塗装の下地処理とは?方法と費用を解説! | 外壁塗装の基礎知識

  • 【更新日】2021-09-16
塗装の下地処理とは?方法と費用を解説! | 外壁塗装の基礎知識

何をするにしても下準備は大切で、地味な作業でも、下準備をしっかりしている場合と下準備を怠った場合とでは、仕上がりに格段の差が生じます。

ご自宅の外壁・屋根の塗り替えも同じです。
塗装する箇所の下地処理を徹底することで、塗装が美しく長持ちするようになります。

本記事では前半に下地処理が必須である理由について、後半では下地処理の方法と流れについて解説します。

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外壁・屋根の塗り替えを美しく仕上げるためには下地処理の徹底が必須!

外壁塗装の見積書を手にすると、必ず『下地処理』という記載があることに気がつくはずです。
下地処理のほかにも『下地調整』という言葉が使われていることもありますが、これは同じ意味だと考えてください。

これまでにDIYでご自宅の塀やウッドデッキなどを塗装したことがある方なら「とにかく上からペンキを塗ってしまえばいいのでは?」と考えているかもしれませんが、外壁塗装のプロは違います。
外壁塗装のプロは、まず下地処理を徹底するのです。

なぜ外壁塗装のプロは下地処理を徹底するのでしょうか?
その答えは「塗り替え後の仕上がりの美しさが違うから」です。

下地処理が不十分だとどうなる?

これまでにDIYで塗装をしたことがある方なら、こんな経験をしたことがあるはずです。

・塗りたての時はピカピカして美しかったのに、よく乾かすと色ムラが目立った
・ペンキが弾かれてしまって、上手く塗れなかった

これらは下地処理がなされていなかった場合によく起きる施工不良です。

見た目には平滑だったり、汚れがなかったりするような外壁・屋根でも、
・サビ
・カビやコケ
・砂やホコリ
・油分
・シリコン質
・昆虫の巣や卵
などの異物があると、その上からペンキを塗っても施工不良を起こします。

また、異物はなくても、
・『クラック』と呼ばれるヒビ割れ
・建材の剥がれ、穴
・既存のペンキの剥がれ
などがあると、施工不良の原因になります。

下地処理が不十分だと塗装が長持ちしない

もし下地処理が不十分なまま外壁・屋根を塗り替えてしまうと、施工不良の原因になります。

外壁・屋根の塗装の寿命は「10年が目安」といわれていますが、施工不良を起こしてしまうと長持ちしなくなります。

外壁・屋根の塗装に使用されるペンキには、配合されている成分によってランクがあり、ランクが高いほど見た目の美しさや耐久性が上がります。
ところが、下地処理が不十分だとペンキ自体の性能が発揮されず、メーカーがうたう耐用年数ほどは長持ちしなくなります。
せっかく10年、12年、15年の耐用年数が約束されているとしても、下地処理を怠ると1年たらずで色あせや剥がれなどが起きてしまうことだってあるのです。

外壁・屋根の塗り替えは決して安いものではありません。
一軒まるごとの塗り替えで100万円前後の費用がかかるのですから「失敗したのでもう一度」なんて気軽にできるものではないのです。
本来であれば10年は美しさを保ってくれるはずが、5年程度でみすぼらしくなってしまい塗り替えが必要になったとすれば、10年間のコストは2倍に膨れ上がる計算になってしまいます。

下地処理の徹底は、見た目の美しさや耐久性の向上に直に影響し、ひいては外壁・屋根の維持のトータルコストを抑える効果があるのです。

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下地処理の方法と流れ

下地処理にはいくつかの方法があります。

・高圧洗浄
・ケレン作業
・コーキング補修
・セメント補修
・パテ埋め

それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。

水圧で汚れを落とす『高圧洗浄』

下地処理の第一歩となるのが高圧洗浄です。
ガソリンスタンドの洗車機よりも強い水圧で外壁・屋根の汚れを洗い流します。

みなさんの感覚では「汚れをサッと流す」という程度の感覚かもしれませんが、高圧洗浄のノズルの先は、足のつま先でも当たれば「バチっ」と弾かれてしまうくらい強力な水圧です。
いわば水圧のブラシで強くこそぎ落とす感覚で、汚れやカビ・コケ・藻などを除去します。
また、トルネードノズルというらせんを描くことができるノズルを使えば、既存のペンキをこそぎ落とすこともできます。

サビや古い塗膜を手作業で落とす『ケレン作業』

高圧洗浄の次におこなう下地処理はケレン作業です。

ケレン作業とは、ディスクサンダーという電動工具や、ワイヤーブラシ・研磨スポンジ・紙ヤスリなどを使用して、金属質のサビや木材のカビ、既存のペンキの古い塗膜などを手作業で除去する工程です。

ケレン作業は特に「サビ落とし」を目的にすることが多く、金属製のトタン外壁・屋根の塗り替えではサビを完全に除去したうえで塗装しないとまたすぐにサビが発生してしまうため必須の作業です。

ケレン作業ではなく、塗装剥離剤をつかった化学的な下地処理について詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
>>【参考記事】「外壁塗装で剥離剤が使われるのはどんな場合?リスクや費用も解説」

サイディングの目地には『コーキング補修』

現在、多くの住宅の外壁に使用されているサイディングは、パネルとパネルの間に適度な隙間を空けて貼り付けられています。
この隙間のことを『目地』と呼び、目地のクッションと防水を兼ねているのがコーキングです。

コーキングはウレタンやシリコンの樹脂でできていて、乾燥すると弾力があるゴムのような性質になります。
コーキングが劣化してしまうと、ヒビ割れ・剥がれなどの不良を起こすため、その上からペンキを塗装してしまうと見た目が汚くなり、塗装が長持ちしなくなります。

コーキング補修には、
・既存のコーキングに新たなコーキング材を補充する『増し打ち』
・既存のコーキングをすべて除去して新たなコーキング材に入れ替える『打ち替え』
の2種類があります。

また、外壁・屋根のヒビ割れが軽度の場合はコーキング材を充填して埋めることもあります。

コーキング補修が不十分だと、目地から水分が侵入してしまい雨漏りの原因になります。
水分の侵入を許してしまうと、塗装の表面に水ぶくれができて破れてしまい、見るも無残な状態になってしまいます。

セメント・モルタル質の補修なら『セメント補修』

セメントやモルタル質の外壁でヒビ割れを放置していると、ヒビ割れのまわりがどんどん崩れてしまい、終いには大きな穴ができてしまうことがあります。
穴があいていなくても、手で触っただけで豆腐のようにボロッと崩れてしまうような状態なら、どんなに上から新しいペンキを塗装してもすぐに崩れてしまうので意味がありません。

劣化したセメント・モルタル質の補修では、まず劣化した部分をハンマーなどで叩いて落とし、その上から新たにセメントを打ってコテでならして補修します。
左官業の仕事のようですが、塗装前の素地を整える工程なので塗装業者が下地処理の一環として担当します。

タッカーの穴やクギの頭をならす『パテ埋め』

軒天井に使用されるボード状の建材はタッカーと呼ばれる工業用の大型ホッチキスで固定しますが、タッカーを打ち込むと必ず数ミリ程度の小さな穴ができます。
また、釘を打ち付けた木材でも、釘の頭の部分に小さなくぼみがあいたり、その反対に頭が少し出っ張ったりします。

この穴や出っ張りを無視して塗装をしてしまうと、その部分に塗料がたまって液ダレを起こしたり、ハケやローラーの動きを邪魔して色ムラができてしまうため、できるだけ平滑にならす必要があります。
そこで登場するのがパテです。

穴や出っ張りにパテをつけて、プラスチックやゴムのヘラでならすと面が平滑になります。

粘土状のパテは速乾性が高く乾燥後はセメント質のように硬くなるため、タッカーやクギによってできた小さな穴や出っ張りをならすには最適です。

タッカーの穴やクギの頭の処理は、本来は建築時に大工がおこなうものです。
ところが、大工が処理を忘れていたり、処理が不十分であった場合には、下地処理の一環として塗装業者がおこなうこともあります。

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下地処理の費用相場は?

外壁・屋根の塗り替えには必須の下地処理ですが、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

それぞれの下地処理の方法別に費用相場をみてみましょう。

・高圧洗浄…1㎡あたり200〜300円=1軒まるごと20,000〜45,000円くらい
・ケレン作業…1㎡あたり500〜2000円
・コーキング補修(増し打ち)…1mあたり500〜900円=1軒まるごと75,000〜160,000円くらい
・コーキング補修(打ち替え)…1mあたり700〜1,200円=1軒まるごと225,000〜310,000円くらい
・セメント補修…1㎡あたり1,500〜2,500円=補修箇所や劣化の程度によるが1軒まるごと10,000〜50,000円くらい
・パテ埋め…通常は大工が建築時におこなうため建築費用に含まれている、塗装業者がおこなう場合は全体で10,000〜20,000円くらい

ここでは、それぞれの下地処理について相場を挙げましたが、セメント補修やパテ埋めのように部分的な補修になる場合は見積書に「下地処理」として費用を一括で提示していることがあります。
ケレン作業やコーキング補修であれば作業面積・距離が明らかになりやすいですが、部分的な補修になると面積などを計算しにくいからです。

もし、見積書の中に『下地処理』とだけ記載されていて、どんな内容の工事を指しているのかがわからない場合は、遠慮なく「どこに・どんな工事を・いくらでするのか」を質問して答えてもらいましょう。

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「本当に下地処理が必要?」を自分で知る方法

もし、塗装業者からもらった見積書に『下地処理』が記載されていて、本当にそんな工程が必要なのかな?と疑問に感じるのであれば、下地処理の必要性をセルフチェックしてみましょう。

まずは手が届く1階部分の外壁です。
目で見てヒビ割れや塗装・建材の剥がれ、穴、サビやコケ、コーキングのヒビ割れなどがないかをチェックしてください。
目立った汚れや損傷があれば、確実に下地処理が必要です。
目で見ても汚れや損傷がないと感じたら、外壁を手のひらでサッとなでてみましょう。
手のひらに外壁の色に近い、やや白っぽい色の粉がついていませんか?
もし手のひらに粉がついていれば、それは『チョーキング』という塗装の劣化が起きている証拠です。
チョーキングが起きている上から新たに塗装すると施工不良の原因になるため、高圧洗浄やケレン作業は必須です。

次に2階建て住宅にお住いの方は、2階部分から1階部分の屋根をみてください。
屋根にコケや藻が付着している、屋根瓦にヒビ割れがある、既存の塗料がウロコのように剥がれている、金属部分のサビが目立つといった場合は、下地処理を徹底しないと新たに塗装してもすぐに劣化してしまいます。

ごくカンタンなセルフチェックですが、ぜひ自分で見て、触れて、下地処理の必要性を確かめてみましょう。

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美しく長持ちする塗り替えを実現するなら下地処理は必須!

ご自宅の外壁・屋根の塗り替えに、美しい仕上がりと十分な耐久性を求めるなら、下地処理を徹底してくれる塗装業者にお任せするのがベストです。

この記事では塗装の下地処理について全般的なことを紹介しましたが、さらに踏み込んだ内容を知りたくなった方は、各工程について詳しく解説した記事もご覧ください。

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