【光触媒塗料】外壁塗装で検討する価値はあるか?~効果・実績・費用~

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新幹線、空港、丸ビル、大学、パナホーム、果てはクフ王のピラミッド・・。

誰もが一度は利用したことのあるこれらの空間、その共通項をご存知でしょうか?

「光触媒(ひかりしょくばい)」

1967年に発見され、1980年代から多様な業界での産業化が進められた”夢のエネルギー源”は、持ち前の低汚染性を武器に、外壁・屋根塗装用の塗料にも応用されてきました。

しかし、(株)TOTO(当時:東陶機器株式会社)が開発した”夢の塗料”、ハイドロテクトコートは2017年に販売中止

現在、日本国内では、光触媒塗料を生産・販売する塗料メーカーは、わずか10社にも満たないと言われています。

本記事では、高い機能性を持ち、多方面で数々の実績を持ちながらも、塗装業界で苦戦を強いられている「光触媒塗料の謎」に迫ることで、塗料選びの参考になる情報をお届けいたします。

Point
  • 光触媒塗料は、「セルフクリーニング」という優れた機能と長い耐用年数を持つにもかかわらず、売れ行きが伸び悩んでいる。
  • これは、光触媒塗料に、開発者・塗装業者・施主のそれぞれにとってのデメリットとなる弱点があるからだ。
  • ただし、それらの弱点は、光触媒塗料の性能自体を損なうものではない。
  • そのため、外壁塗装の際には、自分から光触媒塗料を希望する必要はないものの、業者からの提案があり、それが自分の要望に沿う範囲であれば、検討する価値は十分にある。
  • 1. 光触媒はどんな性能をもっているか?

    1.1. 光触媒塗料とは?ー汎用塗料との違いー

    光触媒塗料とは、セルフクリーニング機能をもち、汎用塗料(=特殊機能をもたない一般的な塗料)よりも耐用年数が長い塗料のことです。

    セルフクリーニング機能は、「雨が降ることで、外壁や屋根の汚れが勝手に落ちてくれる」ことを期待できる、優れモノの機能(※1)で、TOTOと塗料会社”オキツモ”との共同研究により開発されました(※2)。
    (汚れが”自”ずと”浄”まる=”自浄”=”セルフ””クリーニング”、という意味です)

    TOTOとオキツモは、両社の知見・技術を持ち寄ることで、もともとは、車のガラス窓であったり、温水洗浄便座であったりと、様々なところに用いられていた「酸化チタン(※3)」という光触媒(※4)の力を引き出し、外壁用の塗料として応用することに成功したのです。

    この研究開発は、「ハイドロテクトコート」という名称で、業界初の光触媒塗料として製品化され、建築用塗料・塗装業界に大きなインパクトを与えました(※5)。

    こうして生み出された光触媒塗料は、耐用年数の長さが期待される「塗料業界の新星」とも言える塗料なのです。



    ※1:「汚れが落ちる」というのは、あくまで、セルフクリーニング機能の理論的な説明。実質的には、「汚れが完全に落ちる」「汚れない」といったものではなく、「汚れづらい」という程度の効果であると考えた方が良い。
    ※2:出典:渡部俊也・米山茂美 『TOTOにおける光触媒の開発と事業化』p.22[閲覧:2019年8月2日]
    ※3:実は、酸化チタンは、白色顔料(塗料を白色にするために配合する顔料)として、長らく汎用塗料にも使われてきている。チョーキング現象、すなわち、経年劣化した外壁を手で触ると白いチョークのような粉が付く現象は、太陽光を浴びた酸化チタンが塗料の成分を分解してしまうことで起こる。その意味で、光触媒塗料は、「酸化チタンを始めて実用化した塗料」ではなく、「従来使われていた酸化チタンのもつ機能をさらに引き出し、実用化することに成功した塗料」であると言える。
    ※4:現在、実用化されている光触媒は、酸化チタンと酸化タングステンの2種類。通常、光触媒といえば酸化チタンのことを指す。
    ※5:ハイドロテクトコートは、2006年5月に「平成18年度 全国発明表彰「恩賜発明賞」」、2010年10月に「 第12回グリーン購入大賞「経済産業大臣賞」」など数多くの賞を受賞している。また、ハイドロテクトコートの発売以降、ベンチャー企業的に、いくつもの企業が光触媒塗料の開発・生産・販売を行うようになった。



    1.2. 光触媒って、そもそも何?

    光触媒塗料の機能・効果の説明に入る前に、まず、「そもそも光触媒ってなんだっけ?」ということを簡単に説明します。

    光触媒とは、「光」+「触媒」の合成語です。



    「光」は、皆さんよくご存知、太陽光のことですね。

    「触媒」とは、「化学反応において、自身は変化せずに特定の反応を促進させる作用を持つ物質の総称(※6)」のことです。

    うーん、急に化学の話が出てきて、ちょっと難しいですね・・・。

    小難しい話が苦手な人の為に、例を出しましょう。

    例えば、いつもは友人にからかわれてもニコニコしている山田君。

    でも、ある日、いつものように西元君が山田君をからかうと、その日に限って、山田君は怒りだしました。

    不思議に思った西元君が振り返ると、山田君の目線の先には、クラスのマドンナ木下さんが・・!

    いつもは我慢していた山田君も、憧れの木下さんの前でからかわれるのは許せなかったようです。

    ここでは、木下さんが触媒となり、西元君の「からかい」によって、山田君が「ニコニコ→怒りんぼ」に変化するのを助けています。

    木下さんがいなければ起こっていなかった反応が、木下さんの存在によって引き起こされる。

    でも、当の木下さん自身には、何の影響もない。

    こうした、他の反応を助けるような存在のことを、化学の世界では「触媒」と呼ぶのです。

    化学反応を人間に例えるのはかなり無理がありますが、化学が苦手な方は、「触媒ってざっくりそんなもの」とイメージしてください。

    さて、話を光触媒へと戻します。

    光触媒は、「光」+「触媒」の合成語でした。

    もうお分かりかと思いますが、光触媒とは、「太陽光(※7)を吸収することで化学反応を促進させる物質」のことを言うのです。



    ※6:Weblio辞書_「触媒」より引用
    ※7:太陽光の日射スペクトルは、その波長により紫外線領域、可視光線領域、 赤外線領域の3つの領域に分類できる。紫外線領域は、科学でき名作用を及ぼす波長領域であり、物質を劣化させたり日焼けなどの原因となり、太陽光エネルギーの3%を占める。可視光線は、 色として認識できる波長領域で、太陽光エネルギーのうち約47%を占めている
    出典:(一社)日本塗料工業会ホームページ[2019 年 7 月 06 日閲覧])。これらのうち、光触媒は紫外線領域の太陽光を吸収する。



    1.3. 光触媒の2つの機能

    光触媒は、太陽光の力を借りて、大きく2つの機能を働かせます。

    「酸化分解」と「超親水化」の2つです。

    【画像:光触媒の2つの機能=酸化分解・超親水化】

    1)酸化分解について

    表面にコーティングされた酸化チタンなどの光触媒に有機化合物が接触し、そこに光があたると、有機化合物に含まれる全部の炭素が二酸化炭素になるまで酸化分解(「完全酸化反応」)されます(※8)。




    ・・が、この酸化分解の話を細かく理解・記憶する必要はありません。

    ここでは、「光触媒によって、何かが分解されるんだな」とだけ覚えておいてください。

    2)超親水化について

    光触媒は、コーティングされた物質の表面を、水と馴染みやすい状態(「超親水性」)にすることができます。

    雨がひとしきり降った後、色々な物の表面を観察してみると、表面に水滴がいくつも付着している物もあれば、キレイに乾いてしまっている物もあるはずです。

    表面に水が付いた時、前者のように、水と馴染むことなく、水分が固まって水滴となるような性質のことを「撥水性(はっすい)」、後者のように、水と馴染んで水が表面に薄く広がっていくような性質のことを「親水性」と呼びます。




    このように、光触媒は、物質を親水性が非常に高い状態に変える力をもっているのです。



    ※8:[参照]2004/09/14 地球環境科学研究科公開講座 「光できれいに:光触媒反応による環境浄化」



    1.4. 光触媒の5つの効果

    光触媒は、「酸化分解」と「超親水化」という2つの機能によって、5つの効果を発揮します。




    出典:光触媒工業会 公式ホームページ

    1)酸化分解による効果

    上で見たように、光触媒は、「何かを分解する」機能をもっています。

    具体的には、水中や物質表面、空気中に含まれる微生物や埃などの有機物を分解し、除去する力があります。

    この機能によって、主に、①水浄化、②抗菌、③ガス分解という、3つの効果を発揮することができます。

    2)超親水化による効果

    また、光触媒は、物質の親水性を高める機能をもっています。

    これにより、例えば車のミラーやガラスなど、見えにくくなってはいけない物にコーティングすることで、④防曇(ぼうどん)効果を発揮することが期待できます。

    そもそも、「曇る」という状態は、細かな水滴によって物質の表面が凸凹となり、光が乱反射されることで起こります。

    そこで、光触媒のコーティングによって表面の親水性が高められることで、表面に付着した水が水滴とならずに薄く広がり、表面の滑らかさがキープされるため、光の乱反射(≒曇り)を防ぐことができます。

    3)酸化分解+超親水化による効果

    光触媒の発揮する効果の5つ目は、⑤防汚効果です。

    防汚効果は、「酸化分解」と「超親水化」の合わせ技で、次のメカニズムによって発揮されます。

    ・表面に付着した汚れが付着する

    ・汚れが「酸化分解」される

    ・雨が降る

    ・超親水化した表面と分解された汚れとの間に雨水が滑り込む

    ・雨水によって汚れが洗い流される


    1.5. 光触媒塗料に期待される性能

    今見てきた5つの効果のうち、外壁用塗料としての光触媒に期待されているのは、⑤防汚効果です。

    建物の外壁は、常に外気にさらされるため汚れが付着しやすく、また、風雨による劣化作用も受けやすい状態にあります。

    しかし、それにもかかわらず、外壁は洗浄等を自分で行うことが難しく、メンテナンス頻度を増やしづらいため、汚れや風雨による経年劣化が進みやすい傾向にあるのです。

    これに対して、光触媒は「雨によって汚れを落とす」という効果を発揮し得るため、外壁の表面に光触媒塗料が塗装されることで、経年劣化の原因となる外壁の弱点を補えるのではないか、と期待されています。

    この性能こそ、冒頭で紹介した「セルフクリーニング機能」と呼ばれる、光触媒塗料の優れた特長なのです。

    なお、セルフクリーニング機能による経年劣化の抑制によって、一般には、光触媒塗料には15~20年の耐用年数があると言われています(※9)。

    実際に、光触媒とその他の素材による膜材コーティングの防汚性を比べた実験(下図)では、通常の膜材、比較的防汚性が高いと言われているフッ素コーティングと比べても、酸化チタン光触媒によるコーティングが遥かに優れた結果を示しています。



    出典:大谷文章 地球環境科学研究科公開講座 「光できれいに:光触媒反応による環境浄化」



    ※9:あくまでインターネット等で散見される情報であり、実際に、精度の高い検証が行われているわけではない点に注意。個々の塗料について検討する際は、経年劣化抑制効果をメーカーや業者に問い合わせ、保証期間をしっかりと確認した上で、検討を進めるようにしたい。


    2. 光触媒塗料の謎

    2.1. 光触媒塗料を生産・販売しない大手塗料メーカー

    光触媒塗料は、既に見たように、セルフクリーニング機能による防汚効果と、それによる耐用年数の伸長という大きなメリットを持つ、魅力的な塗料です。

    その魅力に対して、これまで少なからぬ注目が集まり、今では、光触媒塗料の名は広く全国に知られるようになりました

    しかし、それにも関わらず、関西ペイント・日本ペイント・エスケー化研の3大メーカーを始め、建築用塗料の大手メーカーは、軒並み、光触媒塗料を生産・販売していません

    関西ペイントに問い合わせたところ、「光触媒塗料は販売していないし、販売する予定も(今のところは)ない」とのことでした(※10)。

    では、大手塗料メーカーは、もともと光触媒塗料に対する関心が無かったのかというと、実は、そうではありません

    例えば、関西ペイントは、2005年に、同社の研究活動の成果を掲載した『塗料の研究』の第144号で、「新規光触媒コーティング用
    ナノコンポジットの開発」というテーマの研究内容を公表しています(※11)。

    もちろん、同研究の目的や用途は定かではありません(塗料用途とは限りません)が、少なくとも、関西ペイントが過去に光触媒の研究をしていたことは確かでしょう。

    それでは、なぜ、大手塗料メーカーは光触媒塗料の生産・販売を行っていないのでしょうか?

    その理由は、おそらく、技術と市場の2要因だと考えられます。
    (これらの点については、次の章で説明します)

    ですが、いずれにしても、大手塗料メーカーは、光触媒塗料が世間から注目・期待される中、その研究を行っていたにもかかわらず、結局のところは、生産・販売を行っていません

    これが、光触媒塗料にまつわる謎の一つです。



    ※10:あくまで、筆者が電話で問い合わせた時に得られた回答であり、同社による公式発表ではない点に留意されたし。
    ※11:AT 研究所 対馬伸司・CM 研究所第4研究部 広瀬有志 『塗料の研究 No.144』「新規光触媒コーティング用ナノコンポジットの開発 Development of TiO2 -clay Nanocomposite for Photocatalytic Coatings 」(関西ペイント)[閲覧:2019年8月3日]



    2.2. 光触媒塗料の先駆け、TOTOがハイドロテクトコートを販売中止



    出典:有限会社西谷工業(閲覧:2019年8月7日)

    光触媒塗料にまつわる謎の2つ目は、非常にセンセーショナルな話です。

    2017年、業界の先駆けとして光触媒塗料を初めて開発し、世に送り出したTOTOが、その製品であるハイドロテクトコートシリーズの販売を全面的に中止しました。

    それに併せて、同社のホームページでも、『「ハイドロテクトコート専用サイト」閉鎖のご案内』と題して、同製品の販売ページの閉鎖が正式に公表されています。



    出典:TOTO 公式ホームページ 「ハイドロテクトコート専用サイト」(閲覧:2019年8月7日)

    販売中止の理由について、TOTOお客様サポートセンターに問い合わせたところ、「お引き合いが少なくなったため」との回答が得られましたが、「お引き合いが少なくなった」ことの理由については、明確な回答を得ることはできませんでした。

    要は、はっきりと言ってしまえば「売れなくなった」ということかと思われますが、世に期待され、注目度も高まる中、なぜ、光触媒塗料は売れなくなってしまったのでしょうか?

    あくまで推測にはなりますが、当編集部では、「施工における技術問題」と「価格と期待に対する効果のギャップ」の2点を背景に、塗装業者に受け入れられにくかったことが理由ではないかと考えています。

    この点についても、次の章で、説明します。


    2.3. 塗料以外は堅調な光触媒の実用製品

    今見たように、光触媒塗料は、大手塗料メーカーからは販売されず、開発元のTOTOも生産を中止しました。

    では、光触媒全体の市場が落ち込んでいるかというと、実はそうでもないのです。

    光触媒の生みの親である東京理科大学学長・藤嶋昭氏の著書によると、「光触媒タイルをはじめとする外装用建築資材(建材)」を中心に、「2016年時点での光触媒工業会の調査では、光触媒産業全体で1000億円近くの市場規模にまで成長」を見せるなど、塗料以外の諸製品では、光触媒は大きな産業となっています。

    冒頭で触れた、新幹線、空港、丸ビル・・・などでの使用も、それらの例の一つです。

    【丸の内ビルディング(丸ビル)]


    出典:三菱地所株式会社 公式ホームページ「三菱地所オフィス情報」

    このように、光触媒関連の製品自体は近年でも様々なところで使われており、市場も堅調な推移を見せています。

    では、なぜ、他の製品が堅調な中、光触媒塗料は陰りを見せているのでしょうか?

    次の章で、「光触媒塗料の謎」に迫ってみましょう。

    3. 光触媒塗料の成功を阻む3つの弱点

    3.1. 弱点①:開発難易度の高さ-塗料メーカーの目線-

    光触媒は、既に述べたように、有機物を分解する力をもった無機質な物質です。

    そのため、光触媒塗料を開発する上では、無機である光触媒を、有機質な塗膜(塗装した物質の表面)の上にコーティングすることが、技術的に難しいと言われています(※13)。

    そして、この、塗料開発の技術的ハードルの高さが、大手塗料メーカーが光触媒塗料を生産・販売していない理由の一つです。

    ただし、より正確に言えば、この技術自体が難しいというよりも、常に外気や風雨にさらされる外壁用の塗料として求められる技術水準が非常に高く、そこをクリアできるメーカーの数が限られている、というのが現状のようです(※14)。

    実際に、TOTOが初の光触媒塗料であるハイドロテクトコートの開発に成功したのも、専門的なコーティング技術をもったオキツモというパートナーを見つけられたことが成功の要因と考えられています。



    ※13:関西ペイント株式会社へのヒアリング結果より。
    ※14:関西ペイント株式会社、株式会社オプティマスへのヒアリング結果より、編集部の考察。



    3.2. 弱点②:提案難易度の高さ-塗装業者の目線-

    塗装業者が光触媒塗料の採用を検討する際には、次の3つの心理的ハードルがあります(※15)。

    ・工程が細かく指定される場合がある
    ・施主の期待が実際に得られる効果よりも大きい場合が多い
    ・濃色のバリエーションが少ない

    これらのハードルの高さから、業者目線でいえば「提案しやすい塗料」とは言い難く、結果的に、ハイドロテクトコートの販売中止など、光触媒塗料の市場停滞へと繋がっていると考えられます。


    1)工程が細かく指定される場合がある

    1点目については、提案の自由度が下がるため、業者から嫌われる恐れがあります。

    例えば、TOTOのハイドロテクトコートでは、トップコートに塗りムラがあると効果が発揮されないといった理由から、下塗り材からトップコートまで工程の指定があり、光触媒塗料を提案するハードルとなっていました。

    さらに、効果を発揮させるための工程に関する講習への参加が必要であったりするなど、塗装業者にとっては手間に感じてしまう側面もあったようです。

    もちろん、この問題を避けることのできる光触媒塗料製品も販売されてはいますが、市場全体としては、”手間のかかる塗料”のイメージがついてしまった可能性が否めません。


    2)施主の期待が実際に得られる効果よりも大きい場合が多い

    2点目は、「認知度向上の諸刃の剣」とでも言うべき弱点です。

    本記事でも紹介したように、光触媒自体が、その開発依頼、性能の高さに対する大きな期待を寄せられ、市場を拡大させてきました。

    その過程で、インターネット等でも多くの情報が発信され、表面的な説明だけを鵜呑みにした施主が「光触媒塗料は一切汚れない塗料」という過度な期待をもってしまうことも少なくありません。

    ところが、実際には、光触媒塗料には「汚れを落とす」効果があるものの、だからといって「汚れない」わけでは決してなく、実感値としては、「汚れづらい」に近いと言われています。
    (光触媒塗料で塗装をしたとしても、当然、経年劣化は発生します)


    3)濃色のバリエーションが少ない

    3点目については、個別製品にもよりますが、光触媒塗料は他の塗料と比べて色のバリエーションが少ない傾向にある、と業者からは見られているようです。

    日本の外壁は淡色の割合が大きいため、非常に大きな影響というわけではありませんが、「少しでも良い提案をして契約へと繋げたい」という思いを持つ塗装業者の立場からすると、色の提案の幅が狭まることは、心理的なハードルを高めていると言えるでしょう。



    ※15:株式会社POD 長谷川代表へのヒアリング結果より。



    3.3. 弱点③:費用金額の高さ-施主の目線-

    塗装工事を検討している施主の目線から見たとき、光触媒塗料の最大のデメリットは「費用金額の高さ」です。

    具体的なメーカーや製品にもよりますが、一般的には、光触媒塗料は汎用塗料の1.5倍程度の価格だと言われています。

    例えば、日本特殊塗料(株)では、汎用塗料の金額が2,300円~2,900円であるのに対して、光触媒塗料(エヌティオシリーズ)は5,200円と、やはり1.5~2倍ほどの金額差があります。

    もちろん、検討する際に重要なのはあくまでコストパフォーマンスであり、光触媒塗料でも、価格帯が高くなる分、耐用年数も同様に1.5倍程度に伸びると言われています。

    ただ、初期費用がどうしても大きくなってしまうのは避けられないため、コストに対する耐用年数の伸びがそこまで大きくならないと判断される場合は、価格帯の高さが導入のネックになってしまうと言えるでしょう。

    4. 光触媒塗料に挑み続ける国内塗料メーカー

    これまで見てきたように、光触媒塗料市場では、その性能に対する高い期待値や知名度にもかかわらず、塗料メーカーが苦戦を強いられている状況です。

    しかし、そのような状況下でも、いくつかの塗料メーカーは独自の技術やノウハウを武器に、光触媒塗料の生産・販売を続けています。

    例えば、2012年に設立された(株)オプティマスの販売する光触媒塗料には、特許が付与された同社の高い製造技術が反映されており、今後の販売拡大が期待されます。

    なお、ここでは、光触媒塗料に興味を持たれた方の検討材料として、光触媒塗料の生産を続ける国内メーカーと代表的な製品、価格の一覧をご紹介しますので、ぜひ、参考にしてみてください。

    塗料メーカー名 製品名 価格[/㎡] 備考
    日本特殊塗料 エヌティオ 4,100円(設計価格) スプレーコーティング
    エヌティオR 4,700円(設計価格) ローラーコーティング
    エヌティオG 6,800円(設計価格) スプレーコーティング(下地処理ガラス研磨費3,400円を含む)
    ピアレックス ピュアコート水性 2,800円(材工費) 基材:汎用水性塗料面限定
    ピュアコート水性溶剤 3,200円(材工費) 基材:汎用溶剤(二液型)塗料面、焼付鋼板
    ピュアコートタイル 2,800円(材工費) 基材:磁品質タイルなど
    ピュアコートAN-G 6,500円(材工費) 基材:ガラス
    ピュアコートV(室内用) 2,000円(材工費) 基材:水性塗膜・軽量天井材
    ニュートラル NU-COAT AP OUT-1 1,800円(設計材工単価) 適応下地:一般塗料面(アクリル、ウレタン、シリコン)タイル、コンクリート打ち放し面など
    NU-COAT AP クリア E 1,800円(設計材工単価) 適応下地:適応下地:一般塗料面(アクリル、ウレタン、シリコン)タイル、アルミ、ステンレス、ガラスなど
    NU-COAT AP IN-5 1,800円(設計材工単価) 内装用 適応下地:塗料面、クロス面、天井ボード、車内ファブリック面、カーテン等
    SICコーティングス シックコート 1,800円(材工設計価格) 基材:アクリル塗装、ウレタン塗料、シリコン塗料、クリアー塗装、セラミック塗装、御影調塗装、磁器タイル・RC面
    アートファイン
    OPTIMUS 外装用オプティマスホワイトペイント

    5. 光触媒塗料を塗装工事で検討すべきか?

    本記事の最後に、「実際に外壁塗装工事を行う場合、光触媒塗料を検討するべきか?」について、ヌリカエ編集部としての見解をお伝えしたいと思います。

    結論から申し上げますと、当編集部では、「光触媒塗料は、業者からの提案があればしっかりと話を聞き、検討する価値はあるが、自分から無理に求めるものではない」と考えています。

    まず、改めて、これまでお伝えしてきた光触媒塗料の情報を次に整理します。

    光触媒塗料 まとめ

    ●光触媒塗料は、TOTOが研究開発によって、光触媒を塗料へと応用したものである。

    ●光触媒とは、「光を吸収することで、他の物質の化学反応を促進する」物質のことで、「酸化分解」と「超親水化」の2つの機能をもっている。

    ●光触媒は、2つの機能によって、①水浄化、②抗菌、③ガス分解、④防曇、⑤防汚、の5つの効果を発揮する。

    ●5つの効果の内、光触媒塗料では、⑤防汚効果をもたらす「セルフクリーニング機能」によって、汎用塗料の1.5倍~2倍程度の耐用年数が期待される。

    ●しかし、ⅰ. 開発難易度の高さ、ⅱ.提案難易度の高さ、ⅲ.費用金額の高さ、という3つの弱点を背景に、大手塗料メーカーのみならず、ハイドロテクトコートの生みの親であるTOTOも、光触媒塗料市場から撤退している。

    ●他方、国内市場には、こうした難易度を独自の技術力でカバーしながら、光触媒塗料へと挑戦し続けているメーカーも少なからず存在する。


    これらの情報から言えることは、「あまり普及している塗料ではないものの、光触媒塗料自体は悪いものではなく、条件さえ合えば、検討する価値もある」ということです。

    例えば、施主にとってのデメリットである「費用金額の高さ」については、

    ・光触媒塗料メーカーと特約店契約を結んでいる業者に依頼する
    ・クリアコーティングを省く(ことのできる塗料を選ぶ)

    などの方法で、ある程度価格を抑えることができます。

    ですが、例えばクリアコーティングを省く方法だと、どうしてもマットな仕上がりになり「艶感」がなくなってしまうため、「仕上がり具合に対するイメージ」という条件が合致していることが大事になってきます。

    このように、光触媒塗料は、その性能自体にはある程度の期待が持てるものの、決して万能な塗料というわけではなく、機能の分、かえって制約条件も多くなってくる傾向にあります。

    そのため、無理に光触媒塗料を検討しようとするのではなく、まずはご自身がやりたい工事の条件(業者・金額・仕上がりなど)を整理してみたうえで、依頼先の業者が光触媒塗料を提案してきたときに、しっかりと検討するのが良いのではないでしょうか。



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