屋根のリフォーム費用に必ず関わってくる屋根の面積。
しかし、ご自宅の屋根面積を正確に知っている方はほとんどいないのではないでしょうか。
本記事では、リフォーム費用の計算に関わる屋根面積の、なるべく簡単かつ正確な調べ方を解説しました。
見積金額が適正かどうかを知るために、お役立てください。
- 戸建て住宅の屋根面積は投影面積」のおよそ1.1倍
- 投影面積はグーグルマップの航空写真モードで見ると簡単
屋根面積の求め方は3ステップ
リフォーム費用は「屋根面積×塗料や素材の単価」で計算されます。
そのため、リフォーム費用が適正かどうかを確かめるには、屋根面積を知ることが重要です。
住宅の屋根面積は、以下の式でかなり正確なものがわかります。
屋根面積 = 屋根投影面積 × 1.1
計算の方法は、
- ネットで自宅屋根の航空写真を表示
- 屋根の辺の長さを出す
- 辺の長さから平面積を計算し、1.1倍する
の3つのステップから成り立っています。
この手順なら、家の図面などは一切不要です。
順を追って、今からくわしくご説明します。
手順① グーグルマップで自宅の屋根を表示
まずはじめに、あなたの家の屋根がどんな形をしているかを投影図でチェックします。
「屋根投影図」とは、屋根を真上から見たときに見えるシルエットのことです。
太陽が真上から家を照らしたときに、地面にできる影の形と考えるとわかりやすいでしょう。
屋根を上から見下ろした状態は「Google Map(グーグルマップ)」を使って誰でも簡単に確認できます。
本記事ではスマホアプリの画面を例に手順をやさしく解説します。
なお、パソコンでも操作はほとんど変わりませんのでご安心ください。
- 本解説では、仮の住所・住宅を使って、実際に屋根面積がわかるまでの流れをお見せします。
①-1.グーグルマップを開き、自宅住所を検索
まずはアプリからグーグルマップを開き、画面上部の欄に自宅住所を入力して検索します。
①-2.航空写真モードに切り替える
マップに自宅の地点が表示されたら、画面右上の「丸いボタン」→あらわれたメニューの「航空写真」の文字の順にタップします。
①-3.自宅の中心に航空写真を拡大
表示が実写に切り替わったら、画面をピンチイン(指先を広げる動作)して自宅の屋根を大きく表示させます。
こうして表示された自宅の屋根のクローズアップ写真が、あなたの家の屋根投影図です。
続く投影図の各辺の長さのステップも、同じグーグルマップの画面上でわかってしまいます。
手順② 屋根の各辺の長さを測る
屋根の投影図(平面図)がわかったら、グーグルマップ上で各辺の長さを導き出します。
この長さは、つぎのステップで面積の計算に使用します。
手順は以下のとおりです。
なお、複雑な形状をした屋根の方でも役に立つよう、あえて単純な長方形ではない屋根でご説明しています。
②-1.表示の傾きを調整する
自宅屋根が大きく写ったら、指先で回転させて傾きをなるべくなくします。
②-2.縮尺表示と屋根を比べ、実寸を得る
続いて、画面右下に表示されている実寸(縮尺)表示をもとに、屋根の辺の実際の長さを測ります。
航空写真を動かして、実寸表示と屋根の辺をピッタリ重ねるとよいでしょう。
プリントアウトすると楽
もしプリンターがあれば、手順「②-2」が済んだ画面のスクリーンショットを撮って、それをプリントアウトしましょう。紙に定規当てて作業をすれば、長さと実寸表示を比べやすいでしょう。
②-3.繰り返して、辺の長さをひとつずつ得る
「②-1」と「②-2」の作業を辺ひとつずつに対して行ない、投影図にある各辺の長さを把握します。
少し面倒ですが、回転と縮尺表示にピタッとつける作業を繰り返しましょう。
上図の例では、縦の辺が「8.1m」と「7.6m」、横の辺が「8.9m」と「2.0m」とそれぞれ判明し、面積を計算する準備ができました。
手順③ 屋根の投影面積を計算し1.1倍する
実際の屋根には勾配(傾き)があります。
平面図から求めた面積は傾きが反映されていませんので、ここに「1.1」を掛けることで実際の屋根面積に近い値になります。
面積の計算、傾きを反映する掛け算、それぞれを見ていきましょう。
③-1.辺の長さをもとに「投影面積」を計算
手順②で割り出した辺の長さをもとに、投影図の面積(「投影面積」)を計算します。
長方形の面積は「縦×横」で求められます。
複雑な形状の屋根でも、屋根をいくつかの長方形に分け、最後にそれを足せばれば計算できるでしょう。
上図の例では、
- 左側の細い範囲(青色): 2.0m×7.6m=15.2㎡
- 右側の範囲(黄色): 8.9m×8.1m=72.09㎡
- 左側+右側(合計): 15.2㎡+72.09㎡=87.29㎡
となり、屋根の投影面積は87.29㎡と出ました。
③-2.勾配伸び率「1.1」を掛ける
最後に、投影面積に「1.1」(勾配伸び率)を掛ければ、実際の屋根面積(近似値)が判明します。
- 「投影面積」×1.1
- = 87.29×1.1
- = 約96㎡(96.019㎡)
以上の結果から、屋根面積は約96㎡とわかりました。
つまり、屋根工事の見積書に記載されている「数量」や「施工面積」などの項目の数値が、96から大きく離れていなければ、作業量のごまかしはないとみてよいでしょう。
本手順でかけ算につかった「1.1」という数値は『勾配伸び率』というものです。
勾配伸び率とは、投影面積に対する実際の屋根面積の比率のことで、屋根の勾配が急であればあるほど大きな数値になります。
屋根勾配(傾きの角度) | 勾配伸び率 |
---|---|
3.5寸(約19°) | 1.050 |
4.0寸(約22°) | 1.077 |
4.5寸(約24°) | 1.097 |
5.0寸(約27°) | 1.118 |
5.5寸(約20°) | 1.141 |
6.0寸(約31°) | 1.166 |
6.5寸(約33°) | 1.193 |
日本の住宅の屋根勾配は、3.5寸(約19度)~6.5寸(約33度)の間であることがほとんどです。
これらの勾配に対応する伸び率は約1.05~1.2と、あまり差はないことがわかります。
そこで本手順では、計算を簡単にするため勾配伸び率を「1.1」としました。
自宅の屋根勾配が分かっている場合は、上の表からもっとも近い勾配伸び率を代入すると、より正確な屋根面積が求められます。
その他の屋根面積を知る方法
図面のいらない簡単な屋根面積の計算方法を、ほかに2種類ご紹介します。
「1階の床面積」から屋根面積を概算する
1階の床面積に、屋根の傾きが「緩やか」なら「1.2」、「急」なら「1.5」を掛けることで、おおまかな屋根面積を概算することができます。
- 屋根の傾きが緩い場合 → 屋根面積 = 1階の床面積 × 1.2
- 屋根の傾きが急な場合 → 屋根面積 = 1階の床面積 × 1.5
1階の床面積(㎡)がわからない場合は、家の坪数に「3.3」を掛けることでも求められます。
「計算が大変だ」という方のために20坪~60坪までの計算結果を5坪きざみでを表にまとめました。
家の坪数 | 屋根面積(勾配が緩やか) | 屋根面積(勾配が急) |
---|---|---|
20坪 | 79.2㎡ | 99㎡ |
25坪 | 99.0㎡ | 123.8㎡ |
30坪 | 118.8㎡ | 148.5㎡ |
35坪 | 138.6㎡ | 173.3㎡ |
40坪 | 158.4㎡ | 198.0㎡ |
45坪 | 178.2㎡ | 222.8㎡ |
50坪 | 198.0㎡ | 247.5㎡ |
55坪 | 217.8㎡ | 272.3㎡ |
60坪 | 237.6㎡ | 297.0㎡ |
瓦の枚数から屋根面積を求める
瓦屋根のお住まいのみに使える方法です。
瓦の枚数を数えて「53」で割ると、おおよその屋根面積が求められます。
計算方法は以下のとおりです。
- 瓦の総枚数÷53 = 屋根面積(坪)
このままでは、単位が「坪」なので使いづらいかもしれません。
見積もり書で使われる平米(㎡)単位に直すには、数値を3.3倍してください。
- 屋根面積(坪) × 3.3 = 屋根面積(㎡)
この方法は、瓦屋根では1坪あたり約53枚の瓦が使われていることを利用したものです。
屋根面積の計算が不安な場合は?
ここまででご紹介した方法を使えば、自宅の正しい屋根面積を把握し、工事の見積もり金額にごまかしがないかを見抜くことができるはずです。
それでも不安が残る場合や、計算が合っているか自信がない方に向けて、当編集部では屋根工事費用の無料相談窓口 を設けています。
はじめから信頼できる業者に依頼できれば、屋根面積を計算したり、見積もり金額の裏を取ったりする手間そもそもが必要ありません。
ヌリカエでは、全国の信頼できる業者もご紹介できますので、そういったお問い合わせもお気軽にどうぞ。
以上、本記事がお役に立てば幸いです。
あなたの住宅リフォームの成功をお祈りしております。
- 建築工事研究会『積算資料ポケット版 リフォーム編 2022年度版』一般社団法人経済調査会 2021 p.133「屋根面積算出のための勾配伸び率」