モルタル壁の基本知識 | 時期・劣化のサイン・補修方法とは?

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モルタル壁とは、「セメント・砂・水」を練り合わせたモルタル材を使った壁のことです。
モルタル材は耐久性が高いため、ひび割れが入らないようにメンテナンス出来れば、大変長持ちするのが魅力の一つです。

モルタル壁は1970年代に流行した外壁材で、最近のシェア率でいうと約15%程度とやや少なめですが、現在も部分的に使用されるなど意匠性の高い外壁材として人気があります。

そこで今回は、モルタル壁の特徴や導入するメリット・デメリットなどの基礎知識から、メンテナンスについて網羅的に解説していこうと思います。

本記事のPoint
  • モルタル壁は火に強く、仕上げの種類が豊富
  • 劣化状況を見逃さずメンテナンスすることが、モルタル壁を長持ちさせるために重要
  • 費用対効果の観点からメンテナンスは「再塗装」がオススメ
  • 費用は再塗装なら50万~60万。カバー工法の場合2倍~3倍以上になることも

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    1. モルタル壁とは?仕上げ種類が豊富な風味のある外壁

    1.1.モルタルは「セメント・砂・水」を混ぜた火に強い外壁材



    モルタル壁は「セメント・砂・水」を練り合わせ、やわらかくした建築材料「モルタル」を使用した外壁です。

    モルタルは、外壁以外にも断熱材料やタイルの接着剤として使用されるケースもありますが、主に住宅の外壁で使用されています。

    モルタルには防水機能がないためクラックが発生しやすいです。
    そのため雨水からモルタルを守るために、ラス(網の針金)の上からモルタルを左官コテで塗り付けて、そのあと塗装して外壁材に仕上げるのが一般的なケースです。


    「資料:外壁塗装パートナーズ:外壁塗装のリシン仕上げって何?モルタル壁の仕上げ方法の一つ」を参考に筆者作成

    1.2. モルタル壁は仕上げの種類が豊富

    モルタル壁は仕上げの種類が豊富です。そのため、仕上げによって外観は多様であり、パッと見ではモルタル壁かどうかの区別がつきづらいかもしれません。

    「あれ、うちの家ってモルタル壁だと思ってたけどもしかして違う?」と思った方は、以下の仕上げパターンの一覧を参考にしてください。
    ご自宅の外壁が以下のどれかの仕上げの場合、モルタル壁となります。


     
    モルタル壁の仕上げ種類
    スタッコ ・高級感と重厚感がある
    ・凸凹が激しいので汚れやすい
    リシン ・表面が細かい砂のようにザラザラしている
    ・1970~80年代にかけて頻繁に使用された
    タイル ・ランダムな凸凹がある陶磁器調の仕上げになる
    ・タイルのような光沢がある
    ジョリパット ・混ぜる骨材の量、大きさで仕上がりが異なる
    ・無限のデザインがある

    1.3.モルタル壁のメリットはメンテナンスの手間がかかりにくい

    モルタル壁のメリット

    ・サイディングの外壁と違って、コーキングの補修が必要ない
    ・遮熱性・耐火性・耐久性に優れている
    ・他外壁材にはない味わいが出る

    モルタル壁は不燃性の物質で作られているため、かなり火に強い性質があります。
    また、サイディングボードと違って継ぎ目がないので、コーキングが必要ありません。コーキングは見栄えの面だけでなく、メンテナンスが5年程度で必要となるので、その手間がかからないのはとても大きなメリットです。

    モルタル壁はひび割れが起こりやすい

    モルタル壁のデメリット

    ・仕上がりは職人の技術力に左右される
    ・ひび割れ、浮き、剥がれが発生しやすい
    ・汚れがつきやすい

    モルタルは左官職人の手作業なので、技術力が仕上がりにも影響します。そのため、経験豊富な職人に頼むことがとても重要です。
    特にジョリパットのような、意匠性と技術力が求められる商品に関しては事前に職人の実力を確認しておいた方が良いでしょう。

    またモルタルは硬くて頑丈な分、力が加わると他外壁材に比べ、ひび割れが生じやすいです。モルタルの凹凸部分にも雨水などから汚れが溜まりやすいので、日頃から洗浄でお手入れができると美観を保てます。

    1.4.モルタル壁の実際の施工事例

    モルタル壁を実際施工している外壁の例です。
    全面にモルタルだけではなく、一部分に使用する方法も多く用いられています。








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    2. モルタル壁のメンテナンス周期目安は10年に1回!

    モルタル壁の期待耐用年数は30年と言われていますが、定期的に適正なメンテナンスを行えば30年以上持ちます。

    では、「定期的なメンテナンス」とはどの程度の頻度ですればよいのでしょうか?

    一般的にはモルタル壁は

    「新築住宅では5年~10年」
    「再塗装した住宅では10~15年」

    がメンテナンス時期の目安と言われています。

    なぜ新築と再塗装で差があるかというと、以下の理由からです。

    新築と再塗装でメンテナンス時期に差がある理由
    ● 新築時:10年以上耐久性のある塗料を採用することが少ないため劣化が早い
    ● 再塗装:耐用年数が10年~15年程のシリコン系塗料を採用することが多いため、長持ちする

    しかし、これはあくまで「一般的」な目安で、ぞれぞれメンテナンスすべき年数は異なります。

    メンテナンス時期を左右する劣化症状は、建物ごとの「使用塗料」「立地環境」により異なるからです。

    例えば、シリコン塗料より耐用年数が長いフッ素塗料を使用する方もいます。その場合、20年程度劣化が発生しないこともあります。また、シリコン塗料でも、紫外線を強く受けやすい立地環境の場合、10年より短いスパンでメンテナンスが必要になることもあります。

    そのため適切なメンテナンスのタイミングは、モルタル壁の劣化状況で判断することが大切です。 では、どのような劣化症状が現れたらメンテナンスのタイミングなのでしょうか?以下で見ていきましょう。


    ※1 参考:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」


    3. モルタル壁の劣化サイン:いつ、メンテナンスすればいいか?

    以下にメンテナンスが必要な劣化症状が発生しているか、診断できる表を作成しました。劣化のサインは様々ありますが、モルタル壁の代表的な劣化症状を紹介しています。

    ご自宅のモルタル壁を見る・触るなどして、劣化症状のいずれかに該当する場合はメンテナンスの時期が到来しています。
    細かなひび割れ、カビ・コケ、塗膜の膨れ、チョーキングはすぐに対応しなければならないということはありませんが、放っておくと劣化は進行してしまいます。
    特に画像下のように大きなひび割れが起きていたら雨水が建物内部に侵入する可能性があるので、早急に業者に対応を依頼してください。

    チョーキング


    チョーキングは、外壁を触ると手に白い粉が付着してしまう現象です。 チョーキングが発生していると、塗膜の防水性が低下しているため、外壁が水分を吸収して徐々にコケやカビが広がる可能性が高くなります。

    チョーキングが起こっていたら、洗浄を行った上から塗料で塗装する必要があります。

    ヘアークラック


    ヘアークラックとは、幅が0.2mm~0.3mm以下の細くて浅いひび割れのことです。
    ひび割れは雨水が浸入し、構造部分の腐食や雨漏りを引き起こす危険性があるため、たとえ割れが細いヘアークラックでも、塗装だけでなく下塗り剤による「刷り込み」工程が必須となります。
    微弾性フィラーなどの下塗り剤を使って、クラックの中に刷り込んで補修をしていきます。

    *²:微弾性フィラー:上塗りする塗料の密着性を良くするために、塗装面を整える作業のこと。塗膜に弾性を持たせる働きがあります。弾性をもつことで、ひび割れ(クラック)があったとしても追従する働きがあり、ひび割れを起こしやすいモルタル外壁の下地に利用するケースが多いです。

    塗膜の膨れ


    上記のヘアークラックが発生した場合、雨水の侵入や直射日光による蓄熱・熱収縮・モルタル壁に含まれる湿気が原因となり膨れが生じることがあります。 モルタル壁に生じた塗膜の膨れは、塗膜による保護機能・美観性が消失しているといえるため、塗膜の膨れを除去する再塗装が必要です。

    構造クラック


    構造クラックとは、幅が0.3mm以上・深さ5mm以上ある大きなクラックのことです。放置すると基礎が低下し、建物を支えられなくなる危険性があります。
    ヘアークラックより劣化が進行しているため、早急に弾力性の高いコーキング剤で埋める補修が必要となります。

    剥がれ・爆裂


    外部からの衝撃・寒暖の差によるモルタル壁の熱伸縮によって生じます。
    モルタル壁の爆裂*3はクラックからの浸水により、モルタルが脆弱化してしまい、内部のラスや鉄筋が錆びて膨張することで発生します。

    剥がれ・爆裂は建物の寿命に大きく影響を与えるため、早急に補修工事を行う必要があります。

    *³:爆裂:鉄骨が錆びて膨張することにより、鉄骨をコーティングする素材を破壊してしまう劣化現象。 爆発したように崩れているのが特徴。

    4. モルタル壁のメンテナンス方法:基本は再塗装


    さて、上記のメンテナンスチェックポイントに該当する劣化が発生している場合、メンテナンスが必要になります。

    モルタル壁のメンテナンスの方法は3つあります。

    ①再塗装
    ②カバー工法
    ③張り替え

    劣化状況に応じてどちらの補修をするかは異なりますが、基本的には「再塗装での補修」を推奨します
    なぜか?下記でその理由を説明します。

    再塗装を推奨する理由①:たいていの場合、モルタル壁は再塗装で補修可能

    モルタル壁は深刻な劣化状況を除けば再塗装で補修可能です。深刻な劣化状況は、例えば以下のようなケースです
    再塗装が難しいケースの例
     ● 大きなクラックが無数にできており、劣化が進行し一部が崩れている状況
     ● モルタル内部のラスや鉄筋が錆びてモルタル壁に爆裂が発生している状況

    上記の症状が発生している場合は、既存のモルタル壁の下地が劣化している可能性が高いため、再塗装では補修が困難な可能性があります。
    もちろん、絶対に再塗装ができないというわけではないため、再塗装で補修可能か専門家に診断してもらうとよいでしょう。

    再塗装を推奨する理由②:カバー工法にした場合、コストが2倍~3倍に

    カバー工法とは、既存のモルタル壁の上に新しい外壁材(主にサイディング)を上張りすることです。新しい外壁材を採用するため、再塗装と比較してコストが2~3倍変わってきます。

    モルタル壁を再塗装した場合目安としては50万~60万の費用ですが、カバー工法をした場合120万~150万の費用になります。特に「新しい外壁に変えたい」という強い要望がない限りは、再塗装での補修を推奨します。

    補足

    他の外壁材に張り替える場合、サイディングを採用するケースが多いです。サイディングとモルタルとは何が違うの?という方は以下の記事で解説しているため、こちらの記事をご参考にしてください。



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    5. モルタル壁のメンテナンス費用

    実際にメンテナンスする場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか?①再塗装する場合②カバー工法する場合それぞれの目安を以下で解説します。

    5.1. 再塗装の場合

    延べ床面積が30坪の戸建てで、屋根塗装はせずにモルタル壁の外壁塗装を汎用型(=特殊機能をもたない一般的な塗料)シリコン塗料で実施した場合、約50万~約60万円が目安費用となります。

    モルタル壁を再塗装する場合の費用の目安

    使用塗料 樹脂 機能 平米単価 費用
    日本ペイント パーフェクトトップ シリコン ラジカル制御 1,500円~2,000円 535,000円~580,000円
    日本ペイント ファイン4Fセラミック フッ素 セラミック 2,500円~3,000円 655,000円~730,000円
    日進産業 GAINA アクリルシリコン セラミック・断熱性 3,800円~4,500円 811,000円~925,000円
    ※平米単価は下塗り・中塗り・上塗りの3工程 ※仮設工事15.5万円 / 付帯部15万円 / 諸経費5万円で試算 ※シーリング工事、屋根塗装工事は含まない ※モルタル壁の吹付スタッコ・櫛目模様・凹凸の深い場合は、別途費用が発生(10万円~20万円程度 )※外壁面積を120㎡~150㎡とした場合で算出

    上記の表で示した通り、使用する塗料により費用総額は大きく変わります。

    より詳細な見積もりは専門業者に診断してもらうことを推奨します。

    5.2. カバー工法の場合

    モルタル壁にカバー工法で新しい外壁を張る場合、多くはサイディングを使用します。

    モルタルにサイディングを張るカバー工法のリフォーム費用は、外壁1㎡あたり6,000円~8,000円程度が目安となり、30坪の戸建ての場合の目安費用は120万~150万*となります。
    ※30坪の外壁面積を120㎡~150㎡とした場合で算出し、外壁塗装以外の仮設工事15.5万 付帯部15万 諸経費5万で試算

    6. ケース別:モルタル壁のおすすめ塗料

    ここでは、モルタル壁の塗装を検討している方向けに、ヌリカエ編集部の独断と偏見で、お悩み別にオススメの塗料のタイプと代表商品をご紹介致します。ぜひ、検討の参考にしていただければと思います。

    価格と性能のバランスも良く10年ごとに定期的に塗り替えを予定している方

    推奨塗料 水性シリコン塗料
    理由 一般的によく使われる塗料で、価格と機能のバランスが良い塗料といわれています
    商品例 水性シリコンセラUV(日本ペイント)

    クラックが多く、雨漏りを防ぎたい方

    推奨塗料 高弾性防水塗料
    理由 モルタル壁にクラックが発生し、雨漏りが心配だ、という方におすすめなのが高弾性防水塗料。高弾性防水型塗料は、伸びる塗膜が建物の動きによるクラックに追随し表面化させないことで雨水の浸入を防いでくれます。
    商品例 EC-5000PCM(IR)(アステックペイントジャパン

    次回の塗り替えまで期間を長くしたい方

    推奨塗料 フッ素樹脂・無機配合塗料等の高耐候型塗料
    理由 「とにかく長く持たせたい、次回の塗替えまでの期間を長くしたい」という方には耐用年数が15~20年と長いフッ素樹脂や無機配合型の高耐候型塗料と呼ばれるものがおすすめです
    商品例 アプラウドシェラスターNEO(日本ペイント)

    カビを徹底的に防ぎたい方

    推奨塗料 防カビ塗料
    理由 川沿いや沿岸部の方はカビ・藻が発生する可能性が高いです。そのため、カビ、細菌、藻類等に効果を発揮する塗料がおすすめです。
    商品例 アルバイオ(水谷ペイント)

    7. まとめ

    改めて、モルタル壁の劣化サインを見逃さず、適切な時期にメンテナンスをすることが住宅の機能・美観を維持していくために大切です。

    本記事で解説した、以下の要点を理解し、モルタル壁のメンテナンスを実践していってください。

    本記事のまとめ
  • メンテナンスのタイミングとなる「劣化のサイン」を見逃さない
  • 劣化状況によるが、費用対効果の観点から「再塗装」による補修を推奨
  • メンテナンスは専門業者に依頼する
  • 後悔のない外壁塗装工事を行われるよう、スタッフ一同心よりお祈りしています。

    8. モルタルのよくあるQ&A

    Q1.モルタルの寿命は30年~40年らしいですが、寿命を過ぎると張り替えないといけないですか?

    A.必ずしも30~40年経過したからといって、張り替える必要はございません。築30年でも、再塗装で十分に耐久性の維持は可能です。世の中には、築100年もっているモルタル壁もあります。 モルタルは、築年数だけで寿命は決まりません。「仕上げ材に何を塗っているか?」「砂の種類は何か?」「ラスカットはしているか?」「定期的にメンテナンスしているか?」など複数要因が耐久性に影響します。
    そのため、専門家に診断してもらい、再塗装で対応できるか確認してもらうことがよいでしょう。

    Q2.仕上がりのいいモルタル壁にするには、業者選定時に何を気を付けるべきですか?

    表面の塗装だけであれば、サイディング等の外壁材とは変わらないため職人の腕に左右されにくいです。多彩仕上げなど、模様を変える場合は、「吹き付け」・「コテ」・「ジョリパッド」など、経験と技術が求められます。そのため、経験のある職人に依頼するのがよいでしょう。
    しかし、腕のある職人を見極めるのは困難ため、複数の業者から提案を受け、比較検討して業者選びをすることを推奨します。

    Q3.魅力的なデザインにするため模様を変えたい。費用はどれくらい高くなりますか?

    模様を変える塗装をする場合、下地処理を含めて1~2工程くらい増えます。そのため、目安として10~20万円程度は費用が高くなります。「費用を抑えて美観と保護機能のみリフォームしたい」という場合、模様を変えない塗装を選択する方が多いです。特にデザイン性に要望がない場合は、既存の模様を生かした形での再塗装を依頼しましょう。


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    この記事の監修者:株式会社POD 代表取締役  長谷川佳広

    監修者:株式会社POD 代表 長谷川佳広

    塗装歴29年。年間施工件数は200件にのぼる。千葉を中心に戸建・マンション・アパート・工場・店舗等の外装一切を請け負い、経営と現場の両面に携わる。

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