ベランダ防水4種を徹底比較。メリットとデメリット、費用相場は?

  • 【更新日】2023-06-15
はじめてのベランダ防水

本記事は、ベランダ防水工事をお考えの方に向けて、

    • 自分はベランダ防水工事をするべきか?
    • ベランダ防水工事にはどんな種類があるか?
    • 自分が選ぶべきベランダ防水工法はどれか?
    • DIYで安く済ませられるか?

 

が分かる解説を行いました。

あなたに最適なベランダ防水工事方法を選ぶお手伝いになれば幸いです。

本記事のポイント
  • 目立った異常がなければ、DIYによる「トップコートの塗り替え」が最適
  • 目立つ傷や剥がれ、膨れなどがあれば「FRP防水」「シート防水」「ウレタン防水」のどれかが必要
  • 維持費と使い勝手の観点から、最もオススメなのは「FRP防水」

ベランダの防水工事、私の家だといくら?

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ベランダ防水とは?

ベランダ防水とは
ベランダ防水とは、ベランダの床を防水性のある素材で覆い、防水性を高める工事のことです。

一般的な家のベランダはコンクリートや木材でできており、そのままでは家に水が染み込むため、表面が防水層で覆われています。

ベランダ防水はなぜ必要?

ベランダ防水層は、年月とともに徐々に衰えていきます。
ベランダの防水性が衰えると、雨がベランダ本体のコンクリートや木に染み込んで、ベランダに接している壁や天井から雨漏りが発生してしまいます。
それを防ぐために、劣化がはじまる前に防水工事のやり直しを行う必要があるのです。

ベランダ防水工事には4種類ある

ベランダ防水工事には、大きく分けて以下の4つの種類があります。

防水工事名 耐用年数 施工費用
トップコートの塗り替え 4~5年 3~5万円
FRP防水 10年 1万~1万4,000円/㎡
シート防水 13年 8,400~1万2,000円/㎡
ウレタン防水 10年 9,000~1万3,000円/㎡

※防水工事名をクリックすると、記事内の解説にジャンプします。

「トップコート塗り替え」は、表面の軽微な傷みを整えるメンテナンス工事、「FRP防水」「シート防水」「ウレタン防水」は、本格的な防水層の形成工事となります。

今から、ベランダ防水の4つの工法について、それぞれの特徴を比べていきたいと思います。

「トップコート塗り替え」のメリット・デメリット

「トップコートの塗り替え」の特徴
  • メリット:費用が安い。DIYが可能
  • デメリット:あくまで異常が起こる前のメンテナンス
  • 施工費用:業者なら「3万円~5万円」、DIYなら「1万円~2万円」

トップコートとは?

ベランダの表面には、防水層をさらにコーティングする「トップコート」という防水材が塗られています。
普段目にする、グレーや緑の床面は、防水層そのものではなく、このトップコートなのです。

トップコートは年月とともに、雨風や紫外線で保護効果が薄まってくるので、内部の防水層が傷む前に塗り替え作業をすることが重要です。
目安としては約5年おき、どんなに長くても10年以内には塗り替えるのがよいでしょう。

トップコートの塗り替えのメリット

  • DIYが可能
  • 業者に頼んだ場合も費用が安い

トップコートは、DIYで塗りかえることができます。 その場合は塗料や道具を含めて1万円台でメンテナンスが可能です。

またトップコートの塗り替え費用は、業者に依頼した場合でも3~5万円が目安です(標準的な10㎡前後のベランダの場合)。
他の3種類の本格的なリフォーム工事に比べれば、半額~3分の1以下の費用しかかかりません。

DIYでのトップコート塗り替え」について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

トップコートの塗り替えのデリット

  • 防水層自体は直らない

トップコートの塗り替えは、あくまで異常が起こる前のメンテナンス作業です。

ベランダ床にある軽い傷程度ならば問題ありませんが、目立つ剥がれや裂け目がある場合は解決になりません。 その理由は、内部の防水層ですでに劣化が進んでしまっている場合、表面のコーティングをしても劣化進行は止まらないからです。

塗装の効果と必要性について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>「塗装はなぜ必要?効果・種類・費用や業者の選び方をやさしく解説」

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「FRP防水」のメリット・デメリット

FRP防水の特徴
「FRP防水」の特徴
  • メリット:衝撃や摩擦に強い、工期が短い
  • デメリット:紫外線に弱い、広い面積には不向き

FRP防水とは?

FRPとは「繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)」の略称です。
FRPの外見は、白い繊維を織ったような形状です。

FRP(外見)

ベランダのFRP防水では、床面にシート状のFRPを敷き、さらに表面を樹脂で固めて防水層を形成します。

FRP防水の工事内容

[ 画像出典(キャプチャ元) ]

ベランダ防水におけるFRP防水とは、木やコンクリートで作られたベランダの上にFRP製のシートを敷き、その上を樹脂(トップコート)で固める工法です。
FRP防水は、ベランダの軽さと強度の両立が重視される場合に向いています。

FRP防水のメリット

  • 歩き回っても傷みにく
  • 軽量で建物に負担をかけない
  • 工期が短い(1~2日)

FRP防水は、固くて丈夫な仕上がりになるため、耐荷重性・耐摩擦性に優れています。
また、1平米あたり4kg前後と他の防水層に比べて軽量なのも特徴です。
そのため、古い住宅など重さに弱い設計の家にも向いています。

さらにFRP防水の工法は、乾燥を待つ工程が少ないため1~2日で防水工事が完了します。

FRP防水のデメリット

  • メンテナンス頻度が多め
  • 金属製のベランダには不向き
  • 「広くて木製」のベランダには不向き

FRPは、他の防水層よりも紫外線に弱いのが弱点です。
そのため、紫外線からの防壁となるトップコートの維持が重要で、マメな塗り替えメンテナンスが欠かせません。 目安としては、最低でも5年に一度はトップコートを塗り替えるべきです。

またFRP防水層は、固くて丈夫なかわりに伸縮性がなく、床面に膨張があると比較的割れやすい素材です。
そのため、熱による伸縮が大きく、FRPとの接着も悪い金属の床面には施工できません。

▼「FRP防水」について詳しく知りたい方はコチラ
>> FRP防水とは? メリット・デメリット、かかる費用を徹底解説

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「シート防水」のメリット・デメリット

シート防水の特徴
「シート防水」の特徴
  • メリット:日差しの強い場所に向く
  • デメリット:凹凸がある床は不可、約15年ごとの交換が前提

シート防水とは?

ベランダのシート防水とは、厚さ1~2mm程度の塩ビ製やゴム製のシートを床面に貼り付ける工法です。
防水工事のなかでは施工費が安く、平らで面積が広い床面に向いています。

シート防水の工事内容

[ 画像出典(キャプチャ元) ]

シート防水は、接着剤を使う方法と機械的にシートを固定する方法の2通りがあります。
上記は機械的固定法の工程で、接着剤をつかうよりも断熱性や通気性が高いメリットがあります。

シート防水のメリット

  • 日差しに強い
  • 目視で異常が発見しやすい
  • デザインが選べる

シート防水工法で主流の塩化ビニールは、紫外線や熱に強い素材です。
そのため、FRP防水やウレタン防水よりも、日差しがよく当たるベランダに向いています。

また、シート防水では原則トップコートを塗る必要がありません。
そのため他の防水工法では5~10年おきに訪れるトップコートの塗り替えの手間と費用が不要なのも、大きなメリットです。

シート防水のデメリット

  • 凹凸がある床には施工不可
  • 約15年ごとの全交換が前提
  • 業者の熟練が必要

シート防水は平らな床面にしか施工ができません。 そのため、凹凸があったり、形状が複雑なベランダには選べないことがあります。

また、塩化ビニールは、寿命が近づくと途端にもろくなりはじめる素材です。
そのため、耐用年数の約15年おきに再工事が必要となります。

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「ウレタン防水」のメリット・デメリット

ウレタン防水の特徴
「ウレタン防水」の特徴
  • メリット:材質を選ばず施行可
  • デメリット:品質が職人の腕に依存、経年劣化に全体的に弱い、工期が長め

ウレタン防水とは?

ベランダのウレタン防水とは、床面にウレタン樹脂を重ね塗りして防水層を形成する工法です。
床の形状を問わず施工でき、見た目も継ぎ目がなく美しいのがメリットです。

ウレタン防水の工事内容

[ 画像出典(キャプチャ元) ]

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねる防水工法です。
仕上がりは、ゴム質で弾力のある床になります。

ウレタン防水のメリット

  • 材質や形状を選ばず施工可

ウレタン防水は、液体を塗り拡げる工事のためベランダの素材・形状・面積をもっとも問わないのが特徴です。
他の方法では、床の素材との相性が悪かったり、狭くて素材がうまく張れない場合などがありますが、ウレタン防水ならばその心配はありません。

ウレタン防水のデメリット

  • 品質は職人の腕次第
  • 工期が長め

ウレタン防水は、手作業で行われます。
適切な厚みで均一にウレタン樹脂を塗るのはプロでも気を使う作業で、経験豊富な職人に依頼することが不可欠です。

さらに、ウレタン防水では、乾燥にひと晩かかる防水材を複数回塗り重ねるため、他の工法に比べて工期が長くかかります。 家庭のベランダであれば3~7日、屋上などの広い場所ならば5~10日は必要です。

▼「ウレタン防水」について詳しく知りたい方はコチラ
>> ウレタン防水のメリット・デメリットは? 他の防水工事と特徴・費用を比較

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ベランダ防水工事が必要な時期・サイン

ベランダ防水の工事が必要かどうかは、見た目の症状で判断できます。
症状が軽いものの順に解説します。

コケの発生

コケの発生

多くの場合清掃で解消しますので、ベランダ防水のやり直しはまだ必要ありません

排水口(ドレン)の詰まり

排水口(ドレン)の詰まり

ベランダの床面や排水口の清掃でほぼ解決しますので、これもベランダ防水のやり直しは不要です。
ただし、掃除をしても異常が解消しなかったり、掃除した床面にヒビや傷などが見つかった場合は再工事を検討してください。

ベランダ表面の色あせ

表面の色あせ

ベランダの表面が傷みはじめていますが、防水層にまでは達してはいません。
劣化が防水層に達する前に、表面のトップコートを塗り直す作業が必要です。

また、外見上異常がなくても、新築ないし前回のメンテナンスから5~10年経っていれば、トップコートの塗り替えを行う時期が来ています。

小さなヒビ

小さなヒビ

劣化がベランダの表面でとどまっている場合、防水層にまでは達している場合、ともに考えられます。
早めに業者による点検を受け、トップコートの塗り直しか防水工事のやり直しを行ってください。

大きなヒビ・剥がれ

大きなヒビ・剥がれ

目立つヒビや剥がれを放置すると、家の躯体にまで水がしみ込み、腐り始めてしまう可能性があります。
より大規模な修理が必要になる前に、早めにベランダ修理業者による再防水工事をおすすめします。

ベランダに雑草が発生

雑草の発生

根っこがベランダの防水層に達しており、工事のやり直しが必要な可能性が高い状態です。
自分では抜かず、防水工事業者による再防水工事をおすすめします。

天井や壁に雨漏り・雨染み

ベランダに接した天井や壁ですでに雨漏りが起こっている場合は、ベランダの防水効果がほぼ失われ、家の内部に雨水が流れ込み続けている可能性が高いです。
雨漏り修理業者や防水工事業者に大至急連絡をとることをオススメします。

ベランダ防水の費用相場

ベランダ防水にかかる費用は、FRP防水の場合で「9,750~1万3,650円/㎡」、シート防水の場合で「8,400~1万1,760円/㎡」、ウレタン防水の場合で「8,900~1万2,460円/㎡」が相場です。

シート防水は、初期費用がもっとも安く、耐用年数も最長なためコストパフォーマンスでは最良となります。

比較内容 FRP防水 シート防水 ウレタン防水
工事費用 9,750~1万3,650円/㎡ 8,400~1万1,760円/㎡ 8,900~1万2,460円/㎡
メンテナンス周期 10年 13年 10年

※工事費用は『積算資料ポケット版 リフォーム編 2021年版』(経済調査会 著)P.396をもとに実勢価格と比較のうえ算出

FRP防水の施工費用

施工単価は「9,750~1万3,650円/㎡」で、平均的な10㎡のベランダで約10~14万円が相場です。
耐用年数は10年が目安なので、1年あたりのコストは「1万~1万4,000円」ともっとも高めになります。

シート防水の施工費用

施工単価は「8,400~1万1,760円/㎡」で、平均的な10㎡のベランダで8万5,000~12万円が相場です。
耐用年数は13年と他の2つより長めで、1年あたりのコストは「6,500~9,200円」と最安になります。

ウレタン防水の施工費用

施工単価は8,900~1万2,460円/㎡」で、平均的な10㎡のベランダで約9~13万円が相場です。
耐用年数は10年が目安なので、1年あたりのコストは「9,000~1万3,000円」2番目に安くなります。

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FRP・ウレタン・シート、結局どれがいい?

「FRP防水」がもっとも多くの場合にオススメ

FRP防水は、メンテナンス頻度・費用ともに多めですが、ベランダの使い勝手が良いのが魅力です。
FRP防水層の、歩き回っても剥がれにくく、重いものを置いても耐えられる性質は、洗濯物干し多い家庭ほど活躍するでしょう。

ただし、FRP防水は木製の広いベランダ・金属製ベランダには不向きという特徴もあるので、その場合は他の方法を選ばなければいけません。
では広いベランダの場合、シート防水とウレタン防水のどちらが向いているのでしょうか?

床面積が広いベランダなら「シート防水」

FRP防水が採れない場合に、次点でオススメなのが「シート防水」です。

残るシート防水もウレタン防水のどちらも、面積の広い床に対応可能な防水工法ではあります。
しかし、比較ポイントとしてあげた「維持費用」「ベランダの使い勝手」ともに、シート防水のほうがウレタン防水に勝ります。

シート防水は、ウレタン防水より長持ちが期待できるぶん維持費も安くなります。
また、シート防水は上を歩いても剥がれにくいぶん、「使い勝手」でも軍配が上がります。

「ウレタン防水」は、他の2工法がとれないベランダ用の選択肢

ウレタン防水工法を選ぶ場合は、FRP防水もシート防水も向かないベランダの場合となるでしょう。
例えば、床面に凹凸や突起物がある、シートの施工ができないほど狭い部分がある、などの場合です。 ウレタン防水は、本記事が考える採用順位こそ低い工法でしたが、防水性能や使い勝手に問題がある工法というわけではありません。

あくまで、編集部の考える「維持費用」と「使い勝手」の比較軸では優位にならなかっただけにすぎません。
ご自宅がウレタン防水のベランダの方や、条件的にウレタン防水で施工することになった方も、気にする必要は決してありませんので、ご安心ください。

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ベランダ防水業者のオススメの選び方

防水工事が得意な業者はどこ?

ベランダ防水工事の依頼先としては、下記の3つのパターンが考えられます。

  1. 新築時のハウスメーカー
  2. 塗装業者
  3. 防水工事専門業者

 

このうち、最もオススメなのは「3. 防水工事専門業者」です。

「1. ハウスメーカー」は、費用面で大きなデメリットがあります。
なぜならばハウスメーカー・大手業者に依頼をしても、実際にベランダ防水の施工に訪れるのは下請けの「2. 塗装業者」や「3. 防水工事業者」だからです。
受けられる工事の品質は同じであるのに、マージン分の高い費用を払ってしまうことになります。

「ハウスメーカーでないと何かあったとき不安…」と思われる方もいらっしゃると思いますが、工事業者に直接依頼した場合でも、業者ごとの保証制度がきちんと用意されているので心配はいりません。

ベランダ防水工事をお得に施工する方法

最後にひとつだけ、業者選びで得する方法をご紹介したいと思います。
それは、複数の業者から相見積もりをとることです。

相見積もりは「工事の見積もり金額」を比べるために取るもの、というイメージがあると思います。
しかし実はそれだけでなく、「工事の質」「業者の質」を比べられることも大きなメリットだと考えています。
業者を決める前に、できれば最低3~4社から相見積もりを取ることがオススメです。

 

「そんなにたくさんの業者に心当たりがない…」という方は、よろしければこのページの無料相場診断から、相見積もりサービスをぜひご利用ください。

当サービスを経由して相見積もりをしていただいた方へのサービスとして、業者へのキャンセル連絡が必要な場合に、お客様にかわって当社が連絡をお引き受けいたします。
相見積もりを進めていく中で「この業者は感じが悪いな」と思ったり、「他の業者に決めてしまった場合の連絡が気まずい」という場合、喜んでご連絡を代行させていただきます。

以上、本記事があなたのご自宅のベランダ防水の検討に役立てば大変幸いです。

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