しかし、外壁塗装DIYの中でも、一面塗装と全面塗装では必要な道具や難易度が大きく変わります。そこで、この記事では外壁塗装を初めてDIYで行うときの悩みを解決するために
- 外壁塗装をDIYするメリット・デメリット
- DIYする際に押さえておきたい注意点
- 外壁塗装をDIYする手順と必要な道具
を中心に、わかりやすく解説します。記事を読めば、DIYで外壁塗装を失敗することなく行うことができます。
監修者:外装劣化診断士 小林 成光
600件以上の現地調査を実施する過程で得た専門性を生かし、日本発のネット見積もりシステムでビジネスモデル特許を取得。ヌリカエにて、外装工事の専門家として、顧客・加盟企業のサポート・コラムの監修に従事。
▼略歴・プロフィール |
外壁塗装をDIYで行うメリット・デメリット
外壁塗装をDIYで行う前に、各メリットとデメリットを確認しておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。
外壁塗装をDIYで行うメリット
外壁塗装をDIYで行うメリットは、以下の2つになります。
- 費用が抑えられる
- 好きなデザインに塗装できる
費用が抑えられる
一般的な30坪住宅の外壁塗装を業者に依頼した場合、費用は70~100万円以上かかります。
しかしDIYならば、道具をイチからすべて揃えたとしても、数万円~十数万円で外壁塗装が可能です。
ただし、一軒家の外壁全体を塗装する場合、安全のため足場の設置が必要です。
足場の設置費用が別途15万~20万円かかります
好きなデザインに塗装できる
DIYで塗装する場合、自分好みに塗装できるメリットもあります。
途中で色を変えてみたり、絵や字を描いてみたり、作業中に思いたことをすぐに実行できるのも自分で行う強みです。
「塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「塗装ってどんな意味があるの?外壁の修繕を検討している方へ」
外壁塗装をDIYで行うデメリット
反対に、外壁塗装をDIYで行うデメリットは以下の3つになります。
- 完成まで時間がかかる
- 品質が劣る
- 危険が大きい
完成まで時間がかかる
DIYでは、プロの作業に比べて日数がかかることがほとんどです。
プロの場合、戸建ての外壁塗装にかかる期間は8日~2週間程度ですが、初挑戦の素人が週末等を利用して行う場合、プロと同じ3回塗りなら1~3ヶ月はかかるでしょう。
品質が劣る
DIYでは、プロの作業に比べて仕上がりの美しさ・なめらかさや、塗膜の耐久性にはまず勝てません。
とくに耐久性については大きな心配があります。
塗装は、下地処理、塗料の希釈、塗り方、乾燥の時間など知識が必要な作業が多く、ミスがあると期待通りの耐久性を発揮できません。
DIYの結果すぐに塗装が剥がれてきて、業者への発注し直しとなり、余計にコストがかかって後悔するケースも珍しくありません。
危険が大きい
外壁塗装は広い範囲の移動を伴う作業なので、家庭用の脚立や作業台で外壁塗装を行う場合、転落や事故のリスクが大きいと言わざるを得ません。
安全確保のためにも、足場の設置を専門業者に依頼するのが現実的です。
最大限おトクに外壁塗装を業者依頼する方法
DIYで怪我を負う危険や、塗装がすぐに剥がれてきてやり直しになるリスクを考えると、なるべく外壁塗装は業者に依頼することが無難です。
なるべく安く外壁塗装をプロに依頼したい場合は、自治体の助成金や火災保険金を利用することがオススメです。
助成金が使える条件
お住まいの市区町村によっては、外壁塗装にかかった費用に対して助成金・補助金が下りることがあります。
最低金額や納税状況などの条件をクリアし、事前申請・事後申請を行えばほとんどの制度ではで5~20万円程度が支給されます。
助成金制度のくわしい条件や、制度が存在する都道府県・市区町村については、以下の記事をご覧ください。
火災保険が使える条件
外壁塗装を行うきっかけが、風災や雪害などで受けた損傷等であれば、住宅にかけている火災保険が使用できる場合があります。
火災保険が適用された場合、復旧のためにかかった塗装費用は基本的に全額補償されます。
外壁塗装に火災保険が使える条件等については、以下の記事をご覧ください。
外壁塗装のDIY作業の注意点
外壁塗装のDIYを行う際に失敗しないための注意すべき点をご紹介します。
外壁の汚れはしっかりと落とす
塗装前に、外壁についた汚れをしっかり落としましょう。
コケ、カビ、キズやサビ等の上から塗料を塗ってしまうと、塗膜の本来の耐久性が発揮できなくなります。
乾燥時間を守る
外壁塗装は、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本です。
下塗り前には下地洗浄時の濡れが、中塗り・上塗り前にはそれぞれ下塗り・中塗りの塗料が、しっかり乾いているかを確認してから行いましょう。
この場合も、塗料の耐久性や密着性が悪くなり、本来の性能や耐用年数が発揮できません。
塗料の乾燥時間は気温によって異なります。乾燥に必要な時間は、塗料の説明書やカタログに記載されています。
余った塗料は水道に流さない
水性塗料は水道に流すと詰まります。必ず専用の固化材を混ぜて、ゴミとして捨てるようにしましょう。
油性塗料は放置すると自然発火の恐れがあるため、水につけて処分します。
3連休以上の休みを確保する
繰り返しますが、外壁に十分な耐久性をもたせるためには下塗り、中塗り、上塗りの3工程が必要です。
塗料の乾燥には各1日必要なので、塗装作業だけでも最低3日間は必要になります。
平日に仕事がある方の場合、作業を翌週の休みに持ち越すことをお考えかもしれません。
前述のとおり汚れた状態で塗装すると塗膜が弱くなることを考えると、下塗り・中塗り・上塗りは汚れがつかなうちに、日数をあけずに行うほうがよいのです。
できれば3回塗り中は3日間連続作業をすることが望ましい。
こんな場合は塗装業者へ依頼しよう
以下のような場合は、作業の難易度や安全性の面から、DIYはあきらめて塗装業者へ依頼することを強くおすすめします。
2階以上の高さの部分を塗装する場合
2階部分を塗装したり、2階建て以上の建物の全面を塗装する場合、作業は業者に依頼しましょう。
2階以上の箇所は、高さにして5m以上になります。一方で、家庭用の脚立の高さは3m程度です。
つまり、作業に無理が生まれ、危険が増します。
どうしても塗装作業を自分で行いたい場合は、足場業者を探して架設や撤去のみを依頼することも可能ですが、部材のレンタル期間に応じて費用がかかるため、DIYでは割高になるでしょう。
屋根や雨樋の塗装もしたいければ業者に依頼を
高所である屋根や雨樋の塗装を同時に済ませたい場合も、作業はプロに依頼しましょう。外壁以上に転落の危険性が高く、怪我も大きくなりがちです。
「屋根塗装の費用相場」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「屋根塗装の費用相場はいくら?自宅の屋根塗装の費用を知るための知識を解説」
連続した休みがとれない場合
前述のとおり、重ね塗りはなるべく間をあけずに行ったほうがよい関係上、まとまった休みがとれないのであれば、塗装のDIYはあまりオススメできません。
工程の間にある程度汚れが発生してしまうことで、完成後の塗膜が弱くなってしまう可能性があります。
外壁塗装のDIYに必要な道具
外壁塗装をDIYで行う場合に必要な道具を、「最低限必要なもの」「あると便利なもの」の2つに分けてご紹介します。
DIYに最低限必要な材料・道具
材料・道具名を押すと、おすすめ商品の通販ページに移動できます。
材料・道具名 | 価格 | 用途・備考 |
---|---|---|
塗料(中・上塗り材) | 約5,000円前後(1缶) | 水性のものが扱いやすい。1缶で塗れる面積を要確認のうえ購入 |
下塗り材 | 約5,000円前後(1個) | 別名「シーラー」等。塗料(中・上塗り材)に適合するものを購入のこと。 |
塗装用ローラー・受け皿 | 600円前後 | 下塗りと中・上塗りで2セット必要 |
刷毛 | 100円前後 | ローラーが届きにくい細かい部分の作業に |
養生シート | 600円前後(1巻) | 塗料を付けたくない箇所を覆うために使用。3~8巻程度必要 |
外壁用洗剤 | 1,500円前後(1個) | 塗装前の汚れを落とす作業で使用 |
外壁掃除ブラシ | 2,000円(前後) | 塗装前の汚れを落とす作業で使用。なるべく持ち手の長いものを |
バケツ | 100円(前後) | 外壁の洗浄時に、ブラシや雑巾やすすぐために使用。 |
ウエス・雑巾 | 500円前後 |
塗料(中・上塗り材)と下塗り材の選び方については、別の項目でくわしく解説しています。
あると便利な道具
必須ではありませんが、あると作業が早く・きれいになる道具は以下のようなものです。
材料・道具名を押すと、おすすめ商品の通販ページに移動できます。
材料・道具名 | 価格 | 用途・備考 |
---|---|---|
高圧洗浄機 | 12,000円 | 塗装前の洗浄作業が早くしっかりできる |
充電式スプレーガン | 4,390円 | 仕上がりが安定する。素人でも、ローラーよりも薄く平らな仕上げに |
スクレーパー | 1,673円 | 塗装前の洗浄で使用。ブラシでは落ちない汚れを剥がす・削る作業に |
ワイヤーブラシ | 470円 | 塗装前の洗浄で。ブラシでは落ちないサビ等を削り落とせる |
サンドペーパー | 684円 | ワイヤーブラシをかけた跡を滑らかにするために使用 |
変成シリコンコーキング | 684円 | 洗浄と下塗りの間に使用。外壁のヒビ等を埋める |
ヘルメット | 1,480円 | 作業全般で使用。安全性の向上に |
防じんマスク | 1,655円(10枚) | ゴミや塗料の吸い込み防止に |
ゴーグル | 1,299 | 塗料などから目を守るために |
軍手 | 100円~ | 手の保護のため。作業中、塗料はほぼ間違いなく手につきます |
ウエス・雑巾 | 587円 | 塗装前の清掃や、その他諸々の用途 |
外壁塗装のDIYに必要なふたつの塗料
外壁塗装は下塗り材と中・上塗り塗料の2つが使われます。
下塗り材
下塗り材は、外壁の下地を保護するとともに、上塗り塗料と下地の密着をよくする働きをします。 下塗り塗料には、下地の素材に合わせ3種類あります。
下塗り材の種類 | 概要 |
---|---|
シーラー | 下地が塗料を吸い込みすぎるのを防ぐ |
プライマー | 金属部用。さび止め機能をもつものが多い |
フィラー | モルタル・コンクリート用。弾性があり、塗膜のひび割れをある程度防げる |
また使用する中・上塗り塗料の製品によって、一緒に使う下塗り材に指定がある場合があります。
下塗り材について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
中・上塗り用塗料
下塗り後に行う中塗り、上塗りに使用する塗料です(同じもので構いません)。
仕上げたい色と同じものを選びます。この中・上塗り塗料は、価格・耐久性によって主に4種類に分けられます。
塗料の種類 | 価格(1㎡あたり) | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 1,000~1,500円 | 5~7年 | 塗料の中でもっとも安い。塗り替えにはほぼ使われない |
ウレタン塗料 | 1,500~2,200円 | 8~10年 | 木製外壁材や雨どいによく使われる |
シリコン塗料 | 2,500~3,200円 | 10~15年 | 価格と耐久年数のバランスが取れた塗料。塗装業者がよく使う。 |
フッ素塗料 | 3,500~4,500円 | 15~20年 | 高価だが、耐久年数が長く、長持ちする塗料。 |
この先住む予定の年数や、予算の状況に合わせて選びましょう。
DIY用塗料の代表的メーカー
- アサヒペン
- ニッペホームプロダクツ
- アトムハウスペイント
- サンデーペイント 等
外壁塗装の上塗りについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
外壁塗装のDIY手順
外壁塗装をDIYでやるときは、以下のような手順で行いましょう。DIYで行う際におすすめの製品もご紹介します。
1.洗浄する
塗料の密着性を高めるため、ホースを使って汚れを洗い流します。コケやカビが発生している場合は、高圧洗浄機を利用して洗い流します。洗浄後はよく乾燥させましょう。
2.養生する
塗装を行う際、マスカー、養生シートなどを使って、他の外壁や地面や設備に塗料が当たらないようにしましょう。特に初めての外壁塗装DIYの場合、塗料を塗りたくない場所や地面、庭などに飛び散ってしまうことがあります。
飛び散りを防いで効率的に作業するためにしっかりと養生しましょう。
3.下地を補修する
外壁塗装をDIYで成功させるために、下地の補修は重要なステップです。
ひび割れを起こしている場合は、水が入らないようにするためコーキングによる補修を行いましょう。コーキング材は「変性シリコン」がおすすめです。
4.下塗りする
下塗りは、下地と上塗り塗料の接着剤の役割を果たします。塗料は垂れるほどの量を付けず、素早く塗りましょう。
はけやローラーなどを使用して隅々まで塗り、乾燥時間を取ります。乾燥時間はメーカーによって異なるので、必ず記載を確認しておきましょう。乾燥時間を怠ると塗料の性能が発揮できなくなる可能性があります。
5.中塗り・上塗りする
上塗り塗料で塗り、はけ、ローラーなどを使用して塗膜を厚くして耐久性を上げます。さらにもう一度上塗り塗料を使用し、仕上げ塗装の耐久性を上げて、美しく見せます。
まとめ
ここまで外壁塗装をDIYで行うために、必要な塗料、道具、手順、注意点など解説しました。外壁塗装は必要な塗料、道具、手順さえ守ればDIYでも塗装を行なえます。
しかし、2階建て以上の建物や、屋根の塗装は危険なため、DIYを行わずに塗装業者に依頼することがおすすめです。注意点を守り、安全に外壁塗装のDIYを行いましょう。
最後に、本記事の要点を振り返ってみましょう。
外壁塗装のDIYに必要な道具は何?
塗装に使う「ローラー」「塗料皿」「マスキングテープ」、安全のために「脚立」「ヘルメット」、ヒビの穴埋めのための「コーキング材」など多岐に渡ります。詳しく知りたい方は外壁塗装に必要な道具をご覧ください。
外壁塗装のDIYの手順は?
大まかにいうと「古い塗膜をはがす」「洗浄・養生」「下地を補修する」「下塗り・中塗り・上塗り」という手順です。詳しくは外壁塗装をDIYする手順をご覧ください。
外壁塗装をDIYするのと、業者に依頼するのにはどんな違いがある?
DIYのほうが費用が安く済む、日時を自由に決められるというメリットがありますが、反面怪我のリスクや、塗装が失敗する可能性などのデメリットがあります。詳しくは外壁塗装をDIYで行うメリット・デメリットをご覧下さい。
外壁塗装をDIYで行わないほうがいい場合はどんな時?
2階建て以上の高さを塗装する時、屋根も塗装したい時などです。詳しくはこんな場合は塗装業者へ依頼しようをご覧ください。
そもそも「塗装」ってどんな意味なのだろう…こんな疑問を持つ方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。