モルタル外壁の補修方法とは?劣化症状やメンテナンス周期も解説

  • 【更新日】2023-05-22
モルタル外壁の補修方法とは?劣化症状やメンテナンス周期も解説

モルタル外壁とは、セメント・砂・水を練り合わせたモルタル材を使った壁のことを指します。
モルタル外壁は耐久性が高いものの、経年劣化によって色褪せたりひび割れたりするので、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
モルタル外壁の補修方法にはどんなものが挙げられるのか、補修するべきタイミングとはいつなのかを中心に解説します。

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モルタル外壁のメンテナンス周期は10年に1回が目安

コンクリート塀の塗装作業
モルタル外壁の耐用年数は30年*¹と言われていますが、定期的に適正なメンテナンスを行えば30年以上持ちます。
一般的にはモルタル外壁では、以下の年数がメンテナンス周期と言われています。

  • 新築住宅では5年~10年…耐用年数が10年以上の塗料を採用することが少なく劣化が早いから
  • 再塗装した住宅では10~15年…耐用年数が10年~15年ほどのシリコン系塗料を採用することが多いから

 

メンテナンス周期は、建物ごとの使用塗料や立地環境により異なるため、上記はあくまでも目安です。
適切なメンテナンスのタイミングは、モルタル外壁の劣化状況で判断することができます。
どのような劣化症状が現れたらメンテナンスのタイミングなのか、次の章で解説します。


*1 参考:国土交通省「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」


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モルタル外壁の劣化症状とは?

モルタル外壁では、以下が劣化症状として挙げられます。
危険度が低い→高い順に掲載しますので、ご自宅のモルタル外壁と見比べながら確認しましょう。

変色

変色
モルタル外壁の塗膜に含まれる樹脂が紫外線や雨風などにより劣化し、変色を起こします。
壁がくすんだ色味になったり、ツヤがなくなったりしたら、変色している可能性があることに注意してください。
劣化症状としては軽い部類に分けられますが、放っておくと悪化する恐れがあるので、再塗装を施す必要があります。

小範囲の再塗装であればDIYでの補修できますが、広範囲や高い位置のモルタル外壁の色が変わっていたら業者に相談してください。

カビ

カビが生えた外壁
陽が当たりづらかったり、湿気が多かったりする箇所のモルタル外壁では、カビ・藻・コケが繁殖する場合があります。
塗膜の耐水性・耐汚染性・防カビといった効果が薄れている証拠ですので、放置するとカビがどんどん増えるかもしれません。
しっかりカビを除去したうえで、再塗装して繁殖を防ぐことが大切です。

雑巾やスポンジでこすって落ちる程度の軽い症状ならDIYで対応できますが、こすってもなかなか落ちないカビや広範囲に藻が生えていたりしたら業者に連絡しましょう。

チョーキング

チョーキング

 

チョーキングは、外壁を触ると手に白い粉が付着してしまう現象です。
モルタル外壁にチョーキングが発生していると、塗膜の防水性が低下している証拠です。
モルタル外壁が水分を吸収して徐々にコケやカビが広がる可能性が高くなります。

チョーキングが起こっていたら、洗浄を行った上から塗料で塗装する必要があります。

チョーキングはモルタル外壁全体で起こっている可能性が高いので、DIYでの再塗装は控えて、業者に任せることをおすすめします。

ヘアークラック

ヘアークラック

 

ヘアークラックとは、幅が0.2mm~0.3mm以下の細くて浅いひび割れのことです。
ひび割れは雨水が浸入し、構造部分の腐食や雨漏りを引き起こす危険性があります。
そのため、たとえ割れが細いヘアークラックでも、塗装だけでなくパテや樹脂でひび割れ個所を埋める必要があります。

幅が狭かったり短かったりするヘアークラックならDIYで補修できます。
しかし、DIYだとしっかりひびが埋められなかったり、補修跡が汚くなってしまったりする可能性が高いので、業者を依頼すると良いでしょう。

塗膜の膨れ

塗膜の膨れ

 

上記のヘアークラックが発生した場合、雨水の侵入や直射日光による蓄熱・熱収縮・モルタル外壁に含まれる湿気が原因となり膨れが生じることがあります。
モルタル外壁に生じた塗膜の膨れは、塗膜による保護機能・美観性が消失しているといえるため、塗膜の膨れを除去する再塗装をしなければなりません。

膨れた塗膜を破って綺麗に再塗装を施すには、専門的な知識と技術が必要です。
DIYでは補修せず、必ず業者に問い合わせて早めに補修してもらいましょう。

構造クラック

構造クラック

 

構造クラックとは、幅が0.3mm以上・深さ5mm以上ある大きなクラックのことです。
放置するとモルタル外壁どころか住宅の基礎まで脆くなり、建物を支えられなくなって倒壊する危険性があります。
ヘアークラックより劣化が進行しているため、早急に弾力性の高いコーキング剤で埋める補修が必要となります。

構造クラックはDIYでの補修は不可能です。かなり危険性が高いので、すぐに業者に補修工事をしてもらいましょう。

剥がれ

剥がれ・爆裂

 

剥がれは衝撃や寒暖の差によって、モルタル外壁の塗膜が劣化することで生じます。
放っておくと剥がれた箇所から雨が浸み込み、雨漏りに発展する可能性がかなり高いです。
剥がれは建物の寿命に大きく影響を与えるため、早急に補修工事を行う必要があります。

塗膜の剥がれや雨漏りもDIYでの補修は絶対に無理です。
必ず業者に連絡して、できるだけ早く補修してもらいましょう。

塗装業者に相談したい場合は、ヌリカエをご利用ください

モルタル外壁の劣化症状の中でも、特に構造クラックや爆裂などは急いで塗装業者に補修してもらう必要があります。
とはいえ、「どうやって業者を選んでいいか分からない」「業者選びが面倒くさい」と感じる方も多いでしょう。
そんな方は、是非とも外壁補修の一括見積もりサービス・ヌリカエをご利用ください。
ヌリカエでは全国2500社以上の加盟店の中から、モルタル外壁に詳しい優良業者に絞ってご紹介します。
もちろんご相談は完全無料で、「紹介された業者に必ず補修工事を発注しなければいけない」ということはありません。
DIYでモルタル外壁補修をする前に、まずは業者の見積もりを見てみませんか?

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DIYでモルタル外壁を補修するには

DIYでモルタル外壁を補修するには
変色・カビ・幅が狭く短いヘアクラックといった軽度の劣化症状で、かつ梯子や脚立を使わなくても充分手が届く範囲であれば、モルタル外壁はDIYで補修できます。
ただし、DIYでは「塗りムラができる可能性がある」「重大な劣化症状を見落とす危険性がある」など、塗装の仕上がりに不安があったり、安全性が低かったりするので強くはおすすめできません。
応急処置として自分で補修する分には構いませんが、DIYのみでは完璧にメンテナンスができるとは言い難いので、あまり期間が開かないうちに業者に直接点検してもらいましょう。

DIYでのモルタル外壁の費用は、充てん剤やヘラなどの工具類をすべて合わせても1,000~2,000円ほどでしょう。
参考として、DIYでのモルタル外壁の補修手順と、必要な塗料・工具の商品を紹介します。

再塗装の手順

再塗装の手順
モルタル外壁の再塗装は、変色・カビ・チョーキングなど劣化症状が軽いときに施します。
以下では、再塗装の手順を簡単に解説します。
ただし、劣化している範囲が広大だったり、塗膜が剥がれていたりする場合は、DIYでの補修は不十分ですので必ず塗装業者に相談してください。

1.壁を洗浄して養生する

1.壁を洗浄して養生する
モルタル外壁には排気ガスやホコリなど、たくさん汚れがついていますので落とさなければなりません。
濡れた雑巾や柔らかいスポンジで軽く表面を擦り、外壁を綺麗にしましょう。
高圧洗浄機をお持ちでしたら、塗膜が剥がれないように気を付けながら軽い力で使ってください。
また、給湯器や窓など塗料で汚したくない箇所には、養生をしておきましょう。

2.下地(フィラー)を塗る

2.下地(フィラー)を塗る
下地を塗ることで、その上から重ねて塗る塗料と外壁の密着力が高まるため、塗膜が剥がれづらくなります。
また、下地を塗らないまま塗料を塗ると、塗りづらい・塗りムラができて綺麗に仕上がらないといったデメリットもあるので、下地は必ず使いましょう。

3.塗料を塗る

3.塗料を塗る
下地が乾いたら、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素といった塗料を塗ります。
刷毛やローラーを使うと、塗装初心者でも簡単に塗ることができるためおすすめです。
ちなみに塗料ごとにそれぞれ特徴・メリット・デメリットが異なるので、商品をよく調べてから使いましょう。
塗料の選び方については、こちらの記事をご覧ください。

4.防水塗料スプレーを吹きかける

もし塗料の防水機能を高めたいなら、塗料が乾いた後に仕上げに防水スプレーを吹きかけましょう。
塗料自体にも防水効果があるものが多いですが、上からさらにスプレーをかけて仕上げることで、より強固な防水性のある塗膜ができます。
スプレーは塗り広げる際にムラになりやすいので、満遍なく塗れるよう注意しながら使ってください。

クラック補修の手順 ~初級編~

シーリング注入工法の完了状態
DIYでのクラック(ひび割れ)補修は、幅0.2mm以下と小さい場合にのみ施します。
ひび割れている範囲が広大だったり、幅0.3mm以上ある場合は、DIYでの補修は不十分ですので必ず塗装業者に相談してください。

以下では、モルタル外壁補修の専門知識のない素人でもできるクラック補修の手順を簡単に解説します。

1.壁を洗浄して下地を塗る

1.壁を洗浄して下地を塗る
再塗装する場合と同様に、モルタル外壁の表面に付着した汚れを落とします。
濡れた雑巾や柔らかいスポンジ、高圧洗浄機などを使って外壁を綺麗にしましょう。
また、外壁が乾燥したら、汚したくない箇所に養生テープを貼っておいてください。
その後、クラックに下地を塗って樹脂やパテが綺麗に埋まるように整えます。

2.樹脂やパテを充填する

2.樹脂やパテを充填する
モルタル樹脂やパテなどのコーキング材をひび割れた箇所に充填(じゅうてん)します。
ひび割れがしっかり埋まるように、丁寧に施しましょう。
あまり時間をかけると樹脂やパテが乾いてしまうので、慎重になりすぎないよう気をつけてください。

3.ヘラで押し込む

3.ヘラで押し込む
ひび割れに樹脂やパテを埋めたら、ヘラを使ってひび割れの奥までしっかり押し込んでください。
外壁の表面だけ埋めても、ひび割れの深い箇所に空洞があったら、雨や紫外線などで再びすぐ傷んでしまうからです。
ヘラの側面を使って樹脂やパテを埋め込んで、外壁表面からはみ出た分は取り除きましょう。
最後に外壁表面を平らにならしたら、充分に乾燥させてください。

クラック補修の手順 ~応用編~

充分にコーキング済が埋まるようにクラック部分を少し削る補修方法を「Uカット工法」または「Vカット工法」と呼びます。
Uカットはひびを丸く削ってU字型にする方法で、コーキング材がしっかり埋まりやすいので主流になっています。
Vカットはひびに沿ってVの字になるように削る方法で、削る面積は少なくて済むもののコーキング材が埋まりづらいです。

Uカット・Vカット工法ともに、サンダーという研磨専用の電動工具が必要になります。
素人のDIYでの補修はあまりおすすめできません
が、参考としてUカット・Vカット工法の手順を紹介します。

1.クラックに沿ってサンダーを当てる


クラックから外れないように狙いを定めて、丁寧にサンダーを当てて割れた部分を削ります。
この時、ひびに沿ってマスキングテープを使用すると、ひびが確認しやすくなりサンダーの刃先を当てやすくなるのでおすすめです。

2.下地を塗ってパテを埋める


飛び散ったモルタル外壁の粉を刷毛などで取り除いたら、下地を塗ってよく乾燥させます。
乾燥したら樹脂やパテなどのコーキング材を充填して、しっかり溝を埋めてください。

3.外壁用の下地と塗料を塗る


コーキングの跡を隠すために、上から塗装を施して見た目の違和感をなくしましょう。
モルタル外壁に対応している外壁用の下地と塗料を用意して、順番に塗ります。
かなり大掛かりな作業になるので、失敗するとモルタル外壁の寿命を縮めてしまうので、充分に注意して施工ください。

モルタル外壁の補修におすすめの商品

外壁のクラックとシーリング材
モルタル外壁を自分で補修するとき、手間がかかったり、材料費が多くかかったりすると面倒ですよね。
以下ではDIYでも簡単に済ませられるうえ、安価な商品を列挙しますので、是非とも参考にしてください。

アサヒペン 防水塗料スプレー

アサヒペン 防水塗料スプレー
アサヒペンの「防水塗料スプレー」は、モルタル外壁はもちろん、コンクリート壁、木部・スノコ・セメント瓦・カラーベスト・コロニアルなどを簡易防水できる商品です。
外壁の風化や白化、塗った面の汚れの付着を防止します。
さらに、冬期には外壁の凍結防止にも有効を発揮するという優れものです。

商品の公式ページはこちらです。

アサヒペン コンクリートカベ用樹脂モルタル

アサヒペン コンクリートカベ用樹脂モルタル
アサヒペンの「コンクリートカベ用樹脂モルタル」はモルタル外壁をはじめ、コンクリート・レンガ・岩石などの幅9mm・深さ9mm以下のひび割れ補修に向いた商品です。
ガンタイプなのでそのまま使用でき、水に混ぜる必要がなく手間がかかりません。
カラーはグレー・ホワイト・アイボリーの3種類あり、自宅のモルタル外壁の色に合うものが見つかるでしょう。

商品の公式ページはこちらです。

セメダイン 内外装用 補修 穴うめパテ ポリ容器

セメダイン 内外装用 補修 穴うめパテ ポリ容器
セメダインの「内外装用 補修 穴うめパテ ポリ容器」は、木材、コンクリート、モルタル外壁、石膏ボード向けの肉やせしない水性パテです。
「ガンタイプは焦点が合わず、力が必要で使いづらそう」と感じる方におすすめの商品です。
ホワイト・ベージュ・アイボリーの3色展開になります。

商品の公式ページはこちらです。

SK11 ソフトコーキングヘラセット 4本セット

SK11 ソフトコーキングヘラセット 4本セット
藤原産業のスタンダードブランド・SK11の「ソフトコーキングヘラセット」は、軽いうえに弾力性があるプラスチックのヘラです。
手になじみ、壁を傷つけづらいので、モルタル外壁補修の初心者でも使いやすいでしょう。
こちらは5mm・10mm・15mm・コーナー用の各サイズが1本ずつ入ったセット品なので、施工場所に合わせて使いわけができる点が魅力になります。

Amazonの商品ページはこちらです。

アイリスオーヤマ 養生 マスカー 布テープ

アイリスオーヤマ 養生 マスカー 布テープ
アイリスオーヤマの「養生 マスカー 布テープ」は、内外装、塗装時の養生として使えるマスキングテープです。
スプレーをかけたり、樹脂を塗りこんだりする際に汚したくない箇所にテープを貼れば、汚れることを防ぐことができます。
窓サッシやドア枠などに貼れば、安心してモルタル外壁の補修ができるでしょう。

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繰り返しになりますが、DIYでのモルタル外壁補修は応急処置でしかありません。
「自分で補修したから大丈夫」と放置せず、その後には必ず塗装業者に相談しましょう。

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緊急度が高い劣化症状は業者に相談しよう


モルタル外壁に塗膜のふくれや構造クラック、剥がれや雨漏りなど、緊急度が高い劣化症状が現れていたら、DIYでの補修は不可能です。

自分で何とかしようとせず、必ず業者に相談して補修してもらいましょう。
業者での補修方法や費用などについては、以下の記事をご覧ください。

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まとめ

モルタル外壁は、劣化症状が軽度であればDIYで直せる場合があります。
ただし、DIYでの補修は症状を悪化させてしまうことがあるので、応急処置と捉えてください。
また、ひび割れや塗膜の剥がれなどの重大な劣化症状は、業者でないと綺麗に補修ができません。
放っておくと雨漏りしたり家が倒壊したりする恐れがあるので、出費を惜しまず業者に連絡して施工してもらいましょう。

モルタル外壁を補修するべき周期はどのくらいですか?

モルタル外壁のメンテナンス周期は10年に1回が目安とされています。詳しく知りたい方はモルタル外壁のメンテナンス周期は10年に1回が目安をご覧ください。

モルタル外壁の劣化症状には、どんなものが挙げられますか?

変色・カビ・チョーキング・ひび割れ・剥がれなどがモルタル外壁の劣化症状です。詳しくはモルタル外壁の劣化症状とは?をご覧ください。

DIYでの補修方法は何ですか?

ホームセンターや通販サイトで購入できるパテや樹脂などを使い、ひび割れ個所を埋めます。詳しくはDIYでモルタル外壁を補修するにはをご覧下さい。

どんな場合に塗装業者での補修が必要ですか?

モルタル外壁の塗膜が剥がれる、大きなひび割れがあるという場合は業者での補修が必要です。詳しくは緊急度が高い劣化症状は業者に相談しようをご覧ください。

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一般社団法人 日本建設業連合会 『施工がわかる イラスト建築生産入門』(彰国社)

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