留料(435円)+配達証明料(320円)の合計です。
- ※執筆時点の料金のため、詳細は郵便局にご確認いただければと思います。
記事のおさらい
外壁塗装でクーリングできる場合
契約してから8日以内である、業者が突然訪問してきた、訪問販売や電話勧誘などで契約をした、などがあります。詳しく知りたい方は外壁塗装でクーリングできる場合をご覧ください。
外壁塗装でクーリングできない場合
契約してから8日を過ぎた、自らの意思で業者を呼び寄せた、訪問販売や電話勧誘など以外で契約をした、などがあります。詳しくは外壁塗装でクーリングオフできない場合をご覧ください。
外壁塗装のクーリングオフ手続き方法は?
2022年6月の特定商取引法改正により、書面だけでなく、メールでも申請できるようになりました。詳しくは外壁塗装のクーリングオフ手続き方法をご覧ください。
外壁塗装のクーリングオフは正しい手続きで進めましょう
クーリングオフは悪質営業から消費者を守る制度で、外壁塗装にも使うことができます。訪問販売や電話勧誘の契約で、8日以内であればクーリングオフ適用可能です。
適用できる場合は基本的に8日以内のため、記載項目など正しい方法で書面によるクーリングオフ手続きを早急に進めていきましょう。
またヌリカエ(登録業者3,000社以上)は信頼できる業者、ハウスメーカーをお客さまの希望にあわせて紹介しています。
突然、外壁塗装をすすめる訪問販売が勧誘してきたときに、その場で契約することはおすすめしません。もし外壁や屋根、建物に気になる箇所がある場合、ヌリカエで信頼できる業者を探してみてはいかがでしょうか。
あなたのお家
外壁塗装するといくら?