近年では、少子高齢化や人口減少などにより、空き家の数が増加しています。日本全体で13.5%もの家屋が、空き家になっていると言われています。そんな中、各自治体が空き家を減らし、崩壊の危険性を解消するために、特定の家屋の解体費用に対して、補助金制度を実施しているところがあります。
条件にさえ当てはまれば、100万円以上の補助金が出る場合があります。解体予定の家屋を管轄している、自治体の制度を調べることによって、解体費用を大きく抑えることができるかもしれません。
家の解体では自治体の補助金を受けられる場合もある
家を解体する際に、一定の条件に当てはまれば、補助金が受けられる可能性があります。ただし、利用できる補助金は、各自治体によって異なります。解体予定の家屋を管轄している自治体を、確認してみましょう。
自治体が行っている空き家の補助金制度を利用する
空き家の解体を行う際に、管轄の自治体が費用の一部を、補助金として支給してくれる制度があります。これらの制度は、自治体によって呼び方が異なり、「空き家解体費補助制度」や「老朽家屋等解体工事助成」などと呼ばれています。なお、すべての自治体が行っているわけではないので、確認が必要です。
これらの制度は、近年の少子高齢化や人口減少のために、空き家が増えているという現状を解決すべく、国の空き家再生等推進事業の一貫として行われています。すべての空き家の解体に補助が出るわけではなく、自治体ごとに条件があります。条件を満たした空き家のみが、補助の対象となるので気をつけましょう。
補助金の上限は自治体によってさまざま
補助が出る条件は自治体によって異なりますが、補助金の上限もまた、自治体によってさまざまです。具体的には、20万~160万円程度となっていて、差が大きいことが現状です。全国約300の自治体が、空き家の解体に対して補助金を出す制度を行っていますが、住宅だけではなく、塀や門も対象になる自治体もあります。また、建物の構造によって、補助金の上限が異なる場合があります。
さらに上限は価格だけでなく、解体費用の何割まで補助金で充てられるかというところも、各自治体によって異なります。解体費用の半分までのところもあれば、9割まで補助金で賄うことができる自治体もあります。
補助金を受けられる家の条件とは
補助金を受けるためには、必ず各自治体の条件をクリアする必要があります。条件は各自治体によって異なりますが、ここでは共通している一般的な条件を中心に紹介していきます。
居住利用されていない空き家
この制度を利用するためには、解体する建物が空き家である必要があります。具体的には、1年以上居住の実績がない場合は、空き家とみなされます。
この制度の目的は、老朽化などによって倒壊する危険性のある建物を排除し、空き巣の被害や野良猫が住みつくことを未然に防ぐためなので、補助金が出るのは空き家のみとなっています。
空き家の腐朽破損レベルが基準を超えている
空き家であっても、倒壊する可能性がない安全な建物は、補助の対象になりません。そのため、補助を受けようとする建物が、倒壊する危険性があるかどうかを調べる必要があります。この倒壊の危険性の基準は、各自治体によってさまざまです。耐震診断で測る場合もあれば、担当員の目視による調査の場合もあります。
目視による調査の場合、外壁や屋根などの外観と、内壁や雨漏りの有無、梁の状態などの内観を調査し、地震に対してどれほど耐久性があるかを評価します。基準をクリアするためにも、建物の内側の調査も必要なので、調査の際には建物内への立ち入りを許可して、詳しく見てもらいましょう。
申請者が住民税などの税金を滞納していないこと
その他の条件をクリアしていたとしても、申請者が住民税を滞納している場合は、補助を受けることができません。補助金という恩恵を受けるためにも、税金はきちんと支払っておきましょう。
前年度の所得を見られる場合も
自治体によっては、前年度の所得を確認される場合もあります。例として、前年度の所得が1,000万円以下であることが条件の自治体もあります。
所得が多いと、補助金なしでも解体費用を十分に支払えると判断されるためです。ただし、すべての自治体がこの条件を含んでいるわけではないので、しっかりと確認しておきましょう。
築年数が条件になっている自治体もある
自治体によっては、「昭和〇年以上前に建築されていること」といった条件がある場合も。この条件がある自治体の大半は、昭和50年代後半に設定されている場合が多いです。これは昭和56年に、建物の耐震基準に関する法律の改正があったからです。
この改正は、耐震基準を根本から見直したため、とても大きな差があります。この条件があった場合は、築年数に気をつけて申請しましょう。
その他の条件
その他の条件として、「自治体の空き家バンクに登録されていること」や、「市内の解体業者が解体工事を行う場合のみ」などの条件が設けられている場合があります。ご自身の地域の自治体のルールをチェックして、きちんと補助金を受けられるように準備しましょう。
あなたが所属する自治体に、助成金制度があるかどうかを調べるには、お住いの地域の役所に、直接質問してみるとよいでしょう。自治体のホームページに記載されている場合がありますが、十分な情報を得られないこともあります。よって、直接窓口で確認したほうが確実でしょう。
家の解体費用の相場を確認
家の解体費用の計算は複雑で、見積もりを取ってもらうまでは、具体的な費用はわかりません。それでも、家の構造の種類と坪数で、大体の相場の目安を知ることができます。
坪単価で見る解体費用の目安
解体費用は、家の構造により大きく異なります。木造は解体しやすいですが、鉄骨造やRC造のような強度のある家屋だと、その分解体もしづらくなるため費用がかさみます。家の解体費用は「坪数×相場+その他費用」で決まるため、家の構造と坪数がわかれば、解体費用の目安がわかります。家の構造別の坪単価の相場を見てみましょう。
木造家屋の場合
木造家屋の坪単価の相場は、25,000円~60,000円となっています。木造住宅の解体は、石膏ボードや断熱材といった内装の撤去を、手作業で行うことが一般的です。構造部である木材に対しては、重機によって解体を行います。木造家屋は最も解体しやすい構造のため、工期も他の構造に比べて短く済みます。
工期の目安としては、平均的な30坪の木造家屋であれば、8日程度で解体が完了します。ただし、これはあくまで目安で、壁の材質などによっても、解体費用や工期が変化します。たとえば、壁の材質がモルタルであった場合、トタンと比べて5,000円ほど坪単価が高くなります。
鉄骨造家屋の場合
鉄骨造家屋の坪単価の相場は、30,000円~65,000円となっています。鉄骨造家屋は、構造部分に鋼材でできた柱を使用している住宅です。この鋼材の柱を切断するために、鉄骨カッターと呼ばれる工具を使用しなければなりません。そのため、木造家屋より鉄骨造家屋のほうが、解体費用が高くなる傾向があります。
また、鉄骨の厚さ6mmを境に、6mm未満を軽量鉄骨造、6mm以上を重量鉄骨造と呼び、この差も解体費用の相場に影響してきます。鉄骨造家屋の解体工期の目安は、一般的な30坪の家屋だと10日ほどになっています。
RC造家屋の場合
RC造家屋の坪単価の相場は、35,000円~70,000円となっています。コンクリートと鉄筋でできたRC造家屋は、他の構造よりも強い反面、解体に手間がかかります。コンクリートの解体は、騒音・粉じん対策が必要であり、解体費用も工期も長くなる傾向があります。
一般的に、RC造家屋は木造家屋に比べて、2倍の費用と工期が必要といわれています。一般的な30坪の家屋であれば、13日程度が平均的な工期となっています。工期は、天候にも左右されるので、あくまで目安として考えておくとよいでしょう。
複数の解体業者に見積もりを取ってもらう
具体的な解体費用を知るためには、解体業者に直接見積もりを取ってもらいましょう。解体費用は、近隣道路の状況や作業のしやすさによって、大きく変化します。とくに、重機が入れるスペースがあるかどうかは、解体費用に大きくかかわってきます。また家屋だけではなく、敷地内の塀や門、庭石や樹木の有無によっても、費用が異なります。
解体業者に見積もりを取る際は、複数の業者に依頼するようにしましょう。複数の見積額を比較することによって、解体費用の内容や見積額の詳細を知ることができます。担当者の対応や施工期間の比較なども、しっかり行っておきましょう。複数の解体業者に見積もりを依頼する場合は、ヌリカエ がおすすめです。
補助金以外で家の解体費用を抑える方法
各自治体の補助金を利用する以外にも、家の解体費用を抑える方法があります。いくつかのポイントを押さえて、無駄な費用を抑えましょう。
一括見積もりで条件の良い解体業者を探す
解体費用を安く抑えるためにできる、最も効果的な方法は、一括見積もりで条件の良い解体業者を探すことです。複数の解体業者に見積もりを取ることによって、見積額だけでなく、担当者の対応や見積もりの内容の詳しさなどを知ることができます。技術的に優れた解体業者は、解体費用だけでなく、工期も短くて済む場合があるので、より良い解体業者を探すようにしましょう。
ただ、解体費用が一番安いからという理由で、解体業者を選ぶことは危険です。あまりに安すぎる解体業者は、建設リサイクル法などの法律に基づいて、廃材を処理していない可能性があります。また不法投棄や廃棄物を、地中に埋めてしまう業者もいるようなので気をつけましょう。
また、はじめに安い見積額を出しておき、解体中に追加費用という形で、費用を上乗せする業者もいるようです。見積もりの際に、解体費用の内訳をきちんと説明してもらい、どのような作業が含まれているかを、きちんと確認しておいたほうがよいでしょう。
家の家財はできるだけ自分で処理する
解体時の廃棄物の処理費を安くするためには、家財道具をなるべく残さないようにしましょう。処理費用は、廃棄物の量によって決まります。少しでも物を減らしておくために、家財道具を売るか、あるいは事前に安価で処分しておきましょう。処分の方法は、いくつかあります。
リサイクルショップを利用する
家財道具は、リサイクルショップに買取を依頼することで、思わぬ価格で売れることがあります。また、出張買取などを行っているショップもあるので、その場合は、わざわざこちらから処分に行く必要もありません。たとえ買取価格がつかなかったとしても、無料で処分してくれることもあるので、処分する前にまずは、リサイクルショップに買取を依頼してみましょう。
不用品回収業者にお願いする
処分するものが大型であったり、自分で運べなかったりした場合は、不用品回収業者に依頼することも手です。不用品廃品業者は、時間が合えば自宅まで取りに来てくれるので、とても便利です。しかし、不用品回収業者の中には、無許可であったり登録を行っていなかったりする業者も存在するので、注意しましょう。
そういった悪徳業者は、高額な費用を請求したり、不法投棄されたりする可能性があります。産業廃棄物運搬収集の許可か、古物商の許可があるかどうかを確認し、もしそういった許可を持たない業者であれば、控えたほうが無難です。
自治体の不用品回収を利用する
自治体の不用品回収を利用すれば、自治体によって異なりますが、大体数百円から数千円の費用で処分することができます。ネガティブな面として、廃棄物を自分で指定の場所まで運ばなければならなかったり、あらかじめ電話などで、連絡を取り決められた日時に出す必要があったりします。
また、土日や祝日は対応していないことがほとんどなので、注意が必要です。利便性という点では、あまりよくはありません。ただし、安く処分できるので、リサイクルショップで買い取ってもらえなかったものは、自治体の不用品回収を利用してみましょう。
解体業者と価格交渉してみる
解体費用を安く抑えるコツとして、直接解体業者に値引き交渉してみることも手です。ただし、値引をお願いする前に、複数の解体業者から見積もりを取り、解体費用の内訳を、ある程度理解していることが前提となります。他社と比較し、一部の解体費用が他社よりも高い場合は、その差の理由を尋ねてみましょう。
しかし、あまりにしつこく値段交渉をすると、せっかく見つけたよい解体業者が、手を引いてしまう可能性もあります。程よい値下げ交渉に留めておき、風通しのよい関係性の維持を心がけましょう。
空き家を有効活用する方法を考える
解体しようとしている建物を、管轄している自治体に補助金制度がなく、実費で解体費用を支払うことが厳しい場合、解体ではなく、空き家を有効活用する方法を考えることも一つの手です。
解体の補助金がなくても、耐震工事やリフォームに対する補助金が、利用できるケースがあります。さまざまな可能性を考慮し、うまく補助金を利用して、空き家を有効活用しましょう。
自治体の補助金制度について調べてみよう
自治体の補助金制度を知っているのと知らないのとでは、解体費用に大きな差が出ます。事前にしっかりと、自治体の補助金制度を調べておくことによって、100万円以上お得に解体できる可能性があります。
また、補助金が出ることを知っていたけれど、条件に当てはまらなかったということがないように、条件に関してもしっかりと調べておきましょう。自治体の補助金を利用し、無駄な出費のない解体を行いましょう。
解体業者を探すならヌリカエの一括見積もりがおすすめ
自治体の補助金制度がない場合で、解体費用を安く抑える一番のコツは、優良な解体業者を見つけることです。一括見積もりサイトで、複数の解体業者に見積もりを依頼し、比較することが重要です。
解体業者の一括見積もりは、ヌリカエがおすすめです。信頼できる業者が見つかれば、安心して解体をお願いすることができます。わからない部分は必ず説明してもらい、相談しながら解体を進めていきましょう。