遮熱塗料の実際の効果は?~外壁塗装で検討に必要な部分を解説~

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ガイナ、サーモアイ、クールタイト、アドグリーンコート。

夏に向けたリフォームで、年々、こうした「遮熱塗料」の名前を耳にする機会が増えてきました。

ただ、メーカーのホームページを見ても、Webメディアを眺めてみても、「実際に遮熱塗料を使って屋根・外壁塗装をすべきなのか」が全く分かりません。

そこで本記事では以下の2点について、塗料メーカーや老舗塗装業者へのヒアリング情報をもとに、解説します。

  • ・「屋根や外壁塗装では遮熱塗料を検討すべき」だということ
  • ・その理由を、遮熱塗料の効果、性能、弱点といった観点から

本記事を読んで、塗装を選ぶ時の参考にしてください。

本記事のPoint 塗装工事を検討する際は、3つの理由から、遮熱塗料を検討することをお勧めします。
①遮熱塗料を屋根や外壁に塗ると、太陽光を反射し、表面温度や室温が上がるのを抑えることができます。
②その結果、電気代を節約できたり、建物が傷むのを遅らせたりできます。
③汎用塗料(=一般的な塗料)と比べて2%ほど費用がかさむものの、遮熱効果のメリットで、十分に回収することができます

1. 遮熱塗料はどんな性能をもっているか?

1.1. 遮熱機能がもたらす3つの効果






遮熱効果①:建物を暑さから守る



▼遮熱効果のメカニズム

遮熱塗料のもたらす効果の一つは、「建物を暑さから守る」ことです。

遮熱塗料を屋根や外壁に塗ることで、塗布面の表面温度上昇が抑制された結果、室内の温度上昇が抑えられます。




夏場、建物は「①お日様が強い→②屋根や外壁が熱くなる→③熱が伝わる→ムワッ」という流れで暑くなります。

遮熱塗料は、このうち、①→②を何とかしようとして開発されました。

日差しそのものを反射してしまうことで、熱の発生自体を防ごうというのが遮熱塗料の狙いなのです。



▼遮熱効果の効用

塗料メーカー各社や環境省が行っている、遮熱塗料による施工面の表面温度、室温の上昇抑制効果に関する実験データによると、

● 遮熱塗料を塗布した場合、非塗布の場合と比較して、屋根の表面温度は平均8℃~10℃下がる
● 室温は平均2~3℃下がる

という結果が得られています。

ただし、確かに温度の上昇は抑制されるものの、遮熱効果による体感温度の変化は、「誰でも違いがはっきりとわかる」レベルの落差ではありません。

そのため、実際に検討する際には、「確かに言われてみると涼しくなっているかも知れない」という程度の変化だと考えるのが良いでしょう。

なお、参考までに、代表的な遮熱塗料の温度上昇抑制効果実験のデータを、下に載せておきます。

塗料名 メーカー 実験者 条件 結果
サーモアイSi 日本ペイント 環境省 工場内 屋根表面温度:-7.8℃
体感削減室温温度:-2℃
ミラクール ミラクール 環境省 工場内 屋根表面温度:-8.6℃
体感削減室温温度:-1.8℃
クールタイト エスケー化研 メーカー 工場内 屋根表面温度:-12℃
体感削減室温温度:-3℃
アドグリーンコート 日本中央研究所 メーカー 工場内 屋根表面温度:-27.5℃
ガルバリウム鋼板への
アドグリーンコートの塗装
体感削減室温温度:-4℃

遮熱効果②:節電&エコ



▼遮熱効果のメカニズム

遮熱塗料のもたらす効果の二つ目は、「節電&エコ」に繋がることです。

暑い夏場に冷房はつきものですが、遮熱塗料は、一つ目の遮熱効果である室温の上昇抑制効果によって、冷房を節約する効果を発揮します。

  • 太陽光をはね返す

  • 室温の上昇2~3℃抑制

  • 冷房の設定温度2~3℃抑制

  • 10%~20%程度の節電

  • 電力生産に伴うCO2排出量の削減
  • 実は、夏の日中(14時頃)に一般家庭で消費する電力のうち、テレビや冷蔵庫よりも多く、大きな割合(58%)を占めるのがエアコンだと言われています(※1)

    そして、この電力消費に伴い、電気代がかかるだけでなく、石炭等の火力発電によって消費相当量のCO2が排出されています。

    つまり、遮熱塗料が室温の上昇を抑えることで、冷房を使いすぎなくなり、間接的にCO2も減る、というのが2つ目の遮熱効果なのです。


    ※1:エアコンと温度の関係(ダイキン公式ホームページ)より名




    ▼遮熱効果の効用

    上述のように、遮熱塗料には、10%~20%程度の節電効果があると考えられます。

    その根拠として、次の2つのエビデンスが挙げられます。

    ● 冷房の設定温度を1℃上げると約10%の節電(エアコンメーカーのダイキン)
    ● 暖房の設定温度を2℃下げると約7%の節電(経済産業省)

    これは、電気代に換算すると、おおよそ1,000~2,000円/月、3,000~6,000円/年くらいの効果だと見積もることができるでしょう(※2)
    (基本的な電気代がご家庭によって実に様々なので、あくまで延べ床面積30坪程度の一般住宅を想定しています)

    ただし、温度上昇抑制効果と同じく、節電&エコ効果についても、「期待できそうだが、期待しすぎは良くない」程度に考えておくのが良さそうです。


    ※2:通常の遮熱塗料には断熱効果がないため、遮熱効果による電気代の節約は夏季を中心としたものになる。従って、年間での電気代節約効果はそこまで大きくならない。


    遮熱効果③:建材の熱損傷を防ぐ



    ▼遮熱効果のメカニズム

    遮熱塗料のもたらす効果の3つ目は、「建材の熱損傷を防ぐ」ことです。

    屋根や外壁などの建材は、熱の作用を受けることで劣化が進み、耐用年数が短くなることがあると言われています。
    (科学的な正式名称ではありませんが、ここでは便宜上、「熱損傷」と呼ぶことにします)

    遮熱塗料は、表面温度の上昇を抑制する効果によって、熱の作用を軽減します。

    その結果、熱損傷による建材へのダメージを減らすことができるのです。

  • 太陽光をはね返す

  • 建材の表面温度の上昇8~10℃抑制

  • 熱による劣化作用の軽減

  • 耐用年数の伸長
  • ここで、注意していただきたいのですが、屋根材や外壁材は、湿度や風雨や高度など、他の様々な条件と合わさって、長期的に、徐々に劣化していくものです。

    そのため、熱損傷の防止効果はあるものの、「遮熱塗料を塗ったら確実に劣化がマシになる」とは言い切れません。

    あくまで、大切な建物を守っていくための手段の一つとして、検討するようにしましょう。



    ▼遮熱効果の効用

    残念ながら、弊社で調べた限りでは、第三の遮熱効果である「熱損傷の防止」に関する説得的なデータは見当たりませんでした

    ただし、熱損傷自体は経験的に広く認められている現象ですし、メカニズム上、一定の遮熱効果は発揮されているものと考えられます。

    実際に、創業100年の外装リフォームの専門家に話を伺ったところ、現場経験からして、遮熱効果のうち最も実質的な効果が認められるのは熱損傷の防止だというご意見もいただきました。

    こうしたことを踏まえると、熱損傷の防止効果は、「具体的にこのくらい良くなる」とは断言できません。

    ただ、現実的なメリットとしては重要であり、ある程度は期待しても良さそうです。

    1.2. そもそも遮熱塗料とは?ー汎用塗料との違いー

    効果について説明しましたが、そもそも遮熱塗料とはどんな塗料なのでしょうか。

    遮熱塗料とは、汎用塗料(=特殊機能をもたない一般的な塗料)と比べて、太陽光を反射する力が強い塗料のことです。

    正式名称を「高日射反射率塗料(※3)と言い、2011年に、(一社)日本塗料工業会によってJIS K5675という工業規格が定められています。

    通常、日射反射率の低い汎用塗料では、塗膜(=塗料の表面)が太陽光を十分にはね返すことができず、光エネルギーの大部分が塗膜を通り越して屋根材にまで届いてしまいます。

    これに対して、遮熱塗料は、樹脂にセラミックを配合したり、特殊な顔料を混ぜ合わせることで、太陽光のうち「近赤外線領域(※4)」と呼ばれる光線の大部分を反射する力をもっているため、屋根材に届く光エネルギーを大幅に減らすことができます。

    このように、遮熱塗料は、日射反射率が一般的な塗料に比べてとても高い、つまり、お日様をはね返す力が強い塗料なのです。
    (”日射” を ”反射” する ”” が汎用的な塗料と比べて ””い 特殊な ”塗料”、略して、「高日射反射率塗料」です)



    ※3:「高日射反射率塗料とは、太陽光に含まれる近赤外領域の光を高いレベルで反射することにより、塗膜ならびに被塗物の温度上昇を抑えることができる機能性塗料の一つです。一般的には遮熱塗料と呼ばれることもあります。」
    (出典:(一社)日本塗料工業会ホームページ[2019 年 7 月 06 日閲覧]

    ※4:太陽光の日射スペクトルは、その波長により紫外線領域、可視光線領域、赤外線領域の3つの領域に分類できる。紫外線領域は、科学でき名作用を及ぼす波長領域であり、物質を劣化させたり日焼けなどの原因となり、太陽光エネルギーの3%を占める。可視光線は、色として認識できる波長領域で、太陽光エネルギーのうち約47%を占めている。太陽光に含まれる赤外線は、赤外線の中でも近赤外線と呼ばれる波長領域で、太陽光エネルギーのうち50%を占める。この近赤外線領域の光エネルギーが吸収されると、分子運動が活発になり、熱エネルギーへと変換される。(出典:同上)


    1.3. 遮熱効果って、結局、どこまで期待していいの?

    結論から申し上げますと、遮熱塗料を実際に使った人の声からは、概ね「実感≧期待」ということができ、実験で得られたデータには信用性があると言えます。

    まず、一般社団法人 環境情報科学センターが2016年に行ったアンケート調査により、次のことがわかりました。



    まず、パッと結果を見る限りでは、「期待通りか否かはどちらとも言えなさそう」と思えます。

    しかし、よくよく内容をちゃんと見てみると、実は、「期待以上と考えても問題がなさそう」ということがわかります。

    というのも、遮熱塗料を期待通りであると答えた人の多くが、導入後の効果計測をした上で回答していたのに対して、期待ほどではないと答えた人の多くは、効果計測を行っていなかったからです。

    さらに、同アンケートでは、今後の遮熱塗料の導入意向についても聞いていますが、既に遮熱塗料を導入している自治体は、「9割以上が今後も導入したい」との意向であり、その理由として「効果が期待できる」とした回答が多かったとのことです。

    4.2. クールタイトシリーズ

    「クールタイト」シリーズは、大手メーカー「エスケー化研」が製造する屋根用遮熱塗料です。

    樹脂の違いにより5種類あり、それぞれ耐用年数が異なります。耐用年数が長いものほど、価格も高くなります。

    また、同シリーズの下塗材と組み合わせて、金属製の屋根の耐久性・遮音性を上げる「クールタイトEL工法」という塗替え工事ができます。

    効果は、サビや熱変形に強くなる、屋根の雨音が軽減されるというもの。

    「カラー鋼板」「ガルバリウム鋼板」などの金属屋根の家にお住まいで、これらの効果に期待される方にオススメできます。

    塗料のカラーバリエーションも多く、他社製を含む同等商品のなかでは最多の41種類。デザインの幅が広い塗料です。

    初期費用が安い遮熱塗料であり、導入しやすい塗料になっています。ただ、一年間当たりのコストパフォーマンスはあまりよくないです。


    4.3. アドグリーンコート

    「アドグリーンコート」とは、日本中央研究所株式会社が開発した、屋根用遮熱塗料のシリーズです。

    シリーズの内訳は全2種類です。

    比較的マットなカラーをラインナップにもつ「アドグリーンコートEX」と、

    はっきり光沢がわかるカラーの「アドグリーンコートGL」に分かれています。

    どちらも水系のシリコン樹脂塗料で、他社の多くのシリーズのように、樹脂の違いによるバリエーションはありません。

    住宅の屋根に多い濃色系カラーは「EX」に集中しています。

    業者からの見積り等で本塗料を知った方には「アドグリーンコートEX」の名前を目にした方が多いと思います。

    アドグリーンコートのいい部分は安全性が高く、環境負荷の少ない塗料であることです。


    4.4. ガイナ

    「ガイナ」とは、日進産業が開発した、屋根・外壁用の遮熱塗料です。

    水系のシリコン樹脂塗料で、他社の多くのシリーズのように、樹脂の違いによるバリエーションはありません。

    「ガイナ」は、遮熱塗料でありながら「断熱・保温(暖房効率アップ)」「遮音・防音」「空気質改善(臭い対策)」の他に、「防露」「耐久」「低VOC(揮発性有機化合物)含有」「不燃」等の様々な効果が備わっています。

    また、「ガイナ」はロケットの塗装にも使われるなど、先端宇宙技術をもとに開発されており、メーカー公式サイトやカタログなどでよく宣伝文句としてうたわれています。

    価格にそこまでこだわらず、高性能なものを求めている方におすすめです。

    5. 遮熱塗料はどうやって選ぶ?

    5.1 JIS規格を参考にする


    改めて、遮熱塗料の選定で難しいところの一つは、異なるメーカーの遮熱性能を横並びにして比較しづらいことです。

    そこで、2018年の10月に(一社)日本塗料工業会によって、高日射反射塗料(=遮熱塗料)の製品性能に関するJIS規格が定められました。

    この JIS K 5602 では、遮熱塗料の日射反射率(=お日様をはね返す力)を、明度(=色の濃さ)によってレベル分けし、星1つ~星3つで認定を行っています。

    出典:一般社団法人 日本塗料工業会 『遮熱塗料(屋根用)自主管理要綱』

    何やら、ややこしそうな専門用語が並んでいますが、何も気にしなくて大丈夫です。

    大事なことは、①この星マーク(下図)を付与された登録製品は一定の信頼がおける、ということと、②星の数でレベルを比較できる、ということの2点です。



    出典:一般社団法人 日本塗料工業会 『遮熱塗料(屋根用)自主管理要綱』


    2019年7月現在では、JIS K 5602に登録されているメーカー・登録件数は下記の通りです。

    出典:一般社団法人 日本塗料工業会 公式ホームページ


    ただ、既にお気づきかもしれませんが、このJIS規格は、昨年(2018年)に制定されたばかりで、業界にはまだまだ普及しておらず、登録件数もそこまで多くはありません。

    また、登録にかかる手間やコストの大きさから、JIS規格自体を疑問視する声も少なからずあります

    そのため、こちらもあくまで参考材料としつつ、より強い興味があれば、日本塗料工業会などの第三者機関に相談してみるのが良いでしょう。

    5.2 業者の見積り提案を参考にする

    塗料選びのコツとして、次のようにうまく塗装業者の提案を参考にするのも一つの方法です。

    ・①自分が気になる遮熱塗料、②業者の得意な遮熱塗料、③汎用塗料、の3パターンの見積もりを依頼する。
    ・塗装業者の現場経験から見た①~③それぞれのメリット・デメリットを聞く。
    ・同じことを+2~3社で行ってみる(=相見積もり)。

    専門塗装業者はプロですが、あくまでそれぞれの会社ごとに経験や考え方は違いますし、中には優良とは言えない業者に出会ってしまう可能性もあります。

    ですから、大事なことは、業者を怖がることなく、かと言って情報を鵜呑みにすることもなく、しっかりと相見積もりをとったうえで検討をしていくことです。

    弊社ヌリカエでも、地域で評判の良い業者から一括で見積りを取得できる業者紹介サービスを行っております。

    こうしたサービスや、第三者機関の相談等もうまく活用しつつ、客観的な目で判断していくことが、塗料を選ぶうえで、引いては失敗のない屋根・外壁塗装工事を行っていくうえで、一番大事なことでしょう。


    6. 最後に:後悔のない屋根塗装を目指して

    屋根塗装を成功させるために、塗料選びは本当に重要な作業です。

    単なるコストの話だけでなく、5年後、10年後の住環境を左右する力を塗料はもっています。

    そして、本記事で紹介した遮熱塗料を始め、見過ごされがちだけれど重要な塗料は、他にもたくさんあります。

    ぜひ、他の記事も読んでみる、実際に見積もりをとってみるなど、この機会に積極的な情報収集をしてみてはいかがでしょうか?



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    この記事の監修者:株式会社POD 代表取締役  長谷川佳広

    監修者:株式会社POD 代表 長谷川佳広

    塗装歴29年。年間施工件数は200件にのぼる。千葉を中心に戸建・マンション・アパート・工場・店舗等の外装一切を請け負い、経営と現場の両面に携わる。

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