本記事では、一戸建てのリフォームや新築に向けてデザインを検討中の方に向けて、
- モダンな一戸建てのデザイン事例
- モダンデザインに使われる色・素材のパターン
- モダンなデザインの外壁に仕上げるコツ
等について、数多くの写真とともに分かりやすく解説しています。
お家の外壁のデザインを決めるにあたって、候補やイメージを固めるお役に立てば幸いです。
▼外壁のおしゃれな配色・色選び全般について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
- 色は「黒」「白」「グレー」や「黒に近い濃色」を使う
- 使用色は1~3色に絞り、明度差を工夫するとモダンに仕上がる
- 外壁材は「金属系サイディング」がモダンなイメージになりやすい
モダンなデザインとは?取り入れるコツも解説
「モダン」とは?
「モダン」という語を辞書で引くと「現代的」「今風でしゃれていること」といった意味が出てきます。
つまりモダンな建物とは、その時々の最新の感覚や素材をとり入れたデザインのことです。
現在でいえば、シンプル・フラット・モノトーンなデザインがモダンであるといえそうです。
また、建築様式でモダンといえば、1920年代に成立した「モダニズム建築」も由来になっており、意匠を省いて機能的・合理的なものをめざす造形理念のことも指します。
外壁を“モダン”に仕上げるコツ
「シンプル」「フラット」といった概念を、一戸建てのデザイン向けに具体的にすると、例えば以下のポイントが挙げられます。
- 幾何学的な箱型の形状にする
- 外壁の凹凸は極力なくし、平らな面にする
- 色は白・黒・グレーのモノトーンが基本
- 色数は1色でも成立する
これらのポイントを踏まえて、モダンでおしゃれな一戸建てで使われている色や素材とデザインの工夫やバリエーションをより深く見ていきましょう。
モダンな外壁の一戸建て事例10選
見ればきっと真似したくなる、おしゃれなモダンデザイン外壁を10例紹介します。
幾何学的なモスグリーン×ウッドの外壁
正面から見るとほぼ完全な正方形で、窓も正方形のものが1箇所のみ。
色や素材だけみるとかなりナチュラル寄りですが、形状がモダンに振り切れているため、絶妙なバランスとなっています。
オールホワイトの平屋住宅
外壁だけでなく屋根もツヤの少ないホワイトの珍しいカラーリングの住宅。
フラットな質感に加え、規則的に並んだ正方形を多用するなど、モダンデザインの要素を意識的にとり入れています。
上下ツートンの外壁
1階部分を白、2階部分を黒と上下に塗り分けた個性的なデザイン。
玄関ドアには原色に近い赤をポイントカラーに使用し、モダンさだけなくポップさ・かわいらしさも感じられます。
左右ツートンのセミ平屋
こちらは、左右を同比率のホワイトとブルーで塗り分けたツートン外壁。
2色のハーモニーをジャマしないよう、屋根もホワイトで塗装しているのがポイントです。
取り合わせが非常にさわやかで、個性も際立っています。
全面鏡面ブルーの外壁材をつかった家
正方形に近い形状、装飾のほとんどないフラットな外壁、メタリックな質感などモダンデザインの鉄則が強く意識されています。
明るいブルーという本来モダンな雰囲気を感じにくい色を使っていますが、それを感じさせません。
シンプルモダン
シンプルモダンは、家の輪郭、窓などの開口部、色や素材の境界などに直線を多用したデザインです。
すっきり・シャープな印象に加えて、構造が単純なため施工費が安く抑えられることもあり、近年人気があります。
シックモダン
シックモダンは、シャープなだけでなく、黒を多く使用することによる重厚感も加わったデザインです。
通常よりも大きめの家に特に似合い、堅牢で強そうなイメージも与えられることから防犯上の理由で選ぶ人もいます。
キュービックモダン
シンプルモダンよりさらに要素を削ぎ落とし、ほとんど箱のように見えるデザインがキュービック(立方体的)モダンです。
住宅というよりもオブジェのようで、華美さに寄らない独特の存在感を見る人に与えるでしょう。
和モダン
モノトーンな色使いや形状でモダンさを、素材選びで和のテイストをそれぞれ加味したデザインが和モダンです。
とくに、黒系の外壁と木材の組み合わせや、フラットな片流れ屋根と伝統を感じる瓦屋根材のあわせ使いが人気です。
ミニマル
住宅としてほぼ最小限の要素で構成されるのがミニマルデザインです。
「シンプルモダン」や「キュービックモダン」よりもさらに装飾性を削ぎ落とした、モダンスタイルとしてはもっとも先鋭的な形と言えるでしょう。
外壁をモダンなデザインにするためのルール
施工事例の収集を通して見えてきた、モダンなデザインの共通点や、モダンデザインをとり入れた家としておしゃれに魅せるための鉄則をご紹介します。
色数は2色以内
モダンデザインの家にしたい場合、外壁で使う色は2色までにするのがオススメです。
どんなに多くても3色は超えないようにし、3色目は使用面積の少ないポイントカラーとして使いましょう。
色数を多くするほど、モダンな雰囲気からは離れていってしまいます。
使用色数ごとに、モダンデザインの成功例を見ていきましょう。
例① 1色だけの外壁
外壁を色味が若干異なるホワイトで統一した、ミニマルデザインの一戸建てです。
モダンデザインならば、外壁は1色だけでも十分おしゃれに成立します。
ブラックの石積み柄サイディングのみで外壁を構成した、シックモダンの家。
正面はほぼ水平と垂直の直線のみで構成されている点も、モダンデザインの鉄則に則っています。
例② 2色使用した外壁
ブルーグレーと灰色の金属系サイディングを、棟ごとに分けて使用した、シックモダンの住宅。
どちらも縦スパン柄の外壁にすることで、色や形状が違う構造でも統一感があります。
ホワイトの外壁材とダークブラウンの木質素材を張り分けた、和モダンの住宅。
奥の庭との間にある塀が、茶室のような和の雰囲気を醸し出しています。
例③ 3色使用した外壁
ドアに鮮やかなレッドをポイントカラーをして利用し、ホワイト・ダークブルーを組み合わせたキュービックモダンの家。
ポイントカラーとメインカラーの間に白を挟むとデザインが成功しやすいため人気です。
外壁に黒・ライトグレー・白の3色を使用したシンプルモダンの住宅。
3色以上を使っても、モノトーンで統一したことでモダンな印象は崩れていません。
メインカラーは白・黒・グレーのどれかにする
外壁のもっとも大きな面積を占める色には白・黒・グレーなどの無彩色を選びましょう。
モダンな雰囲気には「無機質さ・幾何学的印象」が必要と前述しましたが、この要素を強めるには無彩色が最適なのです。
どうしても無彩色以外にしたいなら、黒に近い濃色ならばマッチしやすいでしょう。
明度差は「なくす」か「強調する」
明度差の小さい色を組み合わせるとフラットさが、明度差の大きい色同士なら幾何学っぽさがそれぞれ強調され、いずれもモダンデザインの要素を満たしやすくなります。
明度差は大きくすることばかりがよくコツとして言われていますが、小さくすることでもモダンさは増すことができます。
明度差がない例 | 明度差が多い例 |
反対に、メリハリが中途半端な色を組み合わせると失敗しやすいでしょう。
3色以上の色を近い比率で使うとモダンな印象になりづらい理由が、ここにあります。
形状を反復させる
窓の大きさをすべて揃えたり、ドアと外壁の塗り分けで相似を作る等の工夫をすると、家がグッとおしゃれになります。
これは、類似した図形の反復により幾何学的要素が増すため、モダンなデザインの条件をより満たすからです。
あなたが写真を見て「カッコいいな」と思ったデザインには、どこかに形状の反復が隠れているかもしれません。
モダンな印象から遠くなるデザインの例
広い面積に茶色・カーキなどのアースカラーを使ったり、モノトーンであっても全体的に装飾がある外壁などは、オシャレではありますがモダンな印象からは離れる傾向があります。
モダンな外壁によく使われている「色」
モダンな印象の家にしたい場合、メインカラーは「白」「黒」「グレー」などの無彩色か、「黒に近い濃色」にするという鉄則があります。
メインカラー別に、モダンなデザインの事例を見ていきましょう。
白
人目に触れる正面側の外壁から開口部をなくし、白の印象が強く残るデザインの家。
フラットな壁面に加えて、玄関ドアの角と白い部分の角を合わせるなど、モダンデザインの基本である直線的な要素が計算されています。
黒
細長い長方形の窓以外はフラットに徹した、ツヤ消しブラックの外壁の家。
左右対称な配置と、勾配の大きい片流れ屋根が与える幾何学的な印象が、モダンな要素を強めています。
グレー
グラデーションのかかったグレーの外壁と、1階建てのコンパクトなシルエットが印象的な住宅。
きっとクリエイティブな仕事の人が住んでいそう…。そんな印象を与えるモダンな一軒です。
ダークブラウン
ツヤ消しカラーの金属系外壁材を使った、ダークブラウンの外壁の住宅。
家が建っている坂の斜面と平行になるように計算された片流れ屋根も相まって、幾何学的なイメージの醸成に成功しています。
ダークブルー
濃いメタリックブルーの金属系サイディングを使用した一戸建て。
屋根を平らな陸屋根にすることで、フラットな形状をより追求しています。
原色のポイントカラー
はっきりとした白や黒の中にワンポイントだけ原色を加えることでも、一味違ったモダンな印象を与えることが出来ます。
「色別の施工事例集」を見たい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の色の選び方&全10色分の仕上がり写真30選」
モダンな外壁によく使われている「素材」
おしゃれな外観に近づけるには、外壁材の選び方も気をつける必要があります。
モダンデザインのにしたい場合、外壁は「金属系サイディング」「コンクリート」「モルタル」「窯業系サイディング」から選ぶとよいでしょう。
金属系サイディング
金属系サイディングとは、ガルバリウム鋼板などの金属素材でできたパネル式の外壁材です。
色や柄も豊富にありますが、モダンな住宅にしたい場合は模様は縦スパン柄もしくは横スパン柄で、色は黒やグレーのものを使うとよいでしょう。
スパン柄のガルバリウム鋼板
メタリックな質感であること、直線要素が豊富にとり入れられることから、モダンデザインの住宅にしたい場合、金属系サイディングがもっとも有力な素材の選択肢となるでしょう。
「金属系サイディング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「金属系サイディングとは?種類、メリット・デメリットと代表商品を解説」
>>「ガルバリウム鋼板外壁材のデザインパターンと施工事例15選。イメージ通りにリフォームするには?」
コンクリート・モルタル
グレーで統一された色、キューブ状の形状、無機質な印象など、コンクリート・モルタル外壁もモダンデザインの家にうってつけです。
「モルタル外壁」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「モルタル外壁とは?仕上げの種類や特徴、劣化症状や補修費用を解説」
漆喰
日本の伝統的な素材である漆喰も、継ぎ目がなく白さが映えるので、モダンデザイン向きです。
「漆喰外壁」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「漆喰外壁に変えるとどうなる?漆喰の魅力とメンテナンス方法を解説。安く施工する方法も!」
窯業系サイディング
窯業系サイディングのうち、コンクリートのようなデザインや、金属風の見た目の製品を使うことでも、モダンな雰囲気の外壁は手に入ります。
窯業系サイディングを使うことのメリットに、金属系サイディングやコンクリート仕上げなどより費用が安いことがあります。
ただし、窯業系サイディングの質感は表面のプリント(印刷)で再現されていることが多いため、本物の素材感には劣ることがあります。
「窯業系サイディング」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!」
外壁の色や素材を決める前の注意点
モダンなデザインを志向している・していないに関わらず、家の色やデザインを決定する前に確認しておきたいポイントを最後に解説します。
カラーシミュレーションで色を確かめる
塗料メーカーや外壁材メーカーのウェブサイトには、デザインのシミュレーションページが用意されています。
外壁の色や塗装デザインを最終決定する前に、シミュレーターで色や塗り分けのパターンをいろいろ試しておきましょう。
おすすめのカラーシミュレーターは、エスケー化研のウェブサイトにある「住まいの塗り替えシミュレーション」です。
その理由は、操作が分かりやすいこと、戸建ての形状や色の種類が豊富なことと、候補となる色が決まったあとに塗料の色番号が分かることです。
「カラーシミュレーション」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「調査してわかった!外壁カラーシミュレーションのおすすめ4選+α」
色見本はA4サイズのものを使う
塗料を選ぶ際に、施工店からは無料で冊子タイプのカラーサンプルがもらえると思います。
しかし、色の最終決定は冊子タイプのものではなく、A4大の「塗り板」と呼ばれるサンプルを取り寄せて、実際に屋外で見たり、自宅の壁に立て掛けて色の見え方をチェックしましょう。
塗り板は無料ではなく500~1,000円程度の料金がかかるのが通常で、取り寄せにも1週間前後かかるのが通常ですが、仕上がりに後悔しないためにも使うほうがオススメです。
ドアやサッシの色が変えられない場合も想定する
ドアや窓枠の塗装は、外壁塗装の工事には通常含まれていません。
サッシ等は外壁塗装時の養生の下に隠れてしまう部分であり、塗料も外壁と共通ではないため、同時に作業ができないからです。
玄関ドアやサッシの色が変えられることを前提に、プランを立てないほうがよいでしょう。
なお、サッシの塗装にかかる費用は1箇所につき3~6万円が目安で、作業期間も外壁と分ける必要があります。
そのような背景があるためか、ほとんどの方はサッシの色はそのままで住み続けます。
「アルミサッシの塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「塗装を長持ちさせる!アルミサッシの塗装は7つの工程を丁寧に」
塗装技術が高い業者に依頼する
外壁の色やデザインを決めただけではまだ半分。
実際におしゃれに仕上がるかどうかは、業者の腕にもかかっています。
腕が良くて信頼できる塗装業者に心当たりがない場合は、地域で3~4社ほどから相見積もりをとって、実際の業者と接してみるのが地道ながら有効です。
訪問した担当者の説明の分かりやすさ、質問や要望に対する対応力、担当者の人柄、工事費用など、対面でないと分からない要素を比べて、今後10年以上の家のデザインを託せる業者を見極めましょう。
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この記事が参考になったら、ぜひご利用いただけると幸いです。
まとめ
リフォームをイメージ通りに進めるには、そのイメージを支える要素を特定してとり入れることが重要です。
モダンデザインの場合は、モノトーン系の外壁カラーリングや、金属系やコンクリートなどの無機質な素材がその要素でした。
家の形状まではなかなか変えられないものですが、色や外壁材を気にするだけでもかなりモダンな住宅に近づくはずです。
リフォームや新築が望むデザインで成功することを、編集部一同お祈りいたします。