外壁のコーキングには、建物の耐久性を高めたり、劣化を防止したりする役割があります。
もし外壁のコーキングに劣化症状が出ていたら、早めに補修が必要です。
本記事では、外壁で使用するコーキングの目的や補修のタイミング、種類や補修費用について解説していきます。
コーキングの基礎知識を理解しながら、納得のいく工事ができるように確認していきましょう。
- ・外壁コーキングの目的は水の侵入を防ぎ、外壁の負担を軽減するため
- ・外壁コーキングの寿命は平均で5年~10年
- ・外壁でよく使用されるコーキング材は変性シリコン系
- ・業者に補修を頼むなら打ち替えがオススメ
外壁のコーキングとは?
外壁などに行われるコーキングは、見た目はゴムのような素材で、外壁材同士にできる隙間を埋めるために充填材を入れることを言います。
充填材のことをコーキング材と呼び、充填された部分のこともコーキングと呼びます。
ちなみにコーキングは外壁材だけでなく、浴槽と壁の隙間や、キッチンと壁の隙間など水回りにも使用されています。
では、なぜ外壁にコーキングをわざわざ施す必要があるのでしょうか。コーキングの目的を以下で見ていきましょう。
外壁コーキングの目的
①水の侵入を防ぐため
外壁をコーキングする目的は、隙間を埋めることで水が中に入るのを防ぐことです。
サイディングやタイルなどの外壁材でコーキングは主に使用されていますが、このような外壁材は複数のボードやパネルなどを貼り付けて仕上げるため、どうしてもその貼り付けた外壁材同士に隙間ができてしまいます。
もし外壁をコーキングしなければ、わずかな隙間からでも雨水が入るのを許してしまうのです。
②外壁の負担を軽減するため
外壁コーキングのもう1つの目的は、外壁材にかかる負担や衝撃を吸収することです。
外壁材は、地震の揺れや気温の変化による外壁材の伸縮などさまざまな影響を受けますが、コーキングのように柔らかい素材が緩衝材のような役割を果たしているのです。
そのためコーキングがあるおかげで、外壁材のひび割れや損傷を防いでいます。
外壁コーキングの寿命
外壁のコーキングは平均すると寿命が5年~10年と言われています。
コーキングの上に外壁塗装を行っている場合の寿命は、行っていない場合より少し延びたり、気候や立地などの条件によって寿命より早く劣化が進んだりすることもあるので、いずれにせよ現状の外壁のコーキングの状況を見ながら、補修時期を検討することが大切です。
コーキングとシーリングの違いって?
コーキングとシーリングは同じもの
コーキングとシーリングは呼び名が分けられていますが、どちらも同じものと考えて問題ありません。 スマートフォンのことを、スマホと呼んだり、携帯と呼んだりする人がいるように、業者やメーカーによって呼び方が分かれています。
それぞれコーキングとシーリングで使用する充填剤のことを、コーキング材、シーリング材と呼びます。
人によって、建築現場によって呼び方はそれぞれですが、基本的にどちらを使っても通じると思っていただいて大丈夫です。
なぜ呼び方が違うのか
呼び方が分かれてしまった原因についてですが、JIS規格の定義を見てみましょう。
『シーリング材』:構造体の目地、間げき(隙)部分に充てん(填)して防水性、気密性などの機能を発揮させる材料
『油性コーキング材』:展色材と鉱物質充填剤を混合して製造したペースト状のシーリング材。相対変位の小さな目地のシールに使用されるJIS規格「接着剤・接着用語」
つまり上記によると、押出し機を使って施工するペースト状のシーリング材のことを油性コーキング材といい、それ以外は全てシーリング材ということになります。
近年では、油性コーキング材はほとんど使われなくなってしまったのですが、以前の名残から『コーキング』と今でも呼ぶ人がいるということです。
材料における呼び方の違い
ここまで外壁のコーキングとシーリングの呼び方について触れてきましたが、材料の名称もさまざまあります。
コーキング材、シーリング材ならば分かりやすいですが、「シーラント」「シール材」といった呼び方もあります。
しかしこれら全て、同じものだと考えていただいて問題ないので、商品名の違いで迷ったときは参考にして下さい。
自分でコーキングするのは意外と大変…安く業者に直してもらうには?
ここまででコーキングについて詳しく解説してきましたが、実はコーキンングのDIYは思ったより難易度の高い作業です。
せっかく道具を揃えて頑張っても、すぐに不具合が出てしまった……なんてことも珍しくありません。
また、高所作業などが伴う場合には、転落なども危険もあります。
そのため、できるだけDIYよりも専門業者に依頼するのがよいでしょう。
「でも、業者に依頼すると修理費用が高くなりそう……」
そんな不安をお持ちの方には、複数の業者で相見積もりをとることをおすすめします。
コーキングの打ち替え・打ち増し工事は、業者によって見積額が大きく変わります。
だからこそ、複数社で見積もりを比較して依頼先を決めることで、修理費用をおさえることができるのです。
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外壁コーキングの種類とは?
ここからは外壁などのコーキングに使われるコーキング材の種類について解説していきます。
種類によって特徴が変わるので、自分の状況に合ったコーキング材を選べるようにおさえておきましょう。
1成分系と2成分系について
まずコーキングは1成分系と2成分系という違いの分類ができます。
1成分系とは?・・何かを混ぜたりする必要がなく、そのまま充填すれば固まるのが特徴です。余計な手間がかからないのでDIYのときにオススメな種類です。
2成分系とは?・・硬化剤を混ぜて使用する種類なので、1成分系より手間がかかります。塗装知識が豊富な人でないと効果不良を起こす可能性があります。
1成分系も2成分系も性能に関しては特に違いがありません。
1成分系の方が手軽で時間がかからないという利点はありますが、1成分系のコストは2成分系の約2倍なので、費用がお得なのは2成分系です。
しかし2成分系は技術力がないと、品質に大きく問題が生じるので腕の良い業者に任せる必要があります。
DIYで部分的な補修をしたいというのであれば、1成分系の商品を選ぶのがオススメです。
アクリル系
アクリル系コーキングは、水性のコーキングで、湿気の多い場所で効果を発揮します。
ただし、耐久性が良くないため外壁には向いていません。
そしてアクリル系コーキングは硬化する際、コーキング材の水分を飛ばしてしまうため、注入直後は量が多く見えても、肉やせと呼ばれる現象でコーキング自体の厚みが効果と同時に減ってしまいます。
ウレタン系
ウレタン系コーキングは、コンクリート部分のひび割れなどによく利用されます。
耐久性が高いのが特徴で、硬化した後も弾力性の高い効果を発揮し、建物などの動きにも柔軟に対応することができます。
ただ後述で触れる変性シリコン系コーキングに比べて安価ではあるものの、外壁などの露出される部分では、紫外線に弱いため塗装で必ずカバーしていく必要があります。
シリコン系
シリコン系コーキングは、名前の通りシリコンがコーキング内部に含まれており、耐水性、耐熱性に優れています。
一シリコンのはじく特性を生かして、浴槽や水回り、外壁の窓のガラス周りによく使用されています。
一方でコーキングの上に塗料を塗ってもシリコンが塗料をはじいてしまうため、コーキングの上から塗装ができません。 しかし最近ではコーキングの上から塗装ができるように、塗料を密着させるプライマーも出ているので、その場合は塗装も可能です。
変性シリコン系
変性シリコン系コーキングは、名前にシリコンとついていますが全く別のものです。
変性シリコンは上記のシリコン系とは違い、コーキングの上からの塗装が可能なので、外壁にもよく利用されています。
変性シリコン系は、目地の汚れなどにも強く、柔軟性の高いコーキング材です。
ただし、紫外線にそこまで強くないため、上から塗装をして耐久力をカバーして使用するのがオススメです。
一般的には外壁のコーキングは変性シリコン系のコーキング材が多く利用されているので、迷ったら変性シリコンで問題ありません。
もし業者に違う種類のコーキング材を勧められた場合は、しっかりと商品の特徴と建物の診断結果を照らし合わせて説明をしてくれるか、なぜそのコーキング材を使用するのか理由を確認しましょう。
「サイディング塗装」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「サイディング塗装はなぜ必要?正しい時期と方法は?DIYで塗装できる?」
外壁コーキングが寿命になると?
外壁のコーキングは寿命が近付くにつれ、どんなことが起きてしまうのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
劣化症状が生じる
ひび割れ
外壁のコーキングは、紫外線を浴び続けることで、ひび割れを起こしてしまいます。
コーキングには可塑剤(かそざい)と呼ばれる成分が含まれており、可塑剤が紫外線によって気化してしまうことで、コーキング自体の伸縮性が失われてしまうからです。
この可塑剤が表面に浮き出てくると、コーキングの柔らかさが失われて固くなって割れてしまうのです。
肉やせ
肉やせとは、外壁に注入するコーキングの量が少なすぎることと、コーキング材に寿命が来たことが原因で起こる症状です。
前述した可塑剤が表面に浮き出てきて、肉やせが生じる可能性もあります。
欠落・剥離
外壁のコーキングの欠落や剥離は、ひび割れが更に分断されることで引き起こります。
また外壁にコーキングをする際、プライマーがしっかりと塗布されていないとコーキングがしっかりと接着されずに剥がれてしまったという事例もあります。
雨水が侵入し腐敗が起きる
外壁のコーキングに寿命が近づき、ひび割れなどの症状を放置してしまうと、外壁同士の隙間が塞がれなくなってしまい、雨水が浸入してしまう恐れがあります。
雨水が浸入した場合、外壁材の腐敗に繋がってしまうので、劣化症状が現れ始めたら長らく放置するのはオススメできません。
業者に外壁コーキングの補修を依頼する場合
業者に外壁コーキングの補修を依頼すると、打ち替えもしくは増し打ちといういずれかの方法でコーキングの補修が行われます。
どんな方法か以下で詳しく見ていきましょう。
打ち替えとは?
打ち替えとは、既存の外壁コーキングを完全に剥がしてから、新しいコーキング材を充填することです。
費用相場は、1mあたり700円~1,200円です。
もし30坪の家であれば、14万円~24万円が費用の目安となります。
増し打ちとは?
増し打ちとは、既存の外壁コーキングはそのままの状態で、上から新しいコーキング材を充填することです。
費用相場は、1mあたり500円~1,000円です。
もし30坪の家であれば、10万円~20万円が費用の目安となります。
補修のタイミングに注意
コーキングに劣化が出てきているということは、年数的に外壁も塗装の時期が近づいているということでもあります。
そのためコーキングの補修は塗装と一緒のタイミングで行うのが、経済的にオススメです。
なぜなら外壁の高い場所をコーキングするには足場を組む必要があるため、コーキングの補修と塗装を分けて行うと足場代が2回かかるからです。
また工事方法は打ち替えをオススメします。外壁のコーキングは上から塗装をした状態で持っても10年程度です。
費用が安いので、短期的な目で見ると増し打ちを検討する方が多いと思いますが、もし既存のコーキングがかなり劣化していれば上から充填することで、状況が逆に悪化することも考えられます。
増し打ちを提案してきた業者がいた場合は、「次回の塗り替えのタイミングまで持つのか」「保証はあるのか」「増し打ちでいい理由はどのようなものか」をしっかりと確認してみましょう。
応急処置でDIYで補修するなら?
もしDIYで補修する場合は、すぐ業者に頼めない、一部分の些細なひび割れが気になるなど、あくまでも応急処置の1つとして行いましょう。
DIYで必要な道具
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コーキング材 【費用:600円~2,000円/1本】 |
楽天市場 |
コーキングガン 【費用:200円~10,000円】 |
楽天市場 |
コーキングカッター 【費用:300円~3,000円】 |
楽天市場 |
マスキングテープ 【費用:200円~600円】 |
Amazon |
ヘラ 【費用:200円~1,000円】 |
モノタロウ |
プライマー 【費用:500円~2,000円】 |
楽天市場 |
刷毛 【費用:200円~1,000円】 |
楽天市場 |
だいたいの目安ですが、コーキング材1本分で3m程度のコーキングを充填できます。
その場合、DIYで補修を行うとだいたい7,000円~9,000円くらいの費用で行えます。
DIYで補修するやり方
[step-group title=”【DIY】コーキング補修の簡単手順”][step]既存の外壁コーキングを剥がす
コーキングカッターで外壁とコーキングの境目に切り込みを入れます。
コーキングが残らないように綺麗に取り除きます。[/step][step]コーキング周りをマスキングテープで貼る
コーキング周辺の外壁に新しいコーキング材が付着しないように養生します。
マスキングテープが充填する部分まで入り込まないように注意しましょう。
[/step][step]プライマーを塗る
コーキングの密着性を高めるために、プライマーをしっかり塗ります。
プライマーは使用するコーキング材に合った専用のものを使いましょう。
[/step][step]コーキングガンでコーキングを充填する
充填部分にホコリやゴミが入り込んでないか確認したら、
コーキングガンを使って均等にコーキング材を充填します。
[/step][step]ヘラで均等にする
コーキング材を充填したら、ヘラを使って均します。
盛り上がってしまったところは平行になるようにしましょう。
[/step][step]完全に乾く前にマスキングテープを剥がす
コーキング材が固まってしまう前に、マスキングテープを取りましょう。
[/step][/step-group]
マスキングテープを剥がしたら、商品に記載してある乾燥時間を参考にそのまま乾かしていきましょう。
乾いていないうちに、上から塗料など塗ることがないよう気を付けてください。
DIYの注意点
高所は危険なのでやらない
DIYの中でもコーキング補修は簡単な作業ではないので、手が届かない部分の補修はやめましょう。
コーキング補修は手順を確認すると、どうしても両手を使わないとできない作業になります。
高所だからと無理してハシゴや脚立を使って怪我をしたり、誤ってコーキング材が目に入ってしまったりすると大変危険です。
下処理はきちんと行う
外壁コーキングの作業は、実は下処理が何よりも重要です。
特に以下の点に関しては、丁寧に作業するよう心がけましょう。
・既存のコーキングをサイディングなど傷つけないように綺麗に剥がす
・コーキングを剥がした後、隙間に入り込んでしまったゴミを刷毛で綺麗に取る
・マスキングテープは隙間なく綺麗に貼る
・コーキングを充填する前に充填箇所が濡れていないか確認する
外壁コーキング材は少し多めに充填する
コーキング材を充填するときは、コーキングガンに入れる力を一定にしながら、少し多めに入れることを意識してやりましょう。 コーキングは厚みがとても重要です。後からはみ出た箇所は、ヘラで調整ができるので、少し多めくらいを意識して、余分な空気が入り込まないように注意して下さい。
まとめ
いかがでしたか。
外壁コーキングは状態によって補修方法の選択や、どんなコーキング材を選ぶかによって変わってきます。
上記でご紹介したことを参考に、もし不安になったら業者に直接相談するのが一番です。
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最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。
外壁のコーキングとは何?
外壁材同士にできる隙間を埋めている、ゴムのような素材のことです。充填剤、充填する作業ともに「コーキング」と呼ばれます。詳しく知りたい方は外壁のコーキングとは?をご覧ください。
外壁のコーキングを業者に依頼すると、費用はいくらぐらいかかる?
古いコーキングを剥がしてから充填する「打ち替え」が700~1,200円/m前後、古いコーキングの上から充填する「増し打ち」が500円~1,000円/m前後です。詳しくは業者に外壁コーキングの補修を依頼する場合をご覧ください。
外壁のコーキングをDIYする場合、必要なものは何?
コーキング材、コーキングガン、コーキングカッター、マスキングテープ、ヘラ、プライマー、刷毛の最低7種類が必要です。詳しくはDIYで必要な道具をご覧下さい。
外壁のコーキングをDIYする場合、どのような手順になる?
「古いコーキングを剥がす」「周囲をマスキングする」「プライマーを塗る」「コーキングを打つ」「ヘラでならす」「マスキングをはがす」という流れになります。詳しくはDIYで補修するやり方をご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。