ご自宅の外壁をサイディングに替えたい場合、「サイディングのメンテナンス周期はどのくらいか」「メンテナンスフリーは本当か」といった疑問が浮かぶでしょう。
この記事では、サイディングのメンテナンス費用・周期・方法の他、劣化症状などを解説します。
これから外壁をサイディングへ交換したい方をはじめ、現在のご自宅のサイディングをメンテナンスしたい方は必見です。
外壁全般のメンテンナンスについて詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
>>外壁メンテナンスをするべき時期と劣化症状を解説!費用相場や方法も併せて紹介
サイディング種類別のメンテナンス周期
サイディングボードには数種類あり、それぞれ素材や製法が異なるため特徴や耐用年数には違いが出ます。
メンテナンス周期も異なるため、ご自身の好みや立地条件なども加味して選んでみましょう。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメント質と繊維質を主な原料として、板状に形成した素材のサイディングボードになります。
デザインが豊富なため人気がありますが、防水機能はないため雨・雪・湿気などで劣化しやすいです。
メンテナンス周期は8~10年です。
・材料費や施工費をできるだけ安くしたい人
・長持ちさせるべく、小まめにメンテナンスをしたい人
>> 窯業系サイディングとは?メリットとデメリット、費用やデザインを比較!
金属系サイディング
金属系サイディングは、スチールやアルミニウムなどの金属でできたサイディングボードです。
デザイン性・耐久性・断熱性・防火性に優れており、軽いため建物への負担が少ないことがメリットです。
一方で錆びる可能性が高く、メンテナンス周期は10年~15年となります。
・耐震性・断熱性・防音性を重視している人
・寒冷地にお住まいの人
>> 金属サイディングとは?種類、メリット・デメリットと代表商品を解説
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、プラスチックを主原料にしたサイディングボードです。
高い耐久性が特徴で、雨風や塩害、色褪せに強い点がメリットになります。
ただし、日本での普及率が低いので対応している業者が少ないこと、紫外線に弱いことが難点です。
メンテナンス周期は10年~20年でとても長いです。
・メンテナンス頻度をできるだけ減らしたい人
・寒冷地や海辺にお住まいの人
木質系サイディング
木質系サイディングは、天然木と合板を主材料にしたサイディングボードです。
木目のデザインが美しく、環境や景観を大切にしたい場合におすすめです。
しかし、防火性は弱くカビが生えやすいため、メンテナンス周期は短く7年~10年となります。
・断熱性を重視している人
・金銭的に余裕がある人
「メンテナンスフリー」は本当?
ハウスメーカーやリフォーム業者が「メンテナンスフリー」を掲げるサイディングを売り出していることがあります。
しかし、サイディングは紫外線や雨風に晒されているため、絶対に劣化しないとは言い切れません。
「メンテナンスフリー=耐久年数が長い」といった意味合いで捉え、定期的にサイディングのメンテナンスを行ってご自宅を少しでも長持ちさせましょう。
メンテナンス方法別の費用と工期
メンテナンス方法は、主に「張り替え工事」「重ね張り工事」「塗装」の3種類が挙げられます。
メンテナンス方法ごとに、工費の相場や工期をまとめました。
張り替え工事
張り替え工事では、古いサイディングボードを完全に剥がし、新しいものに張り替えます。
サイディングの大部分が剥がれたり、浮いたりしている場合に有効なメンテナンスです。
張り替え工事の費用相場は約180~300万円です。
既存のサイディングボードを撤去する工程が含まれるため、工期は他の工事と比べて長くなり、2週間~1ヶ月ほどかかります。
>> サイディング張り替えの費用相場と工事をするべき判断基準
重ね張り工事
重ね張り工事はカバー工法とも呼ばれ、古い外壁材を残し、その上から新しいサイディングを重ねて張る方法です。
サイディングの一部がひび割れしたり、剥がれたりしている際に使われます。
重ね張り工事の費用相場は約150~200万円です。
既存のサイディングボードの上に新しいものを取り付けるので、工期は短く1〜2週間ほどです。
注意点として、外壁が重くなりすぎることを防止するため、軽い金属サイディングしか使用できない場合があることが挙げられます。
>> 外壁の「カバー工法」の費用相場は? 地震に弱くなるってホント?
塗装
塗装では、サイディングボードを新しい塗料で塗り替えます。
サイディングにチョーキングや変色があるなど、劣化症状が軽度である場合に施すメンテナンス法です。
塗装の費用相場は約70~150万円で、工期は2週間〜3週間ほどです。
>> 外壁塗装の費用相場は?費用を左右する要因、安くする方法について解説
※梅雨の時期や大雪の日が続く場合は作業日程が長引き、1ヶ月以上かかる場合もありますので注意しましょう。
メンテナンスが必要なサイディングの劣化症状
もし自宅のサイディングに以下で紹介する劣化症状が現れたら、メンテナンスの検討をおすすめします。
危険度が高い→低い順に解説しますので、しっかり確認しましょう。
剥がれ
サイディングが剥がれている場合、雨漏りするかもしれません。
剥がれを放置すると、家の土台である木材が腐食する可能性があるため、危険度が高いです。
>> 塗装が剥がれる原因は?直し方や保証、剥がれにくくする方法について解説
ひび割れ
ひび割れは、主に劣化したサイディング材が雨水を吸収し、膨張と乾燥を繰り返すことで発生します。
また、施工時の釘打ちや地震の影響によりひび割れる場合も考えられます。
ひび割れを放置すると、隙間から雨水が入って雨漏りを引き起こしたり、内部を腐食させる可能性があるため要注意です。
>> クラックの補修方法は?クラックの幅別に3つの最適解を解説。DIY手順も!
反り・浮き
サイディングが経年劣化すると、反ったり浮いたりすることがあります。
反りや浮きが発生すると、隙間やずれが生じて雨漏りの原因になります。
コーキング材(シーリング材)の劣化
コーキングとはサイディングボードを繋ぎ合わせるために使用される、ゴムのような素材でできたものです。
サイディング目地(継ぎ目)のコーキングが劣化してしまうと、剥がれたり割れてしまい、放置しておくと雨漏りの原因になります。
>> コーキングの乾燥時間はどのくらい?気を付けたい2つのポイント!
チョーキング
サイディングを触ったとき、手に白い粉のようなものが付くことをチョーキング現象と言います。
チョーキング現象も塗料の防水機能がなくなっているサインのため、触れた時に粉が付いてしまうようであればメンテナンスを行いましょう。
>> 【チョーキング現象とは?原因・対策、放置したらどうなるかを詳しく解説
変色・水シミ跡
サイディングの塗膜が劣化して防水機能が損なわれると、水分を吸収してしまい水シミ跡が目立つようになります。
判別しにくい場合は、サイディングに水をかけてみることをおすすめします。
水を弾いてくれれば問題なく、水が染み込んでいくようであれば防水機能がないと判断しましょう。
コケ・カビ・藻
日当たりが悪かったり湿気が多かったりする立地ですと、コケやカビ、藻が発生することがあります。
コケなどは壁の表面に付着しているだけなので、小範囲であればスポンジで軽く擦る、高圧洗浄機で除去するといった対応をしましょう。
しかし、もし自力で落ちない場合は、カビが根を張っていたり、色素沈着している可能性があります。
>> 外壁のコケを除去&予防したい方必見!コケに関する対処法をご紹介します!
メンテナンスを怠るとどうなる?
もしサイディングのメンテナンスをしないまま放置すると、以下の問題が発生します。
- 雨漏り
- 隙間風
- 虫の侵入
メンテナンスを怠ると、外壁素材の内部まで劣化する恐れがあります。
サイディングの劣化が進むと、最悪の場合メンテナンスだけでは済まずに建物ごと建て直す必要が出るかもしれません。
建て直す場合は、メンテナンスの何倍~何十倍もの費用がかかります。
修繕費を無駄に多く払わないためにも、メンテナンスは定期的に行いましょう。
DIYでのサイディングメンテナンスはやめよう
サイディングメンテナンスを自分で行おうと検討している場合は、控えることをおすすめします。
もちろん業者に依頼するより費用は安く済むことはメリットですが、以下のようなデメリットが挙げられます。
- ノウハウがないまま行うと、工事期間が長くなる
- サイディングボードが劣化する、または劣化が進む場合がある
- 騒音が出たり、塗料が飛び跳ねて近所の人とトラブルに発展する可能性がある
また、業者が隣人に工事の説明をしてくれたり、塗料の飛散防止ネットをかけてくれたりするので、心置きなくメンテナンスができるでしょう。
サイディングメンテナンスは自力では行わず、業者に任せることをおすすめします。
>> サイディング補修の方法は?外壁はDIYで修理できる?
業者に依頼する場合の流れ
実際にサイディングメンテナンスを業者に依頼すると、どのような準備をしたり、業者と対応したりすれば良いのでしょうか。
業者とのメンテナンスの流れを紹介しますので、実際に問い合わせる前に確認しておきましょう。
悩みや要望をまとめる
まず業者に連絡する前に、サイディングにどんな劣化症状が現れているのか、メンテナンスにどのような効果を求めるかなど、悩みや要望をまとめておきましょう。
業者に相談しているうちに新しい悩みが出ることもありますので、完全にまとめ上げなくても問題ないです。
「チョーキングしているから何とかしたい」「防水機能を高めたい」といった事柄を整理しておくと、業者との話し合いがスムーズに行えます。
実際に業者の専門家に点検してもらう
業者に問い合わせたら、専門家に直接自宅を見てもらいます。
無料で点検してくれる業者がありますので、「ここの傷みが気になる」などサイディングの実物を見せながら気軽に相談してください。
プロに見てもらえれば、自分では気づかなかった劣化症状を見つけてくれたり、最適なメンテナンス方法を提案してくれるでしょう。
見積書をもらう
点検が終わったら業者に見積書を作ってもらい、費目・費用が妥当か、相場から大きく外れていないかを確認してください。
もし「説明がない費目が含まれている」「相場と比べて高い・安い」といった場合は、必ず業者に問い合わせましょう。
業者の対応や見積書に不安・不満がなければ、正式にメンテナンスを発注します。
悪徳業者の手口と見抜き方
サイディングメンテナンスは何十万円、何百万円もの費用がかかります。
大切なお金を払ってメンテナンスを行うのですから、悪徳業者に騙されて損をしたくないですよね。
悪徳業者の手口や見抜き方を解説しますので、自衛のために確認しておきましょう。
飛び込み営業してくる
突然訪問してきた営業マンに「ご自宅の壁が〇〇なので、雨漏りしていますよ」「期間限定でキャンペーンを実施していて、施工費をお安くできます」といった誘い文句を言われて、半ば強引にメンテナンスの契約をさせられたという事例があります。
悪徳業者は「素人は何も知らないから」と、詭弁を使ってあなたを騙そうとしてきます。
いきなり訪問して魅力的なセールストークをされたら、真っ先に悪徳業者の営業マンかもしれないと疑うべきです。
少しでも不信に思ったら、玄関先で「結構です」「お引き取りください」とハッキリ断りましょう。
説明や見積書の内容が曖昧
自ら調べて問い合わせた業者だからといって、必ず優良企業かどうかは分かりません。
例えば納得できる説明がない、見積書の内容が曖昧である、極端に高額または低額なメンテナンス費が記載されている場合は、悪徳業者である可能性が高いです。
説明や見積書を怪しいと思ったら、その業者とは連絡を絶ちましょう。
サイディングのメンテナンスは早めにしましょう!
前述したとおり、サイディングはメンテナンスフリーではありません。
耐用年数が長いものもありますが何もしなければ劣化し、劣化を放置すれば状態は深刻化し多大な費用が掛かることになります。
早めにメンテナンスを行えば、通常は30~40年の寿命がある外壁材です。
劣化してきたかな?と感じたらすぐにメンテナンスを行いましょう。