建物の解体後に固定資産税が上昇する理由!税負担を減らすための対策を解説

建物の解体後に固定資産税が上昇する理由!税負担を減らすための対策を解説

建物を解体すると固定資産税が上昇するってほんと?

古い家の解体を検討している方は、解体後に固定資産税がどうなるのか気になりますよね。

解体費用が高額なぶん、解体後の負担が増えるのは避けたいと考える方は多いと思います。

本記事では、現在解体を検討している方に向けて、建物の解体後に固定資産税が上昇する理由や、固定資産税の負担を減らすためにできることを解説しています。

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建物の解体後に固定資産税は上昇する

一般的に、建物を解体すると固定資産税は上昇します。建物を解体することで、これまで受けてきた固定資産税の特例措置が受けられなくなり、土地にかかる固定資産税の税額が高くなるためです。

更地だと住宅用地の特例が対象外となる

「住宅用地の特例」は土地の建物が建っていた場合に適用される特例となります。しかし、解体すると住宅用地の特例は適用対象外となります。

例えば敷地面積200㎡で3,000万円の建物つき土地の場合、「住宅用地の特例」が適用対象外となることで固定資産税は6倍、都市計画税は3倍に増加します。

▼敷地面積が200㎡の3,000万円の建物つき土地の例

特例の有無固定資産税都市計画税
特例あり7万円(3,000万円×[text style=”text style=18]1/6[/text]×1.4%)3万円(3,000万円×[text style=”text style=18]1/3[/text]×0.3%)
特例なし42万円(3,000万円×1.4%)9万円(3,000万円×0.3%)
対比6倍増加3倍増

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住宅用地の特例は建物つき土地に適用される特例

建物つき土地には住宅用地の特例が適用されています。「住宅用地の特例」とは、土地に建物(住宅とみなされる建造物)が建っている場合、固定資産税や都市計画税が1/3~1/6まで軽減されるという特例です。

具体的には、小規模宅地(200㎡以下の住宅用地)の固定資産税は1/6まで(都市計画税は1/3まで)、それ以外(200㎡以上の住宅用地)の固定資産税は1/3まで(都市計画税は2/3まで)減税されます。

▼住宅用地の特例の軽減率

面積固定資産税都市計画税
小規模宅地(200㎡以下)固定資産税の1/6固定資産税評価額の1/3
小規模宅地以外(200㎡超え)固定資産税の1/3固定資産税評価額の2/3

出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局

例えば、敷地面積が200㎡の3,000万円の建物つき土地の場合、「住宅用地の特例」が適用されることで、固定資産税は35万円、都市計画税は6万円が節税されています。

【敷地面積が200㎡の3,000万円の建物つき土地の例】

特例の有無固定資産税都市計画税
特例あり7万円(3,000万円×1/6×1.4%)3万円(3,000万円×1/3×0.3%)
特例なし42万円(3,000万円×1.4%)9万円(3,000万円×0.3%)
差額35万円6万円

なお、ご自宅の解体費用を知りたい方は以下のフォームから解体費用を簡単にシミュレーションできます。

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解体すると翌年から固定資産税は上昇する

固定資産税は解体から翌年以降に上昇します。

固定資産税の金額は支払う年の1月1日時点の土地の状態によって決まります。例えば解体後に固定資産税が増額する場合、1月1日以降に解体することで上昇した固定資産税を支払う時期を遅らせることができます。

逆に減額する場合は、1月1日以前に解体することで翌年より固定資産税を減らすことができます。固定資産税を少しでもおさえたい場合は、解体前後で固定資産税どう変動するか考慮して解体する時期を調整しましょう。

実際は解体後に6倍も固定資産税は上昇しない

建物を解体して住宅用地の特例が対象外となると、税率が軽減されなくなり、固定資産税と都市計画税が3倍~6倍へ上昇することをお伝えしました。ただし、実際は6倍まで上昇するわけではなく税負担は1倍から3倍程度が一般的です。

家屋の固定資産税がなくなるため

住宅を取り壊すことで家屋の部分の固定資産税がなくなり、そのぶん納税額が減額します。

例えば、以下は解体前後の固定資産税と都市計画税の事例ですが、いずれも解体前後で1倍~3倍の増加にとどまっています。

解体前後の増加率が約2.24倍のケース

固定資産税評価額が土地2,000万円、建物500万円の場合、解体前後で固定資産税と都市計画税の合計額は約2.24倍増加します。

▼解体前後の固定資産税

  • 解体前:約15.16万円
  • 解体後:約34万円
  • 対比:約2.24倍

▼解体前の固定資産税・都市計画税

種別固定資産税都市計画税合計額
土地3,000万円×1/6×1.4%3,000万円×1/3×0.3% 約6.66万円
建物600万円×1.4%600万円×0.3% 8.5万円
合計約15.1万円

▼解体後の固定資産税・都市計画税

種別固定資産税都市計画税合計額
土地3,000万円×1.4%3,000万円×0.3%34万円
合計約34.0万円

解体前後の増加率が約0.97倍のケース

固定資産税評価額が土地1,200万円、建物1,000万円の場合、解体前後で固定資産税と都市計画税の合計額は約0.94倍増加します。
解体後のほうが税額が安くなっていることに注意しましょう。

▼解体前後の固定資産税

  • 解体前:約21.0万円
  • 解体後:約20.4万円
  • 対比:約0.97倍

▼解体前の固定資産税・都市計画税

種別固定資産税都市計画税合計額
土地1,200万円×1/6×1.4%1,200万円×1/3×0.3% 約4.0万円
建物1,000万円×1.4% 1,000万円×0.3%17万円
合計約21.0万円

▼解体後の固定資産税・都市計画税

種別固定資産税都市計画税合計額
土地1,200万円×1.4% 1,200万円×0.3%20.4万円
合計約20.4万円

負担軽減措置が適用されるため

自治体によっては「負担軽減措置」が適用され、固定資産税や都市計画税が翌年から急激に増加しない場合もあります。負担軽減措置は平成6年度の評価替え時に導入された、評価額の変化に伴う土地にかかわる税金の急速な増額を防ぐ制度です。

具体的には、負担水準の高い土地は税負担を引き下げ又は据え置き、負担水準の低い土地は、なだらかに税負担を上昇させるしくみになっています。

参考:土地の税額計算(負担調整措置について)|八王子市公式ホームページ

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解体せず特定空き家に指定されても上昇

ここまでご説明した内容から、「建物は解体せずそのままにしておいた方が良い」と考える方もいるかもしれません。

しかし、建物を解体せずに建ったままにしておいたとしても軽減措置を受けられなくなる場合もあるので要注意です。実は、建物が建っていても特定空き家に指定されてしまった場合は「住宅用地の特例」が適用対象外となります。

特定空き家とは

「特定空き家」とは平成26年に立法化された『空家等対策の推進に関する特別措置法』(第2条)で定義された倒壊または崩壊の危険性がある空き家のことです。土地に家屋が建っていたとしても、古くて倒壊しそうな家屋など、危険な状態である場合や周りに迷惑がかかるような状態である場合は、特定空き家に認定されてしまいます。

主に以下の条件に該当している場合、特定空き家とみなされる可能性があります。

▼特定空き家とは

  • 放置すれば倒壊する恐れがある
  • 保安上危険となるおそれのある
  • 衛生上有害となるおそれのある
  • 適切な管理不足によって著しく景観を損なっている
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法|e-Gov法令検索

特定空き家だと住宅用地の特例は適用対象外に

特定空き家と見なされると住宅用地の特例措置が受けられず、小規模住宅用地(200㎡未満)で1/6、小規模住宅用地以外(200㎡超え)で1/3まで軽減されていた固定資産税を全額支払うことになります。

固定資産税は空き家を解体工事により更地にしたときと同様、課税標準額に標準税率の1.4%をかけた金額です。算出方法は同じですが、解体せず特定空き家を所有していて、措置命令に従わないと金銭を徴収される場合があります。特定空き家と見なされた場合、建物が建っていたとしても減額措置は受けられないため、家屋の解体を検討しても良いでしょう。

また市区町村によっては、解体工事にかかる費用の一部(解体費用の1/2~1/5程度)を補助する制度があるため確認してみてください。

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解体後の固定資産税の負担を減らすために

解体してもしなくても税額が上昇するなら、解体後の固定資産税の負担を減らす方法を検討したいですよね。本章では、解体後の固定資産税の負担を減らすためにできるコツを解説しています。

▼解体後の固定資産税の負担を減らすために

  • コツ①公益のための固定資産とする
  • コツ②駐車場として利用する
  • コツ③農地へ転用する
  • コツ④建て替えてアパートにする
  • コツ⑤解体後に土地に売る

コツ①公益のための固定資産とする

更地が「公益のために直接専用する固定資産」である場合は、固定資産税が軽減される特例があります。
減免基準については市区町村ごとで定められており、減免が可能かどうかは自治体のホームページで確認する必要があります。

公益のための固定資産には以下が該当します。

▼公益のための固定資産

  • 町会事務所
  • 遊び場
  • 公共用歩廊等(償却資産)
  • 開放型病院等
  • 幼稚園
  • 専修学校及び高等課程専修学校
  • 各種学校
  • 学生寄宿舎
  • 社会福祉施設付属宿舎
  • 看護師養成施設及びその学生寄宿舎
  • 非課税となる病院付属の看護師寄宿舎
  • 特定保存樹林地
  • 認証保育所
  • 地域のケア付き住まい
  • 民設公園用地

一定の広さがある使う予定がない土地は上記の用途で利用することを自治体に申請することで固定資産税を減免できます。

例えば、以下は鳥取県大仙市の減免基準の例です。

▼【例】鳥取県大仙市の減免基準

  1. 町が直接専用する固定資産
  2. 自治会が管理する固定資産(有料で使用するものを除く。)のうち次に掲げるもの
    1. 地域住民に広く開放されている児童遊園地、ゲートボール場、広場及び公園の用に供するもの
    2. 専ら当該地域の行事、集会その他公共の用に供するために使用する集会所若しくは公民館及びこれらに類する施設のように供するもの(建設予定地を含む。)
    3. ごみ集積場の用に供するもの
    4. 防災施設の用に供するもの
    5. 固定資産税の非課税規定に該当しない神社、稲荷、堂、塚等で、当該地域の行事等に供するもの
    6. その他、公共の用に供すると認められるもの

出典:公益のために直接専用する固定資産に係る固定資産税の減免基準|大仙公式

コツ②駐車場として活用する

駐車場は建物や施設よりも評価が比較的低いことが多く、固定資産税を節税しやすいです。

駐車場は建物や複雑な設備がない、簡易的な土地の利用方法なので、評価が抑えられる可能性が高まるためです。

また、地域によっては、駐車場などの土地利用に関する制限が設けられている場合があります。

例えば、商業地域であっても駐車場の建設が難しいといった場合があります。そのような場合には、駐車場としての土地評価が低くなる可能性があり、固定資産税を節税できます。

コツ③農地へ転用する

多くの国や地域では、農地を農業用途に利用する場合には特別な優遇措置が設けられています。これは、農業を奨励するために行われているもので、農地転用によって固定資産税の軽減が行われることがあります。

農地は一般的に市街地などの都市部に比べて地価が低い傾向があります。農地転用によって農業用途から他の用途へ変更される場合、土地の評価が下がることがあります。低い地価に基づいて固定資産税が計算されるため、節税効果が生じる場合があります。

コツ④建て替えてアパートにする

アパートを建てる場合、土地の利用価値が上昇しますが、土地の評価には建物の有無が影響します。建物がない場合よりも建物がある場合の土地の評価は低くなる傾向があります。

そのため、アパートを建てることによって土地の評価が上昇しても、建物の評価によって相殺される場合があり、固定資産税の増加を抑える効果があります。

コツ⑤地目を雑種地に変えて固定資産税を安くする

地目には農地、住宅地、商業地などさまざまな種類があり、それぞれの地目に応じて地価が評価されます。一般的に、雑種地は土地利用が特定の目的に限定されていないため、他の地目に比べて地価が低く評価されることがあります。

そのため、雑種地に変更することで、土地評価が抑えられる可能性があります。

コツ⑥解体後に土地を売る

建物解体からすぐに土地を売却する場合、固定資産税の支払いを数年以内でおさえることが可能です。売却のなかには「更地渡し」といって、売買契約後に更地にすることを条件に土地を売り出す方法もあります。

解体して売りに出しても売れない期間が続く場合、上昇した固定資産税をその間負担し続けることになります。売買契約後に更地にすれば、土地の名義人が変更になった後で解体できるので、上昇した固定資産税を支払わずにすみます。

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