漆喰の外壁ってどんなもの?
漆喰の外壁はデザイン性が高く、高級感がある仕上がりが特徴的です。耐久性の高さと防火性によって、日本では古くからお城にも建材として使われた歴史があります。
重要文化財に指定されている「姫路城」にも使用されていることで有名です。明治維新後には一般住宅にも広く使用されるようになり、優れた機能性と美しいデザイン性から選ばれている外壁材です。
漆喰の主成分とは?
漆喰は主に石灰からできており、外壁の素材として使うと二酸化炭素を吸収して石灰岩となり、非常に頑丈な壁になります。
ただ頑丈なだけでなく、しっかりとメンテナンスをすれば非常に長保ちすることから、日本では昔から壁材として広く使用されています。海外にも漆喰塗りはありますが、成分が若干異なるため注意が必要です。
漆喰と窯業系サイディングの違いとは?
現在、新築住宅の7割近くが窯業系サイディングの外壁と言われています。普及率が高いサイディングと、漆喰の違いとは一体何なのか、相違点をご紹介します。
外壁の種類 | 価格 | 仕上がり感 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
漆喰 | 高い | 意匠性が高い、高級感がある、重量感がある | 30年~100年 |
窯業系サイディング | 安い | 工場生産なので品質が安定している | 20年~30年 |
外壁に漆喰を使うメリットとは?
漆喰は古くから使用されてた歴史ある優れた外壁材です。漆喰を外壁に使うことには、多くのメリットが存在しています。外壁を漆喰にリフォームすることを検討しているのであれば、漆喰にはどのようなメリットがあるのか把握しておくようにしましょう
1:風合いがよく多彩なデザイン
漆喰は左官職人が手作業で作られます。手作業によってできる多彩なデザインや、漆喰特有の風合いなどが人気です。また、漆喰には静電気を溜めにくいという特徴があるため、表面に汚れが付きにくく、漆喰の風合いやデザインは長く良い状態で保たれます。
2:調湿性があってカビが生えづらい
漆喰は殺菌効果や脱臭効果が期待できる強アルカリ性の性質を持っています。調湿性と殺菌効果があることから、カビの生えづらい素材となっています。
3:断熱性が高い
漆喰の外壁には無数の小さな穴があり、その穴で空気を取り込みます。空気を取り込む穴があることで、家の内部に熱を伝えにくくする効果が期待できます。漆喰の外壁は断熱性が高く、家の中を過ごしやすい環境に整えてくれるでしょう。
4:耐用年数の高さ
漆喰は耐用年数が高いことで知られており、適切なメンテナンスを行うことによって、100年を超える程となります。サイディング外壁材の平均的耐用年数が20~30年となるため、比較すると漆喰の耐用年数の高さが目立ちます。
関連記事:漆喰外壁にしたい!メリット・デメリットや汚れ別のメンテナンス方法も
外壁に漆喰を使う3つのデメリット
外壁に漆喰を使うことで、いろいろなメリットが得られます。しかし、漆喰の外壁にはメリットだけでなくデメリットもあります。漆喰の外壁を選ぶ際には、メリットとデメリットの両方を事前に把握しておきましょう。
1:クラック(ひび)が入りやすい
漆喰は石材に近くて頑丈です。しかし、下地の状態や施工環境、建物の揺れなどによってひび割れを起こす可能性があります。ひびの入りにくい漆喰の外壁を作るにはかなりの技術が必要となるため、信頼できる業者を見つけることも重要です。
小さなひびで、補修後のムラなどを気にしないのであれば、ホームセンターなどで販売されている漆喰補修キットを使用し自分で補修できます。
2:手入れを怠ると汚れが目立つ
漆喰の外壁は丈夫で長保ちですが、適切にメンテナンスできている場合に限ります。漆喰の外壁でも、メンテナンスを怠れば汚れが目立つようになり、条件によってはカビが生えてしまうこともあります。
漆喰の外壁は基本的に丈夫なため、10年〜15年ほどを目安に業者にチェックして貰い、その間のちょっとした汚れや傷は自分でメンテナンスすると良いでしょう。
3:施工が難しく費用や工期がかかる
外壁に漆喰を使う最大のデメリットとしては、施工が難しく費用や工期がかかることです。漆喰は材料コストが高く、施工に手間と時間がかかり、仕上げ作業には高い技術が必要です。
外壁を漆喰を使うことで将来起こりうるリスクとは?
優れた性能を持つ漆喰ですが、外壁に使用することによって、将来的に起こりうるリスクも存在しています。外壁に漆喰使用を検討している場合は、ぜひチェックしておきましょう。
立地環境によっては黒ずみやすい
家が交通量の多い道路沿いの場合、漆喰の壁に汚れが張り付いて黒ずみが目立ちやすくなります。漆喰の外壁は無数の小さい穴があることで、防音性にも優れており、外からの音を家の中に入りにくくしてくれますが、立地によっては黒ずみの原因となります。
風が強い場所や木々が生い茂る立地も、土埃が漆喰の表面に付着しやすく、黒ずみが目立つ原因になります。
黒ずみは漆喰に限りませんが、真っ白な白が特徴の漆喰はより汚れが目立ちやすいため、10年〜15年のメンテナンスが大切です。漆喰を使用する際は、立地環境も考慮しましょう。
DIYで外壁を漆喰に塗り替えると失敗する理由2つ
漆喰はホームセンターなどでも購入できるため、DIYで挑戦しようと考える人もいます。しかし、無理に外壁の漆喰を自分で塗りかえようとして、失敗や後悔をしてしまう人もいるでしょう。
DIYで外壁を漆喰に塗り替えると失敗してしまう理由をご紹介します。
1:材料の調整が難しい
漆喰はホームセンターなどでも購入でき、難しい材料調整が不要で、簡単に使える商品を見かけることもあります。しかし、それは本物の漆喰ではなく、漆喰風の壁材という場合もよくあります。
本物の漆喰は粉末の状態から壁に塗れるようにペースト状にする必要があります。その際には、気温や湿度などの影響を考えて水分調整しなければなりません。強アルカリ性の漆喰は、肌に付着すると炎症の原因となり、目に入れば失明する可能性もある危険な物です。
漆喰を扱うための正しい知識や技術が必要であり、気軽な気持ちで挑戦しても成功は難しいでしょう。
2:塗りムラができやすい
漆喰は材料調整も難しいですが、塗る際にも高い技術が必要です。漆喰を塗りムラなくフラットに仕上げることは職人技であり、デザインをつけるよりもフラットに仕上げる方が難しい場合もあります。
素人が無理に漆喰を塗ると塗りムラができて乾き具合が変わり、ひび割れや浮きなどの原因となります。
外壁を漆喰にできる業者を選ぶコツ
外壁を漆喰にする場合は、無理に自分で行おうとせずに、業者に任せることが望ましいと言えます。ただし、業者であればどこでも良いというわけではありません。外壁を漆喰にできる業者を選ぶ際にもコツがあるため、事前に把握して正しく業者を選びましょう。
1:安すぎる業者を選ばない
外壁を漆喰にする場合の費用は決して安くはないため、少しでも安い業者を選びたいと考える人は多いでしょう。しかし、費用にばかり気を取られ、安すぎる業者を選ぶと失敗の原因になる可能性があります。
塗装と左官
漆喰は施工が難しく費用や工期がかかります。しかし、塗装であれば漆喰の風合いと機能を残したまま、少ない費用や工期に抑えられます。漆喰の外壁をメンテナンスする際には、大きな補修が必要なければ漆喰の左官工事をせずに、塗装工事で済ませる場合もあります。
工事費用が安すぎる場合は、誤って塗装工事を行う業者に頼んでいないか確認しましょう。また、安すぎる業者の場合は左官工事と偽って、塗装工事だけ行う悪徳業者の可能性もあるので注意しましょう。
漆喰外壁施工の相場
1つの業者にだけ相談しても、見積額が適切かどうかを判断できません。業者選びをする際には、複数社から見積を出してもらい比較検討しましょう。複数社の見積を比較することで、漆喰外壁施工の相場を把握でき、安すぎる業者があれば選択肢から外せます。
2:今までの施工例を調べてみる
業者選びでは信頼できる業者を見つける必要があるため、候補となる業者の今までの施工例を調べましょう。同じように漆喰外壁施工を請け負っている業者でも、漆喰を扱う技術や実績などはそれぞれ異なります。
実績が少なく、技術のない業者に依頼した場合、未熟な職人が担当して、早い時期にひび割れや剥がれが生じ、再びメンテナンスが必要になる場合があります。メンテナンスが必要な回数が増えることで、結局は費用がかかる状況になってしまいます。
しっかりした業者選びで漆喰の外壁も失敗しないようにしよう!
外壁を漆喰にする、メンテナンスをするなどの場合は、無理に自分で行うと失敗する可能性があります。場合によっては危険な目に遭ってしまうこともあります。漆喰を扱うには知識と技術が必要なため、業者に任せるようにしましょう。
ただし、業者はどこでも良いというわけではありません。業者選びのコツを把握して業者選びにも失敗しないようにしましょう。