アスベスト入りの外壁塗装は大丈夫?処理費用がかかる場合・かからない場合

  • 【更新日】2023-05-22
アスベスト入りの外壁は塗装して大丈夫?

本記事は、アスベスト入りの住宅の外壁塗装を考えている方や、メンテナンス方法は塗装でいいか迷っている方に向けて執筆されました。

本記事を読めば、以下のことが分かります。

  • アスベスト入り外壁を安全に塗装する方法
  • 外壁にアスベストが含まれているかどうかの見分け方
  • アスベストのリスクと対策

 

「これだけは知っていただきたい」ということを最初にひとつだけご説明すると、アスベスト入り外壁へのメンテナンス方法として、塗装はもっとも安価でリスクも低い方法ですが、根本解決からは遠い方法となります。
塗装が選べるのは、外壁の劣化がほとんどない場合のみに限られるというのもポイントです。

「まずは劣化した外壁のメンテナンス全般について知りたい」という方は下記記事がオススメです。
> 外壁劣化は塗装のサイン?正しい対処方法と3つの注意点!

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アスベスト入りの家は外壁塗装していいの?

アスベスト入りの外壁を塗装した場合、なにか問題は起こらないのでしょうか?

結論から先に言うと、塗装作業だけではアスベスト飛散による健康被害の心配はありません
しかし、外壁材の寿命がきて交換する際や、住まなくなって家を取り壊しする際には、アスベストに特化した撤去作業が必要となり、費用も通常の作業より多くかかります。

塗装作業ではアスベストは飛散しない

アスベスト入りの建材が使われていたり、アスベスト入り塗料が塗られている外壁を塗装するだけなら、アスベストによる健康被害の心配はありません

厚生労働省のガイドライン「石綿含有仕上塗材にかかる措置について(PDF)」では、アスベストを含んでいたり、吹付け塗装されている建物であっても、穴を空けたり、表面を剥がしたりしなければ、アスベストに配慮した特別措置は必要ないと明記されています。

塗装前の高圧洗浄も問題なし

外壁塗装前に行う「高圧洗浄」。建物に強い水流を当てることでアスベストが飛散しないか心配になる方も多いかと思いますが、高圧洗浄をしてもアスベストのリスクは発生しません

前項と同じガイドラインに、「塗材面の洗浄のみ等、塗材を傷つけないときは監督署への届出、その他必要な措置はありません」と明記されています。

ただし、洗浄作業で表面が傷つくおそれがあるほど劣化が進んでいるときは、これには当てはまりません
アスベスト対策をしたうえでの外壁の撤去・張り替え工事などが必要になります。

ただし、いつかはアスベスト除去作業が必要

塗装でメンテナンスが済むのは、外壁の傷みがまだ軽く外壁材の寿命もまだ残っている段階、築年数でいえば10~20年頃までです。
今回はアスベストの撤去作業をせずに済んでも、いつの日か外壁材が寿命を迎えて交換や家自体の取り壊しをする際には、アスベストに特化した撤去・解体作業が必要になります

一戸建ての場合、アスベスト入り建材の撤去および処分費用は20~60万円です。
この金額が、今回もしくは将来のメンテナンス時にかかってしまうことは変わりません。

もし現在の家計に余裕があるのであれば、将来に持ち越さず、すぐにアスベスト入り建材の撤去と張り替えを行ってしまうのもアリです。

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アスベスト入り外壁のメンテナンス方法3つ

あなたの住宅にアスベストが使われている場合、メンテナンスはアスベスト入り住宅に対応した方法を選ぶこととなります。
メンテナンス方法には「塗装」「カバー工法」「張り替え」の3つがあり、このうち「塗装」と「カバー工法」のはアスベストが飛散する心配がなく、撤去費用もかかりません

工事方法 費用相場 メリット デメリット
塗装 70万円~90万円 もっとも安い アスベストは残り続ける
外壁に大きな劣化や傷があると不可
カバー工法
(重ね張り)
140万円~150万円 張り替えよりも安価 アスベストは残り続ける
外壁の下地に劣化あると不可
張り替え 230万円~300万円
(アスベスト除去費込み)
アスベストの除去が可能 専用の撤去作業が高額

アスベストがある場合の、それぞれの工事について見ていきましょう。

各工事方法について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「外壁塗装の費用相場は?費用の計算方法と安くする方法についても解説」
>>「外壁の「カバー工法」の費用相場は? 地震に弱くなるってホント?」
>>「外壁の張り替え費用の相場はいくら?一部分のみ張り替え費用・重ね張りとの違いも解説」

アスベスト入り外壁の「塗装」

アスベストが使われている外壁の表面を塗り替える工事です。
メンテナンス方法のうち最も安価で、アスベストの飛散リスクもありません

ただし、アスベスト自体を除去しているわけではないため、将来的にはアスベストの撤去が必要です。

メンテナンス方法として塗装が選択可能なのは、劣化やキズが塗膜層のみで外壁材には達していない場合です。

アスベスト入りの外壁の「カバー工法」

アスベスト入りの外壁材の上から新しい外壁材を重ね張りする工事です。
同じく外壁材を張る「葺き替え」に比べて費用が安く、アスベストが飛散することもありません

ただし、塗装と同様にアスベストそのものを撤去する工事ではありません。
そのため、その後に外壁の張り替えや家の解体を行う際には、撤去費用が発生します。

カバー工法が選べるのは、外壁材は傷んでいても、外壁が張りつけられている下地は無事な場合です。

アスベスト入り外壁の「張り替え」

アスベストが使われている外壁材を撤去してから、そこに新し外壁材を貼り付ける工事です。
作業時にアスベストの飛散リスクがあるため、特殊な防塵対策が発生し、追加費用が20~60万円ほどかかります

そのかわり、アスベストの危険を完全に除去することができるため、次の張り替え時や住宅の解体時などにはアスベスト対策費用はかかりません

外壁材、下地ともに傷んでいる場合は張り替えとなります。

どの工事も専門業者へ依頼が必要

3つのいずれも素人では現実的に不可能なため、塗装や建築のプロに任せる必要があります。
なお、アスベストの撤去作業ができるのは、3つの条件のいずれかを満たした業者のみです。

  • 「石綿作業主任者」がいる
  • 「特別管理産業廃棄物管理責任者」がいる
  • 作業者全員が石綿特別教育を受けている

 

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外壁にアスベストが使われているか調べる方法

  • 国のデータベースで検索する
  • 年代から見分ける
  • 建材から見分ける
  • 専門家に調査を依頼する

国のデータベースで検索する

石綿(アスベスト)データベース

国交省および経産省が設置している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」では、建材の商品名やメーカー名、型番などからアスベスト含有の有無を調べることが出来ます。

施工時の書類などから商品名や型番が特定できる場合は、もっとも確実かつ信頼できる方法です。

年代から見分ける

アスベストの使用が全面的に規制されたのは2006年です。
つまり、それ以前に建てられた建物にはアスベストが使われている恐れがあります。

建材から見分ける

またアスベストが具体的に使われる箇所としては以下の部分が代表的です。

建物の部位 建材名 イメージ 備考
外壁 窯業系サイディング 単色塗りで施工されたサイディング外壁 2006年以前に製造の場合に可能性あり
金属系サイディング 金属系サイディングの外壁 1990年以前に製造の場合に可能性あり。断熱材部分に使用
押出成形セメント板(ECP) 押出成形セメント板(ECP) 2006年以前に製造の場合に可能性あり
ケイ酸カルシウム板 ケイ酸カルシウム板 2004年以前に製造の場合に可能性あり
屋根 スレート(コロニアル)の 2006年以前に製造の場合に可能性あり
セメント瓦 セメント瓦のイメージ 2006年以前に製造の場合に可能性あり
塗料 上塗り材 1999年以前に製造の場合に可能性あり
フィラー(下塗り材) 2005年以前に製造の場合に可能性あり

つまり、2006年以前に建てられた住宅であれば、どの箇所にアスベストが使われていてもおかしくありません。
そのため、リフォームや工事をする場合は、そもそもアスベストが使用されているかの確認を必ずしなければなりません。

「スレート」「セメント瓦」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「スレート屋根とは? 特徴・修理方法・メンテナンス周期・費用を全解説」
>>「セメント瓦とは?アスベストを含むって本当?見分け方とメンテナンス方法を解説」

専門家に調査を依頼する

より正確にアスベストの使用を調査したい場合、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持っている専門業者に調査を依頼することになります。注意すべきは、一般的な建築業者に依頼をしても無駄になる恐れがある点です。

アスベストの調査については、必ず専門業者に依頼しましょう。調査の際は外壁や内装はもちろんのこと、しっかりと屋根に上がって屋根や屋根裏まで調査をしてもらう必要があります。

その上であなたの住宅のどの部分にアスベストが使われているかの報告を受けます。これであなたがアスベストを除去するために具体的にとるべき手段が見えてきます。

アスベスト除去に補助金を出している自治体も

あなたが住んでいる市区町村によってはアスベストの調査および除去をする際に補助金が出る場合があります。役場に電話をして、建築課に問い合わせると確実でしょう。
注意すべきはあなたが住んでいるのがマンションや集合住宅である場合、補助金は所有者に支払われるということです。あなたが所有する住宅であればあなたに補助金が入るため、それを利用してアスベストの除去に臨むことができます。

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アスベストの健康リスク

アスベストは、ひと言でいうと固くて鋭い、繊維状の石のような物質です。
空気中にアスベストが飛散してると呼吸と共に吸い込んでしまい、肺に突き刺さってさまざまな健康被害を起こします。

アスベストが身体に与える影響

アスベストは石であるため、吸い込んだ人のの肺に刺さったまま、吸収・分解されずに蓄積していきます。
その結果、以下のような健康被害の原因となります。

  • 石綿肺(肺の機能の低下)
  • 肺がん
  • 悪性中皮腫

 

石綿肺(肺の機能の低下)

石綿肺とは、肺の細胞が線維化して、日常生活もままならないほどに機能が低下してしまう症状です。

肺がん、悪性中皮腫

肺がんおよび悪性中皮腫は、どちらも悪性の腫瘍であり、ともに「癌」に分類されます。

アスベストは飛散しなければ心配はない

アスベスト自体に毒性は存在しませんが、あまりに軽くあまりに細い点が呼吸を必要とする人体にとって有害なのです。つまりアスベストは飛散させなければ大きな危険はないということになります。アスベストが使われた住宅に住み続けても、そのことだけで特段の健康被害は発生しないのです。

どんな場合にアスベストは飛散するか

繰り返しになりますが、アスベストは空気中に飛散することで健康被害をもたらします。
そのため建材として使用されている住宅に住んでいるだけでは特に被害はありません。

しかしアスベストを飛散させる恐れのある工事およびリフォームをする際は注意が必要です。具体的には以下のようなシチュエーションです。

  • 外装の解体
  • 高圧洗浄
  • 災害などによる破損、倒壊

 

つまりアスベストが使われている部分に大きな力が加えられた際に飛散の恐れが発生するのです。解体や高圧洗浄はあなたの注意でリスクをコントロールすることができますが、地震などの災害については全てを予防することは不可能です。

アスベストが使われている外壁を塗装するだけの場合も、高圧洗浄で汚れを落としたり、劣化した部分を撤去したりすることがあるため一定の注意が必要となります。

 

「アスベストのリスクと対策」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「アスベスト含有住宅の見分け方3つを徹底解説!リスクや除去方法まで知っておこう」

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将来的に必ずアスベストの処理は必要

以上、アスベストの使われた住宅の外壁塗装の可否や対処方法、アスベストの健康リスクなどについてご説明をしてきました。

ポイントとしては、外壁塗装の時にはアスベストの撤去作業費はかからないが、遅くとも家の解体時にはアスベストの処理費用はかかってしまうということです。

家計の状況やライフステージを考慮して、追加費用が今支払えないなら「塗装」か「カバー工法」、予算に余裕があるなら「張り替え」を選ぶことをオススメします。

最後に、記事の要点を振り返ってみましょう。

アスベストが使われた家の外壁塗装はできる?

はい、可能です。塗装作業によってアスベストが飛散したり、特別な対策費用等がかかることもありません。詳しく知りたい方はアスベスト入りの家は外壁塗装していいの?をご覧ください。

アスベスト入りの外壁にできる、塗装以外のメンテナンス方法は?

塗装、カバー工法、張り替えの3種類です。このうち、塗装とカバー工法ではアスベストの処理費用がかかりません。詳しくはアスベスト入り外壁のメンテナンス方法3つをご覧ください。

自宅にアスベストが使われているかはどうしたら分かる?

建材の名前や型番がわかっている場合は、国のデータベースを使い検索するのがおすすめです。分からない場合は、建材の種類や年代から見分ける方法もあります。詳しくは外壁にアスベストが使われているか調べる方法をご覧下さい。

アスベストは撤去せずそのままでも大丈夫?

アスベスト入りの建材を撤去・解体しなければ問題ありません。逆に言えば、遅くとも家を解体するときにはアスベストの処理費用がかかることになるでしょう。詳しくは将来的に必ずアスベストの処理は必要をご覧ください。

地震による飛散の可能性を考えると、、アスベストが使われた建材は可能な限り撤去したほうが安心です。
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