外壁の塗装工事を行う際には、人件費や塗料の他に足場代がかかります。
当記事では、以下の点を中心に足場について解説します。
- 「そもそも足場は必要なのか?」
- 「足場の相場は、どのくらいなのか?」
- 「足場に関するトラブルにはどんなケースがあるのか?」
外壁塗装に際して、足場や費用について知りたい方や、トラブルの防止策を打っておきたい方は是非ともご覧ください。
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監修者:外壁劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
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外壁塗装に足場が必要な理由

そもそも、なぜ外壁塗装をするときに業者は足場を組むのでしょうか。
足場を組む目的は、主に以下の3点です。それぞれ詳しく解説します。
塗装職人が正確で丁寧な作業をするため
足場を組む1つ目の理由は、塗装職人が正確で丁寧な作業をするためです。
足場を組むと職人の体幹が安定し、外壁に対して力が均一にかかりやすくなるので、統一した厚みの塗膜に仕上げられます。もし足場がないと、職人の手が届かない部分に塗り残しが生じたり、塗りムラができたりする可能性があります。
ですから、超高層マンションでもない限り、基本的にはどんな住居でも外壁塗装をする際には足場が必要です。
職人の安全を確保するため
足場を組む2つ目の理由は、職人の安全を確保するためです。
過去には足場を掛けずに塗装をしたり、簡素化した足場で作業する塗装業者もいたので、職人の転落事故が非常に多く発生しました。そのため、隣家との隙間がとても狭いといった特殊な状況を除いて、ほとんどの塗装業者では足場を組んでから作業をします。
高圧洗浄水や塗料が周囲に飛び散らないようにするため
足場を組む3つ目の理由は、高圧洗浄水や塗料が周囲に飛び散らないようにするためです。
もし足場を組まないまま塗装を行うと、自分や隣家の車・窓・庭などに塗料が飛んでトラブルになることがあります。足場を組んで飛沫防止シートをかけることで、水や塗料の飛び跳ねの被害を最小限に抑えることができます。
▼「足場の解体時間」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>足場の解体時間はどのくらい?知っておきたい4つのポイント!
参考:無足場工法のメリット・デメリット

足場を設置せず屋根からロープと座面を吊るし、座面に乗って塗装作業をする「無足場工法」という工法があります。
無足場工法のメリット
- 費用を安く抑えることができる
- 工事期間を短縮できる
- 工事期間中も住み心地を保てる
無足場工法のデメリット
- 施工管理が難しい
- 無足場工法ができる職人は限られている
- 作業効率が落ちて工期が伸びる
足場を組むコストがかからず、工事期間を短縮できるという点が一番大きなメリットです。
しかし、現在では無足場工法ができる技量を持った職人は非常に少ないです。
もし無足場工法を選択する場合は、職人が対応可能か発注前に塗装業者に確認しましょう。
また、無足場工法は作業効率が悪く工期が延びるほか、職人の技術力によって施工品質に差が生じやすいなどのデメリットがある点に留意してください。
▼「外壁塗装に必要な人数」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>足場の解体時間はどのくらい?知っておきたい4つのポイント!
外壁塗装足場の費用相場
足場の費用相場は、一般的な2階建ての住宅の場合で、「20万円」です。
また、足場の種類ごとに費用は変わるものの、おおむね単価相場は700~1000円/㎡です。
内訳として、足場の組み立て・解体・運搬にかかる諸費用の相場は、1㎡あたり600円~800円です。
加えて、高圧洗浄水や塗料が隣の家や前面道路に飛散しないように足場をメッシュシートで覆う必要があり、シート代は1㎡あたり100円~200円かかります。
大まかな足場代は自分で計算できる
大まかにではありますが、自宅の足場代は自分で簡単に算出できます。
最初に、足場を設置する面積である「足場架面積」を計算しましょう。
足場架面積=【家の外周(m)+4m】 × 家の高さ(m)
※8mは、外壁から足場までの距離の目安です。
※家の高さは、1階建て=3.5m、2階建て=6m、3階建て=8.5mが目安となります。
足場架面積が計算できたら、足場の費用が算出できます。
足場費用=足場架面積 × 平米単価
※平米単価は、前述した足場の相場である700~1000円/㎡です。
仮に家の外周が30m、2階建てで家の高さが6m、平米単価を800円とすると、計算式は以下の通りになります。
足場架面積=(家の外周30m+4m)×家の高さ6m=204㎡
足場費用=足場架面積204㎡ ×平米単価800円=182,400円
もちろん個々の住宅により外周や高さの数値は変わりますが、2階建てであれば足場だけでも大体20万円前後はかかることが分かります。
※実際に塗装業者から提出された見積書の金額と異なる場合がありますので、あくまでも参考として計算してください。
▼外壁塗装の見積もり実例について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の見積もり実例を公開。塗料・施工範囲ごとの金額の違いは?」
▼「足場の費用」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁・屋根工事の足場の相場価格はいくら?計算方法と「足場無料」の危険性
▼「外壁塗装の費用内訳」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁塗装費用の4つの内訳とは?平均相場・工事の注意点も解説
「足場代無料」には要注意!
一般住宅の場合、足場の設置・解体には少なくとも2日間は必要になり、少なからず運搬費がかかります。
加えて、足場の組み上げには国家資格保有者が同伴する必要があるため、人件費も必ずかかります。
文字通りの「足場代無料」になることはほとんどなく、施工費単価や材料費単価に本来かかるはずの足場代を上乗せしているケースが大半です。
「足場代は一切頂戴しません!」などの宣伝文句だけで施工を依頼してしまうと、悪徳業者に騙される可能性があるので充分に注意しましょう。もちろん、「足場代無料と謳っていたら絶対に悪徳業者である」というわけではないので、不安であれば直接業者に確認を取ることをおすすめします。
▼「悪徳業者」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>悪徳業者の手口10選!外壁塗装で後悔しないために対処法も紹介
よくある足場トラブル例&防止策は?
騒音
足場の設置をはじめ、塗装業者の社用車の駆動音や職人の話し声など、塗装作業中にはどうしても音が出ます。
大きな音や普段聞き慣れない音がすると、人によっては耐え難い騒音と判断されてトラブルになる可能性があります。
塗装の着工前に、騒音が想定される期間や時間帯を近隣住民にお伝えしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
おおよそ2週間~1週間前に近隣の方々へ挨拶周りをしておくことが有効です。空き巣が侵入しやすい
足場を組んでいたり、飛散防止ネットを掛けていたりすると、傍からでは家の様子が分かりづらくなります。
不用心に2階の窓を開けっ放しにしていると、空き巣がこっそり入ってくる恐れがあります。
足場が組まれているときは、普段以上に戸締りに気を付けましょう。隣家の敷地まで足場がはみ出す場合がある
もしご自宅の敷地内に足場が収まらない場合、お隣の家の敷地をお借りしなければならないかもしれません。
民法第209条第1項では「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる」と規定しています。
工事に必要な範囲であれば、隣家の敷地に立ち入ったり、足場を設置したりすることが法的に認められているのです。
とはいえ、「ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない」とも規定されていますので、隣家へ事情を説明して許可を得なければなりません。
塗装業者にも同行を依頼して専門的な観点からの説明してもらえると、隣家からの承諾が得やすくトラブルを防げるでしょう。自家用車や外壁に傷がつくかも
外壁塗装のため足場を組む際に、やむを得ず足場が他のものを傷つけてしまう恐れが少なからずあります。
自家用車や自転車など傷がつくと困るものがあれば、しばらく近所のレンタルスペースを借りて移動させておきましょう。
また、塗装後に足場を設置・解体する時に、足場が当たってしまい外壁が傷つく可能性があります。
職人がその場ですぐ気づけば対応してくれるかもしれませんが、塗装完了後に施主が傷を発見すると「職人が傷つけた」「いや、施主がつけた」と揉めることもあり得ます。
もし揉めた場合に証拠として提示できるよう、施工前後の外壁を写真に収めておくと良いでしょう。
植木や花は移動しないと枯れるかも
玄関付近や庭でガーデニングをしている場合、植木や花の管理に気を付ける必要があります。
足場を設置する際に植木鉢が損壊したり、足場に阻まれて水やりが上手くできずに花が枯れてしまったりする可能性が考えられるためです。
植木鉢は室内に入れる、足場から遠い場所へ植え替えるなど、自分でできる範囲で対策をしてください。もしどうしても植木や花が移動ができなければ、業者に相談して足場の組み方を工夫してもらいましょう。
最後に:外壁塗装における足場の基礎知識おさらい!
改めて、本記事のポイントを整理します。
- 足場の役割は「職人の安全確保」「塗装の品質向上」「近隣への迷惑防止」
- 足場の相場価格は、1㎡あたり700~1,000円
- 足場設置は近隣住民や業者間とのトラブルに注意!
もし「本記事だけでは自分が知りたいことが分からない」という場合は、専⾨のアドバイザーに相談してみることをおすすめします。
最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。
外壁塗装に足場は必要?
正確で丁寧な作業を行うため、事故防止のため、洗浄水や塗料の周囲への飛散を防ぐ目的があるため、外壁塗装に足場は必要です。詳しく知りたい方は外壁塗装に足場が必要な理由をご覧ください。
外壁塗装の足場代はいくら?
外壁塗装の足場代は、架設面積1㎡あたり「700~1,000円」が相場です。詳しくは足場の相場は700~1000円/㎡をご覧ください。
足場代が無料になるってホント?
足場代を無料にしても利益が出るよう、他の工賃や材料費に上乗せしているケースもあります。詳しくは「足場代無料」には要注意!をご覧下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。