本記事では、外壁塗装の色見本にあるカラーと、その色で外壁塗装をしたあとの実際の仕上がりを、定番色をメインに写真で多数掲載しました。
- 外壁塗装に使う色をこれから決める
- どの色を選べばいいか分からない
- 見本の色と実際の色の違いが分からず、踏み切れない
上記のような方にお役立ていただければ幸いです。
色見本の種類と入手方法
塗装の色見本として活用できる資料には4種類あり、それぞれ一長一短があります。
イメージ通りの色で外壁塗装をするには、とくに塗り板を使用した事前チェックが重要です。
種類 | 収録色数 | 特徴 |
---|---|---|
塗料のカタログ |
約40色 |
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塗り板 |
1色(1枚あたり) |
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カラーシミュレーションサイト |
約150色 |
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日塗工の色見本帳 |
360~600色 |
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それぞれの入手方法や注意点もあわせてご紹介します。
塗料メーカーのカタログ
日本ペイントやエスケー化研、関西ペイントといった塗料メーカーは、塗料の製品ごとにカタログを作っています。
カタログ内には色のサンプルも掲載されており、塗装希望者はそれを見ながら希望の色をさがすことができるのです。
入手方法は、塗装を依頼予定の業者に提供してもらうのが一般的です。
もしくは、インターネットで塗料名を検索し、メーカーがネット公開しているカタログを読む方法もあります。
注意点としては、冊子と実際の外壁では色の印象が変わりやすい点と、紙製であるため時間とともに変色していくことです。
A4サイズの塗り板
外壁材と同じ素材に塗料を実際に塗った、A4サイズ程度のサンプルを塗り板(ぬりいた)と言います。
塗装する外壁に立てかけて使うことで、外の明るさや見る角度などによる色味の違いを、ほぼ正確につかむことができます。
入手方法は、塗装を依頼予定の業者を通して塗料メーカーから入手してもらうか、業者自身に塗り板を作成してもらうかのどちらかになります
注意点としては、入手が有料(1,000~2,000円程度)の場合があることと、カタログのように多くの色を一度に用意できないことです。
提供できる塗り板は1戸につきせいぜい1~3色なので、カラーの希望が絞れてきてから取り寄せるべきでしょう。
カラーシミュレーション
カラーシミュレーションとは、パソコンやタブレットなどを使い、塗装後のイメージを事前に試すためのものです。
主に塗料メーカーや工務店のホームページで使用することができます。配色のイメージを固めることができます。
当編集部おすすめのカラーシミュレーションサイトを2例紹介します。
- エスケー化研「住宅塗り替えシミュレーション」
- ケイミュー「ケイミュー外観シミュレーション」
注意点として、パソコンや印刷環境で色の見え方が変わったり、実際のツヤ・質感を確認できないことがあります。
「おすすめのカラーシミュレーション」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「調査してわかった!外壁カラーシミュレーションのおすすめ4選+α」
「日塗工」の色見本
「一般社団法人 日本塗料工業会」が作成しているもので、「色見本帳」と呼ばれています。
塗料用として世にあるほぼ全てのカラーを確認できます。
色見本帳は、個人でもAmazonから購入することができます(1部3,800円)。
注意点として、使いたい色が使用予定の塗料に用意されているとは限らないことあります。
また、プロの使用を前提としたものなので、住宅所有者の色選び用としては色数が多すぎ、せっかく買っても役に立つことは少ないと思われます。
色見本と塗装例の比較14選
人気色のグレーとベージュについて「色見本」と「その色で塗装した外壁」をいろいろ見比べていきましょう。
なお色見本および色番号は、日本塗装工業会の標準色に準拠します。
グレー
グレーは濃さのバリエーションが多く、色見本と実物のギャップがもっとも気になる色ではないでしょうか。
ここではグレーの濃さによる違いを6種類ご紹介します。
N-20 | N-35 |
N-50 | N-65 |
N-72 | N-80 |
「N-20」のグレー
色見本 |
グレーではなく、ほとんどブラックのような印象です。
「N-35」のグレー
色見本 |
このあたりでも、グレーではなく「黒い外壁」と感じる人が多いでしょう。
「N-50」のグレー
色見本 |
このぐらいの濃さから、だんだんグレーだと感じられるようになってきました。
「N-65」のグレー
色見本 |
この「N-65」あたりが、濃くも薄くもない中間的なグレーと言えそうです。
「N-72」のグレー
色見本 |
色見本ではかなり白に近くなってきましたが、外壁に塗るとしっかりとグレーと感じられる濃さです。
「N-80」のグレー
色見本 |
色見本上では薄くても、外壁では「薄めの、白っぽいグレー」といえる濃さです。
比較結果
- グレーは外壁に塗ると色見本よりも黒さ・白さが強調される傾向
- グレーでは色番号「N-65」が濃さの中間といえる
▼「グレーの塗装事例」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
ベージュ
ベージュは有彩色のなかでは外壁塗装でもっとも人気の色で、少しの違いで印象が変わりやすいカラーでもあります。
ベージュの色味や濃さによる違いを8種類ご紹介します。
17-70H | 17-60H |
17-70D | 17-70L |
17-80D | 17-80F |
17-80H | 17-90D |
「17-70H」のベージュ
色見本 |
見本上では色味がやや薄く感じられますが、外壁に塗るとしっかりと鮮やかなブラウンベージュになります。
「17-60H」のベージュ
色見本 |
こちらの色も、ベージュというよりもチョコレートのようなブラウンに近い色です。
「17-70D」のベージュ
色見本 |
もともと淡めで黄色みの少ないベージュですが、外壁では色見本上よりもすこし薄く感じると思います。
「17-70L」のベージュ
色見本 |
見本上で他の色と比べるとベージュ系に見えますが、外壁上の印象はむしろオレンジに近いように見えます。
「17-80D」のベージュ
色見本 |
2つ前の「17-70D」と同系統で、若干明るい色です。外壁上の印象もかなり白っぽくなります。
「17-80F」のベージュ
色見本 |
ようやく“ベージュ”ど真ん中の印象に近い色が。色見本ではすこしくすんで見えますが、外壁では明るく仕上がります。
「17-80H」のベージュ
色見本 |
1つ前の「17-80F」と同系統ですが、少し黄色みがあり元気な印象のベージュです。
「17-90D」のベージュ
色見本 |
今回比べたベージュ系の見本のなかではもっとも薄い色です。塗装後は、色見本よりもさらに薄く感じられます。
比較結果
- 外壁に塗ると、色見本上で薄いベージュはより薄く、濃いベージュはより濃くなる
- いわゆる“ベージュ”に近いのは「17-80H」「17-80F」「17-80D」あたり
▼「ベージュの塗装事例」についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
色見本が、実際の仕上がりと異なる理由
まずは、下の2枚の画像をご覧ください。
左が、日塗工の色見本で「69-50D」という番号の色。
右が、「69-50D」を一戸建てに塗った場合の仕上がりです。
どうでしょう? 色見本で見るよりも、実際の仕上がりの色は明るいと感じませんか?
このように色見本と実際の仕上がりの印象は必ずしも一致しません。
なぜこんなことが起こるのでしょうか?
「面積効果」で色味と明るさは強調される
外壁に塗った色は、「面積効果」により、同じ色を小さな色見本で確認した状態よりも派手に見えたり、明るく感じたりしやすいという性質があります。
面積効果とは、辞書では次のように解説されています。
出典: コトバンク「面積効果(めんせきこうか)とは」
つまり、塗料を外壁に塗ると色見本上で感じるよりも色味は鮮やかに、色は明るく(淡く)になるということです。
そのため、外壁塗装後に「思ったよりも派手だな」「こんなに暗い色だったっけ?」と後悔してしまう人がでてくるのです。
室内と屋外でも、色の見え方が変わる
もうひとつは、室内と屋外の光の違いです。室内の蛍光灯は、白いように見えて実は青みがかかっています。そのため室内では、太陽の下で見える印象を再現することはできないのです。
また、太陽の下でもひなたと日陰、快晴か曇りかでも印象がかわります。色の候補をえらんだら、なるべく晴れた日に、屋外でどう見えるかを確認しましょう。
色見本をつかった、具体的な色選びのポイント
まずは「どんな印象にしたいか」を決める
どんな印象の家にしたいのか、を決めるのが大切です。逆に「ブロークンホワイトにしよう」「日塗工の69-50Dにしよう」などと、最初からと色名や番号を明確に決める必要はありません。
何も決めずに色見本から選ぼうとしても、かえって迷ってしまいます。頭のなかで思い描いたイメージ、色の系統・方向性が、色選びではポイントです。
こちらの記事を参考に、建物のイメージを決めるところから始めましょう。
イメージに近い、近所の建物を探す
家の印象を決めたら、次は外に出て、近所の建物をぶらぶら眺めてみることをおすすめします。その中に、イメージに近い建物があれば、色見本と照らし合わせて決めていきます。色選びに詳しい業者であれば「あの家みたいな色にしたい」と聞いてみましょう。
また、いまの自宅の外壁に使われた塗料の色名や色番号と同じ色を、色見本で探してみるのも効果的です。色見本と外壁に塗られた状態でどのぐらいズレがあるのかを実感でき、みなさん驚かれます。
A4の塗り板を入手する
A4の色見本を、通常の色見本と区別して「塗り板」とよびます。つかう塗料、色の候補が決まった後に、業者からメーカーに塗り板を依頼して取り寄せます。
作成には7日~10日かかりますが、カタログよりも面積が大きく、本物の塗料をつかっているので、実際の印象に近くなります。光のあたりかた、ツヤ感、窓やサッシとの相性を確認するには欠かせない色見本です。
色見本やカラーシミュレーションは参考程度に
これまで紹介したとおり、色見本やシミュレーションと、実際の仕上がりとでは、家の印象が変わってきます。
もちろん、色見本やからミュレーションは自体を否定するものではありませんし、便利な点があります。大切なのは、面積効果などの落とし穴を事前に学んだ上で、参考として利用するということです。
色の提案に強い業者を選ぶ
ここまで説明しましたが、初めての外壁塗装の色選びを1人で成功させるのは、非常に難しいということを理解いただけたと思います。
どうしても見本と実際に違いが出てしまうもの。それをなるべく小さくするためには、プロの技術・提案が欠かせません。色選びに強い業者であれば、あなたの家の写真を使ったカラーシミュレーションを作成できます。それ以外にも、色の見え方への深い経験、トラブルが起きたときの対応など、さまざまな心得があります。
色選びにこだわるなら、色選びに強い業者を選びましょう。
「思っていたのと違う」トラブルの対応方針
ここまで万全に注意したのに、塗装後の家が全然イメージと違うものになった場合はどうすればいいのでしょうか?
現場の責任者としっかり話す
まずは、現場責任者としっかり話すことが必要です。イメージと違う、とはっきり伝えましょう。迷っている間に、工事はどんどん進んでしまうからです。
使われた塗料が正しいものかを確認する
著しくイメージと違う場合、お願いした塗料が使われているか、確認しましょう。もし違っていた場合は、塗り直しを要求することができます。
また、同じ塗料でも、塗料が乾く前と後で印象が変わることがあります。現場責任者から納得いく説明をもらえるようにしましょう。
塗料を変更し、費用をどうするかを話し合う
塗料も間違っていないが、どうしても納得できない場合は、塗料の変更を申し出ましょう。作業が中塗り段階であれば、上塗り塗料を変更するだけで済むかもしれません。もし全て塗ってしまったあとに、再塗装ということであれば、追加料金が発生する可能性があります。
塗装業者と話し合い、両者の合意点をさぐることが大切です。
まとめ
最後に、これまでご紹介したことをおさらいします。
- 色見本やカラーシミュレーションと、実際の仕上がりは異なります。
- どんな印象にしたいのかを決め、イメージに近い建物を探して業者に伝えましょう。
- A4サイズの色見本(塗り板)をつかって、晴れた日に屋外で確認しましょう。
- 色選びに強い会社をみつけることが大切です。
- 何かあったら現場責任者と話し、塗料の確認、今後の対応方針を決めましょう。
色選びとは、簡単なようで実は難しい作業です。初めて塗装するときは、1人で対応するのではなく、しっかりとしたパートナーを選ぶことが大切です。
ヌリカエでは、外壁塗装の色選びについて、フラットな立場からのアドバイス、色選びに強い業者をご紹介することができます。